二重・眼瞼下垂
保険でも見た目が大切
2017年9月28日、29日の2日間にわたって開催された、
第40回日本美容外科学会はとても勉強になりました。
学会長の蘇春堂形成外科院長、
野平久仁彦先生が、
会長あいさつの代わりに、
ご自分の手術室から術衣で手術を披露されました。
なかなかできないことです。
40年の日本美容外科学会ではじめてです。
■ ■
2つある日本美容外科学会のうち、
こちらの学会は形成外科医が大部分です。
JSAPSじぇいさぷす
Japan Society of Aestheic Plastic Surgeryの略です。
大学病院の形成外科教授や、
大きな病院の形成外科の先生も参加されています。
大学病院や公立病院は保険診療で手術をしています。
■ ■
今回の学会では、
眼瞼下垂症手術がんけんかすいしょう
眼瞼痙攣の手術がんけんけいれんが討論されました。
どんなにベテランの先生が手術をしても、
手術後にクレームになることがあります。
共通したクレームは、
①左右差がある
②二重の幅が広い
③目が三角になっている
…などなど、たくさんあります。
■ ■
私が手術をさせていただいても、
残念ながらクレームをいただくことがあります。
目は2つあります。
もともと左右差がない方は、
手術後にも左右差になることはまれです。
もともとの左右差を、
上手にお化粧で修正していた方は、
手術後もお化粧と同じようになると思っています。
手術前の左右差を見落とすと、
大きなクレームになることがあります。
■ ■
保険診療で手術をしても、
自由診療で高いお金を払って手術をしても、
最後に患者さんが評価してくれるのは、
♡見た目♡です。
私も毎日苦労して手術をしています。
札幌美容形成外科では、
保険診療の眼瞼下垂症手術しか実施していません。
それでも…クレームをいただくことがあります。
■ ■
学会に参加して、
同業の先生と話すと、
みんな苦労してるんだなぁ~
…ととても納得できます。
学会で勉強したことを役立てて、
少しでも
クレームにならない手術を目指します。
100人の眼瞼下垂症患者さんがいると、
200通りの目があります。
左右の目が同じ人はまれです。
毎日苦労して手術をしています。
札幌美容形成外科は、
保険診療でもまつ毛の向きにこだわって、
まつ毛の根もと根っこが見える
素敵な目を作るようにしています。
丁寧に手術をしています。
手術前です
手術直後です
手術5ヵ月後です
手術前です
切除する皮膚です
手術一ヵ月後です
手術3年後です
院長の休日
新幹線札幌駅の地下ホーム「北5条通」
平成29年9月30日、北海道新聞朝刊の記事です。
新幹線札幌駅の地下ホーム案 「北5条通」浮上 ビル基礎少なく
2030年度末の北海道新幹線札幌延伸に向けた札幌駅のホーム位置問題で、新たに検討対象になっている「地下案」の設置場所に駅南側の「北5条・手稲通」の地下周辺が浮上していることが9月29日、分かった。ビルや商業施設の基礎部分などがなく、工事が比較的容易なためで、関係者の間で有力視されつつある。
北5条通は札幌駅南側を東西に走る幹線道路。複数の関係者や業界筋によると、道路の幅が広い分、地下の工事スペースを確保しやすく、駅や駅南側の商業施設にも近いため、候補に浮上した。上部に建物や基礎部分がないため、工事がしやすくコストも安く済む見込みという。ホームを造る場合、地下およそ20メートルにある市営地下鉄東豊線よりも深い場所になる見通しだ。
首都圏では、地下鉄副都心線など幹線道路の地下を開発している例は少なくない。ただ、札幌駅周辺では下水管を含む埋設物や地下水などの詳しい状況は分かっておらず、地下案でホーム位置を決める際は調査による確認も必要になる。
ホーム位置問題では、現札幌駅に併設する「現駅案」を推す建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構と、駅東側に造る「東側案」を主張するJR北海道の協議が難航。両者は第3の地下案を本格的に検討する方針を固め、国土交通省も容認姿勢を示している。
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
昨日17:00で第40回日本美容外科学会が終了しました。
京王プラザホテル札幌は、
JR札幌駅から徒歩5分以内です。
17:00に学会が終了すると、
東京の先生はその日のうちに、
ご自宅に帰ることができます。
■ ■
福岡からいらしてくださった先生も、
羽田乗継が大変だったようですが、
なんとか昨日のうちにお帰りになれたようです。
大変なのが、
東北地方からの参加者です。
飛行機の便数が一番多い仙台でも、
17:00に学会が終わると最終便に間に合うか微妙です。
ANAの札幌→仙台は最終が19:00発です。
新幹線が札幌まで開通すると便利になります。
■ ■
本州からいらした先生が、
札幌は寒いですね
…と言われました。
飛行機の便利がいい
札幌⇔東京でも、
大変なのが冬です。
ドカ雪が降ると、
丸一日欠航の時もあります。
■ ■
私は、
新幹線の札幌駅は地下がいいと思います。
北5条通案もいいと思います。
北5条通の下に新幹線の駅ができると、
伊藤邸マンション
…の下あたりを通ることになると想像します。
13年後にどうなっていることかわかりませんが、
大雪が降っても遅延がない新幹線がいいです。
医学講座
第40回日本美容外科学会(札幌)②
学会会場での会長あいさつではなく、
蘇春堂形成外科の手術室からの手術ではじまった、
第40回日本美容外科学会(札幌)は充実した内容です。
学会会場と手術室が中継されています。
嘘やごまかしはできません。
100%生で手術がわかります。
■ ■
昨日(2017年9月28日木曜日)は、
午前と午後の2回、
手術の中継(ライブサージャリー)がありました。
両方とも目の手術です。
同じようにCO2レーザー炭酸ガスレーザーを使う手術です。
お二人の先生が手術を披露してくださいました。
興味深いのは、
同じようにまぶたを切る手術ですが、
麻酔方法も
切る方法も
微妙に違います。
■ ■
もっと興味深いのは、
使う糸の種類も、
お二人の先生でまったく違います。
夜には会員懇親会がありました。
学会長の野平久仁彦先生があいさつで言われました。
手術後の大きなトラブルは、
学会直後によく起きることがある。
なるほどと思いました。
■ ■
学会で手術を見て、
さあ手術をやるぞ
…と新しい方法で手術をはじめても、
×ありゃりゃ
×どうしたことだ
×うまくできない
…ということがあります。
■ ■
学会で偉い先生がやっていた手術を、
自分もやろう
…と思ってやっても、
失敗するこがある
…という先人の教えです。
偉い先生も、
手術方法は毎年変わっています。
懇親会で実際の苦労を話すと、
よりよく手術が理解できます。
学会に参加する意義がそこにあります。
野平久仁彦先生ありがとうございました。
とても勉強になった2日間でした。
医学講座
第40回日本美容外科学会(札幌)①
2017年9月28日(木)29日(金)の2日間、
京王プラザホテル札幌で、
第40回日本美容外科学会が開催されています。
日本美容外科学会①
2007年10月6日(土)7日(日)に、
第30回日本美容外科学会総会がルネッサンスホテル札幌で開催されました。
会長は蘇春堂形成外科の新冨芳尚先生でした。
第14回日本美容外科学会総会の会長が大浦武彦先生でした。
日本美容外科学会はとても大きくなりました。
■ ■
第40回日本美容外科学会の会長は、
蘇春堂形成外科の野平久仁彦先生です。
40年の間に、
美容外科は大きく変わりました。
学会も変わりました。
ビデオを使った演題が増えました。
今年の第40回日本美容外科学会でも、
蘇春堂形成外科の手術室から、
手術の動画が京王プラザホテル札幌に中継されます。
■ ■
会長の野平久仁彦先生のご挨拶です。
「Back to Surgery ライブとビデオで手術を理解する」というテーマのもとに、
美容外科学会の名前の通り、
「外科」にもう一度立ち返ってみたいと思います。
ライブサージャリーやビデオ発表を多く取り入れ、
最新の手術手技を実際の手術室や生に近い状態で見ながら討論する事によって、
理解を深めることを大きな目標にしています。
■ ■
充実した内容の濃い学会です。
今日は朝からビデオ中継で学会がはじまりました。
学会会長のあいさつは、
ふつう初日に学会会場で行われます。
野平久仁彦先生は、
ご自分の蘇春堂形成外科から、
術衣で日本美容外科学会をはじめられました。
さすがだと思いました。
■ ■
蘇春堂形成外科からは、
野平久仁彦先生の
CO2レーザーを用いた眼瞼痙攣に対する新しい手術法 ―ADM手術―
宮田信之先生の
CO2レーザーを用いたミューラータックによる眼瞼下垂症手術
…が中継されました。
とても鮮明な映像で、
10年前と比べてもとてもよく見えました。
明日まで学会で勉強します。
医学講座
サーマクール不正販売2017
平成29年9月25日、朝日新聞朝刊の記事とその関連の記事です。
美容機器不正、逮捕へ 大阪の業者、未承認品販売した疑い
日本で未承認の米国製小じわ取り機「サーマクール」を医療機関に不正に販売・リースしたとして、大阪府警は9月25日にも、医療機器販売会社「セイルインターナショナル」(大阪市住之江区)の代表取締役(62)ら関係者数人を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕する。捜査関係者への取材でわかった。
サーマクールは棒状の先端部分を顔に当て、電磁波による刺激でコラーゲンを増やして小じわやたるみを取るとされる。美容医療ブームに乗り手術のいらない人気機器となったが、部品の不正転売先でやけどなどの被害も確認されていた。メーカー側によると価格は700万~900万円ほど。40~50代の女性を中心に年約1万5千人が医療機関などで利用しているとみられるという。
国内未承認の医療機器だが、医師が厚生労働省に申請して許可を受ければ治療目的で個人輸入し、使用できる。だが、医師免許のない業者が輸入することや、医師も含み販売やリースすることは禁止されている。
捜査関係者によると、同社関係者らは昨年から今年初め、国内未承認のサーマクール数台を医療機関などに違法に販売・リースした疑いがもたれている。
同社は他人の医師免許のコピーを無断で使って書類を作成し、サーマクールを不正に輸入したとされる。厚労省は2017年3月、サーマクールを販売・リースしたとする容疑に加え、有印私文書偽造・同行使容疑などでも府警に刑事告発していた。
同社をめぐっては2017年2月、サーマクールの使用済み部品を医療機関から買い取り、滅菌処理して別の医療機関に転売していたことが朝日新聞の報道で発覚した。代表取締役は2月、朝日新聞の取材に「サーマクールを国内では販売できないという認識はあった」と説明。「販売目的での保有が禁じられていることも知っていた。だが、注文を予想して事前に輸入して保有することもあったかもしれない。不適切な対応だった」と話していた。
■正規品数万円が4千円で 美容機器の転売、安全より安さ
国内でも人気の美容医療機器の使用済み部品が違法に転売され、利用者が顔や首をやけどする事例も報告されていたことが明らかになった。「プチ整形」など美容医療がブームになるなか、施術の値下げ競争も激しくなり、「安い機器」のニーズが高まっている。その一方で、被害の防止が後回しにされていた。
「手術をしないで、たるみやシワを改善してくれます」
ある美容医療機関のホームページでは、そんなうたい文句で米国製の医療機器「サーマクール」を使った施術をPRしている。
サーマクールは国内では未承認だが、医師が個人輸入すれば治療に使える。ネットで「サーマクール」と検索すると、国内のいくつもの医療機関が登場する。それほど人気の機器だ。
大阪市の医療機器販売会社を介してサーマクールの部品を売買していた医療機関のうち、取材に応じた関東地方の美容医療機関は、「正規品よりも安かったから買った」とその動機を語った。
サーマクールは国内では未承認だが、医師が個人輸入すれば治療に使える。ネットで「サーマクール」と検索すると、国内のいくつもの医療機関が登場する。それほど人気の機器だ。
大阪市の医療機器販売会社を介してサーマクールの部品を売買していた医療機関のうち、取材に応じた関東地方の美容医療機関は、「正規品よりも安かったから買った」とその動機を語った。
サーマクールを使った施術は、健康保険証を使って1~3割の自己負担で治療を受けられる保険医療ではなく、患者が全額支払う自由診療だ。メーカー側や美容医療機関の医師によると、サーマクールが登場した2003年当時、施術料の相場は約40万円だった。しかし、大手の医療機関が施術料を値下げすると、価格競争が激しくなったという。
そこで登場したのが使い回しの部品だ。正規品は1個数万円なのに対し、販売会社の使い回し品は4千円。これを使うと施術料が半額以下になり、大手にも対抗できたという。関東地方の美容医療機関は「患者さんに安い料金で提供したかったし、利益を上げたい気持ちもあった」と語る。
しかし、顔など皮膚に当てる部品は複数回使用すると、やけどなどの健康被害を起こす危険性がある。メーカー側は医療機関に健康被害の危険性を伝え、使い回し品を使用しないよう促してきた。だが、取材に応じた別の関東の医療機関は「使い回し品であることも、健康被害の危険性があることも、患者には伝えていなかった」と話した。
メーカーは1回使用すると使えなくなる安全装置を部品につけているが、販売会社は、その安全装置を解除して転売していた。
■厚労省、安全確保へ対応しきれず
国内の美容医療は、手術を伴わない「プチ整形」の人気もあり、拡大の一途だ。だが、増え続ける美容医療機関や未承認の医療機器に対して、安全確保の面で厚生労働省が対応しきれていないのが実情だ。
日本美容皮膚科学会の正会員数は2001年度の474人から、2015年度には2064人と4倍に増えた。これに伴い、医師による未承認の医薬品・医療機器の個人輸入も増えている。
厚労省によると、医師の個人輸入数は2010年度に3万9331件だったが、2015年度には6万3036件に伸びた。医薬品の用途ごとにみると、2010~2015年度は美容効果目的の医薬品数が全医薬品の約24~34%を占めて最も多かった。
厚労省は、未承認の医療機器の国内での譲渡・転売を禁じているが、輸入後にこれらがどのように管理されているかを確認する手立てはない。輸入を許可する「薬監証明」には、製造番号など機器を特定する情報の記載がなく、仮に転売されてもそれが転売品であるかどうかの確認ができない。
サーマクールの部品が違法に転売されている事実を伝えると、厚労省の担当者は「輸入の段階で譲渡・転売しないように誓約書は取っているが、より周知していきたい」と話した。(沢伸也、八角健太)
■大阪の販売会社 監督が不十分だった
大阪市の医療機器販売会社の社長は朝日新聞の取材に、「合法的にやっていると思っていたが、社員に聞くと違法に転売していた。監督が不十分だった。ただ、転売する際には点検しているので、出荷段階では安全性に問題はないと考えている」と話した。
同社の内部資料に部品の売買の記録があった70の医療機関にも質問状を送った。14の医療機関から回答があり、売却については「販売会社から米国に売却すると聞いていた」「リサイクルされるならと思って売った」、購入については「米国から輸入していると思っていた」「使い回しが違法とは知らなかった」などとした。
■小じわ取り機の不正販売で逮捕 医師免許を無断使用か
日本で未承認の米国製小じわ取り機「サーマクール」を医療機関に不正に販売・リースしたとして、大阪府警は9月25日、医療機器販売会社「セイルインターナショナル」(大阪市住之江区)代表取締役の坂口時彦容疑者(62)=大阪市中央区高麗橋1丁目=ら2人を医薬品医療機器法違反容疑で逮捕し、発表した。坂口容疑者は「(法的に認められた医師の)輸入を代行しただけ」と容疑を否認しているという。
ほかに逮捕したのは、同社の元販売課長の田中聡容疑者(47)=大阪市福島区野田3丁目。生活環境課によると、2人は共謀して昨年10月~今年1月、計3台のサーマクールを東京都豊島区などの3医療機関に販売・リースした疑いがある。田中容疑者は「サーマクールを販売・貸与したことは間違いない」と容疑を認めているという。
この3台は3医療機関とは無関係の医師名で輸入されていた。府警は同社が医師免許を勝手に使って申請したとみている。
サーマクールは棒状の先端部分を顔に当てて電磁波による刺激でコラーゲンを増やし、小じわやたるみを取るとされる。国内未承認で、医師免許のない業者が輸入し、販売・リースすることは禁止されている。医師は治療目的で個人輸入し使用できるが、販売・リースは禁止されている。
府警は3月、同社の関係先を家宅捜索し、サーマクール26台を押収。同法では販売・リースする目的での保管を禁じているが、府警はこうした目的で置いていたとみて捜査している。
同社が使用済みのサーマクールの部品を転売し、やけどや水ぶくれの被害が出ていたことが朝日新聞の報道で発覚。厚生労働省は使い回しされた部品を使わないよう呼びかけ、府警に刑事告発していた。
■「知らなかった」「監督不行き届き」 機器販売会社長
販売が禁じられている国内未承認の小じわ取り機「サーマクール」。先端部品の使い回しでやけどや水ぶくれの被害が明るみに出て、国の調査や警察の捜査が始まった。今回、機器本体の違法販売も明らかになったとして、大阪府警は医薬品医療機器法違反容疑で販売会社役員らの逮捕に踏み切った。「安く提供」「安全」。販売会社は医療機関に盛んに売り込んでいたという。
セイル社代表取締役の坂口時彦容疑者は2月上旬、朝日新聞の取材に応じた。主なやりとりは次の通り。
――販売目的で未承認の医療機器を保有していることは違法ではないか。
普通のやり方だと、医療機関から注文を受けてから、輸入して納入するまでに時間がかかる。このため、注文を予想して事前に輸入して保管していたケースがあったかもしれないが、私は知らなかった。ただ、このようなことがあったのは事実で不適切な対応だったので、厚生労働省に報告している。
――未承認の医療機器の販売は法律違反だとの認識はあったのか。
日本国内で未承認の医療機器の販売・リースはできないという認識はあった。私の監督不行き届きです。
――未承認の医療機器を輸入する際、医師の名前を勝手に使っていたのか。
怠慢だったとしか言いようがない。医師から委任を受けていると思い、うちの方で印鑑を用意して証明書を作っていたようだ。私は知らなかった。
――サーマクールの部品の使い回しで、やけどなどの健康被害が出ている。
点検と洗浄を行ったものは複数回使用できるはず。ただ、医療機関がどんな使い方をしているかは分からない。(医療機関での誤った使い方が)健康被害の原因にもなりうるのではないか。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
残念な事件です。
サーマクール自体が悪いのではありません。
素晴らしい機器です。
加齢を治す⑤
2013年8月1日の院長日記でご紹介しました。
私が開業する前に『先生、すごい機器がある』
…と私に紹介してくださったのが、
株式会社ジェイメックの創業者で、
初代社長の森下純一様でした。
札幌のご出身で、
私の父と同じ札幌工業高校の卒業生です。
とても優秀な方でした。
残念なことに2009年に肺がんでご逝去されました。
■ ■
森下社長は現社長の西村様と…
毎年、米国の学会に視察に行かれていました。
鋭い目で…
最先端の医療用レーザー機器を見つけられ、
日本に導入されました。
森下社長の一番のヒット商品は脱毛用レーザーです。
今でこそレーザー脱毛は当たり前ですが、
当時は形成外科の偉い先生が、
レーザーで毛が抜けるわけがない!
どうせ、すぐに生えてくる!
と言っていいました。
■ ■
森下社長が紹介してくださった、
すごい器械がサーマクールでした。
ほっぺに当てると、
中でぐりぐりぐりと作用するのがわかる…
そんなパワーで若返りさせる機器です。
サーマクールは魅力的な機械でしたが、
とても高価で…
しかも消耗品も超高価でした。
■ ■
保険診療でよいものを安く
…という札幌美容形成外科では買えませんでした。
たるみ治療機器の原理は、
電気やレーザーなどを皮膚表面から与えて
皮膚の内側にある組織を引き締めます。
私がよく患者さんに説明する例えです。
どんなに高価な服でも…
長年着ていると型くずれして伸びてしまいます。
新品の服の『ぱりっと感』はありません。
■ ■
伸びた服を仕立てなおすのが外科手術。
フェイスリフトや
皮膚切除をするたるみとり手術です。
効果はありますが、
時間がかかるし…
腫れも出ます。
お金もたくさんかかります。
■ ■
高周波(RF)
レーザー
超音波
さまざまな器械で『たるみ取り』が行われています。
正直に申し上げると、
『切る手術』が仕立て直しだとすると、
機器を使った治療は、
プレスやアイロンです。
化粧品では伸びないシワを…
ちょっとプレスして伸ばしてくれる程度とお考えください。
■ ■
今回の事件は、
医療機器販売という特殊な事情だから起きました。
海外から輸入した中古の医療機器販売は厄介です。
中古の携帯やタブレットはネットでも買えますが、
医療機器には制限があります。
医師が個人で輸入した高価な機器は、
たとえ無料でも譲渡することはできません。
施術を受ける側にとって、
安いサーマクールは魅力的ですが、
安いものには気をつけてください。
医学講座
梅毒、感染予防のポイント
朝日新聞に掲載された、
梅毒の記事の続きです。
<アピタル:ニュース・フォーカス・今さら聞けない+>に
2017年1月21日に掲載されました。
梅毒、感染予防のポイント
梅毒の感染者が増加しています。国立感染症研究所によると、昨年の感染者数は4千人を超えました。専門家は「決して過去の病気ではない」と注意を呼びかけていますが、どんなことを心がければよいのでしょうか。
梅毒は「梅毒トレポネーマ」という細菌による感染症です。感染者との性交渉などにより、性器や口などの皮膚や粘膜の小さな傷から細菌が侵入することで、感染します。
感染すると、約3週間で細菌が入り込んだ部位などに小さなしこりができますが、痛みはなく、放置しても多くは数週間で治まります。感染から約3カ月で細菌が全身に運ばれ、「バラ疹」と呼ばれる赤い斑点が現れたり、様々な部位に発疹ができたりするなど多彩な症状が出て、数年後にゴム腫ができ、さらに大動脈瘤(りゅう)やまひなどに進行するおそれもあります。
感染は血液検査で分かりますが、症状が消える時期があることが発見の遅れにつながります。感染者はエイズウイルス(HIV)感染の検査も勧められています。
梅毒が世界的に広がり始めたのは15世紀末で、コロンブスの米大陸到達が契機と考えられています。医学史にも詳しい日本大学医学部の早川智教授(性感染症学)は「地中海沿岸が起源とする説もあったが、近年の細菌の遺伝子研究で米大陸を起源とする説が有力になった」と話します。
日本には16世紀に入ってから伝わったとされ、江戸時代には庶民間でも流行していたとの記録が残ります。20世紀初頭に、原因菌の梅毒トレポネーマが突き止められます。その後に発見されたペニシリンに梅毒の治療効果が確認され、今も治療に使われています。
戦後間もない時期には年間10万人超の国内感染者が報告されましたが、治療薬の普及などで次第に減少。今世紀に入ってからは年間数百人程度で推移していました。しかし2011年から増え続け、昨年(2016年)は4518人(速報値)で、1974年以来42年ぶりに感染者が4千人を超えました。
感染研の大西真・細菌第一部長は「2010年ごろから男性の同性間で増加がみられてきたが、最近は異性間が目立ち、増加が加速している」と指摘します。
顕著なのは若い女性での感染の広がりです。2015年の感染者を年代別にみると、男性の感染者は各年代で偏りがないのに対し、女性は20代以下が6割を占めます。性産業に従事する若い女性やその客となる男性の間で感染が広がっている可能性が推測されます。
どう防げばよいでしょうか。まず不特定多数との性交渉など感染リスクが高い行動を避けるのが大前提。その上で、早川さんは「リスクを減らすにはコンドームを使うべきだが、100%防げるわけではない。キスで感染したという報告もある」と話します。増加の一因として、「低用量ピルが一般化したことで、コンドームをつけない性交渉が増えているのではないか」との見方も示します。
妊婦が感染していると、胎児への影響も懸念されます。流産や死産、誕生後の耳や肝臓の障害など先天梅毒のおそれがあります。妊娠初期の検査で感染がわかれば、治療で胎児への影響は防げます。ただその後に感染するおそれもあり、早川さんは「パートナーが妊娠中だからとコンドームを使わない性交渉で感染することもあり得る」と指摘します。
また感染リスクの高い行動を取っていなくても、配偶者や恋人が不特定多数と性交渉を持つなどし、知らないうちにリスクにさらされていることもあります。大西さんは「症状がなくても高リスクの行動を取った人は、パートナーのためにもすぐに検査を受けてほしい」と呼びかけています。
■記者のひとこと
性感染症の怖さは、知らないうちに大切な人にうつしてしまうことです。梅毒と言われても、世代によってはぴんと来ないかもしれませんが、若い女性の場合は母子感染も心配です。関係ないと思わず、知っておくことも大切な人や自分を守る一歩で、感染拡大を防ぐことにつながります。
(川村剛志)
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
コロンブスの昔から、
江戸時代から花魁おいらんに代表される
遊女たちが苦しめられた病気に、
2017年の現在も苦しんでいる人がいます。
性欲という、
江戸時代から変わらない人間の欲望のためです。
情報が発達した現在でも、
知らない人が多すぎます。
■ ■
朝日新聞記者の川村剛志さんが書かれているように、
知らないうちに大切な人にうつしてしまうことが大問題です。
男性は、
悪い友だちに誘われて、
風俗に行きます。
最初から一人で行く人はいないと思います。
私も天国みたいなところ
…と誘われたことがあります。
行って地獄に落ちなくてよかったです。
感染予防のポイントは、
危険なところに行かないことです。
医学講座
「昔の病気」ではない梅毒 今は若い男性で増加
今日は朝日新聞WEB版(2017年9月15日)
健康ガイド 弘前大学企画の記事をご紹介いたします。
「昔の病気」ではない梅毒 今は若い男性で増加
今回も性行為感染症(STD)の代表である「梅毒」についてお話しします。
梅毒というと「遊郭」が栄えた江戸時代に花魁(おいらん)に代表される遊女たちが苦しめられたということで有名な感染症です。感染経路は性行為以外ではめったになく、少量の唾液(だえき)といった飛沫(ひまつ)感染はまず考えにくいです。
血液感染は十分考えられ、昔に行われていた、不衛生な刺青の刺入(しにゅう)や注射の打ち回しでは感染があったと考えられます。梅毒の原因菌の保菌者と避妊具なしで性交すると、30~40%の確率で感染すると言われています。
梅毒の症状は4期に分かれています。
1期では、感染してから3週間後ぐらいに感染部位(性器、口、肛門(こうもん)など)の皮膚や粘膜に小豆大のしこり(軟骨の硬さ程度)ができます。その後、しこりの中心部が硬く盛り上がります。また太ももの付け根の部分(リンパ節)が腫れますが、これらの症状は放置しても数週間で消えます。
2期では、感染から3カ月後くらいにピンク色のあざや赤茶色の盛り上がったブツブツが、体の中心線にあたる部分を中心に顔や手足にできます。また、脱毛症も出現します。これらの症状は、数カ月から数年続きますが無治療でもまた自然に消えます。
3期では、感染して3年以上たってから結節性梅毒疹やゴム腫と呼ばれる大きめのしこりができます。
4期は末期的症状で心臓、血管、神経、目などに重い障害が出ます。
梅毒は現在でもペニシリンが非常によく効くので、そこまで悪くなる人は見られません。昔の人は、2期を超えて症状が治まると、「完治した」と勘違いしてしまいました。梅毒は「昔の性病」という印象ですが、近年、世界中で増加しています。
特に欧米では、男性同性愛者間を中心に広がっていることが報告されています。男性同士だとコンドームを使わないことが多いでしょうし、肛門や直腸に傷がつきやすく、そこから感染しやすいのです。
◇
国立感染症研究所の調査によると、2013年の国内での梅毒総報告数は1226例で、前年の875例と比べて1.4倍に増加しました。
性別では、男性が80.7%で、25~29歳の若い男性で最も多く見つかっています。女性でも20代が最も多いです。
感染経路は、男性では87.1%が性的接触と報告されています。その内訳は、「同性間接触」が50.2%、「異性間接触」が35.9%、「異性+同性間接触」が1.3%でした。女性では異性間接触が88.1%を占めています。
一般的な性行為は異性間が圧倒的に多いはずなのに、これだけ男性の同性間性的接触で梅毒が多いというのは、やはり日本でも男性同士の性行為が増えてきて、それが梅毒を増やしている大きな原因となっていると考えられます。
<アピタル:弘前大学企画・今こそ知りたい! 感染症の予防と治療>
(弘前大学大学院医学研究科臨床検査医学講座准教授 齋藤紀先)
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
若い男性にも梅毒が増えています。
同性間接触が増えているのか?
風俗でうつる人が増えているのか?
この記事だけではわかりません。
私は性病教育が大切だと思います。
すべての日本国民に、
性病の正しい知識を教えることが、
梅毒患者を根絶する道だと思います。
医学講座
梅毒感染、20代女性で急増
梅毒感染の続きです。
少し古いですが、
平成29年1月13日、朝日新聞の記事です。WEB版から引用しました。
梅毒感染、20代女性で急増 42年ぶり高水準
国立感染症研究所は2017年1月13日、昨年1年間の国内の梅毒感染者数が4518人(速報値)に上ったと発表した。4千人を超えたのは1974年以来、42年ぶり。大西真・細菌第一部長は「不特定多数との性行為などリスクの高い行動を取った人は、検査を受けてほしい」と呼びかけている。
梅毒は主に性行為で広がる細菌性の感染症で、性器や唇にしこり、ただれが起き、進行すると全身に赤い発疹ができる。感染者は戦後まもない時期は年10万人を超えていたが、治療薬の普及などで減少。2012年までの20年間は1千人未満と落ち着いていたが、2013年以降、急増している。
昨年の患者を都道府県別でみると、東京1661人、大阪583人、神奈川284人、愛知255人、埼玉190人、兵庫181人、千葉139人、北海道117人、福岡107人などと都市部で多い。
全体の約7割を占める男性は各年齢層から偏り少なく報告されているが、女性は20代が女性全体の5割超を占め、感染増加が目立つ。男性の同性間の性的接触による感染だけでなく、近年は異性間での感染も広がり、患者増加に拍車がかかっているとみられるが、原因ははっきりしない。妊婦が感染していると死産・流産のほか、胎盤を通して赤ちゃんが感染し障害や病気を持つ危険がある。川村剛志
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
2016年一年間に届けられた梅毒患者数です。
梅毒は法律で届出る義務がある病気です。
私は無届けの梅毒患者もいると思います。
梅毒は保険診療で治療してもらえます。
梅毒患者を増やさないためです。
残念なのは、
女性は20代が女性全体の5割超を占め、
感染増加が目立つ。
…という事実です。
■ ■
一説によると、
性風俗産業で働く女性が、
海外からのお客さんから、
うつされることがあるそうです。
アジア圏のある国は、
人口あたりの梅毒患者数が、
日本の何倍もいるそうです。
■ ■
日本に買い物に来た旅行者が、
夜に、
女性を買うこともあるようです。
梅毒に感染した20代女性の大部分は、
梅毒?
なに、それ?
おそらく何の知識も持っていなかったと思います。
性病教育が大切だと思います。
■ ■
私が札幌西高校の生徒だった50年前、
梅毒ばいどく
硬性下疳こうせいげかん
…という言葉を、
保健体育の時間に、
齋藤佳彦先生から習いました。
残念ながら、
ただ言葉を覚えただけでした。
■ ■
おくてだったけんいち少年は、
どういうことをしてうつるのかも?
まったく知りませんでした。
高校生の時は、
受験勉強ひとすじでした。
発生とか生殖といえば、
メンデルの法則で、
エンドウ豆の花の色がどうのこうの…
それだけで精一杯でした。
63歳の私は子供たちに正確な情報を、
正しく伝える必要性を強く感じています。
院長の休日
札幌駅新幹線地下ホーム検討
平成29年9月23日、北海道新聞朝刊の記事です。
札幌駅新幹線ホーム、地下案検討 「現駅」「東側」難航
2030年度の北海道新幹線延伸に向けた札幌駅のホーム位置問題で、建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構とJR北海道が地下にホームを造る「地下案」で検討に入ることが9月22日、分かった。JRが主張していた「東側案」は在来線への乗り換えなど利便性がネックとなり、現在は機構が推す「現駅案」を優先的に検討していたが、在来線への影響が大きく、協議が長期化。結論をこれ以上先送りすれば、工期を確保できず、開業に間に合わないことから、第3の案として「地下案」での調整を進める見通し。
複数の関係者が明らかにした。機構とJRは近く、道と札幌市に協議の状況を説明する。機構、JR、道、札幌市の4者は昨年10月の協議で「現駅案」「東側案」に絞り込み、道と札幌市が機構とJRに結論を委ねていた。
機構とJRは、現駅案でネックとなっている在来線への影響を緩和するため、桑園駅周辺などへの引き込み線設置を検討したが、高架橋の大規模改修など難工事になることが判明。一方の東側案は、利用客の利便性に難があることに加え、現駅案の倍はかかるとされる建設費の高さも障害となり、決め手に欠いている。
2案に絞った協議が膠着(こうちゃく)状態に陥る中、第3の案として浮上したのが地下案。新幹線がトンネルに入る小樽市朝里川温泉付近から一度も地上に出ることなく札幌駅に直結するため、在来線への影響も避けられる。ホームは地下鉄の下に配置する設計になる見通しで、在来線や地下鉄への乗り換えなどの面で東側案よりも利便性は高い。
ただ、建設費がどの程度膨らむかは不透明なうえ、現時点で地上ホーム案しか想定していない札幌市のまちづくりにも影響しかねない懸念がある。
現在の計画では、札幌―新小樽(仮称)間に設けられる「札樽トンネル」(約26キロ)の札幌市側の出入り口となる中央区北6西10で新幹線が地上に出て、高架の約1キロを走行し、札幌駅のホームに入ることになっていた。
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
私は地下ホームがいいと思います。
2017年9月7日に開催された、
住民説明会でも、
高架にしないで、
そのまま地下にホームをつくるといいのに、、、
…と何人もの人が言ってました。
一番問題なのが、
雪対策です。
■ ■
本州に住んでいる人にはわからないと思います。
札幌の交通機関で、
一番頼りになるのが、
地下鉄です。
人身事故でもない限り、
どんなに大雪の日でも遅れません。
昔、JR北海道が、
冬こそJR
…というTV-CMを流していたことがありました。
近年は冬に弱いJR北海道なのでそのCMは消えました。
■ ■
私が新幹線_住民説明会2017
…で書いたように、
急こう配の新幹線が問題になります。
雪でスリップします。
大雪が降ったら、
新幹線が急こう配を上がれなくなります。
札幌駅の新幹線ホームは、
地下がいいと思います。
医学講座
25歳女性。外陰部の結節
日経メディカル電子版(2017/9/21)という、
お医者さん向け情報サイトに掲載されていたクイズです。
ちょっと衝撃的ですが、
病気の予防のために、
写真を引用して掲載します。
誰でも罹患する可能性があります。
若い女性に限らず、
くれぐれも気をつけてください。
■ ■
連載:日経メディクイズ●皮膚(デジタル版)
25歳女性。外陰部の結節
■患者背景
当院初診の1カ月前から外陰部に結節を認めた。近医で処方されたイミキモドクリームを外用したが、改善を認めず当院を受診した。診察では、手掌や足底に皮疹はなく、外陰部周囲に小指頭大~母指頭大の表面にびらんを伴う結節を複数認めた(写真)。
最も考えられる疾患は?
(1)尖圭コンジローマ
(2)梅毒
(3)脂漏性角化症
(4)肛門部有棘細胞癌
■解答→(2)梅毒
■出題と解説
伊藤祐太、中川秀己(東京慈恵会医科大学皮膚科)
■解説
本症例は若年女性に生じた梅毒である。梅毒は梅毒トレポネーマにより引き起こされ、主に性行為で伝播する感染症である。感染後約2~6週間の潜伏期間を経て、経時的に臨床症状が出現する。1期梅毒では感染から約3週間後に梅毒トレポネーマが侵入した部位に硬結や潰瘍が形成される。その後4~10週間の潜伏期を経て2期梅毒へ進行し、手掌、足底を含む全身の皮疹、粘膜疹、扁平コンジローマ(写真)が出現する。
扁平コンジローマは、肛囲、外陰部などの間擦部で見られる湿潤した扁平隆起性丘疹である。尖圭コンジローマは鶏冠様の小丘疹が見られ、脂漏性角化症は褐色~黒褐色の扁平丘疹が顔面や体幹に出現する。また有棘細胞癌は主に露光部に小丘疹や結節を呈する。本症例は視診上、表面に湿潤を伴う扁平隆起性丘疹であるため、扁平コンジローマを鑑別疾患の第一に挙げる。
診断には血清学的診断が用いられ、感染後は初めにカルジオリピンに対する抗体価が上昇(STS法)、次いでトレポネーマに対する特異的抗体価が上昇する(TPHA法)。感染症法に基づき、診断後7日以内の各都道府県知事への届け出が義務付けられている。
治療はアモキシシリン250mg 6錠(分3)を4週間内服する。本症例では内服開始後2週間で皮疹は平坦化、内服開始から1カ月で皮疹は消退した。内服開始後に発熱や皮疹などが生じる(Jarisch-Herxheimer反応)ことがあるため、治療開始前に患者本人へ説明しておく。治療時に過去と現在の性的接触相手の検査を勧めることも重要である。
梅毒は近年、世界的に流行している。海外ではベンザチンペニシリンGの筋肉内注射単回投与が一般的だが、日本では未承認のため使用できない。国立感染症研究所の報告では、日本国内で1999~2012年は500~900例/年で推移してきたが、2013年には1200例/年を超え、増加傾向にある。従来、感染経路は男性の同性間性的接触が多数を占めていたため、MSM(Men who have sex with men)間で梅毒が流行していると推定されたが、現在は男女とも異性間性的接触の報告が増加しており、伝播の様相が変化している可能性がある1)。年齢分布は男性では幅広い年齢層に見られるが、女性では本症例のように20歳代の症例が増加している。
予防では、梅毒感染者との性行為や疑似性行為の回避が大切である。また、オーラルセックスやアナルセックスで性器以外の粘膜や傷がある皮膚からも感染するため完全な予防にはならないが、コンドームの使用には一定の予防効果が示唆されている。
POINT
若年女性の外陰部病変を見た場合には、必ず梅毒を鑑別に挙げる。
[参考文献]
1)荒川創一ら性感染症の最近の動向臨床と研究 93:1157-67.2016.
(以上、日経メディカル(デジタル版)より引用)
■ ■
私はこのクイズに正解しました。
実際に梅毒の患者さんは見たことはありません。
患者さんは、
ペニシリン系抗生剤を4週間内服し、
症状はよくなりました。
でも血液検査をすると、
梅毒血清反応が一生陽性となります。
消せないキズあとが、
死ぬまで自分の血の中に残ります。
■ ■
2017年1月の国立感染症研究所の集計では、
2016年の梅毒患者数が4518人に上っています。
4千人を超えたのは1974年以来のことです。
特に20代女性の感染が増加しています。
厚生労働省は
「不特定多数との性交渉など感染の可能性がある人は早期に検査を」と呼び掛けています。
性風俗産業で働く若い女性が危険です。
■ ■
私が風俗に行かない理由です。
札幌医大の学生だった20代のころに、
細菌学の講義で、
梅毒のことを習いました。
(私が医学生だった30年前には…
HIVもエイズもありませんでした)
講師の永井先生が、
講義で梅毒の末期だという…
女性の写真を見せてくれました。
この女性は…
すすきので女王と呼ばれた人です。
■ ■
その写真が衝撃的だったのは…
交通事故の写真以上でした。
風俗へ行った同級生は、
講義の後で必死で教科書を調べて…
赤線を引いて心配していました。
ちょっと皮膚に発疹が出ると
これはバラ疹(ばらしん)ではないか…?
…と心配していました。
もしこの写真を見ていなかったら…
誘われて風俗へ行ったかもしれません。
■ ■
性感染症を専門にしている先生に伺うと…
風俗よりも怖いのが素人。
風俗産業は、
大切な従業員が性感染症になると…
商売ができなくなるので、
感染予防にも熱心だそうです。
最近は激安店もできて、
風俗産業も大変なんだそうです。
自分だけはうつらない
…と信じて疑わない素人さんが、
実は一番危険なんだそうです。
中学生や高校生に…
衝撃写真を見せて教育するのが、
HIVやエイズ予防に効果的だと思います。
今日の写真が梅毒の予防に役立つことを願っています。