医療問題

二重一点留(9,800円)

 二重まぶた埋没法の最安値が
 一点留め保証なし
 キャンペーン料金
 9,800円と広告に出ています。
 最高級の糸を使った
 プレミアムスーパークイック法
 が3年間の安心保証制度がついて
 39,800円だそうです。
      ■         ■
 そもそも、
 埋没法の手術で一番大切なのが、
 何点で留めるかとか?
 最高級の糸を使うとかではないのです。
 二重まぶた埋没法の手術は、
 日本で開発された、
 アジア人に適した手術です。
 古い文献(ぶんけん:論文のこと)では、
 第二次世界大戦の前(1920年代)から
 この手術が発表されています。
      ■         ■
 誰にでも簡単に二重を作れる、
 ‘魔法の手術’という、
 誤ったイメージがあります。
 一番大切なのが、
 埋没法に向いた目かどうかを診断することです。
 瞼が厚い方や脂肪が多い方は、
 埋没法には向いていません。
      ■         ■
 目は丸い形をしています。
 二重の線は目の丸い形に沿ってできます。
 心ある美容外科医でしたら、
 最初から一点留めはしません。
 アイプチにしても…
 メザイクにしても…
 ある程度の長さをつけないと二重になりません。
 一点留で二重ができない理由です。
      ■         ■
 一点だけ糸で固定して、
 二重の形をキレイに出せる方は、
 二重手術なんていらない方とも言えます。
 ですから、
 二重一点留9,800円は、
 客寄せのための広告です。
 9,800円のつもりで行っても、
 もっと高い手術をすすめられます。
      ■         ■
 私は、札幌中央形成外科の
 武藤靖夫先生とご一緒に、
 二重まぶた埋没法についての研究をしました。
 国際美容外科学会誌
 Aesthetic Plast Surg. 24(4):289-91,
 に2000年に発表しました。
 その時に調査した結果によると、
 2点留と4点留では、
 二重の消失率に差がありました。
 4点で留めたほうが
 消失が少ないという結果でした。
      ■         ■
 でも4点で留めると、
 2点で留めるよりずっと腫れが強くなります。
 2点で留めて、
 二重が消失する率は、
 だいたい5~10%です。
 10人中9人は取れないということです。
 生まれつきの二重と同じ構造を、
 糸で作るのです。
 そう簡単に取れることはありません。
      ■         ■
 最高級の糸というのも疑問です。
 手術に使う糸は、
 医療用具として厚生労働省の認可を得ています。
 日本で製造販売している業者は、
 限られています。
 簡単に切れることはありません。
 糸の価格はせいぜい数千円です。
 最高級で、
 一本一万円以上もする糸はありません。
      ■         ■
 良心的で良い美容外科医とは、
 埋没法に向かない目の人には、
 しっかりとその理由を説明できる人。
 たとえ、埋没法でしたとしても、
 もし取れた時には、
 取れにくい部分切開法などの手術ができる人。
 最初から手術を無理にすすめない人です。
 ある程度、技術力を持った先生は
 自分の技術を決して安売りしないと思います。

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医療問題

‘整形’低価格のワナ

 昨日はレーシック(近視矯正)の
 価格について書きました。
 残念なことですが、
 美容整形でも同じように、
 低価格の広告で客寄せをして、
 高い手術をすすめている、
 チェーン店があります。
      ■         ■
 私が開業してからの4年間で、
 大きく変わったことがたくさんあります。
 美容外科業界で一番大きかったのが、
 二重まぶたの手術料金です。
 私が美容外科専従になったのが、
 2002年(平成14年)でした。
 当時は、二重まぶたの埋没法が、
 12~15万円程度しました。
 一番安いところで9万8千円程度でした。
      ■         ■
 現在、ネットで検索すると、
 最安値は
 二重術スーパークイック法 
 (完全埋没法)
 ※1点留め保証制度なし
 キャンペーン料金
 9,800円
 と出てきます。
 3年間の安心保障付きは
 両目で39,800円だそうです。
      ■         ■
 実際にそのチェーン店に行かれた方が
 来院されました。
 『あなたは脂肪が多いから、
 一点留めでは二重にならない』
 『脂肪取りスーパークイック法』
 『でないとダメ』
 『最高級の糸を使った』
 『プレミアムスーパークイック法』
 『だったら3年間の安心保障付き』
      ■         ■
 こんなセールスを、
 ‘先生’にされて、
 不安になっていらっしゃる方が、
 一人や二人ではありません。
 その他、
 22万8千円の豊胸術など、
 どう考えても、
 原価割れや
 採算度外視の
 価格が目につきます。
      ■         ■
 私はスーパーのチラシが好きです。
 スコッティティッシュ、
 5個パック、248円
 お一人様2パックまで。
 なんて広告があれば、
 自転車で買いに行きます。
 通常価格498円のティッシュが
 248円で買えれば、これはお得です。
      ■         ■
 美容外科の二重まぶたは、
 安売りのティッシュとは違います。
 ティッシュは特売でも中味は同じですが、
 低価格の整形にはワナがあります。
 丁寧に二重の幅を決めて、
 丁寧に手術をすると、
 どんなに慣れた先生でも、
 ある程度の時間がかかります。
 9,800円では絶対に採算が取れません。
 美容外科を選ぶ時にも、
 くれぐれも注意なさってください。

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医療問題

レーシック詐欺

 平成20年8月7日号の週刊新潮に、
 [特集]
 告発された
 「レーシック手術」
 最大手クリニックの
 「詐欺的商法」

 が掲載されています。
      ■         ■
 大手美容外科チェーン店と同じ名前の
 レーシック専門の眼科クリニックです。
 そこを退職した元職員の、
 内部告発による記事です。
①スーパーレーシック9.8万円
②スーパーイントラレーシック12.5万円
③○○エディション17.8万円
 という3つのコースがあります。
      ■         ■
 ②の12.5万円コースと
 ③の17.8万円コースは実は同じ内容。
 同じ施術を、名前を変えて巧妙によく見せ、
 高く売っているというのです。
 一般の方は、
 『そんなバカな!』
 と思われるかもしれません。
 ところが、
 業界の内部事情を知る人には、
 あぁ、やっぱりね。
 と妙に納得できるのです。
      ■         ■
 食肉偽装や‘吉兆’の偽装で、
 食に対する信頼は大きく崩れました。
 医療業界にも、
 残念なことに偽装はあります。
 詳しくは、
 週刊新潮の記事を読んでいただけるとわかります。
 最近、安売りに疲弊した美容外科チェーン店が、
 眼科のレーシックに進出しています。
 美容外科大手の神奈川クリニックは、
 札幌店を閉店しました。 
      ■         ■
 美容外科チェーン店が、
 眼科をはじめようとしても
 眼科専門医がいません。
 医師向けの就職情報誌では、
 高給で眼科専門医を募集しています。
 年俸5,000万円以上を提示しています。
 レーシックチェーン店に就職した、
 心ある眼科専門医は、
 詐欺的商法に嫌気が差して、
 内部告発をして辞めます。
 看護師も同じです。
      ■         ■
 私は医療人の一人として、
 マスコミが、
 この問題を大きく取り上げて欲しいと思います。
 医療は安売りの床屋や美容室とは違います。
 目というのは大切な大切な器官です。
 もし、レーシックで失明でもしたら大変です。
 髪の毛は、
 虎刈りなっても、また生えますが、
 視力を失うと取り返しがつきません。
 レーシック手術は慎重に受けてください。

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未分類

開院4周年

 札幌美容形成外科は今日(8月3日)で、
 開院4周年を迎えました。
 皆様のご支援のおかげです。
 心から感謝いたします。
 開業してから、
 あっという間の4年間でした。
      ■         ■
 これから開業をお考えの先生のために、
 開業までの手続きをお話しします。
 札幌美容形成外科のような、
 クリニックを(無床)診療所といいます。
 医療法という法律によって、
 診療所を開設した場合には、
 保健所への届出が必要になります。
      ■         ■
 実は、札幌美容形成外科の
 開設年月日は
 平成16年7月9日です。
 札幌市保健所からいただいた、
 診療所開設届済証
 という書類があります。
      ■         ■
 札保医届出(医)第85号
 医療法(昭和23年法律第205号)
 第8条の規定により、
 診療所の開設を届け出たことを証明します。
            記
1 開設の年月日:平成16年7月9日
2 名称:札幌美容形成外科
3 所在地:札幌市中央区北3条西3丁目1番地 スノー会館ビル3F
4 届出年月日:平成16年7月9日
 平成16年7月14日
 札幌市保健所長 高瀬愛子
      ■         ■
 この開設届済証をいただくと、
 北海道社会保険事務局へ、
 保険医療機関としての届出ができます。
 保険診療をする場合は、
 厚生労働省北海道社会保険事務局の認可が必要です。
 所定の審査を経て、
 保険医療機関指定通知書が届きます。
      ■         ■
 認可されると医療機関コード番号が決まります。
 この番号がないと保険診療ができません。
 これらの手続きを経てはじめて診療開始です。
 社会保険事務局からの指定が、
 平成16年8月1日でした。
 1日が日曜日だったので、
 3日の火曜日を開院日にしました。
 ところが実際には、
 前日の8月2日(月)から手術が入りました。
 どうしても早くしたい…
 というお客様の声でした。
      ■         ■
 4年間でたくさんのお客様にいらしていただきました。
 皆様にご支援していただいたおかげです。
 本当にありがとうございます。
 これからも、
 精一杯頑張り、
 少しでも社会の役に立つもりです。
 今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。 

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医学講座

育毛トラブル

 平成20年8月1日、朝日新聞朝刊の記事です。
 あなたの安心
 髪との付き合い⑤
 育毛サービス絶えぬトラブル
      ■         ■
 「育毛サービスを契約したが効果がなく、
 解約しようとしたら
 高額の解約料を請求された」
 「効果がなければ返金のはずが、
 解約に応じてくれず、
 『続ければ効果がある』
 と更新を勧められた」
      ■         ■
 育毛サービスは各業者独自の育毛剤や
 マッサージなどの「施術」で育毛を促す。
 だが、
 高額になることもあり、
 トラプルが絶えない。
 国民生活センターによると
 相談は2007年度で463件。
 「減少傾向だが、
 ずっと同じような相談内容」といい、
 「相談しにくいはずで、
 潜在的にはもっと多いのでは」
 ともいう。
      ■         ■
 日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会の
 神澤佳子さんは、特徴として
①「無料体験」で釣る
②「このままでははげる」
 などと不安をあおる
③契約が長期になる
④次々にサービスや商品を勧められる
 ―などを挙げ、
 エステティックサービスと共通点が多いと指摘する。
      ■         ■
 特定商取引法でエステなど6業種は
 「特定継続的役務提供」に指定され、
 クーリングオフできる、
 中途解約時の業者の請求に
 上限額が定められているなど、
 規制がある。
 しかし、
 育毛サービスは侯補になったが
 指定されなかった。
      ■         ■
 業界団体の
 「日本毛髪業協会」と
 「日本発毛促進協会」の加盟社では
 クーリングオフと同じ制度を設け、
 解約時のルールも定めたが、
 自主的ガイドラインにとどまる。
      ■         ■
 このため、
 トラプルになった場合は、
 業者との交渉が基本。
 根拠なく
 「このままでははげる」
 と言った場合や、
 「必ず生える」
 など断定的な表現があれば、
 消費者契約法で契約取り消しができる
 「不実告知」や
 「断定的判断の提供」に当たる可能性があり、
 交渉が進めやすい。
 相手の発言をメモしておくと、
 後に不当な契約だったことを証明するのに
 使えることがある。
      ■         ■
 だが
 「言った言わない」の
 争いになる例も少なくない。
 開封した育毛剤など
 消耗品の費用は戻ってこない場合も多い。
 神澤さんは
 「無料体験に行って、
 言葉巧みに勧誘されるが、
 とにかくその場で契約しない。
 本当に必要か、
 金額と見合うかをよく考え、
 長期契約はなるべく避けた方がよい」
 と助言する。
(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 毛に悩んでいらっしゃる方は多いものです。
 医師免許や歯科医師免許を持った人ですら…
 悪徳商法に騙(だま)されています。
 それだけ悩みが多いのが毛についてです。
 私は植毛はいたしません。
 形成外科の技術があっても、
 植毛は特殊領域です。
      ■         ■
 最近、美容外科でも植毛を扱うクリニックが増えてきました。
 儲かるから…?
 と植毛を扱い出したような気がします。
 まず、植毛を施術している‘先生’の
 頭部をよく観察してください。
 ご自身の頭部に、
 植毛によって、
 立派な‘毛’が生えていれば、
 ○です。
      ■         ■
 植毛は技術も必要ですし、
 熟練したスタッフ(看護師)も必要です。
 私は、毛の相談を受けた時には、
 横浜の今川賢一郎先生をご紹介しています。
 先生のHPには、
 先生ご自身の頭部が掲載されています。
 自分自身の体験に基づいた治療です。
 私は信頼できると思います。
      ■         ■
 最近は女性でも、
 頭髪の悩みを持っていらっしゃる方が増えています。
 今川先生に教えていただきました。
 平成20年1月3日の日記でご紹介した、
 ロゲインフォームは
 女性にも効きます。
 この薬の薬理作用は、皮膚血流の増加です。
 どのタイプの薄毛にも効くとは限りませんが、
 リアップより高濃度で、個人輸入しても安価です。
 安い市販薬(cheapotc.com)というサイトが安心です。
 私はここがいいと思います(すべて英語です)。
 個人輸入代行のサイトもあります。
 ご自分の責任で、
 個人輸入するのは問題ないと思います。
 循環器系の持病がある方はお止めになるか、
 主治医にご相談の上、お使いください。
      ■         ■
 タバコは皮膚血流を阻害(ソガイ)します。
 ロゲインやリアップの成分である、ミノキシジルは、
 頭皮の血行をよくする作用があります。
 せっかく、薬を塗っても、
 タバコを吸うと効果が出なくなります。
 米国のロゲインのサイトでは、
 『使う?それとも、禿げる?』
 というコピーを使っています。
 タバコは
 『吸う?それとも、禿げる?』です。
 髪の毛フサフサになりたい人は、
 今日から禁煙しましょう! 


(以上、朝日新聞より引用)

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医学講座

花火事故

 平成20年8月1日、朝日新聞朝刊の記事です。
 花火事故9歳以下が6割 
 国民生活センターは、
 過去10年間の花火による事故状況をまとめた。
 子どもたちの夏休みにあたる7~8月に集中、
 特に9歳以下の子どもの事故が約6割を占めた。
      ■         ■
 全国の消費生活センターなどに
 過去10年間に寄せられた事故事例は157件、
 危害情報収集の協力病院からは429件あった。
 計586件のうち、
 9歳までが59.4%で、
 10歳代の14.7%と合わせて、
 未成年が74.1%を占めた。
      ■         ■
 寄せられた事例は、
▽手持ち花火をしていたところ、
 火花が腰に当たりやけど
 (2004年8月、6歳男児)
▽打ち上げ花火が左目を直撃、けが
 (2005年8月、10歳男児)
▽手持ち花火をしていたところ、
 暴発し
 近くにいた子どもが首などにやけど
 (2006年8月、4歳男児)
 などだ。
      ■         ■
 また、
 花火を踏んでしまった想定で
 加圧、変形させ、
 着火テストしたところ、
 異常な勢いで燃焼することが
 確かめられたという。
 国民生活センターは
 「明るいうちに説明書や注意事項を確認する」
 「踏んだり変形したりした花火は使用しない」
 などの注意を呼びかけている。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 今日から8月です。
 今日は札幌市内で朝日新聞社主催の
 花火大会も開催されました。
 夏の花火は美しくキレイです。
 コンビニでも花火セットが売られています。
      ■         ■
 私は形成外科医として、
 たくさんのヤケドの患者さんを治療してきました。
 まさか線香花火で大ヤケド?
 と思われるかもしれません?
 ところが線香花火でもヤケドはしますし、
 思わぬところで、
 一生消えないキズが残ることもあります。
      ■         ■
 どんなに小さな花火でも、
 火薬と火を使います。
 線香花火でも束に火がつくと
 大きな炎が出て驚きます。
 その瞬間に、浴衣(ゆかた)などの着衣に引火。
 あっという間に、大ヤケドです。
      ■         ■
 着衣着火(ちゃくいちゃっか)といいます。
 こちらの大阪市消防局HP
 高齢者の着衣着火についての記載があります。
 子どもさんの浴衣を購入する時は、
 何を基準に購入しますか?
 大部分の方はデザインでしょう。
 防炎製品の浴衣があるのをご存知でしょうか?
 もし火がついても、燃えにくいのが防炎製品です。
 燃えにくいカーテン、絨毯などには
 必ず防炎マークがついています。
 札幌美容形成外科のカーテンにもついています。
      ■         ■
 私が小学校の頃に、
 夏休み前に学校から注意事項がありました。
 花火をする時には、
 必ずバケツに水を準備するように!
 子ども心に、
 花火なんて危なくないじゃん!
 という意識がありました。
      ■         ■
 本間家でも、子どもが小さい頃には
 家で花火遊びをしました。
 バケツの水は、
 花火の火を消すだけではなく、
 もし、浴衣などの着衣に火がついた時、
 すぐに消火するのに役立ちます。
 夏の花火でヤケドをしないように…
 どうぞ気をつけて遊んでください。
 もしヤケドをした時は、
 形成外科専門医や熱傷専門医を受診してください。
 フィブラストスプレーが効きます。

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医療問題

救急外来の限界

 私が勤務した地方の総合病院を例にとって、
 夜間の急患診療についてご説明します。
 診療科は20近くありました。
 通常の外来受付時間は、
 午前中でした。
 待ち時間が2時間近くかかることもありました。
 病院は月曜日から金曜日まで。
 土日祝日は休診です。
      ■         ■
 病院には、受付や会計をする医事課。
 診察をする各診療科。
 お薬をくれる薬剤部。
 X線やCTの検査をする放射線部。
 検査をする、臨床検査部。
 看護師さんをまとめる看護部。
 給食を作ったり栄養指導をする栄養科。
 さまざまなセクションに別れています。
      ■         ■
 総合病院のベッド数が700床あったとすると、
 それ以上の人が働いているのが病院です。
 労働基準法の規定があるので、
 週の労働時間は40時間。
 一日8時間働くと、5日で40時間です。
 一日、24時間のうち、
 病院がフルに稼動できるのは、
 理論上8時間です。
 一週間7日のうち、
 フルメンバーのスタッフが揃っているのは、
 5日間です。
      ■         ■
 人間は一年365日、
 24時間いつ具合が悪くなるか、
 いつ病気になるかわかりません。
 500床も700床もあるような、
 大病院ですら、
 一年365日のうち、
 フルに稼動できるのは
 暦で計算しても7割(土日祝があるため)。
 一日24時間のうち
 8時間しかフル稼働できないのです。
      ■         ■
 つまり、大病院ですら、
 いつでも最高水準の医療が受けられるのではない
 ということです。
 消防の119番は24時間、365日
 同じように対応できるように、
 人員が配置されています。
 ところが、病院は昼と夜とでは、
 診療できる体制が大きく異なるのです。
 つまり一年365日のうち、
 病院が病院としてフルに機能できるのは、
 半分以下なのです。
 24時間営業のコンビニと違うところです。
      ■         ■
 700床の総合病院には、
 多いところですと100人近い医師が勤務しています。
 医療崩壊が社会問題になっていますが、
 勤務医は朝8時には出勤して仕事をはじめます。
 夕方17:00で仕事が終わる病院はマレで、
 だいたい20:00頃までは仕事をしています。
      ■         ■
 当直医は、17:00からオンコールといって、
 急患や再来があれば呼ばれる仕組みになっています。
 自分の専門外でも、
 まず診察に呼ばれます。
 わからなければ専門医に連絡をしますが、
 すぐに呼べない病院もあります。
 難しいのが頭痛と腹痛です。
 緊急を要する痛みなのか?
 経過観察でよいのか?
 判断に迷うことがたくさんあります。
      ■         ■
 CTやMRIの検査をしようとしても、
 診療放射線技師が当直をしていない病院もあります。
 (診療放射線技師の当直義務はありません)
 (病院に当直が法律上必要なのは医師だけです)
 そうすると、
 診療放射線技師を呼ばなくてはなりません。
      ■         ■
 頭痛の患者さんが来た時に、
 すぐに脳神経外科の先生を呼べるとよいのですが、
 脳外科が非常勤で大学から来ているだけの病院もあります。
 専門医が診察をしても
 原因がわからないこともあります。
 耳鼻科の病気が原因で頭痛が出ることもあります。
      ■         ■
 腹痛も同じです。
 盲腸だけが腹痛の急患ではありません。
 泌尿器科の病気や
 女性の場合は
 婦人科疾患が
 急性腹症(緊急を要する腹痛)の
 原因となることもあります。
      ■         ■
 当直医は病院に一人です。
 たまたま、
 専門医が当直に当たっていると、
 患者さんはラッキーですが、
 専門外の先生が当直のこともあります。
 最近の若い先生は、
 自分は急患を診る自信がないので、
 (医療ミスで訴えられると嫌なので)
 当直はお断りします!と
 病院の管理者を困らせる人すらいるようです。
      ■         ■
 つまり、夜間は、
 昼間の‘病院’とはまったく違うということを、
 患者側も理解して、用心してかかる必要があります。
 ‘運悪く’、
 正しい診断と治療ができない‘先生’に
 当たる可能性があるのです。
 当直医は、真面目にできる限りの治療をします。
 ただ、昼と夜では、
 同じ病院でもできることが大きく違うのです。
 これが日本の医療体制の現実です。

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医療問題

さくらんぼさんのご意見

 平成20年7月27日に書いた、
 不必要な検査について、
 さくらんぼさんからご意見をいただきました。
      ■         ■
 さくらんぼさんのお母様の具合が悪くなり、
 急患で病院へ連れていったところ、
 検査も 血圧測定もなかったです。
 もちろんCTもです。
 ただの暑さによる水分不足だから
 こんな事くらいで…
 と思われました。
      ■         ■
 母は 夕方 お風呂に入った後
 頭が締め付けられるように
 冠をかけられてるようだと訴えました。
 痛くはなく
 なんとか歩けたし
 話もできました。
      ■         ■
 脈も取って下さらなかったので
 水分不足なら点滴をしてもらえませんか?
 と頼みましたが
 ポカリスエットでも飲んで
 寝ててくださいと言われ
 帰されました。
      ■         ■
 そういった 頼みも
 わがままな患者の頼み なんでしょうか?
 日記の脳外科の先生も
 私や母のような人の立場に立って
 書いて欲しかったと思います。
 患者間では
 検査されすぎて困ったと言う人はいません。
 十分な検査が行われず ・・
 という方の方が多いです。
      ■         ■
 次の日
 個人の先生に診ていだだき
 そこのCTスキャンで
 くも膜下出血している事がわかり
 結局昨夜 受診した病院に移され
 すぐ手術でした。
      ■         ■
 昨夜、検査さえしてくださっていたらなあ~とよく思います。
 幸い母は少しの出血で、
 二度 三度 破れなかったので
 瞼が垂れたくらいで 元気になりましたが、
 昨夜すぐ手術していただいていたら
 瞼も垂れなかったかもと思う事もあります。

      ■         ■
 私は、さくらんぼさんの地域の
 医療体制がわかりません。
 さくらんぼさんのお母さんの場合は、
 夜間に診察した‘先生’の
 診立てに問題がありました。
 頭痛で来院した患者さんの
 クモ膜下出血を見落とした可能性があります。
      ■         ■
 見落としていなかったとしても、
 『頭が締め付けられるように』
 『冠をかけられてるようだ』と訴えた 
 患者さんへの対応が不適切でした。
 結果的にお母さんは
 翌日に緊急手術で助かって、
 軽度の後遺障害で済みました。
 ほんとうによかったと思います。
      ■         ■
 同じ医療者の一人として、
 お母様には大変申し訳なく思います。
 心からお詫びいたします。
 私は、お母さんが受診なさったと思われる、
 地域の総合病院と
 同規模の病院に勤務していました。
 形成外科主任部長でした。
      ■         ■
 正直な話しです。
 私は菓子折りを持って、
 患者さんのご自宅まで、
 研修医と一緒に
 謝りに行ったことがあります。
 研修医は真面目な医師でしたが、
 やってはいけないミスを
 救急外来でしてしまいました。
 私が‘こうしてはいけない’と
 口うるさく注意していた医療ミスをしました。
      ■         ■
 私は脳神経外科が専門ではないので、
 お母さんが救急外来でCT検査を受けたら、
 くも膜下出血が見つかっていたかどうか?は
 わかりません。
 ただ、
 担当医がせめてもう少し親切に対応していれば…
 と残念に思います。
 救急医や当直医は万能ではありません。
 大学病院の教授ですら誤診をすることはあります。
      ■         ■
 検査をすべて否定するつもりはありません。
 私や朝日新聞へ投稿した、
 脳神経外科の先生が指摘したいのは、
 営利目的でなされている検査です。
 患者側からできることは、
 信頼できる医師を見つけて、
 その先生からアドバイスをいただくことです。
 よい先生には、よいネットワークがあります。
 大切なのは、
 検査ではなく、
 適切な検査を適切に指示してくれる先生です。
 わかりやすく、 
 優しく説明してくれる先生です。

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医学講座

画像診断学

 画像診断学とは、耳慣れない難しい言葉です。
 ‘がぞうしんだんがく’といいます。
 市立札幌病院には、
 画像診療科という専門の科もあります。
      ■         ■
 私が、札幌医大を卒業して、
 北大形成外科に入局したのが1980年でした。
 札幌医大と北大では、
 さまざまなシステムが異なっていました。
 北大へ行って、
 驚いたのが放射線科でした。
 札幌医大での放射線科のイメージは、
 ガンを放射線で治療する科でした。
 北大へ行って、
 画像診断を専門とする
 放射線科医がいることを知りました。
      ■         ■
 レントゲンやCTを撮ってくださるのが、
 診療放射線技師です。
 撮っていただいた、
 X線やCTの画像を見て
 (これを読影(どくえい)といいます)
 病気を診断するのが、
 画像診断の専門医です。
      ■         ■
 私が医学生だった30年前は、
 肺炎や肺ガンは呼吸器内科で習い、
 肺のX線写真は呼吸器内科の実習で教わりました。
 当時、東京の国立がんセンターから
 新進気鋭の鈴木明教授が赴任され、
 第三内科の読影会(どくえいかい)は大盛況でした。
      ■         ■
 今でも、肺のX線写真の読み方を、
 (X線やCTの写真を見て診断することを、
 ‘読む’といいます)
 教えてくれるのは呼吸器内科だと思います。
 ただ、画像診断科がある病院では、
 CT検査をした後には、
 放射線科の画像診断専門医が
 読影をして、
 所見をレポートにまとめてくれます。
      ■         ■
 私たち、専門外の医師は、
 そのレポートを読んで、
 わからない点は
 画像診断医にお聞きして勉強します。
 CT検査は、簡単に言うと、
 人体を輪切りにして、
 白黒の写真にしたものです。
 ですから、
 肺以外にも背骨や乳腺なども写ります。
      ■         ■
 肺ガンの専門医は、
 肺のことはよくわかりますが、
 肺以外の、
 背骨や乳線、
 皮膚や軟部組織については
 専門外です。
 画像診断専門医は、
 画像から得られる
 すべての情報のスペシャリストです。
 疑問があれば、診療放射線技師に指示をして、
 撮影条件を変えることもします。
      ■         ■
 CTやMRIの検査は
 医師免許があれば、
 誰でも指示をすることができます。
 ところが、
 出来上がった写真を
 読む(読影する(どくえい)のが難しいのです。
 写真から、
 いかに正確に情報を引き出すかが問題なのです。
      ■         ■
 不必要な検査について、
 さくらんぼさんからご意見をいただきました。
 確かに必要な検査もしてもらえないのは問題です。
 ただ、今の日本では、
 検査だけして、
 そこから正確に情報が得られていないことがあります。
 医学の進歩とともに、
 さまざまな専門医が活躍しています。
 市立札幌病院画像診断科の先生は、
 素敵な女性の先生です。
 鋭い目で病気を見つけてくれる頼りになる方です。

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看護師募集

 昨夜からHPに看護師募集を掲載いたしました。
 クリニックの経営で一番頭が痛いのが、
 職員の採用です。
 特に看護師は、絶対数が少ないので、
 どこの医療機関でも苦労しています。
      ■         ■
 札幌美容形成外科は平成16年8月3日に開院しました。
 今年で丸4年になります。
 はやいものです。あっという間でした。
 現在、職員の平均在職期間は35ヵ月。
 最長44ヵ月(3年8ヵ月)
 勤務してくれている職員が3人います。
 長い間、勤めてくれていて、
 本当にありがたく感謝しています。
      ■         ■
 よく事業をする時に大切なのが、
 ひと
 もの
 かね
 といいます。
 総合病院に勤務している時は、
 病院で看護師を採用してくれるので、
 苦労をしたことはありませんでした。
      ■         ■
 札幌美容形成外科で採用の時には、
 私のクリニック経営についてのビジョン、
 私の考え方をご説明して、
 私の‘夢’の実現を手伝ってくれませんか?
 と口説(くど)きます。
 そうして口説いて、
 勤務してくれているのが今の職員です。
      ■         ■
 美容形成外科のクリニックは、
 ふつうの病院や診療所とは違います。
 大先輩の武藤靖夫先生(札幌中央形成外科)から
 教えていただいた言葉です。
 『患者さんではなく、お客様です』
 自分が院長になってはじめて理解できました。
      ■         ■
 看護職にも、今までとは違った対応が求められます。
 『本日、担当させていただきます、看護師の○○と申します。』
 『手術の準備が整いましたので、ご案内いたします。』
 『お疲れ様でした。』
 『お気をつけてお帰りください。』
 などなど、
 ‘ふつう’の医療機関とは違った対応を求めます。
      ■         ■
 美容外科ならではのメリットもあります。
 レーザー脱毛の練習台は、自分の手足です。
 何回か練習しているうちに、
 自分の手足はツルツルになります。
 顔のレーザーフェイシャルもできます。
 自分で体験して、
 どの程度の赤味がどの程度続くか理解します。
 顔のうぶ毛やニキビも少なくなります。
      ■         ■
 反面、今までの看護職としての経験が
 すぐに役立たず、
 新しいことをたくさん覚える必要があります。
 手術室の勤務経験がなくても大丈夫ですが、
 人をキレイにしたい、
 自分もキレイでいたい、
 細かいことに気がつく、
 そんな方を募集します。
      ■         ■
 私の‘夢とロマン’に
 共鳴できたら、是非応募なさってください。
 お電話をお待ちしております!


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