医学講座
第81回日本形成外科学会北海道地方会②
第81回日本形成外科学会北海道地方会。
今回の学会の最後の発表が、
蘇春堂形成外科_野平久仁彦先生でした。
野平先生は、
北大形成外科の2期先輩です。
手術が上手な先生です。
■ ■
野平先生のご発表は、
眼瞼下垂症手術後の変形と修正。
他院で眼瞼下垂症手術を受けて、
その後に変形となり、
野平先生が修正した症例です。
難しい症例がたくさんあり、
みごとに治していらっしゃいました。
■ ■
形成外科では、
よく病名に変形という言葉を使います。
英語のdeformityという言葉の訳です。
日本形成外科学会用語集にもあります。
一般的な変形というと…
空き缶がつぶれたような形を連想します。
そこまでひどくない程度でも、
形成外科では変形と呼びます。
■ ■
野平先生によると、
形成外科・美容外科以外にも、
眼科や脳外科で、
眼瞼下垂症手術を受けて、
その後で、形成外科を受診する方がいらっしゃいます。
専門医が手術した後ほど…
修正が難しいものです。
■ ■
眼瞼下垂症講座⑬【再手術】
…という2010年5月15日の院長日記に書いてあります。
今回の野平先生のご発表は、
主に眼科で、
眼瞼下垂症手術を受けた後の修正でした。
私も経験しています。
眼科の先生は、
睫毛のすぐ上を切られます。
形成外科と違うところです。
■ ■
中には、
睫毛の毛根まで切られていて…
睫毛が部分的に無くなっていた例もありました。
確かに…
眼科は目の専門家です。
ただ…
眼瞼下垂手術体験記_④(危険なクリニック)
のような眼科医もいます。
■ ■
眼瞼下垂症手術は難しい手術です。
私が手術をさせていただいても…
100%満足な結果とは限りません。
予想以上に腫れが続くこともあります。
予想しなかった左右差が出ることもあります。
毎日、考えながら…
反省しながら手術をしています。
簡単な手術だと思っている方は、
よく考えて受けてください。
医学講座
第81回日本形成外科学会北海道地方会①
昨日(平成23年2月19日)、
第81回日本形成外科学会北海道地方会がありました。
地方会(ちほうかい)というのは、
その地方の先生が主に集まる学会です。
形成外科学会には、
東京地方会、
関西地方会などがあります。
■ ■
若い先生が多く、
私でも古い方になってしまいました。
北海道地方会は、
秋と冬に年2回あります。
その他、
東北地方会と合同で、
夏に1回あります。
■ ■
昨日の北海道地方会の発表で、
一般の方に参考になるを書きます。
斗南病院形成外科の、
石川耕資先生のご発表。
小陰唇嚢胞性(しょういんしん_のうほうせい)リンパ管奇形の1例
10代の女性。
小学生の頃から、
片方の小陰唇だけが膨らんできました。
■ ■
誰にも相談できなかったのでしょう。
病院にかかった時には、
直径8cmにもなっていました。
歩くのにも支障があったと思います。
片側の小陰唇だけが、
異常に膨らんでしまうのは…
明らかに病気です。
■ ■
小学生の頃に気づいても…
恥ずかしいから親にも相談できません。
私が市立札幌病院で診た、
幼稚園の女の子でも、
恥ずかしがってみせませんでした。
男の子でも同じです。
陰部の病気は病院にかかるのも嫌です。
■ ■
斗南病院にかかった女性は、
小陰唇が袋状に腫れる病気でした。
中にはリンパ液が溜まっていました。
あまり多い病気ではありませんが、
形成外科医をしていると、
一生に何回かは診ることがあります。
この女性も手術で正常になりました。
■ ■
形成外科専門医でも、
一生に一度か二度しか見ない病気もあります。
手術で快くなりますが、
病気になった本人は、
不安で仕方がないと思います。
場所が場所だけに、
親にも相談できません。
ネットで検索できる時代になりました。
困っている方は、
是非、お近くの形成外科へご相談ください。
院長の休日
健康優良爺、賞もらう
平成23年2月19日、朝日新聞朝刊、
【男のひといき】への投稿です。
健康優良爺、賞もらう
時々、今の私自身について自問することがある。
「幸せすぎるのでは」と思うのだ。
まず、この年齢にして働ける職場が現実にあるということ。私の妻もパート勤めをしており、2人してすこぶる健康だ。
そして、働き終えて帰宅したとき、2人の孫が我先に飛びついてくる瞬間があること。仕事疲れもどこへやら。ひとときの幸せを覚える。
昨年の暮れに、孫と娘夫婦からクレヨンでの手書きの賞状を受けた。その名も「健康優良爺賞」である。記念品として、ビール一箱ももらった。
定年後も働き続け、風邪の神も私には近寄らず、まったくの健康老人だ。国民健康保険も払い放しで、自分では医療費を使ったことはほとんどない。微々たる金額だが、社会貢献していると自負している。
私は幼少の頃から、職業軍人だった父から、健康の秘訣をたたき込まれた。小学校時代、健康優良児として表彰され、わんぱくそのものだったことが脳裏によみがえる。
だから字は「児」から「爺」へと変わっても、この賞状は特にうれしい。
孫と遊ぶのではなく、遊ばれている私。これからも幸せなひとときを続けるためにも、健康に努力すると同時に、脳活に不可欠な新聞とにらめっこすることを心がけたい。
(岐阜県各務原市 吉田光司 会社員 70歳)
(以上、朝日新聞から引用)
■ ■
実にうらやましいお話しです。
私は健康優良児どころか、
健康不良児でした。
病気ばかりしていました。
子どもの頃に入院もしました。
わんぱくではなく、
いじめられっ子でした。
■ ■
自分でもよく医者になったものだと思います。
70歳でも現役で働かれ…
お嬢さんご夫妻と同居?されて…
帰宅されると…
お孫さんが飛びついてくるなんて…
私の周囲にはなかなかありません。
■ ■
幼少の頃から、
職業軍人のお父様に、
どんな健康の秘訣を…
たたき込まれたのかわかりませんが、
いつの時代でも、
健康が一番大切です。
私も健康優良じいになりたいです。
医学講座
体型と手術
院長日記にご質問をいただきました。
質問です。
整形後に体重が増えてしまうと
ラインも薄くなるのでしょうか?
また、減ると不自然になるのでしょうか?
手術を受ける前に
体重を理想の数字にしてから受けるべきか悩んでいます。
回答お願いします。
■ ■
私の回答です。
目の脂肪と眼瞼下垂症という院長日記を
2009年3月19日に書いています。
体重の増え方にもよりますが、
体重が10㎏も増えて、
目に脂肪がつくとラインは狭くなります。
時間に余裕があるのでしたら、
理想体重に落としてから手術を受け、
その後もその体重を維持すべきです。
■ ■
外科医にとって…
皮下脂肪が厚い人の手術は大変です。
痩せた方の何倍も苦労します。
消化器外科も
乳線外科も
婦人科も同じです。
皮膚にメスをいれた後で、
分厚い黄色の脂肪層が…
ど~んと待っています。
■ ■
手術用の手袋は、
脂肪でべとべとになります。
食器洗いのゴム手袋に、
マーガリンがついたような状態です。
手術用の器械も、
脂ですべります。
何も良いことはありません。
■ ■
消化器外科ですと、
皮下脂肪の後に、
腸間膜にも厚い脂肪がついています。
腸間膜の中の血管が、
見えないくらいついている人もいます。
脂肪が多い人の手術は、
できれば避けたいのが…
外科医の本音です。
■ ■
形成外科や美容外科の手術は、
緊急を要するものは稀です。
標準体重に近づけてから…
手術を受けていただき、
手術後もその体重を維持することが大切です。
痩せるのは難しいですが、
美しくなるためです。
■ ■
一年で50㌔減量
100円で痩せる方法
体重コントロールの重要性
外見は変えられます
美と健康の維持
↑過去の院長日記にも…
たくさんの記事を書いています。
ぜひ、がんばって…
標準体重になさってください。
医学講座
性器の色
性器の色を気になさる方は、
意外と多いものです。
ネットで検索しても、
たくさんの回答が出てきます。
大部分は…
成長にともなうもので、
気にする必要はない
…と書かれています。
■ ■
確かに…
心配する必要がないものもあります。
札幌美容形成外科には、
小陰唇縮小手術で、
多くの患者さんが来院されます。
小陰唇が出ているために…
炎症を起こして…
炎症後色素沈着(えんしょうごしきそちんちゃく)
になっていらっしゃる方が大部分です。
■ ■
同じような炎症後色素沈着は、
わきがを気にして…
制汗剤のつけすぎでもなります。
ちょっとした色でも…
気になるものです。
治せるものなら、
治した方が快適です。
■ ■
軽度の炎症や色素沈着でしたら、
以前にご紹介した、
アズノール軟膏でも快くなります。
色を取るというより、
炎症を抑(おさ)えることにより、
少しずつ色がよくなります。
強いお薬ではないので、
使い続けても心配ありません。
■ ■
札幌美容形成外科では、
小陰唇縮小手術の後で、
このアズノール軟膏を差し上げています。
ビキニ奥のレーザー脱毛も、
一回無料で施術しています。
そうすることで…
快適に生活することができます。
■ ■
レーザー脱毛や手術は保険外ですが、
かぶれに出すお薬は保険適応です。
アズノール軟膏より強い軟膏もあります。
皮膚科でもいただけます。
性器の色や形は、
誰にも相談できません。
悩んでいらっしゃる方には、
信頼できる医療機関で治療をおすすめします。
院長の休日
がんばる中高年
私が…
疲れたなぁ~
くたびれたなぁ~
と言うと…
奥さんから…
何言ってんの…!
大浦先生をご覧なさい。
…と言われます。
■ ■
大浦先生は、
私の恩師であり、
私たち夫婦のお仲人です。
大浦武彦先生。
昭和6年5月11日生まれ、
今年、満80歳になられます。
ばりばりの現役です。
世界中を飛び回っていらっしゃいます。
■ ■
聖路加の日野原先生のように…
年齢を感じさせない…
バイタリティーがあります。
北大を定年退官なさった後で、
日本褥瘡学会を設立されました。
今も、
日本中…
世界中で公演をなさっていらっしゃいます。
■ ■
PCも駆使されて、
ノートパソコンを持ち歩いていらっしゃいます。
今更ながら…
私は素晴らしい先生にめぐりあったと…
いつも感謝しています。
私にとって大浦先生は…
医師としての師であり、
人生の師です。
■ ■
大浦先生の真似は無理でも、
私も…
がんばる中高年の一人として、
少しでも世の中のお役に立ちたいと考えています。
健康に気をつけて…
無理をしないで…
他人からちょとは感謝されるように…
働きたいと思っています。
院長の休日
中高年の役割
私は現在56歳です。
今年の9月で57歳になります。
間違いなく、
おじさんです。
もう少しすると…
おじいさんです。
少々くたびれています。
■ ■
50歳を過ぎると…
救急や…
当直はできません。
徹夜の手術もできません。
夜勤なんか…
到底無理だと思います。
開業医になってよかったです。
■ ■
体力的には、
若い人にはかないません。
としだなぁ~
と思うこともあります。
中高年になると、
身体のあちこちにがたがきます。
■ ■
でも…
中高年には…
中高年の役割があります。
若い人が知らないことを知っています。
若い人が経験していない、
いろいろなことを経験しています。
■ ■
まだ、もう少し…
私の経験でも役に立ちそうです。
若い先生が手術をして…
治らなかった患者さんを…
診ることがあります。
私が治せるものは…
できるだけ努力しています。
■ ■
30年の間に…
さまざまな経験をしました。
いざという時に…
この経験が役に立ちます。
ニューヨークで、
奇跡の不時着をした機長さんも、
50代でした。
■ ■
少し型式は古くて…
がたがきていていも…
ちょっとずつお直しをして、
元気なふりをして…
がんばって働いています。
バレンタインデーに…
プレゼントをいただきありがとうございました。
医学講座
中高年の手術
昨日は、
中高年のワキガ手術を書きました。
私たち中高年は、
50年以上も身体を酷使しているので、
いろいろなところにがたが来ます。
私の眼瞼下垂症も、
まぶたの皮膚が…
余って垂れ下がってきたためです。
■ ■
手術後の腫れは…
中高年になると…
若い人とは違います。
大竹先生のような…
名医が手術をしてくださっても…
必ず腫れます。
年齢のためです。
■ ■
20歳台の若い人の眼瞼下垂症は、
皮膚のあまりがないので…
短い切開で済みます。
たとえ腫れても…
回復も早いです。
20代と50代を比べると…
腫れは2倍以上違います。
切る長さも違います。
■ ■
50代と80代を比べると…
こちらも腫れに違いがあります。
80代になると…
皮膚はますます薄くなり…
血管ももろくなります。
同じ手術をするなら…
50代の方が回復も早いです。
■ ■
年齢とともに出た変化を…
医学の力を借りて…
若い時のように戻すのは、
私は良いことだと考えています。
形成外科や美容外科は外見ですが、
ホルモン補充療法などで…
身体の中から治すことも可能です。
■ ■
中高年の手術は…
若い人より回復に時間がかかりますが、
まだまだ手術で元気になれます。
私は…
どこか不具合が出たら…
治せるものは積極的に治すのが…
その人の人生にプラスになると考えています。
医学講座
中高年のワキガ手術
最近…
私と同年代…
つまり50台後半の方から…
わきが手術について、
相次いでご相談がありました。
私の年齢でも…
手術は可能でしょうか?
■ ■
残念ですが、
50歳以降にわきが手術をすると…
極端に治りが悪くなります。
2009年5月に書いた…
わきが手術と年齢③
わきが手術と年齢④
…という院長日記に詳しく書いてあります。
■ ■
わきが手術は、
ワキの皮膚を薄く削る手術です。
若い人の皮膚は、
張りがあって丈夫です。
少々傷をつけても、
治りが早いです。
■ ■
われわれ中高年の皮膚は、
弾力がなくなっています。
皮膚も若い人より薄くなっています。
中高年でもワキガ手術はできますが、
皮膚が硬くなりやすいです。
赤味も長く続きます。
つっぱり感が続くこともあります。
■ ■
五十肩という言葉があります。
中高年になると、
肩関節も弱くなります。
わきが手術の後には、
脇を固定します。
固定を解除した後の…
リハビリが大変です。
■ ■
50歳台でわきが手術をしたい…
お気持ちも理解できます。
40台までは…
子どもにお金がかかり、
仕事にも余裕がありませんでした。
ふと気づくと…
今まで生きて来た年月より…
残された年月が少なくなりました。
■ ■
死ぬのはいいけど…
臭いまま死ぬのは…
周りの人に迷惑をかけたくない…
…と考えるようになります。
お気持ちはとてもよく理解できます。
私も…
汚くなって死ぬのは嫌です。
■ ■
どうしても手術をお考えの方には、
片側ずつの手術をおすすめします。
休みも長めに必要です。
脇の皮膚の回復に時間がかかります。
半年毎に片方ずつ…
一年計画でなさる方もいらっしゃいます。
ワキガで悩んでいらっしゃる方には…
高校卒業から20歳台前半に…
手術を受けることをおすすめします。
医療問題
薬のもらい方
昨日の院長日記、
調剤薬局の選び方に…
さくらんぼさんからコメントをいただきました。
とても参考になりました。
私たち医師は、
処方箋を出すことはあっても…
薬局に行って薬をもらうことはまれです。
■ ■
現在の医学教育の中で、
医療面接という実習があります。
OSCE(おすきー)と呼ばれています。
模擬患者さんを診察して、
適切に対応できたか…?
判定されます。
■ ■
患者さんと面接する練習はあっても、
会計をして、
調剤薬局へ行って…
お薬をいただく…
…なんてのは…
自分が患者にならなければ経験しません。
■ ■
FAXサービスも、
大きな病院では、
薬剤師会などの公的な機関が、
公平に行っています。
私たち開業医が…
特定の薬局へ誘導すると、
ペナルティがあります。
■ ■
大手の調剤薬局は、
どこも薬剤師不足です。
ネットで『薬剤師_求人』と入れると…
すごい数の求人が出てきます。
調剤薬局間の競争も激しいようです。
私が学生だった頃には、
個人の調剤薬局もありましたが、
今は全国チェーンが主流のようです。
■ ■
クリニックと薬局は無関係なので、
同じビルの薬局にこだわらず、
さくらんぼさんのように、
個人病院の近くにある、
親切な薬局を、
かかりつけ薬局にしておくと、
嫌な思いもせずに、
早くお薬をいただけると思います。