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解剖の承諾

 形成外科では患者様が亡くなることはマレです。北大病院形成外科でも年に数人でした。
 北大形成外科は、他大学の形成外科と比較して、皮膚悪性腫瘍(皮膚ガン)の治療を多くしていました。そのため、皮膚ガンで亡くなる方の割合が多かったと記憶しています。あと、私が医師になった頃は、重症の熱傷(ヤケド)で亡くなる方もいらっしゃいました。
      ■         ■
 大学病院で亡くなると、全員解剖するわけではありませんが、ガンの患者様などには解剖をお願いすることがありました。
 病理解剖という解剖です。亡くなってから、死因を確かめたり、病巣の拡大程度、転移の程度などを調べるために行います。また、摘出した臓器から細胞をとって、ガンの研究に使うこともあります。
      ■         ■
 病理解剖だけは、生前に『もし亡くなったら解剖してもよろしいでしょうか?』という同意を本人からいただいてはいませんでした。おそらく、今も本人からはいただいていないと思います。
 死期が迫った患者様に、『あと一週間であなたは亡くなります。死んだ後に解剖してもよろしいでしょうか?』なんてことは、世界中どこへ行って言わないと思います。例外は医学部の現役教授です。教授が亡くなった時は、無条件で解剖するという不文律がありました。
 病理解剖は『ご臨終です』と申し上げた後で、ご家族にお願いします。
 主治医がいれば、主治医がしますが、出張などで不在の時は、病棟医長がすることもありました。
      ■         ■
  悲しんでいらっしゃるご家族に、解剖させてくださいと言うのは辛いことです。
 入院中に、よほどしっかり治療していなければ、解剖の承諾はいただけません。医療不信があって、解剖して死因を確かめたい時は別ですが、大部分のご家族は、死んでまで痛い思いをさせたくないとお考えになります。
 解剖の承諾をいただくこと=(イコール)家族からの信頼を得ていることになります。
      ■         ■
 厚生労働省が臨床研修指定病院を指定する要件として、解剖の割合を定めていました。
 つまり、年間に亡くなる患者様のうち、病理解剖をさせていただく割合(剖検率ボウケンリツ)が高くないと、研修指定病院にはなれません。
 よい病院を選ぶ基準として、この剖検率が高い病院を選ぶのは賢明な方法です。
 毎日の治療をしっかりしていないと、決して解剖は引き受けていただけません。また、医師・看護師・医療スタッフの対応がよくないと同意はいただけません。
      ■         ■
 政治家は選挙で国民から審判されます。医療従事者は、患者様が亡くなって、解剖のお願いをした時に、患者様のご家族から審判を受けます。
 昨日の臓器提供の同意と同じように、日常診療に対する評価が、患者様やご家族からの‘同意’という形で評価されます。
 研修医の中には、朝『おはようございます』もきちんと言えない人もいます。まず、きちんと挨拶ができて、相手の目を見て話せるようになることが臨床研修の第一歩です。
 私は自分を治療してくれた先生がベストを尽くしてくれれば、たとえ助からなくても、解剖でも臓器提供でもいたします。もし、いい加減な治療をして助からなかった時は、化けて出て来て文句を言うと思います。

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医学講座

鹿野 恒 先生

 昨日の日記に市立札幌病院救命救急センターの鹿野先生のことを書きました。
 気になって、Googleで鹿野先生を検索してみました。
      ■         ■
 平成18年12月に開催された、第25回日本蘇生学会の抄録が見つかりました。抄録(ショウロク)というのは、学会の前に、今度の学会ではこういう内容で発表します、と発表内容がわかるように提出する原稿のことです。学会に参加する人は、抄録集を読んで、この発表を聴こうと決めるのです。
 以下は鹿野先生の発表タイトルと抄録の一部です。
      ■         ■
 救急医療終末期において、再び「蘇生」への医療を考える
-主治医にしかできない臓器・組織提供の選択肢提示-
 市立札幌病院 救命救急センター
 鹿野 恒
 救急集中治療領域における終末期医療のなかで、どんなに懸命に治療しても救命不能な患者は必ず存在する。それは救急医療の限界であり、救急医にとって敗北の瞬間でもある。
 しかし、そのような患者とその家族を前にして、私たち救急医は何もできないのであろうか? そして患者の意思や家族の希望を見過ごしてはいないであろうか?
      ■         ■
【対象・方法】2004 年1 月より2006 年3 月までに、14 例の脳死が疑われる患者に対して臨床的脳死診断を行ない、全例に対して終末期の選択肢提示による意思表示カードの確認および患者家族の臓器提供の意思確認を行なった。
【結果】14 例の家族のうち13 例の家族において臓器提供への関心が認められ、10 例の家族が移植コーディネーターと面談を行なった。その全て家族が心停止後の臓器・組織提供を承諾され、腎臓19 件、膵臓1 件、心臓弁・大血管5 件、角膜12 件、皮膚4件の臓器・組織提供を受けた。
 これらの症例の中で、意思表示カード所持は4 例であったが、死亡前確認は1 例であり、鼓膜損傷のため脳死下臓器提供には至らなかった。
【考察】日常の診療の繁忙さと臓器提供の意思確認の精神的負担、臓器提供時の労力を考慮すると積極的に選択肢提示を行なうのが躊躇されるのも事実である。しかしながら、脳死となった患者の約7 割の家族より臓器・組織提供を受け、10 例中6 例では家族の意思のみで臓器提供が行なわれており、患者家族の臓器提供への関心は決して希薄ではなかった。
 さらに、将来的には臓器移植法改正により家族の承諾のみで脳死下臓器提供の可能性もある。
【結語】救急医療終末期の臓器・組織提供の選択肢提示は、救命不能な患者家族に対して、救急医が最期にできる医療の一つではないかと思われた。
      ■         ■
 私は以前にも書きましたが、ドナーカードを持っています。市立札幌病院に勤務した際に、腎移植科の平野先生が献身的に腎移植に取り組んでいらっしゃいました。その真摯なお姿を拝見して腎バンクに入ったのが最初です。
 救急医療の現場で家族から臓器提供の同意をいただくのは大変なことです。
 最愛の人が突然救急車で運ばれ、呼んでもゆすっても返事もしてくれないのです。‘脳死です’なんて言われたって、そこに寝ているのは、つい昨日まで(今朝まで)は元気だった人もいるのです。
 誰もが、夢であって欲しい。何かの間違いだ。悪夢だ。と思っている瞬間です。
      ■         ■
 救命救急センターの医師、看護師、医療スタッフのだれもが献身的に働いて、家族から信頼されなければ、臓器提供の同意は決して取れません。
 この抄録を読んで、私はTVでしか拝見したことがない鹿野先生を‘すごい’と思いました。
 医療不信とか医療事故とか、医療に対する国民の目が厳しくなっています。この時代にこれだけの信頼を得るのは素晴らしいことです。
 私も、助からない状態になったら、すぐに臓器提供をします。鹿野先生のような素晴らしい医師に治療を受けて助からなければ諦めもつきます。

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医学講座

頭を冷やす

 私は短気ですぐに怒ります。なるべく怒らないように気をつけていますが、自分の正義感や道徳観と合わないことには強い憤り(イキドオリ)を感じます。すぐに行動に移すので、日記にも随所に私の憤りが出ていると思います。
 外科医には気が短い人が多いかも知れません。瞬時にいろいろな判断をしなくてはダメなので、モタモタしているのは嫌いです。
      ■         ■
 頭を冷やしてよく考えなさいとか、頭を冷やしなさい!という言葉があります。
 医学的に頭を冷やして冷静になれるかどうか??? わかりません。病院で頭を冷やすのは熱がある時くらいです。
      ■         ■
 手術中はどんなことがあっても冷静沈着に対処します。なかなかできることではありません。経験と勉強が必要です。
 航空機のパイロットといっしょで、生身の人間相手の仕事ですから、いつも快適な水平飛行ばかりではありません。
 時には予期しない乱気流に巻き込まれることもあります。慎重に操縦桿をにぎり機体を立て直します。
 頭を冷やしている暇はありません。瞬時にいろいろな判断をします。
      ■         ■
 昨夜のフジテレビ23:30からのニュースJAPANで、先日ご紹介した市立札幌病院救命救急センターが出ていました。
 鹿野 恒(かの ひとし)先生が出ていらっしゃいました。
 私は、鹿野先生と一緒に働いたことはありませんが、以前は札幌医科大学にいらっしゃいました。
 日本脳神経外科学会脳神経外科専門医
 日本救急医学会認定医
 日本救急医学会指導医
 私の記憶が正しければ、鹿野先生は札幌医科大学高度救命救急センターにいらして、脳をガンガン冷やしていました。
      ■         ■
 心臓が止まった人を助けるのが、経皮的心肺補助(PCPS)であることは、7月15日の日記に書きました。
 昨日のテレビでは、鹿野先生が手のひらにのるほどの円形の装置を持っていらっしゃいました。
 その装置で血液を脳に送り、同時に血液を冷やして、脳を低温に保ちます。温度を下げると、脳の代謝が減り、心臓が止まった人でもダメージが少なくなります。
 簡単に言うと、心臓が止まると、止まった瞬間から、脳が死んでいくのですが、冷やすことで死ぬのが遅くなり助かるのです。
      ■         ■
 昨日のテレビでは、鹿野先生に助けていただいた男性が奇跡だとおっしゃっていました。
 私が市立札幌病院に勤務していた頃は、経皮的心肺補助(PCPS)はありませんでした。
 たまたま、冬に心肺停止になり、心臓が止まって‘死んだ’状態で搬送された方がいらっしゃいました。その方は、発見されるまで何時間もかかっていましたが、寒い札幌の冬のおかげで脳が助かり、元気になって退院されました。
 当時から脳を冷やすと良いことがわかっていましたが、このような症例はマレでした。
      ■         ■
 今日のフジテレビ23:30からのニュースJAPANでも、救急医療の話しが出るようです。
 私を含めて、人間はいつどこでどんなことが起こるかわかりません。興味がある方は是非ご覧になってください。私が見てもヤラセはいっさいありません。

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札幌こころのセンター

 昨日、自己臭恐怖という‘病気’について書きました。美容外科と精神医学は密接な関係があります。美容外科や形成外科を生業(ナリワイ)としている私たちが一番気をつけなければならないのは、実は心の病気です。
 美容外科を受診なさる方の中には、明らかに‘病的’に自分の容姿を気になさる方がいらっしゃいます。醜形恐怖という‘病気’です。美容外科の教科書には必ず書いてあります。
      ■         ■
 醜形恐怖の疑いがある方が来院された時は、‘絶対’にすぐに手術はいたしません。他人が自分の顔がおかしいと悪口を言っている。それが原因で夜も眠れなくて、仕事も辞めてしまった。などさまざまな症状が出ます。
      ■         ■
 以前いらした方です。他の美容外科で何度も手術を受けているのに、自分の目がおかしいと訴えられます。
 睫毛が目に入っているのでもないのに、睫毛は全部抜いてしまっていました。
 私は、今まで受けてきた手術は間違っていないし、目も異常はない。どうしても目が痛いというので、信頼できる眼科の先生を紹介しました。その方は、精神科に通院していましたので、そちらの先生にも紹介状を書きました。
      ■         ■
 保護者の方にもいらしていただき、現在の状態について説明しました。保護者の方も明らかに‘病気’であることを認められ、本人に説得もしていました。
 その方は、私のところに数回いらしてくださいました。最後にいらしたのが保護者と一緒の時でした。
 何度も手術をしてくださいと頼まれましたが、私は精神科の先生の同意があれば手術をします。と返答し紹介状を書いたのが最後でした。
 6ヵ月後位に警察署から電話がありました。札幌美容形成外科の診察券を持った方が、自殺しているのが発見されたという知らせでした。
      ■         ■
 私はもし自分が手術を引き受けていたら、その方は死ななくても済んだのでは…?と後悔しました。
 ただ、私が手術しても、その方の主訴は改善したかどうかはわかりません。
 精神医学の難しいところです。美容外科や形成外科は手術で治して、手術した瞬間に治るものもありますが精神医学は‘簡単’には治りません。
      ■         ■
 札幌市には札幌こころのセンターという施設があります。札幌市民以外の方には北海道立精神保健センターという施設があります。
 「札幌こころのセンター」は札幌市民の心の健康の保持増進や精神障害の予防、社会復帰への援助を行う総合的技術センターです。
 心の悩みや病について相談を受ける関係者に対し、研修やコンサルテーション、情報提供を行うほか、思春期、ひきこもり、依存症等の特定相談を行っています。
 もし、こころの問題で相談したければ、こうした公的な機関を利用されるのも一つの方法です。
      ■         ■
 札幌駅周辺にもメンタルクリニックがたくさんできました。どこも、大繁盛していて、予約がなかなか取れません。
 現代はストレス社会です。ストレスが原因でさまざまな身体症状が出ます。
 精神神経科は、‘キチガイ病院’と言われた時代もあったようですが、現代ではごく一般的な診療科目です。
 内科の先生に不眠で睡眠薬をいただくより、メンタルクリニックの方が的確に診断をしてくれて、よく効く薬を出してくださいます。もし、こころあたりがある方は是非受診されることをお薦めします。札幌こころのセンター

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医学講座

自己臭恐怖

 自己臭恐怖という‘病気’があります。ワキガではないのに、自分はワキガじゃないか?と疑う人。口臭、おならの臭い、尿臭、場所不明の臭いなど、人によって症状はさまざまですが、自分の臭いを極度に気にする‘病気’です。
 精神神経科では社会不安障害(Social Anxiety Disorder:SAD)という病気の概念で説明されます。北大精神科の先生から、この病気についての詳しい資料をいただきました。
        ■         ■
 札幌美容形成外科を受診していただく方の中にも、臭いが全くしないのに、自分は『ワキガ』だと思い込んでいる方がいらっしゃいます。
 ‘本物のワキガ’と‘思い込みワキガ’を見分ける方法として、私が注意するのは服の色です。
 ‘本物’の方は、まず絶対に白いシャツを着ていらっしゃいません。ブラなどの下着も白は着用されません。
 多いのは、グレーとか黒などのシャツや下着です。
      ■         ■
 中には、毎日とても気をつけていらっしゃるので、来院時には臭いがない方もいらっしゃいます。
 昔、北大形成外科の研修医だった頃、先輩から教えられた、ワキガの診察法は、ワキにガーゼをはさんでその臭いをかぐ方法でした。
 診察室に入ってから、ガーゼをはさんでいただき、問診の後で臭いを確認します。
 これで臭いがしなければ、ワキガではありませんと診断していました。
 今から考えると、ずいぶんいい加減な診断法です。たまたま、病院に来る前にシャワーでも浴びていれば、臭いはしません。
 美容外科でもこの方法をとっているクリニックがあります。
      ■         ■
 私が現在とっている診察法は、まず患者様に鏡でワキを見ていただきます。
 多汗が強い方は、見ている間にツブツブの汗が出てきます。この汗はワキガのアポクリン腺からもワキガと関係ないエクリン腺からも出ます。
 その状態で、ワキに触ってみます。必要に応じて患者様にも触っていただきます。
      ■         ■
 ワキガの方の汗はワキガでない方と比べて、ベトベトしています。おそらくアポクリン腺からの汗の粘度が高いのだと思います。
 耳垢が湿っているかどうかも、重要なポイントです。極めてマレに耳垢が乾いていても、ワキガ臭がすることもありますが、通常、ワキガの方の耳垢は湿っています。
 これで、‘思い込みワキガ’の方を間違って手術することはまずありません。
 単なる多汗症でしたら、ワキガ手術までしないで、ボトックス注射をお薦めします。また手掌(てのひら)まで、汗だらけの人には、胸部交感神経の手術を薦めています。
      ■         ■
 私がどう診断しても、ワキガの症状が無い方。手術をして臭いがなくなって、誰が嗅いでも臭いがないのに、他人が自分の臭いの事を話していて、学校や職場にも行けないという方がいらっしゃいます。
 そういう方には、自己臭恐怖のことを説明して、北大病院の精神神経科をご紹介しています。
 北大精神神経科は、昔から自己臭恐怖の研究をしておりご専門の先生がいらっしゃいます。最近、認可になったお薬がよく効くそうです。

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選挙

 参議院議員選挙で札幌駅周辺も賑わっています。私は特定の支持政党はありません。選挙には毎回行っていますが、最近は日曜日が仕事なので期日前投票をしています。
 私は政治家になろうと思ったことは一度もなく、政治に興味もありません。
 ただ、現在の厚生行政(医療問題)には大いに疑問と文句があります。
      ■         ■
 医療法の改正で少しはマシになりましたが、厚生労働省はダメな役所です。女性週刊誌や大新聞の一面には『ワキガが30分で治る超音波法』なんて‘広告’が大々的に出ているのに、真面目なクリニックが『わきが手術』と表示を出そうとすると禁止。
 『わきが手術』ではなく『腋臭症手術』にしなさいと指導されます。
 札幌美容形成外科を開業する前に会った友人の一人との会話です。
『本間、お前のところの看板に、‘腋’って書いてあるけど、あれ何て読むのよ?』
『次の‘臭’はくさいダベ』
『‘腋’なんて字は学校で習わないよな』
『‘腋’はエキって読むの?サンズイつけたら‘液’だもんな』
『腋臭症手術(エキシュウショウシュジュツ)なんて書かないで、わかりやすく、ワキガ手術って書けばいいっしょ』
『何?国が決めて書けないの?お役所だもんなぁ』
      ■         ■
 年金問題では国民が怒っています。30年前の領収書出せなんて言われて出せる人が何人いるのですか?
 よくよく調べてみると、社会保険庁がボンクラだったのでしっかり記録していなかった。もし銀行や金融機関が預かったお金の記録をしっかりつけていなかったらどうなりますか?
 大臣が‘女性は産む機械’だなんて、とんでもないことを言ってもクビになりません。
      ■         ■
 エステでレーザー脱毛をするのは医師法違反と言っておいて、エステの脱毛広告は規制なし。
 エステで脱毛してヤケドしたと来院なさる方がたまにいらっしゃいます。
 日本はエステで脱毛OKなら、しっかり法律で決めればよいのに、野放し状態です。
 運の悪いお医者さんだけが、たまに医師法違反で捕まります。50km制限の道路を、みんな70kmで走っていて捕まらないから、70kmや80kmで走っているのが日本のエステ脱毛です。
      ■         ■
 先日いらした女性は、無料体験脱毛で、ある大手のエステに行き、危うく30万円もするコースを契約させられそうになったそうです。
 ある女子学生は、エステの脱毛を契約したが、さっぱり毛が抜けず、お金をドブに捨てたようなものですと…。
 そもそも、違法だと言っているものを野放しにしているのが厚生労働省です。
      ■         ■
 薬害エイズの時も、ないナイと言っていた資料が大臣がかわったとたんに出てきました。
 資料が出てきた時には、時すでに遅し。一番悪いことをした‘大先生’はボケ老人になってしまっていて、結局、誰が悪いのかわからないままです。
 私は‘美しい国’は要りません。豊かで住みやすい安全な国が一番です。心豊かになれば、住民が自然と美しい街をつくり、美しい国ができると思います。

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良いものを安く

 今の社会では‘良いものを安く提供する’のが成功の秘訣だと、チェーンストア論を学んで感じました。
 流通業では、多店舗展開をして、商品の企画・製造・販売をすべて行うことで可能になります。
 これを医業に当てはめるのは、とても難しいことです。美容外科・形成外科で、‘商品’を製造することができるのは、医師だけです。医師は簡単には‘製造’できず、中国やベトナムから輸入することもできません。
      ■         ■
 東南アジアへ‘整形ツアー’に行く人もいます。日本国内ですら、どこの美容外科にかかってよいか選択するのが大変なのに、言葉が通じない外国で手術を受けるのはリスクが伴います。
 また、治療は一回の手術だけで終わるのではなく、アフターケアーという目に見えない‘商品’も大切です。
 美容外科のチェーン店で価格が驚くほど安いクリニックがあります。HPにも書きましたが、一人当たりにかける時間を短くしないと‘安売り’はできません。そのクリニックに行った患者様が、流れ作業で手術を受けているようだったと話されていました。
      ■         ■
 私が開業する時に、できるだけ多くの人に安心して手術を受けていただきたいと考えました。
 美容整形というと、いかにも高くて、高級そうで手が出ないと思いがちです。
 東京では、安売り店と高級店に二分化され、倒産する美容外科も多いと聞いています。数年前に韓国へ行った時も、廃業したり身売りする美容外科が多いと聞きました。
      ■         ■
 私はもともと形成外科医だったので、総合病院の形成外科で長らく診療を担当しました。
 夏休み前になると、ワキガ手術をしていますか?というお問い合わせをたくさんいただきました。
 総合病院の形成外科では、だいたい一週間の入院治療が‘標準’でした。
 朝8:30から外来診療をはじめても、終わるのは早くて午後1:00、遅いと午後3:00まで外来です。それでも、2時間待ちの3分診療なんてよく言われました。そんな混雑している外来で、わきが手術なんて到底できませんでした。
      ■         ■
 私がワキガ、眼瞼下垂、陥没乳頭は保険診療と看板に書いているのは、それだけ需要が多いからです。
 美容整形というと、二重や脂肪吸引が多いと思いがちですが、隠れたベストセラーがワキガです。
 患者様は、30分でできるワキガ手術という広告を信じて受診します。早い、簡単、通院不要という言葉を入れるとお客様が増えます。実際はそんな手術でワキガは治りません。
      ■         ■
 何度も日記に書いているように、ワキガ手術は簡単ではありません。通院不要のクリニックで手術を受けて無残なキズが残っている方がたくさんいます。
 流通業のように、大量生産で安くすることができないのが医療です。私ができることは、現在の保険制度を使って、最大限にキレイに仕上げる手術です。
 保険でも保険外でも使う糸は一緒です。手術をする医師も同じです。現在の医療保険制度がいつまで続くかはわかりませんが、高い保険料を給与から天引きされているのです、それを利用しようではありませんか!

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暮らしを豊かにする

 今日で北海学園大学経営学部経営学科のニトリ寄附講座(前期)が終了しました。一回90分の講義が2コマ。4月から今日まで7回あり全部で14コマでした。私は、すべて出席し一番前で聴講していました。
 北海学園大学の若い学生さんには、物好きな変なおじさんに思われていたことでしょう。
      ■         ■
 今年の講義の特徴は、お忙しい似鳥昭雄社長自らが半分以上の講義を担当されたことです。
 今日は、学生さんに256MのUSBメモリーのプレゼントまでありました。
 ニトリは家具・インテリア用品を総合的に扱う専門店(ホームファニシングストア)として毎年成長している優良企業です。株価も上昇を続けています。
      ■         ■
 似鳥社長に‘超お忙しい’社長が自ら講義を担当してくださる理由を伺いました。
 社長の回答です。
  自分が成功するまでには、たくさんの方に助けていただきました。自分を育ててくれた北海道に恩返しをしたいという気持ちから、北海道応援基金を創設しました。夕張市にもサクラとモミジの苗木を植樹して応援しています。
 自分が学んで成功した、渥美俊一先生の‘チェーンストア論’を大学の教育科目として系統だてて教えているところがありません。母校の北海学園大学の学生さんに是非学んで欲しいという、熱い思いから講義をしました。
 社長は常に夢とロマンを持つこと。を繰り返し強調されました。若い学生さんには、通じない人もいたようですが、私には十分すぎるくらい通じました。
      ■         ■
 このチェーンストア論は、異業種の私にもとても参考になりました。まず、起業の動機づけとして、‘人々の生活を豊かにしたいという’大原則があります。
 社長のメッセージです。『ニトリは、今、日本の国民に本当の住まいの豊かさを知ってもらう社会を目指して、チェーンストアづくりと取り組んでいます。あるべき経営方法と技術とを、懸命に学んでいるのはそのためです。それは日本で最初の“住生活提案企業”を築こうと考えたからです』
 常にお客様の立場に立って、商品開発から販売までを一貫して行っています。
 同じ子供用の机なら、他社よりも安く機能的にも満足できるのがニトリの製品です。ソファーも同じです。
      ■         ■
 私も札幌美容形成外科を開業する時に、美容外科・形成外科という‘医療’をリーズナブルな‘価格’で提供する。という大原則を考えました。
 せっかく高い保険料を払っているのだから、健康保険を使えるものは保険で安く手術いたします。というのが私の考えです。
 ‘美しい国’日本の厚生労働省は、国民にわかりやすく医療保険制度を説明していません。一部の‘賢い人’はワキガ手術や眼瞼下垂症手術を保険でできると知っていますが、大部分の国民は知りません。医学部や看護学校で試験に出しても学生は間違います。
      ■         ■
 医療業界も競争が激しく、札幌にも新しい美容外科が次々と‘開店’します。
 どんなに競争が激しくなっても、適正な料金で暮らしを豊かで快適にする技術力があるクリニックは残ります。
 私のロマンとビジョンは、最高水準の安全で快適な医療を適正な価格で提供することです。

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「甦れポプラ並木」写真展

 元札幌医科大学中央写真室長、武藤省吾先生の写真展が開かれます。今回のテーマは「甦れポプラ並木」。北大ポプラ並木の四季を30年間にわたり観察し、写真撮影を続けてきた武藤先生の写真展です。
 私が学生だった30年前から現在まで、北大ポプラ並木を撮りつづけた写真のプロです。
      ■         ■
 大学病院の写真室は、主として患者様の患部の写真撮影、手術のビデオ撮影、学会用写真やポスターの作製、学生教育用ビデオ製作などを担当してくださいます。
 札幌医大の写真室はスタッフが優秀で、医学写真学会でも高い評価を得ていました。武藤先生には論文用写真やビデオ撮影でお世話になった他、奥様が形成外科外来の看護師さんでしたので、ご夫婦ともにお世話になりました。
 武藤先生は温厚で物静かな先生。奥様は笑顔の優しい看護師さんでした。
      ■         ■
《札幌会場》
開催日 :2007年7月27日(金)~8月1日(水)
開催時間:午前10時~午後6時30分
開催場所:富士フイルムフォトサロン/札幌
札幌市中央区北2条西4丁目2 札幌三井ビル別館1階
TEL:011-241-7366
      ■         ■
《東京会場》
開催日 :2007年7月6日(金)~7月12日(水)
開催時間:午前11時~午後8時(最終日午後2時)
開催場所:富士フイルムフォトサロン/東京
東京都港区赤坂9-7-3 フジフィルムスクエア2階
TEL:03-6271-3351
      ■         ■
 札幌会場は札幌美容形成外科のすぐ近くです。日本航空札幌支店から、道庁方向へ歩くと、同じビルの一階にあります。
 北大ポプラ並木は、2004年8月3日に札幌美容形成外科が開院した翌月の大風で無残に倒れてしまいました。
 下の写真はおそらく倒れる前の写真です。お時間がある方は是非お立ち寄りください。入場は無料です。

北大ポプラ並木(武藤省吾先生の作品)

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医療問題

病院の赤字

 私は美容外科医になる前に総合病院の形成外科医をしていました。
 私が勤務した病院で黒字だったのは、釧路労災病院と帯広厚生病院でした。釧路労災病院は当時、新田一雄院長とおっしゃる、伝説の素晴らしい院長がいらっしゃいました。
 全国の労災病院でもトップクラスの黒字病院でした。設備は一流で、大学病院にない医療機器もたくさんありました。
      ■         ■
 帯広厚生病院は北海道厚生農業協同組合連合会(JA北海道厚生連)が経営する総合病院です。
 JA北海道厚生連は農協法により昭和23年8月に「農民の健康保持と生活文化の向上」を目的として設立されました。 農業団体が経営する、農民のための病院です。一番偉いのは農協の組合長さんで、医師はその下で雇われています。
 帯広厚生病院はJA北海道厚生連の中でも、トップクラスの黒字病院でした。設備も施設も一流でした。
      ■         ■
 逆に、札幌医科大学附属病院、北海道大学病院、市立札幌病院は赤字でした。
 これら3病院は今でも赤字だと思います。
 救命救急センターがあったのは、市立札幌病院と札幌医科大学附属病院。私が辞めた後で帯広厚生病院にもできました。北海道大学病院にも救急医学講座ができました。
      ■         ■
 札幌市には消防ヘリがあり、消防局の救急隊も優秀です。
 消防ヘリの維持管理には莫大な費用がかかり、消防・救急にもお金がかかります。
 現在の日本では、119番で救急車を頼んでもお金はかかりません。タクシー代わりに利用する人がいて困っているくらいです。
      ■         ■
 私は一人の札幌市民として、消防・救急、救命救急センターにお金をかけるのはよいことだと思います。
 病院が赤字で必要な医療器械も買えないのでは困ります。ある程度のお金は行政から支出しても仕方がないと思います。
 問題なのは、仕事をしないで、給料ばかり高い職員がいるために赤字になっている病院です。
 どこの病院とは申しませんが、そういう病院がありました。
      ■         ■
 私は札幌市民が安心して暮らせるために、ある程度の税金が使われることは必要だと思います。
 札幌は同規模の日本の他都市より凶悪犯罪が少ないそうです。統計的なデーターがあるかどうかは知りませんが、確かに凶悪犯は少ない気がします。これにも札幌市の医療が役立っているそうです。
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 事務所経費や、議員さんのわからない調査費に税金を使うのは反対です。
 安心して暮らせる街づくりのために税金を使うのは悪いことではないと思います。株式会社が病院を経営できるようになっても、救命救急センターは無理だと思います。
 お金持ちだけが、高度救命救急センターを利用し命拾いできるなんてまっぴらです。

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