医学講座
粉瘤(ふんりゅう)の手術2013②
昨日の院長日記でご紹介した、
日本形成外科学会HPの記載です。
感染のない場合は手術的に摘出します。
腫瘍の直径の1~2倍の長さで
開口部を含めて紡錘形に皮膚切開をして
内容物を袋ごと摘出し、
皮膚縫合した後の傷をシワに沿わしたり、
くさび形に切除したりして出来る瘢痕を目立たなくします。
■ ■
時には顔面の場合など傷をより綺麗にするために、
開口部の皮膚と内壁をくり抜いて内容物を排出した後に
嚢腫壁を摘出すると、
腫瘍の大きさに比べて傷が小さく目立たなくできます。
(日本形成外科学会HPより引用)
■ ■
切開は腫瘍の直径の1~2倍の長さ
…というのが形成外科医の常識です。
大きな粉瘤では…
皮膚が伸展されてぺらぺらになっていることがあります。
赤くて薄い皮膚は切除するのがふつうです。
背部の粉瘤など…
気づかないで大きくなっていることがあります。
■ ■
私が先輩から教えていただいた手術も…
私が後輩に教えたのも直径の1~1.5倍でした。
形成外科医が縫合すると…
傷は目立たないという変な自信もありました。
ところが最近は考えが変わりました。
私が手術をしても体質によっては…
傷が残る人はいるので…
できるだけ小さな傷にしようと努力しています。
■ ■
昔は女性の顔にできた粉瘤でも…
先輩から教えていただいたように…
切っていました。
今は…
できるだけ開口部の皮膚と内壁をくり抜いて内容物を圧出し
嚢腫壁(のうしゅへき)を摘出しています。
感染していて全摘出できないこともありますが…
このほうが傷が小さくて済みます。
■ ■
手術時間がかかって…
内容を圧出する時に…
ブシュ~~っと…
私の顔にくさい液がかかることもあります。
それでも…
治りも早く傷も小さくできます。
全員にできるわけではありません。
時間がかかるので…
繁忙期には対応できないこともあります。
ただ粉瘤の手術は
腫瘍の直径の1~2倍の長さを切らなくてもできることがあります。
先生とよく相談なさってください。
医学講座
粉瘤(ふんりゅう)の手術2013①
私の院長日記、
ヒット商品があります。
ヒルドイドローションと粉瘤の手術です。
【粉瘤】を【検索】すると…
いろいろな先生のページが出てきます。
日本形成外科学会HPにも記載があります。
■ ■
患者さんによっては…
脂肪のかたまりという人がいます。
残念ですが…
粉瘤の中は脂肪ではなく垢(あか)です。
きれいなお嬢さんにもできます。
とてもくさい…
白いおからのようなものが入っています。
■ ■
一番困るのは…
感染した時です。
赤いおできになります。
中の垢(あか)が腐ります。
すごい臭いになります。
化膿しているので…
ぶよぶよになってつぶすと血と膿が出ます。
■ ■
飛行機の中や…
通勤途中で破裂すると大変です。
衣服に血と膿がついて…
おまけに臭いもきついです。
そのまま放置できなくなります。
最悪です。
■ ■
破裂した状態で手術をしても…
粉瘤の袋が完全に取れないことがあります。
袋自体もとけてしまっていることもあります。
化膿している時の治療は局所麻酔をして…
膿と垢を完全に出すことです。
化膿止めの薬も処方します。
■ ■
化膿した粉瘤が破裂した時は…
できるだけ早く近くの皮膚科や形成外科で診ていただくことです。
炎症がおさまるまで…
何度か通院が必要なこともあります。
粉瘤は…
ころころが小さなうちに手術で摘出するのが一番です。
私の反省も含めて…
粉瘤の手術をシリーズで解説します。
医学講座
私は風疹で入院しました
つらい記憶です。笑いごとではありません。
若い人への助言です。
私は風疹で入院しました。
家内が下の子を妊娠中でした。
たしか30歳の時です。
卒後6年目でした。
形成外科メモリアル病院に勤務していました。
■ ■
患者さんの子どもさんからうつりました。
私たちの世代は、
風疹(ふうしん)の予防接種を受けていません。
うちの奥さんは、
結婚前に風疹の予防接種を受けました。
妊娠してから…
風疹にかかると…
子どもに異常が生じる可能性があります。
■ ■
私は風疹の予防注射をしたとか…
風疹になるとか…
恥ずかしながらまったく考えていませんでした。
大人の風疹はつらいです。
子どもは三日はしかですが大人は重篤です。
39度の高熱が出ました。
あまりに熱が高くて下がらず…
勤務先の病院に入院させてもらいました。
■ ■
自分も予防接種を受けておけばよかったと…
その時につくづく思いました。
インフルエンザ並みにつらいです。
女性だけではなく、
男性も風疹の予防注射を受けましょう。
現在はワクチンが不足しているようですが、
ワクチンが流通してからぜひ受けてください。
院長の休日
勝沼栄明衆院議員2013年6月26日
平成25年6月26日、北海道新聞朝刊の記事です。
国会これが聞きたい
成長戦略具体的には
地方でも景気対策を
勝沼栄明衆院議員(比例道ブロック、自民)
-第2次安倍晋三内閣が発足して26日で半年になります。
「積極的な金融緩和、財政出動と、首相が進める経済政策『アベノミクス』で、円高株安の傾向が昨年に比べ是正されました。14日には成長戦略も閣議決定しました。これまでの経済の停滞した雰囲気に明るさが戻りつつあると感じています」
-成長戦略は党の参院選公約にも盛り込まれましたが、具体性に乏しい印象です。
「政府・与党が目指す方向性は打ち出せましたが、具体的な施策はこれからです。農業強化策の農地集約は大規模化か進んだ道内の実情に合わないとの指摘もあります。地元の声をしっかり聞きながら、都市部だけでなく地方にも景気浮揚効果が表れる対策を党からも提言していきます」
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
北大形成外科出身の勝沼栄明先生です。
2012年12月の選挙で当選しました。
日本形成外科学会はじまって以来の衆議院議員です。
勝沼議員の発言が、
北海道新聞の記事で取り上げられて、
とても嬉しく思っています。
■ ■
勝沼先生は苦労人です。
きっと北海道のためにがんばってくれます。
地元の声をしっかり聞いて…
都市部だけでなく…
地方にも景気浮揚効果を期待してます。
勝沼先生のご活躍を祈念しています。
(北海道新聞)
院長の休日
そら君の4歳の誕生日
昨日6月24日は愛犬そら君の誕生日でした。
4歳になりました。
わが家の癒し犬です。
いやしい犬でもあるので…
何でも食べてしまう困った犬です。
ラップを食べて開腹手術もありました。
■ ■
子どもがいなくなった本間家には、
私と家内とそら君だけです。
2人+1匹家族です。
なかなか言うことをきかない犬です。
玄関のピンポンなどによく吠えます。
窓の外に来るカラスにも吠えます。
■ ■
一番言うことをきくのは…
ごはんの前です。
さくらんぼさんからいただいたりんごも…
少しだけ分けてやっています。
犬もりんごで調子が良いようです。
室内犬で彼女もいなくてかわいそうですが…
私たちと元気に暮らしています。
医学講座
形成外科専門医試験②
専門医10症例
…という2007年7月31日の院長日記に書きました。
4年間の形成外科研修中に、
自分自身が術者として手術を担当した術前・術中・術後の写真、
詳細な病歴、手術記録などを学会に提出し審査を受けます。
手術の腕前を写真で判定するのが、
形成外科専門医試験の特徴です。
■ ■
私が認定医になった時代は、
若い医師が手術を担当しても不思議には思われませんでした。
私が「今度手術を担当させていただくことになった本間です」と申し上げても
「よろしくお願いします」と言われた時代でした。
私が手術を担当する時でも、
必ず上の先生がついて手術をしていました。
■ ■
問題なのは唇顎口蓋裂など先天異常の手術です。
出生数の減少と医科大学の増加で、
形成外科医一人が
一生の間に手術する唇顎口蓋裂の数は減少しています。
生後3ヵ月の赤ちゃんの手術を、
専門医試験のために研修医に任せてくれる親などいないと思います。
赤ちゃんの写真を
専門医試験の書類に使わせていただく同意も取れないと思います。
■ ■
唇顎口蓋裂のような手術は、
大学の講師クラス以上の先生がするのが一般的になっています。
研修医は手術に入って、
術者の助手をするのが精一杯で、
形成外科研修3年目とか4年目に任せられる手術ではありません。
■ ■
私も最初から上手にできたのではありません。
先輩に教えてもらって、
ドキドキしながら手術をして、少しずつ上達したのです。
私が幸せだったのは、
丁寧で上手な先輩が何人もいて、
実に家族的な雰囲気の医局で育ったことです。
外科医は職人です。腕のよい師匠について修行をしないと上手になりません。
■ ■
専門医試験で一番よいのは…
実際に手術をさせてみて…
どの程度の技量があるか…
審査委員の先生が判定することです。
自動車学校の卒業検定のような制度です。
でも実際には不可能です。
■ ■
私が知っている限りでは…
麻酔科指導医試験に実技がありました。
一部の大学の教授選考で…
実際の手術を見てもらって審査する大学があるようです。
一度に100人以上が受験するような専門医試験で…
実技試験は難しいです。
■ ■
専門医認定委員会の先生は、
提出された書類の書き方を見て、
押印忘れなどの不備がないかを見て、
その先生が…
慎重で正確な先生かどうかを見ています。
ちょっとでも怪しいと…
口頭試問で質問したり…
図を書かせてみて…
ほんとうの技量を見抜くと思います。
■ ■
まみ子師長さんのコメントのように…
書類準備の段階で専門医審査が始まっている事を認識するべきですね。
その通りです。
形成外科に限らず、
専門医を目指す若い先生は、
書類を書く段階から審査対象となっています。
入学試験の願書に不備があると受験できないのと同じです。
医学講座
形成外科専門医試験①
昨夜(平成25年6月22日土曜日)、
札幌グランドホテルで、
第4回北海道形成外科フォーラム
“北の大地”2013が開催されました。
第3回は平成24年9月29日
第1回は平成22年6月26日でした。
■ ■
特別講演として2題のご発表がありました。
私の行っている美容外科手術
クリニカ市ヶ谷_倉方優先生
専門医認定審査の現状と問題点
埼玉医科大学形成外科_中塚貴志教授
その他、看護師さんの発表と合同カンファレンスもありました。
有意義な会でした。
■ ■
私は中塚先生の専門医審査についての講演が印象的でした。
形成外科専門医試験を受けるには、
従来は6年間以上の会員歴が必要でした。
平成22年から、
臨床研修制度の変更に伴う措置だと思いますが…
4年間の会員歴で受験できるようになりました。
■ ■
形成外科専門医になるには、
書類審査と筆記試験、口頭試問があります。
私の頃は形成外科認定医でしたが、
国の制度が専門医になったことで…
認定医→専門医になりました。
私が認定医を受験した時は、
自分が手術を担当した症例が審査対象でした。
■ ■
形成外科では10症例(じゅっしょうれい)と呼び…
専門医を目指す先生は…
10症例いのちでした。
自己のベストの症例写真を提出して…
その写真で技量を判定されました。
専門医を取得させるために…
施設長は研修医にしっかり指導をしていました。
■ ■
私が認定医審査を受ける前には、
大浦武彦教授から厳しい学内審査がありました。
書類を何度も書き直していただきました。
ある意味…
学位論文の審査より厳しかった記憶があります。
北大から認定医審査で落ちた先生はまれでした。
■ ■
昨夜の中塚先生のお話しによると…
平成23年は107人
平成24年は66人
…の先生が書類不備だったそうです。
単純な押印忘れから…
学会入会前の症例など…
単純なミスも含めた書類不備が多かったそうです。
■ ■
専門医になるには…
形成外科の知識はもちろんのこと…
社会人としての常識も必要です。
審査料を払って専門医試験を受けるのです。
しっかり書類を読んで書いてください。
上の先生のチェックも甘くなったのかなぁ~と感じました。
院長の休日
さくらんぼをいただきました2013
山形のさくらんぼさんから、
今年もさくらんぼをいただきました。
山形のさくらんぼは世界一です。
宝石のようにきれいです。
お忙しいのに毎日コメントをいただき、
さくらんぼまでいただき、
心から感謝しています。
■ ■
人間はどこでどなたのお世話になるかわかりません。
私が毎日院長日記を続けられるのも…
さくらんぼさんのおかげです。
こんな小さな診療所でも…
長く続けるのは大変です。
今年は開業して9年になります。
さくらんぼさんに感謝して…
お客様や職員に感謝して…
少しでも元気で長く続けられるようにがんばります。
ほんとうにありがとうございました。
2013年6月22日
医学講座
第101回日本美容外科学会(JSAS)⑤
第101回日本美容外科学会(JSAS)の最後です。
十仁スピリットという院長日記を…
2008年5月12日に書いています。
こんなことを書くと、
十仁病院の梅澤先生に叱られるかもしれません…
私が勝手につけた名前です。
私に美容外科を指導してくださったのは、
中央クリニック新宿院の日高士郎先生でした。
日高先生は、東海大学医学部をご卒業後、
正確に言うと、東海大学在学中から…
美容外科に興味を持っていらした先生です。
■ ■
日高先生に形成外科の講義をなさったのが、
東海大学形成外科の谷野隆三郎教授でした。
日高先生は東海大学卒業後に十仁病院へ入職。
私が形成外科医として経験したのと同じ歳月を、
美容外科医として活躍された、生粋の美容外科医です。
日高先生と中央クリニック新宿院で、
ご一緒に手術をさせていただいた日々は、
私にとって何物にも代えがたい、
貴重な財産となりました。
■ ■
美容整形という言葉は十仁病院から生まれました。
形成外科医専門医だからと言って…
美容外科エキスパートではありません。
二重埋没法の手術を…
見たこともない形成外科専門医はたくさんいます。
かつての私がそうでした。
■ ■
昨日の院長日記でご紹介した…
廣比利次先生も…
はじめて美容外科を見たのは東大病院ではなく、
東大の先輩が開業していたクリニックと話されました。
どんなに大学病院が美容外科を標榜しても…
患者さんが集まるのは市中の開業医です。
■ ■
札幌医大形成外科を追い出されて…
路頭に迷っていた私を助けてくださったのは…
十仁病院ご出身の日高士郎先生です。
私は日高先生から美容外科のいろはを教えていただきました。
私からは眼瞼下垂症手術のことなど…
形成外科医としての知識をお伝えしました。
■ ■
日高士郎先生と過ごした数ヵ月はとても充実していました。
私と日高先生は、
年代が近いこともあって…
とても仲良しになれました。
私は形成外科医だから…
美容外科医だから…
…と仲たがいせずに…
仲良く勉強をするのが良いと思います。
どちらの学会も勉強になります。
患者さんのためになります。
いつか平和な日が来ることを願っています。
医学講座
第101回日本美容外科学会(JSAS)④
十仁系の日本美容外科学会(JSAS)には、
形成外科医も出席しています。
形成外科出身で…
美容外科医になった先生も出席しています。
勉強になるから…
学会に出席しているのです。
■ ■
教育講演2
鼻形成術
セレスティアルクリニックTOKYO
廣比利次ひろひとしつぐ先生でした。
リッツ美容外科の創業者で、
東大形成外科のご出身です。
■ ■
廣比先生の教育講演は、
とても勉強になりました。
鼻の手術について…
従来の考えを改めました。
廣比先生はハワイ大学解剖学の客員教授です。
■ ■
形成外科や美容外科でも、
やはり上手な手術をするには、
しっかりと解剖学を勉強して、
手術時によく解剖学的な構造を理解することが、
きれいな結果につながるとわかりました。
■ ■
従来、クローズ法と呼ばれ…
術者の指先の感覚で切っていた鼻の骨を…
オープン法という…
鼻柱を切って…
しっかり構造を確かめて…
鼻の土台を治すことが…
美しい鼻を作るのに必要だとわかりました。
廣比先生ありがとうございました。