医学講座

血液検査

 札幌美容形成外科では、
 手術を受けていただく前に
 血液検査をしています。
 これは、
 私が総合病院の形成外科医として、
 働いていた時から同じです。
 歯医者さんで抜歯をする時には、
 血液検査をしないようですが、
 病院の形成外科では…
 血液検査をしてから手術をするのが、
 日本ではふつうです。
      ■         ■
 血液検査の内容です。
 CBC(シービーシー)という、
 全血球計算で、
 血液中の
 赤血球、白血球、血小板
 を調べます。
 生化学検査というのもしています。
 肝臓や腎臓の機能をチェックします。
 血糖値も調べます。
      ■         ■
 梅毒、
 B型肝炎
 C型肝炎、
 HIV(エイズ)、
 などの感染症の検査もします。
 手術をして、
 血が止まらなかった困るので、
 凝固系検査というのもします。
 幸いなことに…
 私が今までに検査をした、
 1万例以上の検体で、
 HIV陽性となった例はありません。
      ■         ■
 検査結果が出て、
 手術ができないこともあります。
 昨日書いた…
 糖尿病で手術ができない方。
 札幌美容形成外科の検査で、
 はじめて糖尿病が見つかった方。
 数は多くありませんが、
 未治療の糖尿病患者さんが、
 まだ、かなりいらっしゃると思います。
      ■         ■
 一番多い検査値異常は、
 鉄欠乏性貧血です。
 札幌美容形成外科は、
 女性のお客様が多いので…
 当然といえば、当然の結果です。
 軽度の鉄欠乏性貧血でしたら、
 手術は可能ですが、
 鉄剤(てつざい)という、
 鉄が入った錠剤を内服していただきます。
      ■         ■
 女性は、生理で血が失われるために
 どうしても貧血傾向になります。
 消化管から、
 目に見えないような出血があることも
 考えられます。
 サプリメントで鉄を補給しようとしても、
 お金ばかりかかって、
 効率的に摂取できません。
 食生活に問題がある女性も
 鉄欠乏性貧血になります。
 データーによっては、
 専門医をご紹介しています。
      ■         ■
 お酒の飲みすぎで
 肝機能障害になっている方もいます。
 自覚症状がないために、
 知らずにお酒を飲み続けると
 入院が必要になることもあります。
 男性に多いのが
 高尿酸血症です。
 痛風という病気になります。
 血液検査の結果は、
 簡単な説明の紙と一緒に
 封筒に入れてお渡ししています。
 ささやかなサービスです。
 検査は
 BMLという一流の検査会社に検査をお願いしています。

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医学講座

糖尿病とキズの治り

 糖尿病とは、
 オシッコに糖が出る病気です。
 血液の中に、
 どの位、ブドウ糖が含まれているか?
 という数値を血糖値(けっとうち)といいます。
 ふつうは食後に高くなります。
 糖尿病の患者さんは、
 血糖値が正常の数倍にもなります。
 そうすると、
 多くなった分がオシッコに出てしまいます。
      ■         ■
 難しく説明すると…
 インスリンという
 膵臓から放出されるホルモンが
 少ないと血糖値が上がります。
 インスリンは糖を細胞に取りこみ、
 エネルギーにする作用をします。
 ふつうは、食事をすると、
 膵臓からインスリンが出て血糖を下げます。
      ■         ■
 糖尿病になると…
 キズの治りが悪くなります。
 糖尿病で血管がもろくなり、
 血液の循環が悪くなるためです。
 また、糖尿病になると、
 バイ菌に弱くなります。
 すぐに化膿しやすくなります。
 これも…
 糖尿病でキズが治りにくい原因です。
      ■         ■
 糖尿病になると…
 神経も障害されます。
 感覚が悪くなります。
 ちょっとケガをしても、
 痛みを感じなくなります。
 そうすると…
 小さなケガを繰り返すことになります。
 神経が障害されて、
 男性ではインポテンツになることもあります。
      ■         ■
 糖尿病の方に多いのが、
 足のケガです。
 感覚がないので…
 ケガをしやすく、
 化膿しやすいので悪くなります。
 血液の循環が悪いので…
 キズの治りも悪いのです。
 糖尿病が原因で、
 足を切断することもあります。
      ■         ■
 美容外科のように、
 緊急を要さない手術は、
 糖尿病がコントロールされていないと、
 施術しないのが医師の常識です。
 困るのが、
 本人も自覚していない糖尿病です。
 手術をしてしまってから、
 キズの治りが悪くて
 気づくのでは遅いのです。
      ■         ■
 糖尿病でも、
 しっかりコントロールしていれば、
 手術を受けることはできます。
 札幌美容形成外科では、
 信頼できる糖尿病専門医を
 ご紹介しています。
 糖尿病が原因で
 失明したり、
 人工透析になる方もいらっしゃいます。
 家系に糖尿病の方がいる方…
 メタボ体型の方は
 一度は検査を受けることをおすすめします。

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人に言えない悩み

 人に言えない悩みは
 誰にでもあります。
 私にもあります。
 手術で解決できるような悩みではありません。
 私が人に言えない悩みは
 私の娘のことです。
 弁護士さんにお願いしています。
      ■         ■
 悩みは一人で抱えていても解決しません。
 私は、
 今お願いしている
 弁護士の高橋智先生に出会うまで、
 3人の別の弁護士さんに相談しました。
 今は、高橋先生にお願いして、
 本当によかったと心から感謝しています。
 問題が解決したわけではありませんが、
 私の心の整理ができました。
 精神的に楽になりました。
      ■         ■
 医師とか弁護士は、
 誰もが、一度は憧れる(あこがれる)
 職業だと思います。
 医師や弁護士になるには、
 他人が遊んでいる
 10代~20代前半の時期に
 必死に勉強しなくては試験をパスできません。
 そして、
 実際に医師や弁護士になっても、
 毎日、勉強して、
 常に最新の知識を身につけなければなりません。
 決して楽な職業ではありません。
      ■         ■
 私が高橋先生を選んだのは、
 ある新聞記事と、
 それから先生のお名前を検索して
 先生のHPを拝見したからです。
 HPに書かれていた、
 北大法学部の想い出。
 給湯族
 ~北大にはかつて「給湯族」と呼ばれた若者たちがいた
 この文章を読んで、
 私の青春時代に通じるものを感じました。
      ■         ■
 高橋先生も
 毎日ブログを更新なさっていらっしゃいます。
 私も愛読者の一人です。
 毎日更新する日記にウソは書けません。
 よい事ばかりも書けません。
 医師も弁護士も
 困っている人を助ける職業です。
 私は、高橋先生のHPに出会って、
 本当にラッキーだったと感謝しています。
 私も
 一人でも多く、
 困って…
 『人に言えない悩み』
 を抱えている方の
 力になりたいと思って
 毎日仕事をしています。

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医学講座

薬ののみ方

 耳鼻科の三部先生から、
 ノドのお薬を一週間分いただきました。
 一日3回、
 毎食後に、
 一週間内服です。
 以前から思っていたことですが、
 この一日3回というのが…
 とても難しいですね。
      ■         ■
 ご飯は一日3回食べるものなので、
 食後におのみください
 という仕組みです。
 簡単なようで、
 実に難しいです。
 自分も同じように処方しておきながら、
 勝手なことを言って…
 申し訳ございません。
      ■         ■
 若い方には、
 一日3食を食べない人もいます。
 一日2食にすると、
 どうしても一回分余ります。
 私のようなオッサンになると、
 3食は食べるのですが…
 薬を飲んだか飲まなかったか?
 すぐに忘れてしまいます。
      ■         ■
 薬をいただいてから、
 2~3日は、
 まだ気合が入っているので、
 忘れることはありません。
 薬のおかげで
 症状が快くなってきたかなぁ~?
 と考えている間は、
 忘れることはありません。
      ■         ■
 問題は、
 ある程度症状が改善した時です。
 快くなってくると、
 薬のありがたみを忘れて、
 のむのを忘れてしまいます。
 お恥ずかしい話しですが、
 たった今、
 薬を飲んだか飲まなかったか?
 すら…忘れてしまうことがあります。
 他の事を考えていたりすると、
 この傾向が顕著に出ます。
      ■         ■
 最初のうちは、
 もらったお薬をチェックします。
 12日にいただいて、
 お昼からのみはじめたので…
 1・2・3・4・5と数えます。
 何回のんだか、
 お薬の数でわかります。
 ところが、何日も経ってしまうと、
 数えるのも大変になります。
      ■         ■
 百均へ行くと、
 お薬を曜日や時間毎に分けて、
 それぞれの箱から出してのむような
 仕分け箱のようなものを売っていました。
 この箱でチェックするのも、
 一つの方法です。
 ただ面倒です。
      ■         ■
 私がおすすめする方法は、
 薬の外側の
 プラスチックの部分に
 日付を書く方法です。
 つまり、
 薬局でお薬をいただいたら
 細字の油性ペンで、
 日付をつけます。
      ■         ■
 一日、3回のお薬でしたら、
 12・12・12
 13・13・13
 14・14・14
 15・15・15
 16・16・16
 17・17・17
 18・18・18
 という具合にペンで書くのです。
      ■         ■
 そうすると、
 あぁ、今日は朝のんでいなかった!
 とか、
 昼にのみ忘れたとか、
 すぐにわかります。
 抗生剤(抗生物質)のようなお薬は、
 血中濃度を一定に維持する必要があります。
 昔は8時間毎なんてのみ方もありました。
      ■         ■
 先生によって考えも違うと思いますが、
 私は抗生剤であれば、
 朝、のみ忘れたら、
 昼食後、夕食後、就寝前でも
 よいと思います。
 のみ忘れないのが一番ですが、
 忘れた時は、このようになさってください。
      ■         ■
 女性用のピルなどは
 毎日のみ忘れないように
 お薬事体に、工夫がされています。
 ピルをのみ忘れた時の対処は、
 婦人科の先生にご相談ください。


日付を油性ペンで書きます

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院長の休日

私の夏期休暇③

 夏休み3日間をいただきました。
 ふだんあまりできないことをしようと計画し
 ビデオを借りてきました。
 GEOから7泊8日
 180円のビデオを借りました。
 タイトルは
 『ユナイテッド93』
 (United 93)です。
      ■         ■
 2001年9月11日に
 米国で起きたテロ事件。
 September 11
 セプテンバー イレブン
 の映画です。
 2006年に上映され、
 当時も見たかったのですが、
 時間がなくて見ることができませんでした。
      ■         ■
 わずか180円で
 見れるのですから、
 ありがたいことです。
 私はレンタルビデオ(DVD)を
 借りたことがあまりありません。
 GEOも家内が会員です。
      ■         ■
 『ユナイテッド93』は
 映画そのものも、
 迫力があってよかったですが、
 ビデオには
 ボーナスというのがついているのを
 はじめて知りました。
      ■         ■
 どのビデオにもついているのではない?
 とは思いますが、
 この 『ユナイテッド93』には、
 実際に被害に遭った方の遺族に、
 出演した俳優さんがお会いして、
 遺族と話されているボーナスがついていました。
 ご主人を亡くされて、
 再婚なさった奥様と子どもさんも
 ビデオに映っていました。
 本物だけに、現実の悲しさが伝わりました。
      ■         ■
 もう一つのボーナスは
 監督さんが、
 実際の場面を解説してくださる、
 本編とほぼ同じ1時間40分もの
 ボーナスでした。
 出演した航空管制官や
 客室乗務員、
 パイロットは、
 実際に働いている
 ‘素人’が俳優となり、
 映画に出演なさっと聞き、
 2度驚きました。
      ■         ■
 わずか180円のビデオで、
 これだけ楽しませていただき、
 申し訳ないように思いました。
 それにしても、
 テロはおそろしいものです。
 2001年にはこのテロのため、
 学会会場が変更になったりした記憶もあります。
 平和な国のありがたさを実感しました。

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院長の休日

私の夏期休暇②

 今日は函館からお客様がいらしてくれました。
 元、働いていた病院の看護師さんと
 ご主人が休暇でいらしてくださいました。
 この院長日記をよく読んでくださっています。
 私は、あまりおもてなしが上手ではないので、
 北海道大学構内をご案内しました。
      ■         ■
 札幌駅周辺には、
 女性が好まれる大丸などの百貨店。
 男性が好む、
 ヨドバシカメラやビックカメラなどの、
 家電量販店があります。
 この辺は誰でも行けるので、
 あまり行けない北大をご案内しました。
      ■         ■
 2007年3月1日の日記でも
 北大をご紹介しています。
 北大は札幌駅から歩いて行けます。
 緑が多く、北大に近づくと…
 とても気持ちのよい、緑の香りがしてきます。
 今日は、
 その北海道大学総合博物館
 エンレイソウへ行きました。
      ■         ■
 今日、博物館に行って新しい発見をしました。
 ‘Boys be ambitious!’ 
 (ボーイズ ビー アンビシャス)
 『青年よ大志を抱け』で有名な
 クラーク博士が、
 北大に滞在したのは、
 わずか8ヵ月だったこと。
 帰国後にゴールドラッシュで沸く
 カリフォルニアで金鉱山を経営するが、
 事業に失敗し倒産。
 59歳で亡くなったことを知りました。
      ■         ■
 あのクラーク博士でも、
 晩年は辛かったのかなぁ~?
 と妙に考えてしまいました。
 北海道大学構内は、
 自家用車では立ち入りできませんが、
 徒歩や自転車での入構は、
 どなたでもOKです。
 今日は、
 大学院入学試験を実施していた
 学部もありました。
 札幌へいらしたら一度は足を運んでみてください。

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院長の休日

私の夏期休暇①

 今日から3日間、
 札幌美容形成外科は
 夏期休暇をいただいています。
 私は、年中無休。
 朝から夜まで仕事をしています。
 家内にも文句を言われます。
 いつでも仕事ばかり…と。
      ■         ■
 でも私が経営者で、
 医師は一人しかいないので、
 仕方がないことだと思っています。
 休診日でも、
 緊急の電話には
 対応できるようにしています。
 休みに電話当番をしてくれる、
 優しい職員に感謝です。
      ■         ■
 今日は、耳鼻科に行ってきました。
 4月に風邪から喉をやられました。
 5月に一度、診ていただき、
 一時快くなったのですが…
 どうもノドのイガイガが治りません。
 自分で見える範囲には
 特に異常は見当たりません。
 でも、どう頑張っても…
 下咽頭(声帯)は見えません!
      ■         ■
 今日は、
 以前から家族でお世話になっている、
 琴似の三部(さんべ)先生に
 診ていただきました。
 耳鼻科は、
 形成外科や美容外科とは違い、
 患者さんは子供とお年寄り。
 小さな子が、泣いていました。
 子供の顔をおさえないと、
 耳もノドも鼻も診察できません。
      ■         ■
 昔、耳鼻科外来の看護婦さんが
 とても手早く、
 診察の準備や介助をしていらしたのを、
 想い出しました。
 子供の顔をおさえるのにも、
 コツとポイントがあり、
 ベテランが介助してくれると
 あっという間に終わります。
      ■         ■
 私の順番になりました。
 舌(べろ)をぐっと出して、
 あぁ~と声を出します。
 少し高い声で、
 あぁぁぁ~と声を出してください、
 と先生の指示が出ました。
 丁寧に診察していただき、
 特に異常はありませんでした。
 左の声帯に軽い炎症があり、
 これが、エヘン虫の原因でした。
      ■         ■
 ここ数ヵ月間、
 手術の時に、
 『大丈夫ですかぁ?エヘン』
 『痛くないですかぁ?エヘン』
 『もうすぐ終わりますよぉ、エヘン』
 『声が出ないので、申し訳ありません。エヘン』
 と小さな声を出すのも、
 大変でした。
      ■         ■
 今日は、一週間分のお薬をいただきました。
 下咽頭には何もできていなかったし、
 少し大人しくして、
 夏期休暇を過ごせば、
 エヘン虫もいなくなると思います。
 正直なところ、
 ポリープなんかができていなくて、
 ホットいたしました。

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医学講座

自動車と顔のケガ

 私が医師になったのが、
 1980年でした。
 昭和55年です。
 オイルショックを経験した日本が、
 まだ高度成長を続けていた時代でしょうか?
 当時は、今より自動車は普及していませんでした。
      ■         ■
 私が運転免許を取得したのが、
 1974年です。
 昭和49年。
 大学に入学した年の夏に、
 自動車学校に通って取りました。
 当時は、
 ようやく運転席のシートベルトが
 3点式になった頃でした。
      ■         ■
 それより以前は、
 運転席でも…
 飛行機のベルトのような…
 2点式が一般的でした。
 自動車のシートも、
 首の後ろに枕がない、
 ベンチ式シートが一般的でした。
      ■         ■
 三丁目の夕日なんかを見ると、
 当時の自動車は
 黒塗りでも今より小さく、
 シートベルトもなく、
 首の後ろには何もありませんでした。
 交通事故(特に追突)が増えて、
 ムチ打ち症という外傷が問題になり、
 頚部を守るために枕がつきました。
      ■         ■
 昔のフロントガラスは、
 部分強化ガラスという、
 衝撃を受けると…
 粉々に割れるガラスでした。
 このガラス片が顔に刺さると、
 小さなキズがたくさんついて、
 それはそれは治すのが大変でした。
 今のガラスは簡単に割れません。
 ですから安全面では、
 乗用車は驚くほど進歩しました。
      ■         ■
 エアバッグが出たのは、
 シートベルトよりずっと後です。
 シーマという日産の高級車についたのが
 国産車の最初だったと思います。
 訂正します。
 ウィキペディアによると、
 日本車初のエアバッグ搭載車は、
 1985年にホンダが発売したレジェンドだそうです。
 申し訳ございません。

 千歳へ向かう高速道路で、
 シーマが事故に遭い、
 エアバッグが作働し、
 運転者は軽症で済んだという記憶があります。
      ■         ■
 一般の方は、
 実感がないと思いますが、
 救急医療の現場にいると、
 自動車の安全装備でケガも変わりました。
 シートベルトが義務化されてから、
 顔の大きなケガは減りました。
 今は後席もシートベルトが義務化されました。
 もっとケガは減ると思います。
      ■         ■
 本間家では、
 25年前からチャイルドシートを使っていました。
 私はケチですが、
 エアバッグがオプションで、
 10万円以上もした頃からつけていました。
 わが家の車は、
 5年以上の経年車ですが、
 安全装備は万全にしています。
 大切な顔にキズをつけたくなければ、
 シートベルトは必ずしてください。
 安全性の高い車を選んでください。
 安全運転をする人を選んでください。
 事故は未然に防ぐことができます。

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医学講座

線状痕の手術

 線状痕(せんじょうこん)という言葉が
 何回か出てきました。
 線状の瘢痕(はんこん)
 つまり線のようなキズ痕(あと)のことです。
 顔にキズができてしまったら、
 少しでも目立たなく…
 キレイに治したいと思うのが人情です。
      ■         ■
 私たち、
 形成外科医の仕事で、
 一番最初に覚える手術が、
 この線状痕の手術です。
 われわれは、LS(エルエス)、
 linear scar (リニア スカー)の略、
 と呼んでいました。
 形成外科医として、
 最初の手術が線状痕の手術で、
 何年経験を積んでも難しいのが、
 この線状痕の手術なのです。
      ■         ■
 なぜ難しいかというと…
 キズを消すことはできません。
 限りなくゼロに近づける手術です。
 ところが、
 人によって(体質により)
 手術をしても…
 赤く目立ってしまう人もいます。
 思春期の方は、
 一般的にキズが目立ちやすい傾向があります。
 成長期なので、
 キズを治す細胞も活発に増殖するのが、
 原因だと思います。
      ■         ■
 よく、
 形成外科より美容外科の方が、
 キズをキレイに治してくれる???
 とお考えになる人がいます。
 もっともな、お考えのようですが、
 実は、形成外科医の方が、
 キズを治すことに関しては、
 プロが多いのです。
      ■         ■
 美容外科のキズが目立たないのは、
 目立たないところを切るからです。
 豊胸術でしたら、ワキの下。
 フェイスリフトは耳の前と後ろ。
 二重切開は、ラインの中。
 隆鼻術は鼻の中。
 つまり、
 目につきにくいところを切るだけです。
      ■         ■
 形成外科は大変です。
 唇裂は口唇の、
 一番目立つところにキズができます。
 あの手この手で、
 キズを目立たないようにケアーします。
 一番大切なのが、
 キズの安静です。
 どんなに上手に縫合しても…
 そこに緊張をかけて、
 キズを引っぱると赤くなって目立ちます。
 手術後にテープを貼っていただくのは、
 キズにかかる緊張を
 少しでも少なくするためです。
      ■         ■
 私は形成外科医として2年目の秋に、
 日本形成外科学会学術講習会を受講し、
 このキズの安静について、
 当時、東大形成外科教授の
 福田修先生から教えていただきました。
 福田先生はとても温厚な先生で、
 耳の手術がご専門でした。
 福田先生(当時は今の私くらいの年齢?)にしても、
 キズをキレイに治すのは難しいと
 丁寧にお話ししてくださいました。
      ■         ■
 時代が変わっても、
 キズを治すのが難しいのは変わりません。
 魔法のように、
 キズに塗っただけで…
 あっという間に、
 元の皮膚に戻る薬なんてのは、
 できないと思います。
 一つひとつ、
 手作業で丁寧にキズを治すのが
 形成外科医の仕事です。
 地味で根気がいる仕事です。

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医学講座

後遺障害診断書

 自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書
 が正式な名称です。
 数千万円にもなる、
 保険金がこの紙キレ一枚で決まります。
 書式が決まっていて、
 日本全国どこへ行っても
 どこの保険会社でも同じです。
      ■         ■
 記入にあたってのお願い
 というのが書かれています。
1.この用紙は、自動車損害賠償責任保険における後遺障害認定のためのものです。交通事故に起因した精神・身体障害とその程度について、できるだけくわしく記入してください。
2.歯牙障害については、歯科後遺障害診断書を使用してください。
3.後遺障害の等級は記入しないでください。

      ■         ■
 法律で決まっているようですが、
 医師は状態だけを記入し、
 後遺障害の等級については書くな!
 ということです。
 わざわざゴシックで強調しています。
 この診断書の書き方、
 医学部では教えません。
 もちろん医師国家試験にも出ません。
 形成外科専門医試験にも出ません。
 私たちは、
 先輩から口述で教えられるのです。
      ■         ■
 医師にとって必要な仕事ですが、
 実に書きにくい診断書です。
 ①精神・神経の障害から
 はじまり
 ②③④⑤⑥⑦⑧⑨とつづき
 ⑩上肢・下肢および手指・足指の障害
 までを
 B4一枚の紙に書くのです。
 どう考えても…
 スペースが小さすぎるのです。
      ■         ■
 女性の顔に…
 著しい醜状障害が残ったとします。
 その障害を記入する欄は
 わずか4×5㎝の範囲です。
 印字してある部分があるので
 私たちが記入できるのは、
 4×3㎝のスペースしかありません。
      ■         ■
 ⑦醜状障害(採皮痕を含む)
 1.外ぼう イ.頭部 ロ.顔面部 ハ.頚部
 2.上肢
 3.下肢
 4.その他
 (大きさ・形態等を図示してください)

 と書かれています。
 図示しようとしても、
 顔の絵を描いたら…
 それでおしまいのようなスペースです。
      ■         ■
 医師にとって、
 総合病院の超忙しい外来で、
 この後遺障害診断書を書くのは、
 他の患者さんを3時間以上
 待たせてしまうことになります。
 写真を撮って
 カルテに記載して、
 それから診断書の記入です。
 もう、勘弁してください!
 と言いたくなるような書類です。
      ■         ■
 どんなに記憶力が良い先生でも、
 一人ひとりの患者さんのキズの
 一つひとつは覚えていません。
 前任者から引き継いだカルテや、
 救急部で処置をした方は、
 初診時のキズがわからないこともあります。
      ■         ■
 後遺障害診断を受ける時に、
 患者側におすすめしたいことがあります。
 線状痕が5㎝を超えると、
 等級が一気に上がります。
 何本かの線状痕があると、
 それらを合計した長さになります。
 5㎝が運命の分かれ目です。
 認定基準に定められています。
      ■         ■
 この線状痕というのは、
 手術後にできたキズも含みます。
 つまり、
 キズをキレイに再縫合していただいた線状痕も
 最初についた線状痕も
 すべて線状痕です。
 線状痕とは線状のキズあとのことです。
 目だっているかどうか?
 までは規定にありません。
 シワみたいになっていても、
 キズ痕であれば、線状痕です。
      ■         ■
 後遺障害認定を受ける前に、
 ご自分で顔の絵を描いて
 (A4のコピー用紙で十分です)
 ありとあらゆる、
 すべてのキズを描いて
 その長さを測って
 (定規で十分です)
 先生のところに持っていってください。
      ■         ■
 そうすると、
 ちょっとした事故のキズでしたら、
 合計で5㎝を超えることができます。
 目立っていない!
 と保険会社に文句を言われたら、
 弁護士さんに相談してください。
 書類に書かれるのは
 線状痕の長さだけです。
 書類で判定するので、
 合計5㎝を超えていれば、
 女性であれば…
 100歳でも1千万円になります。
 女性だけの特権です。

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