医療問題
医学教育の現場では…
私は平成10年(1998年)から平成14年(2002年)まで、
札幌医大形成外科の講師をしました。
信じてはいけない人に騙(だま)されて…
残念な形で大学を追い出されましたが、
学生さんに講義ができた楽しい想い出もあります。
医学教育に対する、
私なりの思いがあります。
‘医学部定員増’が話題になると、
ひとこともふたことも言いたくなります。
■ ■
2006年10月23日の、
2回目の院長日記に、
医学部の教育というタイトルで書いてあります。
現在の日本の医学教育では
内科、外科、産婦人科など国家試験に必要な科目を
すべて勉強します。
これは日本国中どこの医学部でも医科大学でも同じです。
6年間に学ぶ量は膨大なものになります。
■ ■
順調に卒業できると
6年間で医師国家試験受験資格が得られます。
自動車学校でいうと
卒業検定を受ける資格を得るわけです。
自動車学校と違うのは
医師国家試験に合格するまでは
仮免許で運転もできないのです。
ですから国家試験に合格するまでは
実際に患者さんを縫合することはありません。
■ ■
私が卒業した30年前と比べると…
医学は格段に進歩しました。
新しい薬や治療法、
診断機器も比べものになりません。
6年間の医学教育で教える量は膨大になりました。
医師国家試験の問題数も日程も増えました。
医学部の学生さんは、
膨大な医学知識をとにかく詰め込まれます。
■ ■
ところが…
今も…昔も…
卒業までに…
他人に針を刺して採血することすら…
正規の医学教育ではありません。
看護師も同じです。
医学部では、
針と糸を使って縫う‘実習’はありません。
キズを縫うことができなくても、
医師免許証はいただけます。
■ ■
つまり、
医師免許証をいただても…
看護師免許証をいただいても…
採血すらできないのが…
新人のお医者さんや看護師さんです。
免許証をいただいてから、
実際のトレーニングがはじまります。
ほんとうの意味で、
優秀な医師か?優秀な看護師か?は、
卒業後にどんな先輩について、
どんな指導を受けたかによって決まります。
■ ■
2008年9月8日に
医学教育と運転教習という日記を書きました。
大きな病院で…
手術や検査を受けるとします。
・あなたの検査は、新人の研修医が行います
・当院では、十分な初期研修を行っています
・万一、不測の事態が起こっても、ベテランの指導医が対処します
・研修医がこの検査を担当するのは、3回目です
・2回の検査では、問題はありませんでした
・ただ、指導医が15分で終わる検査に、1時間を要しました
・以上の説明を受け、検査に同意します
なんて同意書に署名・捺印ができますか?
■ ■
実際には、上記のような同意書なしに、
眠らされて…
ぼぉ~っとしているうちに、
検査や手術が終了します。
練習台になる患者さんも大変ですが、
詐欺のような…
指導医を続けるのも疲れます。
千葉県の安達智江先生が、
朝日新聞への投稿で指摘した点はこれです。
■ ■
いいお医者さんを育てるのは大変です。
現場の医師が、
疲れ果てている現実を放置して、
医学部の定員だけ増やしても、
日本の医療はよくなりません。
来年には、
診療報酬が改定されて、
医療機関の経営はますます苦しくなりそうです。
単に医学部の定員だけ増やせばよいと考えている、
国の方針は間違っています。
医療問題
医学部定員増2009
平成21年12月7日(月)、北海道新聞夕刊の記事です。
医学部定員17人増
道内10年度、文科省計画
深刻化する医師不足対策として、文部科学省は12月7日、2010年度の大学医学部の入学定員について、国公私立61大学で計360人増やし、定員総数を過去最多の8,846人とする計画を公表した。私立大分については大学設置・学校法人審議会に諮問し、年内に決定する見通し。国立大は諮問がいらない。
これにより、道内は北大が7人増の112人、旭川医大が10人増の122人、札幌医大は増員なしの110人で、3大学合計で17人増の344人になる。全国では国立大42校で265人増、公立大6校で25人増、私立大は13校で70人増。
文科省は増員分について、医師不足に対応するため卒業後の地元勤務を前提に奨学金を出す「地域枠」などを設定。旭川医大は地域枠を活用し、北大は歯学部定員を振り替える。
■ ■
私は、1974年(昭和49年)に札幌医大に入学しました。
私が入学した年から、入学定員が80人→100名に増えました。
私は運良く…
増えた20人の定員増の中に入れたのだと思っています。
当時の札幌医大には…
道内出身者を入学定員の90%にするという不文律がありました。
そうした、‘内規’が当時の文部省にバレて、
国の補助金で運営している公立大学にふさわしくないという趣旨で
撤廃されたと聞いています。
2007年12月21日の日記に書いています。
■ ■
2008年9月7日の日記にも、
医学部定員増というタイトルの日記があります。
千葉県の安達智江先生が、
朝日新聞に投稿した原稿を掲載しています。
安達先生は医療現場の混乱を指摘されています。
北海道内の医学部定員を17人増やし、
日本全国で360人の定員が増えます。
私はこれで今の医師不足が解消されるとは…
到底思えません。
■ ■
来春入学した学生が、
一人前の医師として活躍できるようになるには…
医学部6年+臨床研修2年(現行制度では)=8年
+研修期間(数年)で
最低でも10~15年はかかります。
私自身のことを考えると
一人で独立してできるようになったのは、
卒後10年程度経ってから…?
だったように記憶しています。
■ ■
医師不足解消の特効薬は、
医師が働きやすい環境を作ることです。
意外と盲点になっているのが、
昨日の日記にも書いた、
就労支援です。
私が勤務医だった頃には、
看護師さんの子どもは…
院内保育所へ預けられましたが…
女医さんの子どもは不可でした。
■ ■
多くの働くお母さん先生は、
無認可の保育所に預けるか…
自分の親に育ててもらうか…
高いお金を払って…
ベビーシッターを頼むか…
とにかく看護師さん以上に大変でした。
子どもを預けるのに…
私の当直料の何倍もかかる…
と何人もの女医さんがこぼしていました。
■ ■
国のお役人は気付いているのかどうか…?
その辺は、わかりませんが、
現在の医学部は、
30~40%が女子学生です。
私の頃は…
せいぜい10%台でした。
女医さんが増えています。
結婚して→子どもを産んで→
安心して働ける環境作りをすると…
医師不足解消に役立つことは、
現場の医師なら誰しも気付いています。
院長の休日
はたらくお母さん
平成21年12月5日(土)
北海道新聞朝刊『いずみ』への投稿です。
小学校3年生の田代楓花(ふうか)ちゃん、です。
はたらくお母さん
私の家には、お父さんはいません。お母さんが、かんごしの仕事をしながら1人で、私とお兄ちゃんを育ててくれています。
お兄ちゃんは、学校がおわるとサッカー少年団へ行くので、私は、1人でおるすばんをします。外が暗くなると、さみしい気もちになるけど、お母さんが帰ってくるとだっこをしてくれるので、さみしい気もちをわすれます。
私は、お母さんのお手つだいをします。おちゃわんをあらったり、お米をといで、すいはんきのタイマーをおします。ときどき、せんたくものをたたみます。お母さんは「ふうか、ありがとう。ふうかが女の子でたすかるわ」と、ほめてくれます。
私が、ねつをだしても、お母さんは仕事を休めないことがあります。そんな時は、お母さんの病院にいって、ベッドにねています。ベッドにねながらお母さんの仕事をみています。てきぱきと、かんじゃさんにちゅうしゃをしたり、けつあつをはかったりします。
はたらくお母さんをみて私は、「かっこいいなあ」と思います。私は、はたらいているお母さんが大好きです。お母さん、お仕事から帰ってきたら、またいっぱいだっこしてね。毎日、お仕事してくれてありがとう。おつかれさま。私も、しょうらいは、かんごしさんになりたいので、しっかりべんきょうしたいと思います。
田代楓花(9歳・小学3年)=渡島管内
■ ■
私は、楓花(ふうか)ちゃんのような子が大好きです。
2009年10月18日の日記に書いた、
新聞配達の日の
苫小牧市の亀尾優希さん(9)も…
お母さんの新聞配達のお手伝いをしている、
素敵な女の子です。
小さい頃から、
親の苦労を見て育った子は、
立派な大人になります。
■ ■
看護師さんの子どもたちは、
院内保育園で一日を過ごし、
大好きなお母さんの帰りを待っています。
私が病院に勤務していた頃…
お母さんの業務が5時で終わらず…
延長保育の時間も過ぎてしまい…
病棟の詰所で…
お母さんの仕事を見ている子がいました。
■ ■
忙しい病院では、
日勤者(にっきんしゃ)の業務が、
5時で終わるどころか…
夜の9時にまでなることもありました。
保育園の子どもたちは、
保育園が終了後…
病棟で…
お母さんの仕事(看護計画や記録)を見ながら、
お菓子を食べて待っていました。
■ ■
駄々をこねることもなく…
お腹がすいたとも言わず…
じっと絵本を読んで待っていました。
クリスマスになると、
その子たちが、
患者さんへプレゼントを渡してくれる、
天使の役割もしてくれました。
今でも懐かしく想い出します。
もう、大人になっていることと思います。
■ ■
働くお母さん看護師さんの多くは、
自分の親に協力してもらって、
子育てと仕事を両立させていました。
朝5時に起きて、
掃除・洗濯をして、
子どものお弁当まで作って、
仕事に来ているお母さん看護師さんもいました。
今は院内保育も改善しているでしょうか…?
でも、子どもが熱を出した時は、
やはりお母さんです。
この辺の就労支援を充実させることが、
国の政策として大切だと思います。
医学講座
乳がんになったら…
劔持先生の奥様…
HIROKO様のお言葉です。
ある日突然「あなたはガンです。」
ショックは大きいですよ。
私は20年以上…
総合病院の形成外科医として勤務ました。
乳がんの手術に入ることは少なかったですが…
私の身近には何人も…
乳がんの方がいらっしゃいました。
■ ■
ベテランの女医さんでも、
経験を積んだ看護師長さんでも、
自分ががんとわかった時のショックは…
隠しきれないものです。
特に看護師長などの重責に就いていると…
長期の休みを取るのも大変です。
先生…
実は…
手術を受けることに…
■ ■
突然のことでこちらも驚きです。
えぇ…?
執刀は外科の○○先生…?
それなら大丈夫ですょ。
私がお休みの間は…
副師長の○○さんが…
先生にもご迷惑をおかけすると思いますが…
仕事のことは心配しないで…
治療に専念してください。
■ ■
20年も病院に勤務していると、
こんなことが何回かありました。
幸い…
手術を受けた方は皆さんお元気で、
今も看護職として働いていらっしゃいます。
無事に定年を迎えられて…
年賀状で…
元気を知らせてくださる方もいらっしゃいます。
■ ■
もし万一…
乳がんになったら…
いい先生を見つけて…
治療に専念することです。
手術をどこで受けるべきか…
美容外科の選択以上に悩むところです。
乳がんの程度(病期や進行度)にもよりますが、
私は浅石先生のような…
乳腺外科の専門医に相談するのがよいと思います。
■ ■
乳腺クリニックには、
先生や看護師さんの他に…
頼りになる…
同病の患者さんがいらっしゃいます。
「大丈夫ょ!」
「私も手術を受けたのょ…」
という言葉が元気をくれます。
浅石先生の札幌ことに乳腺クリニックでは、
朝夕に患者さんが仲良く体操をして、
コミュニケーションをとっていらっしゃいます。
昔の記憶
おっぱいチーム
私が札幌医大の学生だった30年前…
札幌医大第一外科に…
おっぱいチームがありました。
札幌医大第一外科は、
臓器別にいくつかのチームに分かれていました。
おっぱいチームのトップが、
30台で講師に昇進された、
浅石和昭先生でした。
■ ■
浅石先生は、
髪を短くして、
ケーシーと呼ばれていた、
半袖の白い白衣が似合う外科医でした。
歯切れの良い講義は学生の人気でした。
浅石先生に憧れて…
浅石先生の人柄に惹かれて…
乳腺外科医になった先輩がたくさんいました。
■ ■
当時は、
今のように診断機器が発達していませんでした。
浅石先生の、
慣れた外科医の手が、
乳がんを一番よく見つけられる。
という言葉が印象に残っています。
乳腺と甲状腺を扱うのが、
乳腺・甲状腺チームで、
おっぱいチームと呼ばれていました。
■ ■
浅石先生のチームに、
兄弟3人で入られたのが、
岡崎3兄弟と呼ばれる、
岡崎稔先生[21期](札幌乳腺外科クリニック)、
岡崎裕先生[24期](新札幌乳腺クリニック)、
岡崎亮(あきら)先生[28期](札幌乳腺外科クリニック)、
です。
末弟の亮(あきら)先生には、
私が札幌医大在職中にお世話になりました。
■ ■
浅石先生が率(ひき)いた
おっぱいチームは、
札幌市内で
札幌ことに乳腺クリニック(浅石和昭先生)
札幌乳腺外科クリニック(岡崎稔先生)
新札幌乳腺クリニック(岡崎裕先生)、
として…
札幌市内はもとより、
北海道の乳がん治療に大きく貢献しています。
■ ■
浅石先生は、
2009年11月5日と6日に、
京王プラザホテル札幌で、
第19回日本乳癌検診学会を開催されました。
約1,500人の参加者があり大成功で終了しました。
浅石会長のお言葉です。
日本女性の乳癌は1995年より年齢調整罹患率では女性の癌の第1位となっており、現在罹患数は年間5万人以上と推測されます。また死亡数も2006年には11,177人と漸増し、欧米では乳癌死亡数が減少しているのに、日本では受診率が低く、未だ死亡率が低下に至っておりません。
本学会は検診によって早期の乳癌を発見し、乳癌による死亡の減少に寄与することを目的とした学会であり、本学会の役割は今後益々重要と成って参ります。(学会HPより引用)
医学講座
ガン検診のすすめ
昨日の日記で、
劔物(けんもつ)先生の奥様、
HIROKO様が
嫌がらずに積極的にガン検診を受ける事です。
と教えてくださいました。
けんしんが大切なことは、
誰でもわかっています。
でも…
けんしんって保険が効かないし…
高いんじゃないかしら?…
という不安もありますね。
■ ■
けんしんを入力して、
変換すると…
健診と
検診が出てきます。
健康保険では、
健康診断をすることはできません。
ここでいう健康診断とは、
年に一度、
職場で義務づけられた健康診断などを意味します。
がんになった人が、
定期的に病院でチェックしてもらう…
検診には保険が適用されます。
■ ■
微妙なのが…
乳がんが心配なので…
はじめてガン検診を受ける場合です。
私は健康でどこにも異常はありません。
でも、乳がんが心配なので…
マンモグラフィーをしてください。
と乳腺クリニックを受診すると…
健康診断の扱いとなり、
保険適応にならない可能性があります。
■ ■
お利口なかかり方は次のようになります。
以前から、乳房のしこりが気になっていました。
最近、少し大きさが変化したように感じます。
知人が乳がんで亡くなりました。
心配なので来院しました。
これなら、
乳腺専門医の診察も、
マンモグラフィーも、
細胞診(さいぼうしん)という組織検査も、
すべて健康保険が適用できます。
■ ■
患者さんが受診した動機は、
健康診断ではなく、
乳房のしこりが主訴になります。
ちょっとした違いですが、
これだけで保険医療機関としては、
大違いなのです。
受診するのは、
乳がんの手術をたくさんしている、
乳腺専門クリニックがベストです。
■ ■
ホテルのように立派な…
検診専門のクリニックもあります。
でも…
実際に乳がんを手術して、
乳がんのことを知り尽くしている、
乳腺外科医が一番です。
札幌乳腺外科クリニック
札幌ことに乳腺クリニック
TEL : 011-622-2221
住所 : 〒063-0812 北海道札幌市西区琴似2条2丁目5-15
をおすすめいたします。
院長の休日
ガン治療推進チャリティーコンサート
平成21年12月1日の北海道新聞朝刊に、
次の記事が掲載されていました。
妻の遺志継ぎがん治療応援
札響、あす慈善公演
「がんに苦しむ人に手を差し伸べるのが私の最後の使命」という亡き妻の遺志を実現しようと、がん治療推進チャリティーコンサーートが2日、札幌コンサートホール・キタラ (札幌市中央区)で開かれる。麻酔科医として、治療に当たった夫が企画し、札幌交響楽団(札響)が演奏する。売り上げは妻の遺言に従い、全額をがん治療の研究費として北大医学部に寄付する。
元北大医学部教授で、北海道社会保険病院顧問の劔物(けんもつ)修さん(69)=札幌市中央区=。妻の弘子さんは2007年暮れに卵巣がんと診断され、2009年8月19日に70歳の生涯を閉じた。
2人は修さんが東京から小樽に疎開した幼いころに知り合った。終戦の年だった。その後、医師と服飾デザイナーと歩む道は違ったが、「出会って63年、結婚して45年。こんなに長い間付き合えたのは、僕たちの誇り」と修さん。
最愛の人の病気が分かると、修さんは自ら主治医のー人となり、一緒にがんと戦った。二人三脚の治療によって、あと半年と言われた余命は、1年8ヵ月まで延びた。
弘子さんは最後に「わがまま」を言った。「葬儀はしないで。その代わりにがん治療の重要性をみんなに伝えてほしい」。修さんが「それならキタラでお別れ会をやろう」と言うと、弘子さんは「すてき」とうなずいた。
修さんは古くから札響を支援する会員で、協力を求めたところ、札響側も快諾。2人と親交のある札響正指揮者の高関健さんが指揮し、弘子さんが大好きだったというビバルティ「四季」の「冬」やサンサーンス「白鳥」などを演奏する。ロビーには献花台や、がん治療に関するパンフなどを置いたブースを設ける。
修さんは話す。「コンサートが、がんの知識を深めるきっかけになれば弘子も喜ぶ。僕も医師として引き続き、がん治療に当たる」
開演は2日午後6時半。チケットは3千円で、キタラ011-520-2000で扱っている。
■ ■
昨夜、キタラのコンサートへ行って来ました。
素晴らしいコンサートであり、
お別れ会でした。
劔物修(けんもつおさむ)先生は、
私の札幌医大の先輩です。
札幌医大の卒業生としてはじめて、
北大医学部の臨床系教授に就任されました。
私が北大病院でチーフレジデントをしていた、
昭和60年11月でした。
■ ■
劔物先生は札幌医大麻酔科から、
東邦大学医学部麻酔科教授に就任されていました。
北大医学部麻酔科の教授選で選ばれ、
東京から札幌へ戻って来られました。
当時の北大は麻酔科医不足で、
手術申し込みをしても、
麻酔科医が足りないので、
手術ができないこともありました。
■ ■
麻酔科医局長だった佐々木先生が、
申し訳ございませんが…
この手術は無理…と言いかけたところ…
新任の劔物教授が、
その麻酔は私がかけますから
引き受けてください
と言われたのを…
今でもはっきり覚えています。
■ ■
劔物先生は、
高橋長雄先生の弟子です。
平成21年6月7日の葬儀では、
弔辞を読まれました。
奥様の死期が迫っていた中で、
恩師の弔辞を読まれた先生は、
どんなお気持ちだったのだろうか…?
と考えながらコンサートをお聴きしました。
■ ■
昨夜の追悼コンサートは、
私が今までに参列した、
どのお葬式やお別れ会より、
素晴らしい会でした。
ロビーには献花台が置かれ、
先生と奥様の楽しそうな写真が、
たくさん飾られていました。
今年の春には、
弘前の桜を見に行かれたようでした。
■ ■
70歳という年齢は、
まだまだ若すぎる歳です。
どんな名医の奥様でも…
あっという間に他界されてしまいました。
奥様からのメッセージが、
プログラムに同封されていました。
みなさん、がん検診を受けてください。
心からHIROKO様のご冥福をお祈りいたします。
■ ■
本日はコンサートにおいで下さり有り難うございます。
さて、日本人の2~3人に1人はガンと言われています。
ある日突然「貴方はガンです。」ショックは大きいですよ。
ガンの治療には早期診断と早期治療が最も大切です。
嫌がらずに積極的にガン検診を受ける事です。
怖がらずにガンと正面から向かい合うのです。
ガンの診断と治療の向上は日進月歩です。
子宮頸癌にはワクチンが使用出来る様に成りました。
胃ガンの多くはピロリ菌が関係しています。除菌する事です。
卵巣ガンは発見しにくいガンの代表です。
女性は40歳を過ぎたら、腹部のエコー検査と血液検査を
定期的に受ける事が大切です。
ガンの免疫治療(遺伝子治療)も始まりました。
近未来に人類はガンを必ず克服します。
皆さん、もっとガンについての正しい知識を知る事が大切ですよ。
~HIROKO~
「2人で一つ。いつもそぱにいる存在だった」
と遺影を持ちながら弘子さんとの思い出を話す修さん
(北海道新聞より引用)
(プログラムより引用)
HIROKO様が描かれた絵です
昔の記憶
私が風俗へ行かない理由
HIVやエイズの話しになると、
日本の性風俗産業が話題になります。
プラジルの…
アラウージョさん(52)が驚くように…
繁華街にはコンドームを使用しない…
性風俗があふれているようです。
下でしなければ大丈夫と…
口でしてもらって…
女性の喉(のど)から、
淋菌(りんきん)に感染した方もいらっしゃいました。
■ ■
前の勤務先では、
性感染症の治療もしていました。
男性の淋菌性尿道炎で、
下着が膿で汚れて…
痛くておしっこもできない人を、
何人も診察しました。
女房には何と言えばよいでしょうか…?
小さな子どもがいるのですが…
私の下着と一緒に洗濯して…
子どもに移る心配はないでしょうか?
■ ■
快楽を求めて…
遊びに行った結果…
家庭不和の原因を作ってしまいました。
女性でも…
若気のいたりの結果…
クラミジアに感染してしまい…
抗体(こうたい)という消せないキズ痕が
生涯、身体に残っている人もいます。
妊娠して検査をするとわかります。
■ ■
私も風俗に興味を持ったことはあります。
風俗へ行った人から…
本間は、どうして行かないの…?
天国みたいなとこだょ…
と誘われたこともありました。
奥さんに…
天国みたいなとこだそうだから…
死ぬまでに一度は行こうかなぁ…?
と言うと…
行ったら…と言われます。
■ ■
高校生で風俗へ行く人はマレですが、
私の知っている人で…
高校生で風俗デビューした男性もいます。
医者の同級生や友人は、
大部分が大学入学後に初めて行きました。
確かに…
受験も終わって開放的になり、
興味を持たない方がおかしい年齢です。
ススキノにはたくさんの風俗店があります。
■ ■
私は大学の講義を真面目に聴いていました。
細菌学の講義で、
梅毒のことを習いました。
(私が医学生だった30年前には…
HIVもエイズもありませんでした)
先生が講義で、
梅毒の末期だという…
女性の写真を見せてくれました。
この女性は…
すすきので女王と呼ばれた人です。
■ ■
その写真が衝撃的だったのは…
交通事故の写真以上でした。
風俗へ行った同級生は、
講義の後で必死で教科書を調べて…
赤線を引いて心配していました。
ちょっと皮膚に発疹が出ると
これはバラ疹(ばらしん)ではないか…?
と心配していました。
もしこの写真を見ていなかったら…
誘われて風俗へ行ったかもしれません。
■ ■
性感染症を専門にしている先生に伺うと…
風俗よりも怖いのが素人。
風俗産業は、
大切な従業員が性感染症になると…
商売ができなくなるので、
感染予防にも熱心だそうです。
最近は激安店もできて、
風俗産業も大変なんだそうです。
自分だけは移らない
と信じて疑わない素人さんが、
実は一番危険なんだそうです。
中学生や高校生に…
衝撃写真を見せて教育するのが、
HIVやエイズ予防に効果的だと思います。
医学講座
世界エイズデー
今日、12月1日は世界エイズデーです。
平成21年11月30日、朝日新聞夕刊に次の記事が掲載されていました。
エイズ増加直視して
12月1日は世界エイズデー。先進国で唯一、感染者、患者とも報告数が伸びているとされるのが日本だ。プラジル・サンパウロ在住のNGO代表、ジョゼ・アラウージョ・リマ・フィーリョさん(52)は横浜で国際エイズ会議が開かれた15年前から来日し、警鐘を鳴らし続けている。「現実から目をそむけないで」(石田博志)
ブラジルのNGO代表「日本の対策は後退」
アラウージョさんは自身もHIV感染者で、国の生命倫理委員会委員を務める。今回は在日プラジル人らが運営する市民団体「クリアチボス」の招きで、3年ぶりに来日した。日本訪問はこれで13回目。名古屋市で26~28日に開かれた日本エイズ学会に出席したほか、12月8日まで各地で講演して回る。
日本のエイズ対策を長年みてきた。「現実を直視しない姿勢は変わらない。むしろ後退している」という。
アラウージョさんによると、プラジルではコンドームの無料配布や青少年への性教育を積極的に進めることで、感染者数が新たに増えるのを抑えている。感染者は各地の保健所で抗ウイルス薬の処方を無料で受けられる。「現実を放置すれば、待ち受けているのはより悲惨な状況だから」
それに比べ、日本の取り組みはあまりに対照的に映る。繁華街にはコンドームを使用しない性風俗があふれている。性行為の低年齢化は進んでいるのに、学校での性教育ではセックスについてもエイズについても詳しく語られることはない。
こんな中、日本国内の感染者の総数は2008年までに1万人を超えた。潜在的な感染者は数倍いるとみられる。アラウージョさんは妊娠や性感染症を防ぐコンドームについて子どもに教える重要性をこう語る。「無免許の人が車に乗ったら、必ず事故は起きる。なぜセックスについては同じように考えないんだい?」「『寝た子を起こすな』という日本人の態度は、将来を担う世代に対して無責任だ」(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
私は…
JA帯広厚生病院形成外科に勤務していた頃に、
院内感染対策委員をしていました。
当時の感染対策委員長が、
川口勲先生でした。
(現:JA帯広厚生病院病院長)
医師の他に、
看護師、
臨床検査技師など、
病院の各部署から委員が選ばれていました。
■ ■
JA帯広厚生病院では、
北海道内の病院ではいち早く、
全入院患者と手術患者に
HIV検査を実施しました。
私たち医師よりも、
検査部門で毎日血液を検査している、
臨床検査部門から、
HIV検査の必要性を説明されました。
■ ■
エイズが一般に知られるずっと前から、
ニューヨークへ留学した先生が…
米国ではとても怖い病気が流行っている。
とても怖くて、
性風俗の店なんか行けない…
と話されていたことがありました。
(医師にも風俗好きな先生もいます)
これがエイズだと知ったのは…
だいぶ後になってからでした。
■ ■
エイズ後進国なんて…
不名誉なことです。
日本は安全で清潔な国のはずです。
もしエイズが心配でしたら、
保健所の無料検査の他に、
厚生労働省の
研究班の協力研究員の医療機関では、
有料で即日検査を実施しています。
■ ■
札幌市内の協力研究員の医療機関として、
医療法人社団吉尾産婦人科医院
札幌市中央区 南8条西3丁目1-7
TEL 011-511-5564
HIV検査受診の日時
受検できる日時:
月・水・金曜日、9:00~12:00、14:00~17:00
火・土曜日、9:00~12:00、13:00~15:00
日曜日、9:00~12:00
■ ■
岩澤クリニック
札幌市中央区 南1条西16丁目 レーバンビル2F
TEL 011-613-6000
検査日時
平日/月・水・金曜日 8:30~11:30
夜間/月・水・金曜日 18:00~19:00
があります。
心配な方はこちらでも検索できます。
以前に書いた、
HIVについての日記も参考にしてください。
(朝日新聞より引用)
医学講座
アメーバ角膜炎
今日で11月も終わりです。
11月の新聞記事で気になったのが、
朝日新聞に連載されている、
患者を生きるシリーズです。
以下が朝日新聞の記事です。
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千葉県の稲葉恵子(いなばけいこ)さん(29)=仮名=は2008年12月下旬、帰宅途中の電車内で、右目が急に痛くなった。
学生時代から2週間使い捨てのソフトコンタクトレンズを使っていたが、少し前に、酸素透過性が高く、より目に優しいという1カ月使い捨てタイプに切り替えていた。まだ新しいレンズが目になじまず、仕事中もつけたり、外したりしていた。
この時もすぐ外したが、特に充血はしていなかったので、そのうちに治ると思った。
ところが、翌日も痛みはひかなかった。レンズをつけないまま過ごしたが、日がたつにつれて、右目が赤くなってきた。(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
コンタクトを使用したことがある人なら、
誰でも一度は経験したことがある症状です。
この方は、
大学病院の眼科に入院し、
失明の危機に直面することとなりました。
仕事も辞めなければならないほど…
重症の感染症でした。
原因はアカントアメーバでした。
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昔、生物で習ったことがある、
単細胞の原生動物がアメーバです。
1988年に加藤医院吉原分院(静岡県富士市)の
石橋康久(いしばしやすひさ)先生が
国内初の症例を報告しました。
コンタクトの使用や
目の外傷で角膜が傷つくと、
そこから感染します。
■ ■
石橋先生によると…
煮沸消毒が主流だった時代には
この病気が問題になることは少なかった
二週間交換型のソフトレンズと、
洗浄や保存などが一つでできる
「MPS」と呼ばれる液体の普及で増えました。
■ ■
石橋先生がおすすめされる予防法です。
MPSだけでアメーバが完全に死滅することはない。
レンズのこすり洗いとすすぎをきちんとすること、
レンズケースは乾かし
定期的に交換することを
徹底してほしい
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私が医学生の時代には、
講義でアメーバ角膜炎は習いませんでした。
眼科専門医以外には、
馴染みのない感染症です。
通販でコンタクトを購入する。
量販店でカラコンを購入する。
眼科へは行っていない。
こういう方が増えています。
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水道水でコンタクトを洗うのもダメです。
こちらのページには、
詳しい解説があります。
こちらの公認会計士の先生も、
ブログで闘病記を書かれています。
目は大切な器官です。
目のお化粧や形も大切ですが、
コンタクトは眼科医の診察を受けて、
適切に使いましょう。
札幌美容形成外科では、
道庁前眼科をご紹介しています。