昔の記憶
流氷
平成29年1月26日、北海道新聞朝刊、卓上四季です。
流氷
寒い日が続く。氷点下30度という地域も出た。それでも最近は、かすかだった太陽の存在感が増してきたようだ。注ぐ日差しに少し力が戻った。
▼この時季の話題は流氷到来だ。先日、オホーツク沿岸の北部に接岸した。氷に乗ってアザラシも来た。きのうは稚内でも流氷初日を記録した。砕氷船が出る紋別や網走あたりに着く日も近いのだろう。
▼本紙の「日曜文芸」に〈アムールの思ひ出はるか流氷来 徳光勇〉。流氷はロシアのアムール川と縁が深い。と言っても、この川でできた氷が北海道へじかに流れて来るわけではない。川がオホーツク海に大量の真水をもたらすのだ。真水は軽いから、海の表面に浮かぶ。塩分の薄い水の層となって広がる。
▼この層は、塩分の濃い下層とは混じりにくい。シベリアから寒気が吹くと、上の層が冷えて凍り付く。下の層はこれより温かいままだ。流氷が生まれるわけは、この上下2層構造にある。もしも上と下とが混ざってしまえば、寒気ではとても凍らせ切れないほどの海水量になるという。
▼千島列島は池の縁のように、オホーツク海と太平洋とを区切る。これがなければ真水は拡散し、2層構造を保てない。自然のこうしたバランスのおかげで、流氷は今年も姿を現す。
▼俳句では、流氷は春の季語だ。そういえば、冬至からもう5週間になる。今年の立春は2月4日、間もなくだ。我慢の季節は長くない。2017・1・26
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
知りませんでした。
塩分濃度の違いと、
千島列島のためなんですね。
北海道に住んでいても、
オホーツク海側か、
根室付近でないと、
流氷を見ることはありません。
私も20歳過ぎまで、
一度も流氷を見たことはありませんでした。
■ ■
札幌医大の学生だった時、
学部1年の過酷なテストが済んだあとで、
同級生の服部くんと、
流氷を見に行こうと計画しました。
2月だったと記憶しています。
酷寒の季節に、
おんぼろの車で出かけました。
■ ■
目指したのは網走です。
ようやく網走に着いて、
さあ流氷を見よう!
…とわくわくしていたら、
私たちの目の前にあったのは、
ただの雪原でした。
海が、
雪の原っぱのようになっていました。
正直なところがっかりしました。
■ ■
流氷は
海に氷が、
ぷかぷか浮いていて、
その上にアザラシがいる?という光景を想像していました。
後から知ったことです。
流氷が完全に接岸して固まってしまうと、
そこに海は見えません。
酷寒の2月に行っても、
雪原の陸が海につながっているだけでした。
■ ■
がっかりして、
尾岱沼おだいとうという、
根室海峡付近に行きました。
ここは海流が流れるので、
酷寒の季節でも、
海に氷が浮いています。
しかも、
白鳥までいます。
私の流氷見物おすすめコースは、
尾岱沼の白鳥と流氷です。