医学講座

日本形成外科学会2009-①

 今日から横浜で
 第52回日本形成外科学会です。
 横浜は暖かで、
 北海道とは一ヵ月の差があるように感じます。
 今日は朝から夕方まで、
 学会に参加していました。
 午前9:00から眼瞼(まぶた)の発表がありました。
 信州大学形成外科の先生のご発表が
 たくさんありました。
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 午後は、美容外科の発表を聴きました。
 学会の内容については、
 明日の日記でご報告いたします。
 今日は特別講演でお聴きした、
 多摩美術大学教授、
 岩倉信弥先生の講演について書きます。
 岩倉先生は元本田技研工業㈱
 常務取締役(商品担当)。
 本田技研でデザインを担当されたデザイナーです。
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 講演のタイトルは
 直伝(じきでん)・本田流ものづくり
 岩倉先生は1964年に本田技研工業㈱に入社されました。
 講演の中で、
 創業者の本田宗一郎さんに、
 ホンダの中で一番多く叱られたとお話しくださいました。
 乗用車の天井には、
 両サイドに一本ずつレールのようなものがついています。
 これをモヒカンモールと呼びます。
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 ある日、Honda1300を作っている、
 鈴鹿工場で、
 本田宗一郎さんが、
 かんかんに怒っているので、
 すぐに来るように呼ばれました。
 本田技研が、
 乗用車の生産をはじめた頃です。
 それまで二輪車では、
 スーパーカブなどヒット商品を出していましたが、
 乗用車の生産には慣れていませんでした。
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 当時の乗用車の天井は、
 金属をつなぎ合わせて、
 ハンダ付けをしていました。
 ハンダ付けの部分がガタガタになるので、
 職人さんがその部分を削っていました。
 鉛(なまり)が入ったハンダを削ると、
 職人が鉛中毒になって死んでしまう。
 すぐにやりなさい!
 と真っ赤な顔で、
 社長に怒られました。
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 すぐにということは、
 翌朝には結論を持って
 社長に報告しなければなりません。
 苦心して考えたのが、
 金属の接合部につけるモールでした。
 今の乗用車にはすべてついている、
 天井のモールは、
 本田宗一郎さんに怒られてできた、
 岩倉先生のアイデアでした。
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 本田技研工業㈱は、
 岩倉先生が在籍した35年の間に、
 会社が潰れるかもしれないという危機が
 3度ありました。
 それを支えたのが
 ホンダの原点である、
 買って喜び、
 売って喜び、
 つくって喜ぶ
 という
 3つの喜びです。
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 心をこめて商品をつくる
 (ものづくりを)心底愛し
 信じて身をゆだねる
 難しいほど楽しい
 毎日(いいアイデアやデザインを)考えて、
 そのことを想(おも)っていると…
 ふっといいアイデアが生まれてくる。
 そのことを
 想(そう)なくして創(そう)なし
 講演でお話しくださいました。
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 形成外科や美容外科も、
 デザインをして美を創る仕事です。
 車づくりに通じる部分があります。
 岩倉先生のお話しをお聴きして、
 この大不況の時代に、
 ヒット商品を生み出す、
 ホンダの力の原点がわかりました。
 自分の手術で、
 喜んでいただく
 のが自分の喜びとなることを
 再認識いたしました。
 

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