医学講座
ISAPSシンポジウム2013
今日は朝から夕方まで一日中英語でした。
ようやく札幌に帰ってきました。
寒いです。
発表してくださったのは、
オーストラリア、
カナダ、
フランス、
シンガポール、
台湾、
韓国の先生です。
■ ■
英語を母国語としている、
オーストラリアとカナダの先生以外も、
流暢な英語で発表されました。
台湾や韓国の先生も、
自由に英語で話していました。
英語は大切です。
■ ■
日本人の発表は残念なことに…
ありませんでした。
目に関係する発表です。
一日発表を聞いた感想。
日本の技術はすごい。
今日の発表で、
手術用顕微鏡を使っている先生はゼロでした。
■ ■
手術の動画を見て感じたのは、
白人はずいぶん雑に手術をしても(失礼!)
きれいに治るものだなぁ~でした。
日本の手術は丁寧です。
今日の手術で、
上手でおすすめだったのは、
台湾の楊長千先生です。
難しい修正を上手になさっていらっしゃいました。
■ ■
海外でも…
眼瞼下垂症手術で左右差がでたり…
目が閉じなくなってしまって、
修正手術をしている人がいました。
上手な先生が手術をしても、
微妙な左右差が出ていて、
修正手術をしていました。
ある先生は27%の人が
再手術になっていると発表されていました。
使う糸についても議論がありました。
日本の技術は一流だとよくわかった一日でした。
医学講座
第36回日本美容外科学会②
今日で2日間の学会が終了しました。
学会は3会場に分かれており、
すべての演題を聴くことはできません。
会場の東京国際フォーラムは広く、
エスカレーターで会場を行き来するのも大変でした。
立派な会場で有意義な学会でした。
■ ■
昨夜の懇親会で、
理事長の保阪善昭先生が、
東京国際フォーラムで学会を開催したいと思っていましたが、
なかなか取るのが難しく、
会場費も高いので実現できなかったと話されていました。
東京駅と地下でつながっていて、
便利で立派な会場でした。
■ ■
私が主に聴いたのは、
目に関係がある発表でした。
日本だけではなく、
台湾でも韓国でも、
修正手術が必要な目があります。
昨日のインターナショナルパネル2
Eyelid Plasty for Oriental Population
では、台湾のDavid Dae-Hwan Park先生の発表が印象的でした。
■ ■
台湾で目修正をたくさんなさっていらっしゃいます。
二重手術、
眼瞼下垂症手術で、
左右差が出た。
修正手術が必要になったという例を、
たくさん見せてくださいました。
■ ■
今日のシンポジウム3
困難な症例とその対処では、
こまちクリニックの土井秀明先生が、
広すぎる重瞼線の修正希望に対する対応を発表されました。
修正困難な症例を、
苦労して治していらっしゃいました。
どこの国でもみんな苦労しているなぁ。
下手な先生はどこの国にもいるなぁ~
…というのが正直な感想です。
明日も国際学会のシンポジウムがあります。
一日中英語です。
医学講座
第36回日本美容外科学会①
今日から東京で日本美容外科学会です。
朝から参加しています。
修正の名手と評判の大竹先生が会長です。
海外からもたくさんの先生が招待されています。
外国でも不満足な結果で悩んでいる人がたくさんいます。
■ ■
今日の学会を聞いて感じたこと。
英語は大切です。
同時通訳がついている講演もありますが、
演者がちょっと話したことも…
すぐにわかります。
(この患者さん)
(鼻が詰まっているので)
口が開いていますね。
写真の女性の口が少し開いてました。
■ ■
米国からいらしてくださった、
テキサスのGunter先生の講演です。
鼻の手術をした後で、
鼻の通りが悪くなった女性の手術でした。
米国では…
鼻を高くするというより、
鼻の形を整える手術が多いのです。
その手術後に鼻が詰まったり、
鼻が変形してしまう症状です。
■ ■
米国で鼻修正の名手がGunter先生です。
日本では、
聖路加国際病院の大竹尚之先生が、
鼻修正の名手です。
私はNHKの杉田敏先生の、
ビジネス英語のおかげで、
同時通訳レシーバー無しです。
若い人にNHKの英語会話をおすすめします。
昔の記憶
台風26号(2013)
台風26号が首都圏を直撃しています。
今朝の羽田空港。
午前中は欠航です。
明日から第36回日本美容外科学会です。
私は今晩上京します。
欠航になれば明日行きます。
■ ■
最近は台風情報があると…
まず山形を見ます。
さくらんぼさんの果樹園が心配です。
リンゴやラフランスの収穫時期です。
せっかく丹精込めた果物が…
台風の被害にあわないか心配です。
■ ■
自然はこわいです。
北海道にはめったに台風が来ません。
たまに来ると…
被害が大きくなります。
台風の怖さ
…という2009年10月8日の院長日記に書いてあります。
■ ■
2004年には北大のポプラ並木が倒れました。
道庁の木も倒れました。
台風で欠航になると…
航空会社は減益。
果樹園は果物を収穫できないと大打撃です。
どうか台風26号で被害が出ないことを祈っています。
飛行機はかなり揺れて遅れましたが、無事に東京に着きました。
ご心配いただきありがとうございました。
昔の記憶
今日は講義2013
一年に一度、毎年秋に…
講義に出かけています。
理学療法士と、
作業療法士の学生さんです。
約40人のクラスです。
はじめて講義をしたのは、
釧路労災病院の看護学校でした。
■ ■
医学部でも形成外科の講義がない大学があります。
大学の看護学部でも…
形成外科の講義はありません。
30年前から、
形成外科を教えていた看護学校はすごいと思います。
傷の治りや、
熱傷、褥瘡の講義をしています。
■ ■
私が講義に行く目的は、
若い人への私からのメッセージです。
『形成外科ってすげー』
…という感動を伝えたいと思っています。
私が人生で一番影響を受けたのが、
予備校で教わった矢野雋輔先生です。
少しでも矢野先生のように、
若者の心に残る講義をしたいと思っています。
■ ■
講義中の居眠り
講義中の居眠り②
私の講義風景
苦労して教えています
などに書いてあります。
教えるのも大変です。
今年で最後と思いながら10年以上続けています。
若い人へ自分の思いを伝えるためです。
嬉しいことに今日の90分の講義で居眠りはゼロでした。
医療問題
大病院に長く入院できない理由
私が医師になった30年以上前と、
今の診療報酬は大きく違います。
一番違うのが入院基本料です。
昔は大きな病院でも、
長く入院させてくれました。
今はせいぜい14日です。
理由は14日を過ぎると入院基本料が下がるからです。
■ ■
看護基準という、
2007年12月10日の院長日記に書いてあります。
病棟に勤務する看護師さんの数によって、病院のランク付けがされています。
患者さん一人当たりに対して、看護師さんの数が多いほど‘良い病院’と判断されます。
厚生労働省が決めた看護基準です。
2006年3月6日に出された、厚生労働省告示第93号(基本診療料の施設基準等)で国の基準が変わりました。
■ ■
7対1入院基本料の施設基準というのが、国が決めた新しいルールです。
‘良い病院’にはご褒美として、たくさんお金が配分されます。
診療報酬という病院の生命線ともいえる収入が、看護師の数によって決まります。
■ ■
病院はホテルと同じで、患者さん一人当たり、一日いくらで入院費が支払われます。
ホテルは☆の数で、ランクや料金が決まるそうですが、病院はいくら豪華に作っても料金は値上げできません。
同じ病院の建物・設備でも看護師の数を増やすと、一日の入院費を増やしますというのが、厚生労働省が決めた方針です。
■ ■
医療費を抑制したい国の方針です。
長く入院している患者さんの…
入院基本料が14日を境に下がります。
病院の収入が減ります。
確かに…
社会的入院なんて言葉もありました。
帰るところがないので…
病院に入院している人がいました。
■ ■
今、大病院に長期間入院するのは大変です。
病院からお荷物扱いされることもあります。
手術によっては…
術後のリハビリに長期間かかることもあります。
術後14日では、
まだ退院は無理なこともあります。
医療費抑制政策のために…
ほんとうに入院が必要な患者さんが…
肩身の狭い思いをしないようにしてほしいです。
医療問題
スプリンクラーと有床診療所
福岡の整形外科診療所で、
火災による死者が出ました。
亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
とても残念な事故です。
私が医師だから院長を弁護するのではありません。
整形外科に限らず、
有床診療所の経営はとても大変です。
■ ■
昔は、
○○内科医院というような医院に、
ちょっと入院させてもらえる病床ありました。
今はよほど特殊な診療所でなければ…
入院施設は置きません。
赤字になるからです。
増えたのが…
医療モールというような、
小さなクリニック多数+調剤薬局があるパターンです。
■ ■
大手調剤薬局チェーン店が、
建物を建てて、
そこで開業するお医者さんを募集するところもあります。
このような形態が増えたのは、
国の医療政策のためです。
入院は病院へ、
診療所は入院を置かないようにという政策転換です。
■ ■
昨日の院長日記、診療報酬と看護師の待遇に、
大きな病院で看護師さんが多いところは、
一泊2日で31,320円と書きました。
これが入院基本料です。
この他に手術代や検査代、薬代がかかります。
高級ホテル並の料金です。
■ ■
ところが、
有床診療所の一番安いところは、
一泊2日で7020円です。
A108有床診療所入院基本料
3.有床診療所入院基本料3
ハ.31日以上の期間351点です。
大病院との差は、
なんと24300円
4.5倍もの価格差があります。
■ ■
同じようなベッドに入院しても、
これだけの差です。
福岡の火災を契機に、
有床診療所のスプリンクラー設置が義務づけられると…
おそらく有床診療所は、
無床診療所に変わると思います。
スプリンクラー設置を義務づけるなら、
診療報酬を改定しなければ無理です。
火災で亡くなられた方のご冥福をお祈りします。
私は国の政策が悪いと思っています。
医療問題
診療報酬と看護師の待遇
看護師の職位という、
2008年1月12日の院長日記があります。
5年前です。
この四半世紀の間に、
看護師さんの待遇が格段に良くなりました。
給与も増えて…
副院長職の看護師さんもいらっしゃいます。
■ ■
私は良いことだと思っています。
大病院になると、数百人単位の看護師さんがいます。
看護部長は数百人の部下を持つトップです。
副院長でも…
理事でも…
当然だと私は思います。
それだけ責任も重いです。
■ ■
看護師の待遇が良くなったのは、
診療報酬改定のためです。
病院に一定以上の看護師が配置されていると、
入院基本料という、
料金がUPします。
つまり、
看護師さんが一定以上いると…
病院の入院費がUPするのです。
■ ■
細かな規定はありますが、
A100一般病棟入院基本料
1. 7対1入院基本料 1566点
4. 15対1入院基本料 945点
病院は一泊2日で入院すると、
2日分の入院基本料がかかります。
7対1だと31,320円
15対1だと18,900円
その差12,420円。
高級ホテルと一般ホテルくらいの差になります。
■ ■
建物や設備は同じでも、
看護師さんの数を増やすと、
収入が飛躍的に増えます。
この診療報酬改定があったため、
どこの大病院も看護師を大量採用しました。
その影響で、
中小の診療所は看護師不足になりました。
■ ■
来年は消費税UPがあります。
このままだと倒産する病院が増えます。
診療報酬改定で、
真面目に働いている病院が、
倒産しないようにしていただきたいです。
効果が出るまで何十年もかかる医学部新設より、
頭の良い診療報酬改定を望みます。
医療問題
東北地方の医師不足解消法
東北地方に医学部新設で、
医師不足解消にはならないと書きました。
医学部を新設して、
一人前のお医者さんを育てるのは大変です。
時間もお金もかかります。
■ ■
勝沼栄明衆院議員のように…
苦労している…
医師免許を持った国会議員に…
厚生労働省を変えてもらうのです。
勝沼栄明先生は苦労人です。
当選の第一報を聞いたのも…
北海道三笠市の当直先の病院でした。
■ ■
医師不足解消のキーワードは診療報酬です。
地方病院の診療報酬を上げるのです。
一律に上げるのは絶対にダメです。
制度を悪用してもうける人が必ず出ます。
決め手は、
東北の、
医師不足の国公立病院だけ診療報酬を上げるのです。
そして…
診療報酬を上げた病院に通院する人の、
自己負担率を下げるのです。
■ ■
そうすると…
大赤字で、
病院の建物はボロボロ、
設備は旧式で壊れている、
職員は退職して、
看護師も助産師もいない、
○○公立病院に活気が出ます。
■ ■
もっとやるなら…
該当病院に勤務した先生の所得税を減らすのです。
そうすると…
医師に払う給与を下げても、
先生の手取りは増えます。
これは国の政策として来年からでも実行可能です。
東北の疲弊した公立病院に、
世界的に有名な先生を呼ぶのです。
■ ■
東北の病院に行ったら、
ゴットハンドの先生に手術をしてもらえて…
しかも自己負担は東京の半分以下。
快適な病院で…
上手な先生がいると…
必ず患者さんは全国から集まります。
病院も黒字になります。
社会医療法人など公立病院以外にも認めるなら…
黒字になった分は全額税金として国庫に返還するのです。
■ ■
どんなに志(こころざし)の高いお医者さんでも、
閑古鳥が鳴いていて…
看護師さんもいない病院には勤務したくありません。
たとえ高額の給料をもらっても…
24時間365日休みなしではやってられません。
医学部新設よりも、
診療報酬改定で東北を有利にして、
所得税減税もすると…
必ず優秀なお医者さんが集まります。
医師不足解消法の処方箋です。
病院で当直勤務中に当選を知り、白衣のまま抱負を語る勝沼栄明氏
=12月17日午前6時30分、三笠市
(以上、北海道新聞より引用)
医療問題
東北地方に医学部新設
今朝の朝日新聞によると、
安倍政権は東日本大震災で被災した東北地方を念頭に、1979年の琉球大を最後に認めていない医学部新設に動き始めた。
首相は2013年10月4日、東北地方への医学部新設を村井嘉浩・宮城県知事から要請されると、「東北の医師不足が深刻なのは理解している」と応じ、その日のうちに新設を検討するよう下村氏に指示した。
(以上、朝日新聞の記事より抜粋)
■ ■
私は東北の医師不足解消に、
医学部新設は効果がないと考えます。
少なくとも、
今から医学部新設の準備をしたところで、
その効果が出て、
東北の医師不足解消になるまで、
15年以上かかると考えます。
■ ■
私たち、
現在60歳前後の医師が、
【一県一医大構想】で、
国が医学部定員を増やしはじめた世代です。
安倍首相は医学部入試に縁がなかったと思うので、
ご自身の受験では記憶にないと思います。
■ ■
【一県一医大構想】で新設医学部を卒業した医師が、
ようやく還暦近くになって、
新設医大の学長になっているのが現在です。
構想から30年以上経っています。
いまだに、
自分の大学の卒業生から、
学長を出していない医大もあります。
■ ■
医師養成には時間もお金もかかります。
速成栽培は無理です。
じじい医者の感想を言わせていただくと、
国の政策で作った医大で、
成功しているのは自治医大だけです。
防衛医大など、
防衛医官として活躍している先生の率は低いと思います。
■ ■
各地に医科大学を作っても、
その土地に医師が残って仕事をする保証はありません。
憲法で保障された、
職業選択の自由です。
東北に残ってくださいと言っても、
地元に卒業生が残らないのが、
今の東北地方の医学部です。
医学部新設より、
もっと効率よく医師を集める方法があります。
それは次の機会に書きます。