医学講座
指差確認(しさかくにん)
昨日の院長日記、
予備校生活で「学び」を知った
朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
東京都の高校教員、松田章正先生(30)が、
ご自身の浪人生活について書かれています。
社会的には無職。
不安だった。
私も不安でした。
■ ■
どんなに勉強をしても、
必ず♡合格♡という保証はありません。
勉強すればするほど、
不安も増しました。
医師国家試験などの資格試験と違い、
入学試験は、
定員が決まっています。
必ず落ちる人がいます。
■ ■
注意一秒、ケガ一年
指差確認しさかくにん
私が浪人時代に、
机の前に書いて貼った紙です。
指差確認は、
国鉄の駅に書いてあったのでまねしました。
試験でミスをしないように、
答案用紙を指で確認しました。
よしという声は出しません。
■ ■
日本民営鉄道協会HPによると、
指差確認しさかくにん
ホームにいる駅務員が電車が入ってくる前と発車した後、線路上を指差している場面を見かけます。
これが「指差(しさ)確認」というもので、安全確認の基本原則の1つといえます。
例えば車掌は「反応灯ヨォーシ!」、「乗降ヨォーシ!」など、
運転席でも「出発進行!」などと指で差し示し、
発声しながら安全を確認します。
そのうえで行動や動作に移ります。念には念を入れて安全を確かめることを、民鉄では駅務、乗務、または鉄道施設の保守・管理を担当する者に徹底的に訓練し、身につけさせています。(以上、日本民営鉄道協会HPより引用)
■ ■
答案用紙を出す直前まで、
確認をします。
一浪して受けた札幌医大の数学で、
最後に間違いに気付きました。
同じく一浪して受けた、
自治医大の数学でも、
最後に解答がひらめきました。
指差確認のおかげです。
■ ■
62歳になった今でも、
この確認するという作業は役立っています。
安全な医療には、
確認が必須です。
必ず確認しています。
浪人時代にきたえた、
決してあきらめない、
最後までがんばる、
62歳になっても役立っています。
受験生を応援しています。
恥ずかしながら、
今日まで指差確認はゆびさしかくにんだと思っていました。
昔の記憶
予備校生活で「学び」を知った
平成29年2月12日、朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
予備校生活で「学び」を知った
高校教員 松田章正(東京都 30)
大学受験の季節だ。私自身は、全敗して浪人生活となった。社会的には無職。不安だった。
闇を切り開いてくれたのが予備校の先生方だった。医学部卒業後に文学部に入り直した古文の先生。外務省の研究所出身の世界史の先生。何時間でも作文を添削してくれた英語の先生。恩師たちの熱意を通して、小手先の受験勉強ではなく、「学び」そのものを教わった。
「求めよ、さらば与えられん」という言葉を実感した1年だった。結果、第1志望に合格。卒業後も自身の「学び」を続けたくて、「学び」を伝えたくて、高校教師になった。受験生の皆さん、自分に素直に、出来ることを着実にこなして下さい。そして、あなたを支えてくれている家族への感謝を忘れないで下さい。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
今日(2017年2月12日)は、
第111回医師国家試験の2日目です。
厚生労働省HPによると、
医師法(昭和23年法律第201号)第10条の規定により、
平成29年2月11日(土曜日)、12日(日曜日)及び13日(月曜日)
北海道、宮城県、東京都、新潟県、愛知県、石川県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、熊本県及び沖縄県で実施されています。
臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して、
医師として具有すべき知識及び技能
…をペーパーテストで試験をします。
技能の実技試験はありません。
■ ■
来週(2017年2月19日)は、
第106回看護師国家試験です。
第52回理学療法士国家試験は、
(1)筆記試験平成29年2月26日(日曜日)
(2)口述試験及び実技試験平成29年2月27日(月曜日)
理学療法士と作業療法士は、
重度視力障害者に対して、
筆記試験の実地問題に代えて
口述試験と実技試験があります。
■ ■
私が医師になれたのは、
予備校のおかげです。
生物の矢野雋輔やのしゅんすけ先生がいらしたおかげで、
私は医師になれました。
成績が低迷していた、
本間くんを、
合格レベルまで引き上げてくださいました。
矢野先生はご逝去されましたが、
ご恩は一生忘れません。
■ ■
声の欄への投稿者、
松田章正先生(東京都 30)のお言葉がいいです。
受験生の皆さん、
自分に素直に、
出来ることを着実にこなして下さい。
そして、
あなたを支えてくれている家族への感謝を忘れないで下さい。
私もその通りだと思います。
家族も応援しています。
大学受験の受験生も、
国家試験の受験生も体調に気をつけてください。
人生で一番ロマンチックな時期です。
医学講座
形成外科医専門医の仕事
きずを縫うのが上手そうだから、
形成外科専門医に手術をしてもらおう?
…とお考えの方がいます。
いい考えだと思います。
ただ、
形成外科専門医にもいろいろな先生がいます。
肩書きだけで選んではいけません。
■ ■
私は62歳の形成外科専門医です。
札幌美容形成外科を開業して12年です。
48歳で失業するまでは、
大学病院の形成外科や、
大きな病院の形成外科に勤務していました。
はっきり言って、
開業前と、
開業後では、
仕事の内容がまったく違います。
■ ■
大きな病院の形成外科で、
一番多い手術は皮膚良性腫瘍の手術です。
日本形成外科学会の統計でも数字に出ています。
残念ですが、
この院長日記を読んでくださる方が想像するより、
ずっと美容外科に関する手術は少ないです。
眼瞼下垂症手術も、
大きな病院で一年間にする手術件数は限られます。
■ ■
それじゃぁ~先生、
形成外科専門医の先生の仕事は何なの?
もっともな疑問です。
施設によって違いますが、
数として多いのは、
皮膚腫瘍の手術、
悪性腫瘍切除後の再建手術、
褥瘡じょくそうや、
足病などのきずの処置や管理です。
■ ■
大きな病院の形成外科で、
美容外科手術はまずありません。
まぶたのトラブル症例2017
…に書いた、
■トラブル1
幅広の平行二重を希望した患者さん、
片方の目だけ、
もうちょっと大きくしたいという希望でした。
こんな修正が得意な形成外科専門医はまれです。
■ ■
形成外科専門医は、
確かに一定レベルの技量があり、
一定レベル以上の知識はあります。
だから、
その先生が100%信用できるかというと?
残念ですが、
信じてもいい先生の指標にはなりません。
私は、
微妙な左右差は無理に修正しない主義です。
形成外科専門医の仕事は、
患者さんの要求に100%こたえることではありません。
期待はずれでしたらごめんなさい。
医学講座
実技試験の難しさ
形成外科専門医は信頼できるか?
2017年2月9日の院長日記です。
大部分の方が、
形成外科、
美容外科、
専門医には、
実技試験があると思われるようです。
実技試験はありません。
■ ■
私たちが医師免許を取得する時にも、
看護師免許を取得する時にも、
実技試験はありません。
もっと言うと、
医学部6年間の試験の中で、
実技試験らしい実技試験は一度もありません。
注射の仕方も、
採血の仕方も、
教えることはあっても、
実技試験はありません。
■ ■
現在の医師法や保健師看護師助産師法では、
免許取得前に、
針を刺すことは認められていません。
海外では、
賠償責任保険に入って、
医学生が縫合手術をする国もあるようです。
日本では、
医学生が縫合をすることはありません。
■ ■
専門医試験で実技があるのは、
私が知る限り麻酔科です。
日本麻酔学会では、
私が麻酔科研修をしていた頃から、
麻酔指導医に実技試験がありました。
ネットで調べると、
今は麻酔科専門医にも実技試験があるようです。
ブログに書いている先生もいらっしゃいます。
■ ■
形成外科や美容外科で、
実技試験をする難しさは、
患者さんがいなければ、
実技試験ができないことです。
◆大キャンペーン◆
◆実技試験のモニター大募集◆
◆無料・保証付◆
こんな広告を出しても応募者はいません。
■ ■
大学病院で修行中に手術を覚える時も、
実技試験はありません。
上の先生がやる手術を見て、
手術記録を書いて、
参考文献を読んで、
医局で上の先生に教えてもらって、
ようやく術者としてデビューできます。
最初は助手からです。
■ ■
真面目に働いていると、
上の先生から、
本間やってみろ
本間やってもいいよとOKが出て、
手術をやらせてもらえます。
私がJA帯広厚生病院形成外科部長だった時には、
下の先生に手術をやってもらいました。
■ ■
当然のことですが、
下の先生に手術をさせるということは、
もし下の先生が失敗したら…
私がなおさなくてはなりません。
私が全責任を持たなくてはなりません。
専門医試験も同じです。
試験官が全責任なんて無理です。
形成外科や美容外科手術には、
操縦のシュミレーターのようなものはありません。
将来も形成外科専門医実技試験は無理だと思います。
医学講座
形成外科専門医は信頼できるか?
まぶたのトラブル症例2017に、
くくるんさんからいただいたコメントです。
いやあ、、、
形成外科専門医にもひどい先生がいるのですね。
ビックリしました。
手術してくれた先生の言うことは、
なるべくきちんと聞いたほうがいいものですね。
そうなんです。
残念なことですが、
信じてはいけない形成外科専門医がいます。
■ ■
形成外科専門医試験は、
書類審査、
筆記試験、
口頭試問(面接)、
最後の口頭試問は、
毎年1月に東京であります。
残念なことですが、
人間性までは評価できません。
■ ■
35年も形成外科をやっていると、
同業の先生と友だちになれます。
私が仲良しの先生は、
みんないい先生です。
でも、
中には、
悪い先生もいます。
悪魔に魂を売ってしまった先生もいます。
■ ■
微妙な左右差は無理に修正しない
リスクの高い手術をすすめないのは、
腕のいい専門医の証拠です。
♡簡単にできます♡
…と言うのは簡単です。
でも実際にするのは、
眼瞼下垂症講座⑬【再手術】
…に書いたように、
形成外科専門医がした手術の修正の方が大変です。
■ ■
私が再手術をお引き受けする時には、
何度も、
再々手術になることもあります
…と説明してからしています。
幸い再々手術になることはまれですが、
再手術はふつうの手術の、
2倍以上時間がかかることもあります。
形成外科専門医は一つの資格です。
人間性まではわからないので気をつけてください。
相性のいい先生を見つけてください。
彼氏を見つけるのと同じです。
二重・眼瞼下垂
まぶたのトラブル症例2017
学会に参加して一番勉強になるのは、
トラブル症例です。
私たち形成外科医は、
白内障手術のトラブルを知りません。
トラブルになった患者さんを診ないからです。
眼科の先生に伺うと、
白内障手術でトラブルになることはあるそうです。
■ ■
第28回日本眼瞼義眼床手術学会で見た、
まぶたのトラブル症例です。
私たち美容形成外科医には、
それほど珍しいことではありません。
他院で手術を受けたのに、
まぶたが開かない、
下まぶたがあっかんべーになった、
よくあるトラブル症例です。
■ ■
■トラブル1
幅広の平行二重を希望した患者さん、
片方の目だけ、
もうちょっと大きくしたいという希望でした。
担当の先生は、
この程度だったら手術はおすすめしません。
…とご説明されました。
私もちょっとした左右差は、
手術で治すのは難しいとよく説明します。
■ ■
満足できなかった患者さんは、
他の形成外科専門医のところに行きました。
みごとに片目だけ、
超幅広の平行二重になりました。
担当の先生は、
これで仕上がりです
いい結果です
患者さんは泣きながら戻ってきました。
残念なことですが腕のいい先生でも簡単に治せません。
■ ■
■トラブル2
何度も美容外科手術を受けていらっしゃるご婦人、
美容外科ツアーで、
お隣の国、韓国に行かれました。
下まぶたのたるみとり手術を受けました。
がっつり『たるみ』を取った結果は、
下眼瞼外反症という、
あっかんべー目でした。
■ ■
日本に帰国後に受診、
そのままだと角膜障害を起こします。
手術を受けたのは韓国です。
このような患者さんが一番困ります。
美容外科手術後のトラブルには、
健康保険が使えません。
第三者行為による傷病は、
原因を作った第三者に支払い義務があります。
■ ■
あっかんべー目を治すのは難しいです。
はっきり言って、
アッカンベー目にしてしまった美容外科医には、
あっかんベー目を治す技量はありません。
結局、私たち形成外科医が治すことになります。
問題は健康保険が使えない場合です。
患者さんに支払能力がないこともあります。
美容外科のローン地獄で、
お財布には借金しかない人もいます。
こんなトラブルを起こさないために、
私はよく学会に参加して勉強しています。
医学講座
眼球内容除去術
今日も札幌は曇りです。
第68回さっぽろ雪まつりが開催されています。
観光客を街で見かけます。
たくさんの方が、
寒い北海道に来てくださっています。
第28回日本眼瞼義眼床手術学会(沼津)
で一番衝撃的だった内容です。
白内障手術の後に感染し、
眼球が感染性粉瘤のようになっていました。
■ ■
眼科の先生にお聞きすると、
5000人に一人くらいの割合で、
白内障手術後に感染を起こすことがあるそうです。
私の母親も、
家内の母親も、
白内障手術をしていただきました。
世の中が明るくなったと喜んでいました。
トラブルがなくてよかったです。
■ ■
感染した眼球をそのままにすると、
交感性眼炎といって、
反対側のいい方の目まで、
視力を失うことがあります。
緊急手術です。
眼球内容除去術をします。
眼球内容を除去する手術です。
■ ■
外傷後の眼球破裂で、
眼球内容除去は経験があります。
眼科の先生が担当です。
私でも、
白内障手術の後で感染し、
眼球内容除去ははじめて見ました。
衝撃的でした。
■ ■
もっと衝撃的だったことです。
眼球内容除去の後で、
適切な処置をしないと、
義眼を入れても不自然なまぶたになることがあります。
ネットで検索すると、
下の論文が見つかりました。
もし私が不幸にして白内障手術後に感染し、
眼科医から眼球内容除去術をすすめられたら、
先生、義眼を入れられるようにしてください。
お願いします。
…と眼科医にすべてを任せます。
医学講座
眼窩エピテーゼによる顔面再建
今日の札幌は曇りです。
今日から第68回さっぽろ雪まつりです。
第28回日本眼瞼義眼床手術学会(沼津)
で勉強したことの続きです。
目やまぶたに、
悪性腫瘍ができることがあります。
医学が進歩しても、
眼球を摘出したり、
まぶたも眼球も摘出したりする手術が必要なことがあります。
■ ■
目が入っている部分を眼窩がんかと言います。
手術で眼球だけではなく、
まぶたや眼窩の組織も摘出することがあります。
そうすると、
目の部分に大きな穴ができます。
この穴の部分を再建して、
元と同じ顔にするのはとても難しいです。
■ ■
眼窩エピテーゼというものがあります。
人工的に作った顔の一部を、
欠損になった部分につけて、
少しでも正常に近く見せる技術です。
彫刻のようなものです。
とても精巧にできています。
これが保険適応でできるそうです。
療養費払いなので、
一度立替える必要がありますが、
保険適応だそうです。
私も知りませんでした。
■ ■
ランチョンセミナーでお聞きした内容です。
眼窩エピテーゼによる顔面再建
百合草健圭志ゆりくさ たかし先生(静岡県立静岡がんセンター口腔外科部長)
悪性腫瘍切除後に生じる顎顔面欠損に対する顎顔面再建は、機能面だけでなく、患者の社会性の回復にも重要な役割を果たしている。顎顔面領域の術後に生じる顎顔面欠損には、遊離皮弁移植などの生体再建や顎顔面補綴 (エピテーゼ) を用いる再建が行われる。特に広範囲な顎顔面欠損に対しては、エピテーゼによる顎顔面補綴再建が有用な場合も多い。本セミナーでは眼窩エピテーゼによる再建について症例を提示する。
眼球摘出後の眼窩エピテーゼは医療保険における治療用装具として療養費の支給対象となっており、自治体等の公的助成の対象となる。しかし、認知度が低く患者だけでなく医療従事者にも十分に周知されていない。本セミナーをきっかけとして、医療者側から患者側に十分な情報提供を行い、顎顔面再建の一選択肢として広く認識されることが望まれる。
■ 略 歴 ■
百合草健圭志(ゆりくさ たかし)
<現 職>
静岡県立静岡がんセンター 歯科口腔外科 部長
歯学博士
日本がん口腔支持療法学会副理事長
厚生労働省委託事業がん診療医科歯科連携推進協議会委員
<学歴・職歴等>
2002年3月 北海道大学歯学部歯学科卒業
2006年3月 北海道大学大学院 歯学研究科修了(歯学博士)
2006年4月 静岡県立静岡がんセンター 歯科医師レジデント
2009年4月 同歯科口腔外科 副医長
2013年9月 同 医長
2014年4月 同 部長(現在に至る)
医学講座
第28回日本眼瞼義眼床手術学会(沼津)②
沼津は天気もよく、
とてもいいところでした。
富士山が見えました。
札幌に帰ってきました。寒いです。
第28回日本眼瞼義眼床手術学会で一番感動したのが、
特別講演でした。
静岡市で羅眼科ら眼科を開業していらっしゃる、
羅 錦營(ら きんえい)先生です。
私より年上の先生です。
■ ■
羅ら先生は九州大学医学部をご卒業。
帝京大学医学部の丸尾敏夫先生のもとで、
眼科学を習得されました。
1978年から2004年まで、
静岡県立こども病院で、
小児眼科の治療をされ、
2004年に静岡駅前で開業されました。
開業医なのに、
小児の手術を全身麻酔でなさっています。
■ ■
羅先生のすごいところは、
最新の設備、
最新の治療、
最高の治療
…を総合病院の眼科ではなく、
個人の診療所でなさっているところです。
私などくらべものにならないくらい、
すごい先生です。
■ ■
小さな子供さんなのに、
目に悪性腫瘍ができてしまうことがあります。
網膜芽細胞腫もうまくがさいぼうしゅという病気です。
かわいそうですが、
この病気の子供さんは、
眼球を摘出する手術が必要です。
両眼とも摘出手術になる子供さんもいます。
命を救うためです。
■ ■
眼球を摘出した後は、
義眼を入れます。
ちゃんと、
上手に、
義眼を入れると、
ちょっと見ただけではわかりません。
問題なのは、
義眼が入るスペースがなくなることです。
■ ■
眼球摘出手術をした後の処置が大変です。
義眼が入っても、
まぶたが陥凹していたり、
義眼が入るスペースがないと、
不自然な目に見えます。
見た目の問題ですが、
これがとても難しいのです。
美容外科ではできません。
■ ■
羅先生は、
独自の方法で、
とてもきれいな目を作られます。
正確に言うと、
きれいな目になる土台を作られます。
学会の抄録は難しすぎてわかりませんが、
もし、
眼球を摘出することになったら、
静岡の
羅眼科ら眼科です。
■ ■
特別講演の抄録です。
特別講演
小児眼科診療40年-
眼内悪性腫瘍に対する可動性義眼台の開発と長期予後
○羅 錦營
ら(羅)眼科 院長、帝京大学 医療技術学部(前 静岡県こども病院 眼科科長)
小児眼科診療の5大疾患は弱視、斜視、先天異常、未熟児網膜症及び腫瘍などである。
義眼の使用は先天異常の小眼球症、無眼球症、顔面裂、前眼ぶどう腫症などが適応である。
腫瘍は嚢胞性の良性腫瘍が多く見られる。悪性腫瘍は原発と転移または二次がんがあり、乳児早期に発症する網膜芽細胞腫が一番多い。
2015年日眼の網膜芽細胞腫の診療ガイドラインによると眼球摘出術は標準治療である。
【羅式可動性義眼台の開発経緯】
2000年のDobelle eye (脳の視覚野を電極アレイで刺激するタイプの人工視覚システム) の発表後、両眼摘出後の人工視覚の獲得を強く希望する患児の家族に動かされ、9方向の可動性義眼台の開発に着手した。
下斜筋と上斜筋の使用は必要である。
網膜芽細胞腫の摘出後の術中挿入として2002年より2014年までに両眼性4例、片眼性7例計12眼に対して挿入術を行った。男児6眼、女児6眼では右2眼、左10眼であった。手術時年齢は4ヶ月から8歳まで、経過観察期間は10年以上4眼、5年以上5眼、4年以上2眼、2年1眼であった。
義眼台挿入術はsnare techniqueで顕微鏡下摘出後に、2種類の素材を使用する。術中で摘出眼の大きさに対応して作製し、レジン球を16mm幅のシリコンタイヤ、バンドなどで包埋し、22~24mm×20mm大の義眼台を術中に作成したあとに、上下斜筋、内外直筋、上下直筋の順に計6筋縫合し、挿入術を行った。
術後の開瞼、閉瞼状態と各方向の眼球運動が得られた。義眼台の素材は従来用いられてきたもので、眼窩内の組織順応性と可動性は特に問題が見られない。また、術後感染及び脱出は見られない。術後のCTまたはMRI画像では4直筋2斜筋の眼窩内の走行、残存視神経断端及び義眼台の固定状態を確認できた。
義眼と義眼台の開発は急速に進歩する人工視覚の空間定位に役に立つものである。
■ 略歴 ■
羅 錦營(ら きんえい)
1976年 九州大学医学部卒業(アメリカECFMG、台湾医師免許、日本医師免許)
1978年 静岡県立こども病院眼科科長(2004年まで)
1985年 帝京大学医学部非常勤講師(2008年まで)
2004年 静岡市 ら(羅)眼科 院長
2008年 帝京大学医療技術学部非常勤講師
1981年 第1回日本弱視斜視学会賞受賞
1993年 日本小児眼科学会理事 現職
2016年 日本弱視斜視学会名誉会員
1997年 第22回日本小児眼科学会総会長
2001年 第57回日本弱視斜視学会総会長
医学講座
第28回日本眼瞼義眼床手術学会(沼津)①
第28回日本眼瞼義眼床手術学会に参加するため、
昨日、沼津に来ました。
沼津ははじめてです。
羽田まで飛行機できて、
JRの在来線(快速)で来ました。
新幹線という手もありましたが、
時間があったので在来線にしました。
■ ■
Suicaで乗ってきたのですが、
沼津駅で降りると、
なんと、
Suicaでは改札を通過できませんでした。
有人窓口に行って、
駅員さんに処理をしてもらいました。
そういえば、
熱海で快速を降りて乗り換えました。
■ ■
沼津駅の改札機には、
見慣れたSuicaのマークではなく、
見慣れないTOICAのマークがついてました。
そうだ、
JR東海だったんだ!
…とはじめて気づきました。
北海道から来た田舎者には、
JR東日本とJR東海の境がわかりませんでした。
■ ■
駅員さんにSuicaの処理をしていただき、
無事に沼津駅で降りました。
学会会場は沼津コンベンションセンター
新しい立派な施設です。
学会長は柏木広哉先生(県立静岡がんセンター眼科)
眼科と形成外科が毎年交替で会長をしています。
今年は眼科の柏木先生が会長です。
形成外科だけでは見ることがない、
たくさんの疾患を勉強しました。
■ ■
午前中は眼瞼悪性腫瘍や、
手術後の再建について勉強をしました。
北大形成外科の時にも、
眼瞼の脂腺癌を治療しました。
開業してからは、
眼瞼の癌を見ることはまれです。
眼瞼下垂症手術はたくさんしていますが、
悪性腫瘍ができた患者さんはいません。
■ ■
まぶたにできた癌を見落としたら大変です。
今日の学会では、
まぶたにできる悪性腫瘍をたくさん見ました。
小さなできものでも、
もしガンだったら大変です。
見落とすと、
患者さんの命にかかわります。
ちょっと診ただけだと、
癌を見落とす可能性もあります。
■ ■
学会に参加して勉強するのは、
自分の知識を常に最新のものに、
バージョンパップするためです。
特にこの学会は、
半分以上は眼科の先生です。
がんセンターや、
大学病院で、
最先端の治療をしている先生たちです。
活発な討論が自由にできます。
偉い先生と友だちになることもできます。
眼瞼の手術が好きな先生が集まっています。
とても勉強になりました。
続きは明日書きます。