院長の休日
クライマーズ・ハイ
今日は休診日だったので、
映画を見に行きました。
クライマーズ・ハイです。
映画は、めったに見に行きません。
この映画はたまたま、
朝のTV、とくダネ!で紹介されていたので
行ってみました。
■ ■
映画を見に行くまでは、
日航ジャンボ機事故の映画だと思っていました。
たしかに、ジャンボ機事故の映画でしたが、
内容は新聞社の内部事情。
編集局と販売部の関係など、
私にとっては興味深いものでした。
■ ■
映画は高いものだと思っていました。
行っても混んでいて、
なかなか希望する席に座れないと思っていました。
ところが、
夫婦50割引という割引がありました。
夫婦のどちらかが50才以上で、
同じ上映回を鑑賞の場合は一人1,000円です。
年をとって、いいこともあるものです。
■ ■
今日は家内と行ったので、
二人で2,000円でした。
しかも、
前の日に券を買い、
座席指定までしてくれました。
並ぶ必要もなく、
とても快適に映画鑑賞ができました。
ネットで予約もできるようです。
■ ■
クライマーズ・ハイはいい映画でした。
日航機の墜落現場も、
新聞社の雰囲気も、
実にリアルに再現されていました。
映画館の音の良さにも驚きました。
自宅でDVDやビデオを見るのとはエライ違いです。
椅子も快適でした。
■ ■
クライマーズ・ハイを見て感じたこと。
これから新聞社に就職を希望している、
学生さんに見て欲しいと思いました。
新聞製作の大変さを感じました。
他紙を‘抜く’ことの大変さ。
地方紙と全国紙の戦いなど…。
またあらためて…
日航機事故で亡くなられた方や
ご家族の無念さを感じました。
夫婦二人で2,000円でしたら、
また別の映画も見に行こうと思いました。
今日はよい一日でした。

JR札幌駅
ステラプレイス7階
札幌シネマフロンティア
院長の休日
ラベンダー満開
札幌ではラベンダーが満開です。
先週、伺った中富良野のファーム富田では、
残念なことに、
まだ蕾(つぼみ)でした。
昨年は、7月2日の日記で、
札幌のラベンダー開花を、
お伝えしています。
■ ■
春先の桜やチューリップは
驚くほど早く開花しましたが、
その後は、平年並みに戻っているようです。
今年もラベンダーに関しては、
ほぼ例年通りの開花です。
昨年まではラベンダーを自分で育てていましたが、
引越してしまったため、
今年は、残念なことに…
自分で育てたラベンダーはありません。
ちょっとさびしいです。
■ ■
意外に思われるかもしれませんが、
JR札幌駅周辺にもラベンダーがあります。
そのラベンダーを眺めて(ながめて)います。
まず、札幌駅南口には、
鉢植えのラベンダーがあります。
JR北海道などの企業が、
毎年、鉢植えを置いています。
■ ■
札幌駅北口には、
地植のラベンダーがあります。
観光バスの乗降場と
路線バスの乗り場になっている広場があります。
その広場の東側に、
ラベンダーが植えられています。
■ ■
平成20年5月28日の日記でご紹介した、
アマとホップのフラワーロードがある、
札幌駅北口のマンションの前の道に、
アマと一緒にラベンダーが植えられています。
こちらも地植えのラベンダーです。
南口の鉢植えラベンダーと比べると、
北口のラベンダーが断然元気です。
■ ■
札幌は緑が多く美しい街です。
ラベンダーは手入れも簡単で、
毎年、キレイな花を咲かせてくれます。
札幌の気候はラベンダーに適しています。
もっと札幌市内にラベンダーが
増えるとよいと思います。
■ ■

札幌駅南口
鉢植えのラベンダー
2008年7月6日撮影
ちょうど今が満開です

札幌駅北口
マンションの前にあるラベンダー
他のお花も咲いています
2008年7月6日撮影

札幌駅北口
バスターミナル東側の
ラベンダー
2008年7月7日撮影
医学講座
ラベンダーの効果
平成20年7月8日、北海道新聞朝刊の記事です。
防虫効果に注目
中欧でラベンダー人気
高血圧対策にも
道内でまもなく見ごろを迎えるラベンダーが
オーストリアなど中欧でも人気を集めている。
自然志向の生活スタイルが広まり、
人工的な薬品を使った芳香剤が敬遠される一方、
ハーブ(香草)が持つ防虫効果や
鎮静作用が見直されている。
■ ■
中欧では11世紀ごろから、
ラベンダーを防虫剤や
入浴剤として使ってきた。
1970年代以降、
化学薬品を使った
防虫・芳香剤が増えたが、
気分が悪くなるといった声が
少なくなかった。
■ ■
近年、ラベンダー茶には
血圧を下げるとともに、
熟睡作用もあるとの評判が高まり、
「夏の伝統的ハーブ」である
ラベンダーを買い求める人が増えた。
ウィーン周辺では
6月中旬から出荷が始まった。
■ ■
クッチュケル市場の花屋で働く
グーセンさん(16)は
「客は3年で倍増し、
毎日20鉢は売れる。
観賞し終わったら
タンスの虫よけに使うのが一番」
と話していた。
(ウィーン・石井群也、写真も)

乾燥ラベンダーを詰めた
オーストリア伝統の
防虫剤や入浴剤を手に、
効用をPRするグーセンさん
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
北海道新聞の記事に書かれているように、
ラベンダーには、
精神安定、防虫、殺菌の作用があるそうです。
アロマセラピーのHPには、
次のように書かれています。
ラベンダーは、
怒りを和らげ、
疲労を回復し、
精神的なことや
人間関係の改善化にも役立ってくれる。
また、ラベンダーは、
中枢神経系のバランスをとる作用があるため、
躁うつ症的な症状にも効果を発揮します。
■ ■
確かに…
怒りんぼの私に
ラベンダーはよく効きます。
毎朝、
ラベンダーオイルを、
院内の芳香器(香りを出す器械)
に入れていると幸せな気分になれます。
昨年までは自分で育てていました。
ラベンダーを花を刈る時だけではなく、
雑草を取る時でも、
ラベンダーの木や茎に触れると、
良い香りがしていい気分になれます。
■ ■
睡眠薬や抗うつ剤には、
副作用がありますが、
ラベンダーでしたら、
副作用の心配もないと思います。
世の中、
辛いことがたくさんあります。
ラベンダーで心を癒してもらいます。
未分類
投機マネーの制御
平成20年7月5日、朝日新聞朝刊の記事です。
私の視点
投機マネーの制御に踏み出せ
寺島実郎(てらしまじつろう)
日本総合研究所会長
世界経済は、構造転換を余儀なくされている。
そのことが
北海道洞爺湖サミットで
見えてくるような予感がある。
■ ■
日本は戦後、
食糧とエネルギーを外部に依存して
産業を発展させてきた。
世界最大の食糧純輸入国として
バーゲニングパワーを発揮してきたが、
空気は一変した。
マネーゲームによって食糧、原油価格が高騰し、
経済は大きく揺さぶられている。
■ ■
先日、ロンドンでヘッジファンドの
運用責任者の話を聞いた。
運用資金の4分の1は日本から来ているそうだ。
超低金利が長く続き、
日本の金融資産が海外に流出。
食糧、原油の高騰を加速させ、
自ら首を絞めている。
プラックジョークだ。
日本は被害者という構図ではない。
■ ■
世界では、
サププライムローン問題を引き金に
金融不安が高まった。
欧米の金融当局は、
信用不安を恐れて金融を緩和。
すると投機マネーが世界を駆けめぐり、
物価を上昇させた。
■ ■
インフレ懸念が台頭するが、
景気後退が気になり、
金利を上げられない。
世界経済は身動きがとれず、
金縛りにあっている。
■ ■
金融不安は、グローバル化の影ともいえる。
グローバル化による資本の移動の自由が、
実需以上に金融を肥大化させ、
サププライムではじけた。
■ ■
サミツトの最重要議題は、
こうした金融市場の混迷と、
地球社会が長期で立ち向かう
地球温暖化の問題だろう。
金融と環境を両にらみで、
どう制御するかが問われている。
■ ■
私が考える解決策は二つだ。
一つは、450兆㌦ともいわれる
国境を越えた為替取引に、
国際機関が広く薄く
「国際連帯税」を課税して、
マネーゲームを縛る。
税収は、途上国への環境関連技術の移転や、
南極や北極の環境対策の財源にする。
■ ■
もう一つは、
日本としては食糧自給率の向上により
原油高騰と温暖化に立ち向かう。
自給率が高まれば、
輸入時の輸送に伴う燃料消費と
二酸化炭素の排出を抑制できる。
価格高騰への耐性も強まる。
日本が蓄積してきたバイオやナノテクの産業技術を
農業に生かす視点も大事だ。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
今日から北海道洞爺湖サミットがはじまりました。
札幌駅周辺にも、たくさんの警察官が、
全国から応援に来ています。
北海道は景気低迷。
日本の株式市場も低迷してます。
■ ■
ガソリンをはじめとして、
パンからお弁当まで値上がりしています。
農業に必要な肥料代金も
大幅に値上がりすると報道されていました。
環境問題よりも、
もっと身近な生活がかかっている問題を
サミットで取り上げて欲しいと思います。
■ ■
投機マネーが
物価上昇の原因とはわかっていましたが、
アラブのお金だけではなく、
日本からの投機マネーが、
海外で悪さをしているとは知りませんんでした。
本当にブラックジョークです。
■ ■
私は、投機マネーに対する課税に賛成です。
額に汗をかいて、
手に豆をつくって、
一生懸命働いた人が、
幸福になれるのが、
住みやすい国です。
■ ■
人々が、
安心して生活できる国。
正直者がバカをみない国。
努力が報われる国。
健康で文化的な生活が営める国。
そんな国にしてください。
サミットに参加している首脳に、
この声を聞いて欲しいものです。
院長の休日
ファーム富田EAST
2007年11月18日の日記でご紹介した、
ファーム富田の新しいラベンダー畑です。
先日の休診日に行って来ました。
数年前のファーム富田のカレンダーに、
見慣れない場所が写っていたような気がしました。
中富良野へ行く度に…
どこだろう???
と探していました。
■ ■
かなり近くまで行っていたのですが、
昨年の夏までは見つけられませんでした。
平成20年6月20日にオープンしました。
場所はファーム富田から3.8㌔。
ファーム富田から見える、
富良野盆地の反対側に近いところです。
■ ■
今年は駐車場や売店が整備されました。
残念なことに、
自動車がなければ…
ファーム富田から、
歩いて行ける距離ではありません。
住所は
上富良野町東6線北16号です。
■ ■
ファーム富田は中富良野町(なかふらの)です。
EAST(イースト:東の意味)は、
おとなり町の上富良野町(かみふらの)です。
EASTは、起伏がない畑なので、
多少、歩行が困難な方でも
ラベンダーを楽しめると思います。
国道237号から
ファーム富田と反対方向へ入ります。
EASTへ向かう道は、
農道という感じの道です。
■ ■
入口の看板は見落としやすそうです。
地図を頼りに、
注意して行って下さい。
私が訪ねた7月2日は、
まだ観光客も少なく、
駐車場もガラガラでした。
早咲きの濃紫早咲という品種が
咲く直前というところでした。
■ ■
ドライフラワーにするのでしたら、
咲く前の蕾(つぼみ)のうちに刈り取ります。
これが花が落ちない秘訣です。
これからラベンダーが美しい季節です。
さわやかな北海道のラベンダーを見にいらしてください。
とても良い香りがします。
札幌美容形成外科の玄関にあるラベンダーは、
ご自由にお持ち帰りください。
ダックスさん、お待ちしています!

ファーム富田EAST
2008年7月2日
医学講座
お肌の大敵増加中
平成20年7月5日、
北海道新聞朝刊(札幌版)の記事です。
お肌の大敵増加中
紫外線量
上空の浄化が原因?
紫外線(UV)を避けるため、
日傘を差す女性が目立つ時季。
札幌で観測されるUV量が、
昨年までの十年間で約一割増えたことが、
札幌管区気象台の調査で分かった。
人体に影響を与える程ではないが、
同気象台は原因を
「札幌上空の空気がきれいになったからでは」
とみている。
■ ■
同気象台によると、
UVが人体に与える影響度合いを示す
紅斑紫外線量は年々増加し、
昨年の平年値は十年前に比べ、
一平方㍍当たり0.16㌔ジュール多い
1.57㌔ジュールだった。
■ ■
UVはオゾン層で多くを吸収されるが、
札幌上空のオゾン層は、
地表に集めた厚さに換算すると、
2007年までの十年間で0.15㍉厚くなった。
このため、
同気象台観測課は
「UVの増加とオオゾン層の因果関係は
考えづらい」とする。
■ ■
一方、UVの増減は、
成層圏の濁り具合にも影響される。
近年では
1991年にフィリピンのピナトゥボ山が大噴火し、
広い範囲で成層圏が濁った。
だが、
大規模噴火はそれ以降なく、
同気象台は
「成層圏の空気が少しずつきれいになり、
札幌のUVが強まったのだろうう」
と話している。
■ ■
同気象台はホームページで毎日、
UV情報を発表しており
「肌守る参考にしてほしい」
と呼びかけている。(上田貴子)
(以上、北海道新聞より引用)
■ ■
気象台のHPをはじめて見ました。
UV情報の他に
お花の情報まであるようです。
ちなみにUV情報は気象庁のHP。
気象台のHPは、
札幌管区気象台です。
これから活用させていただきたいと思います。
■ ■
UVはお肌の大敵です。
私は帯広厚生病院で
形成外科部長を3年間務めました。
十勝地方は日照時間が長く、
北海道の食糧生産では、
大きな役割を果たしている大生産地です。
■ ■
帯広厚生病院形成外科では、
たくさんの皮膚ガンの手術をしました。
十勝地方で
長く農業を営まれた方の顔には、
たくさんの紫外線が当たっています。
その結果、高齢になられてから、
皮膚ガンになられる方が多いと思いました。
■ ■
医学的な統計をとったのでありませんが、
形成外科医としての長年の勘です。
今は札幌でも紫外線が強い時期です。
お化粧をしなくても、
UVカットだけはなさってください。
朝のゴミ出し。
ワンちゃんの排泄や散歩。
UVはちょっと油断すると、
すぐにお肌を焼いてしまいます。
くれぐれもお気をつけください。

札幌で紫外線が強まるなか、
日傘を差して
肌を守る女性たち
札幌市中央区
(北海道新聞より引用)
院長の休日
3回目の旭岳登山
平成20年7月3日(木)に
また旭岳に登山してきました。
今回で3回目です。
前回と同じように、
姿見の池までは
旭岳ロープウェイで上りました。
■ ■
11:45分発のロープウェイに乗車。
約10分ほどで着きます。
ロープウェイの中では、
ビデオで旭岳の自然について解説してくれます。
日本で最初の国立公園だそうです。
■ ■
登山で一番気になるのが天候です。
下から山頂が見えていても、
突然、雲に隠れてしまうこともあります。
今回は、快晴ではありませんでしたが、
最初から最後まで視界は良好でした。
■ ■
ロープウェイが到着すると、
自然保護監視員の方から説明があります。
遊歩道のマナーや
歩き方の注意事項などを説明してくださいます。
自然が大好きなお兄さんたちが
優しく丁寧に説明してくださいます。
■ ■
11:55に入山記録に署名して出発しました。
姿見の池まで、
整備された遊歩道を歩きます。
姿見の池まででしたら、
スニーカーでも大丈夫です。
(ヒールの靴は無理です)
■ ■
今年は雨が少ないせいか、
山頂までの道は歩きにくかったです。
昨年購入した靴が活躍しました。
すれ違う方たちと、
『こんにちは』
と挨拶を交わしながら上ります。
■ ■
街ですれ違っても、
挨拶はしないのに、
山道では挨拶をします。
知らない人同士でも、
友だちになったような感覚で、
挨拶をするのは気持ちの良いものです。
■ ■
今年は足元が悪かったために、
1時間50分で山頂に着きました。
3回目にしてはじめて、
山頂から360度の大パノラマが見えました。
登山は辛いですが、
山頂に着いた時の達成感が、
また山に登ろうという気にさせるのだと思います。
■ ■
帰りに姿見の池付近の
お花畑を見てきました。
お花だけを楽しむのでしたら、
山頂まで上る必要はありません。
小さくてかわいいお花がたくさん咲いていました。

旭岳山頂
後方に見えるのが
姿見の池です

チングルマ

ツガザクラ
医学講座
ヤケドとシミの関係
日本熱傷学会の話題ではありません。
ヤケドとシミのお話しです。
役に立つ、ヤケド講座です。
昨年も書いたことがあります。
おさらいです。
■ ■
天ぷら油がはねて、
ヤケドをすることがあります。
そこから、
シミになったという方が
たくさんいらっしゃいます。
■ ■
これは、
‘炎症後色素沈着’というシミです。
天ぷら油のヤケドは、
Ⅰ度か浅いⅡ度熱傷です。
上手に治療すると、皮膚は治ります。
ところが治った皮膚は赤くなっています。
皮膚が赤い間に、紫外線に当てると、
そこに色素沈着(シミ)ができます。
手術後のキズも同じです。
■ ■
このシミを防ぐためには、
紫外線が当たらないようにします。
一番確実なのは、
ガーゼの間に
銀紙(アルミホイルやチョコの包装紙)
を挟んで、
これをテープで固定することです。
遮光(しゃこう)と呼びます。
■ ■
レーザーで
高いお金を払ってシミを治したのに…
かえって悪くなったと
怒っている方がいらっしゃいます。
大部分は、
しっかり遮光をしなかったために、
紫外線が当たってできた
‘炎症後色素沈着’です。
■ ■
キレイに治すには…
赤みがある間は
光に当てないようにします。
札幌美容形成外科では
カバーマークという化粧品をお薦めしています。
もともと子供のアザを隠すために
開発された商品です。
私が医師になった25年前からありました。
■ ■
デパートで売っているカバーマークとは違います。
特定の美容室やクリニックでしか売っていません。
市販の日焼け止めより抜群に効果があります。
SPFという紫外線防御指数の値は50です。
■ ■
このカバーマークがよいのは、
塗った色がついている間は
効果があることです。
他の日焼け止めクリームは、
汗をかいて落ちてしまったり、
ハンカチで汗を拭いて落ちてしまっても、
落ちたこと自体がわかりません。
カバーマークは、
ゴルフなどの時でもばっちりです。
医学講座
第34回日本熱傷学会②
日本熱傷学会の続きです。
われわれ形成外科医や救急医にとって、
ヤケドをキレイに治すのは至難のワザです。
昨年の熱傷学会の報告でも書きましたが、
ヤケドのことについて
もう一度、おさらいをします。
■ ■
ステーキを注文すると焼き加減を聞かれます。
・レア、
・ミディアムレア、
・ミディアム、
・ウエルダン。
ヤケドも
・Ⅰ度、
・浅達性Ⅱ度、
・深達性Ⅱ度、
・Ⅲ度、
と分類されます。
日焼けしてピリピリ痛いのがⅠ度、
水胞ができるのがⅡ度、
皮膚が全部焼けてしまったのがⅢ度です。
■ ■
問題なのはⅡ度のヤケドです。
キズ痕が残るか残らないかは、
いかにヤケドの処置を、
上手にするかどうかで決まります。
Ⅱ度のヤケドには水疱ができます。
この水ぶくれは、破らずに処置をします。
そうすると、
中から新しい皮膚ができてきます。
■ ■
昨年の日本熱傷学会で
フィブラストスプレーという薬が、
ヤケドをキレイに治すという発表がありました。
遺伝子組み換えのバイオ技術で作った製品です。
この薬を、子供のヤケドに使ったところ、
普通なら絶対に痕が残るヤケドなのに
キレイに早く治ったのです。
すごいことです。
■ ■
今年もたくさんの施設から、
このbFGF(ベーシック・エフジーエフ)という薬が
子供のヤケドに効くという報告がありました。
広島県の皮膚科の先生は、
詳しくまとめて報告されていました。
大学の先生からも評価されていました。
■ ■
問題なのは、
熱傷学会で早くキレイに治ることがわかっても、
保険診療でこの薬をヤケドに使うことができません。
厚生労働省が認可していないからです。
もっと悪いことに、
薬の説明書にはヤケドにも子供にも使わないようにと
記載されています。
とても残念なことです。
■ ■
一本一万円以上もする薬ですが、
それだけの価値があります。
厚生労働省に働きかけて、
早く正式に認可していただきたいと思います。
製薬メーカーにも頑張っていただきたいです。
医学講座
第34回日本熱傷学会①
平成20年6月28日(土)と29日(日)に
名古屋で第34回日本熱傷学会が開催されました。
私が医師になった、
昭和55年(1980年)に、
札幌で第6回日本熱傷学会が開催されました。
28年間の進歩というのは、
素晴らしいものです。
■ ■
今回の学会では、
聖マリアンナ医科大学形成外科の
熊谷憲夫教授の招待講演がありました。
‘皮膚再生医療による創傷治療’
というタイトルでした。
熊谷先生は、
日本における培養表皮移植のスペシャリストです。
今回の講演でも、
培養表皮移植の素晴らしさを見せていただきました。
■ ■
熊谷先生の講演をお聞きして、
正直なところ、
培養表皮移植を見直しました。
オブラートのように薄い培養表皮で、
よく治せるものだ…
というのが、
私の感想です。
■ ■
何度も書いていますが、
ふつうの人は、
培養表皮移植をすると、
どんなにひどいヤケドでも、
元のツルツルのお肌に戻せる…
と‘誤解’されます。
実際に、焼けただれてしまった皮膚を、
元に戻せるのではありません。
■ ■
今回の熊谷教授の講演をお聞きして、
先人の培養表皮に対する思い。
培養表皮移植の歴史。
現在の培養表皮移植の状況が、
とてもよくわかりました。
まだまだ私たち開業医が、
手軽に利用できる状況ではありませんが、
熊谷教授の聖マリアンナ医大形成外科でしたら、
世界一の治療が受けられます。
■ ■
私たち形成外科医が、
一番頭を悩ますのが、
ヤケドのキズ痕です。
若い女性に、
広範囲にヤケドの痕が残っている。
なんとかキレイにしてあげたいと思っても、
なかなか、
元のツルツルのお肌にはできません。
■ ■
もちろん培養表皮を使っても、
完全に元通りにはできません。
熊谷教授がスライドで見せてくださった症例は、
今まで私たちが考えていたより、
ずっとキレイになっていました。
費用も時間もかかりますが、
聖マリアンナ医大形成外科へ行けば、
かなり改善できると思います。
■ ■
神様がおつくりになった皮膚には、
表皮だけではなく、
真皮も、
毛も
汗腺も
神経も
皮脂腺などの付属器もあります。
培養できるのは、
今のところはこの一番上の
表皮だけです。
■ ■
将来、
表皮以外の皮膚成分も培養できるようなれば、
ヤケドやキズの治療は変わると思います。
火災や事故で
大ヤケドをした人の命を救うのが皮膚です。
救命のためには、
培養表皮だけではなく、
スキンバンクに保存された、
屍体皮膚も必要なのが現状です。