医学講座
粉瘤(ふんりゅう)の手術2017③
粉瘤の手術で必ず聞かれることです。
きずは残りますか?
残念ですがキズは残ります。
形成外科では、
なるべくきずが目立たないように手術をします。
うちの手術はキズが残りません。
特殊な器械を使ってします。
きずが残らない粉瘤の手術は
自由診療で15万円です
…というのは信じてはいけない形成外科です。
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日本形成外科HPの記載です。
感染のない場合は手術的に摘出します。腫瘍の直径の1~2倍の長さで開口部を含めて紡錘形に皮膚切開をして内容物を袋ごと摘出し、皮膚縫合した後の傷をシワに沿わしたり、くさび形に切除したりして出来る瘢痕を目立たなくします。時には顔面の場合など傷をより綺麗にするために、開口部の皮膚と内壁をくり抜いて内容物を排出した後に嚢腫壁を摘出すると、腫瘍の大きさに比べて傷が小さく目立たなくできます。
感染のある場合、それが軽い場合は、抗生剤や抗炎症剤の投与で鎮静化させてから摘出します。感染が高度の場合は、一度、切開・排膿して開放治療(軟膏治療)を行い、傷が落ち着いた後、期間を置いて摘出します。しかし、感染のない場合に比べて治療期間が長くなり、キズ跡も劣ります。
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形成外科学会HPに書いてある方法がふつうの手術法です。
ネットで調べると、
粉瘤のへそと呼ばれる、
開口部周囲を小さく切開して、
キズを目立たせなく摘出する方法を書いたクリニックがあります。
確かに有用な方法です。
私が、
粉瘤の手術ふんりゅうの手術に書いた、
手術用顕微鏡を使ってする手術もその一つの方法です。
昔、慶応大学医学部形成外科の先生が発表された論文にあります。
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気を付けなければいけないのが、
小さな切開で摘出できるのは、
硬くてころころした粉瘤だけです。
大部分の人が、
こりゃ~
手術しないとダメだなぁ~
…と覚悟するのは、
粉瘤が赤く腫れて痛くなった時です。
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この時には、
粉瘤の嚢腫のうしゅの壁が一部とけてしまっています。
完全に摘出できない可能性があります。
袋が破れた粉瘤を、
小さな切開で完全に摘出するのは、
きわめて困難なことがあります。
病理検査に出しても、
粉瘤という病理診断が難しいことがあります。
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粉瘤が、
できやすい人がいます。
一度、粉瘤ができた人は、
顔を洗う時などに、
ころころとしたしこりがないか?
よく注意して触ってください。
ころころがあったら、
早目に手術でころころを取ってもらってください。
小さくて、
硬い粉瘤は
傷あとを目立たせずに摘出することができます。
粉瘤も早期発見早期治療です。