昔の記憶

四浪(よんろう)

 平成21年4月1日、北海道新聞『いずみ』への投稿です。
 四浪
 この春、四浪の末、
 息子が大学生になる。
 息子はひたすら勉強し、
 親は祈り続けた。
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 去年の合格発表の日。
 「最後の1年で結果を出せなかった。もういいだろう」
 と主人に言われ、
 「母さんごめんね」
 と声を上げて泣いた息子。
 その姿を見て、
 なんとかしてやらなきゃ、と思い、
 主人に
 「もう1年やらせて」と頼み込んだ。
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 そうやって与えたこの1年が、
 息子にとって、
 かえってつらいものになっていないだろうか、
 あの時
 あきらめさせるべきだったんではないか、
 と何度も後悔しかけた。
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 合格ラインに届かなかったセンター試験。
 それでも志望を変えずに
 逆転を狙って出願した2次試験を経て、
 息子は執念で合格を勝ち取った。
 いろんな人に
 いろんなことを言われた4年間だった。
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 高校卒業後、
 社会人になった娘は、
 精神的に大きな支えとなってくれた。
 この結果ですべてが報われた。
 「親として間違いじゃなかった」
 と思わせてくれた息子に、
 私は心から感謝した。
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 合格発表後の息子の声は、
 明るくて大きい。
 生き生きとした息子の声を、
 久しぶりに聞いた気がする。
 一番つらかったのは本人だっただろう。
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 この4年間を思えば、
 今後の6年間、
 医学生として
 息子は頑張り続けられるはずだ。
 浮かれることなく、
 責任重大な職業を
 選ぼうとしていることを忘れないで。
 本当に見たかった桜が、
 ようやくわが家に咲きそうだ。
 平松奈緒美(45歳・パート)
 =十勝管内音更町
 (以上、北海道新聞より引用)
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 平松様に心からおめでとうございます
 祝福のメッセージをお送りします。
 私は4年間、
 札幌医科大学形成外科の講師として働きました。
 その間、400人の医学生に、
 形成外科の講義をしました。
 四浪(よんろう)なんてふつうです。
 社会人経験者も、
 妻帯者もいました。
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 補欠合格で入学しようと、
 四浪で合格しようと、
 医師としての資質には、
 まったく関係ありません
 むしろ、
 ご子息は素晴らしいお医者さんになれます。
 私の同級生を見ても、
 四浪以上で入学して、
 素晴らしい院長になっている先生が何人もいます。
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 卒後30年もして同期会をすると、
 現役合格で一番若い先生が、
 一番老けて見えたりすることもあります。
 4年間は決して無駄ではなかったのです。
 むしろ現役合格で入学後に、
 大学に失望してやる気を無くする人もいます。
 多浪して入学した学生さんは、
 大学に対する情熱が違います。
 しっかり勉強して落第率も低いです。
 (100人入学すると6年間で10人以上落第します)
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 札幌医科大学の入学式は
 4月3日(金)ですね。
 医学部は入学後も勉強が厳しいです。
 実習もあり、レポートもあります。
 6年後には難関の医師国家試験もあります。
 医学部と保健医療学部だけの
 札幌医科大学は、
 総合大学に比べて欠点もあります。
 ただ、よいところもたくさんあります。
 医師国家試験合格率は北大(医)より上です。
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 平松さんのお母さん、
 ご苦労様でした。
 よかったですね
 私の後輩となった平松君へ、
 入学おめでとう
 大いに青春を楽しんでください。
 よい先輩や素敵な彼女を見つけてください。
 心から4年間の努力に敬意を表します。
 6年間勉強して、
 素晴らしいお医者さんになってください。

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