医学講座
美容外科医の悲哀
美容外科の先生は、
高給で…
当直がなくて…
キレイな女の人を相手にして…
さぞ優雅な生活だろうと…
思っていらっしゃる方は?
いらっしゃいませんか?
■ ■
当直がないのは事実ですが、
朝から深夜まで働いています。
私からのメール返信が深夜で、
驚かれた方も少なくないと思います。
一年365日、
一日も休まずに働いています。
有給休暇もありません。
代診を頼んだこともありません。
■ ■
高給優遇だったのは…
過去の話しです。
今、高給優遇で迎えられるのは…
レーシック専門の眼科医です。
でも、そのうち価格破壊が進みます。
高給優遇は長くは続きません。
機械さえあれば、
眼科専門医でなくてもできる手術は、
あっという間に安くなります。
■ ■
キレイな女の人相手の手術は疲れます。
もともとお直しの必要がないくらい美人です。
ちょっとの失敗も許されません。
若い男性相手の包茎手術の方が…
『世界中どこへ行っても…』
『恥ずかしくないように手術するので、』
『がんばってくださいょ!』
とか…言って手術しているので気が楽です。
■ ■
私はキレイな花を見るのも、
作るのも好きです。
高校生の時から趣味の園芸を見ていました。
(最近は時間がないので見ていません)
毎日診療をしていると、
患者さんから…
励ましていただくことが多いのですが、
たまに凹むことがあります。
■ ■
昨日いらした高齢の女性です。
採血の痕が少し黒くなっただけで、
心配してクリニックにいらしていました。
皮膚も血管も弱く、
ふつうに採血しても黒くなります。
手術をすると、もっと黒くなって、
パンダのようになることもありますょ。
ご心配でしたら手術はなさらないでください。
と何度も申し上げました。
■ ■
手術日もご心配なようでしたので、
娘さんに手術室に入っていただき、
手術中も娘さんに手を握っていていただきました。
細心の注意を払って止血し手術をしました。
腫れは軽度でした。
とても見やすくなったと喜んでいらっしゃいました。
昨日、一ヵ月後にいらして…
片方だけ半分しか切っていないので
下がってきたので治して下さい。
と言われました。
■ ■
左右とも切った長さはまったく同じ。
若干の左右差はあるものの…
黒目はしっかり出ていました。
職員が見ても
私が見ても
再手術で治すような左右差ではありませんでした。
術前と術後の写真を準備して、
再手術をすると、
もっと左右差が目立つことを、
丁重にご説明いたしました。
■ ■
ご満足いただけないのは、
私の技術不足のためです。
申し訳ございませんが、
技術の限界を感じました。
こんなことがあるととても疲れます。
昔、北大形成外科の先輩が
おばあさんの手術をして、
手術部位から糸が出てきました。
何度か続けて糸が出たので、
『どうせ安い糸つかってんだべさ!』
と言われて凹んでいました。
当時、使っていたのは最高級の糸でした。
こんなこともたまにあります。