昔の記憶
採血の練習
私が医師免許証を取得したのが、
昭和55年(1980年)です。
今では信じられないことですが、
免許取立ての頃は、
採血も満足にできませんでした。
医師免許を取得するまでに、
私が採血をしたのは…
医学部の生化学実習で一度だけでした。
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私が採血をしたのは、
同期の三浦純一先生でした。
なんとか採血できましたが、
採血の痕が残りました。
私から採血したのも、
三浦純一先生でした。
学生同士で採血をしました。
三浦純一先生も
私の太くて見やすい血管からでも、
採血するのが大変でした。
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三浦純一先生は
旭川赤十字病院で、
長い間、小児科部長をした後で、
みうら小児科クリニックを開業されています。
今ではどんなに小さな子どもさんからでも、
採血ができると思います。
小児科の先生は採血のエキスパートです。
その生化学実習は、
採血の練習が目的ではなく、
血液中の脂質?か何かを測定するために、
血液を取る必要があったために、
学生同士で採血をしただけでした。
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看護師さんも、
看護師免許を取得するまでは、
患者さんからの採血はできません。
免許取得後に、
はじめて他人に針を刺せます。
最初は誰でも下手です。
何回も失敗して、
針を刺した回数が増えれば増えるほど、
上達するものです。
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中学校を卒業後に、
高校の衛生看護科に進学すると、
18歳で准看護師の免許証を取得できます。
大卒で保健師・看護師の免許証を持った人より、
高卒後に准看護師を取得。
実務経験を積みながら、
看護師となった方の方が、
採血も注射も上手です。
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私が北大形成外科の研修医となった頃は、
静脈注射は医師の仕事でした。
実際には、
看護師さんの方が、
はるかに上手でしたが、
研修医の仕事として、
私たちが注射針を刺していました。
忍耐強い患者さんが、
『先生、今日は3回まで』と
3回まで失敗しても許してあげるねと
注射をさせてくださいました。
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私に包帯の巻き方を教えてくださったのは、
北大形成外科外来の看護師、
畑端雅子(はたばたまさこ)さんでした。
何かわからないことがあると、
はたばたさ~ん
はたばたさ~ん
と頼って、
教えていただいていました。
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処方箋の書き方や、
軟膏の塗り方を教えていただいたのも、
ガーゼのたたみ方を教えてくださったのも、
外来の畑端さんでした。
こうして、私は少しずつ成長しました。
今日があるのは、
みなさまのおかげです。
30年経っても…
私を教育してくださった方に感謝しています。