医療問題
たらい回し診療の背景
週刊文春、1月31日号、病院情報ファイル2008の記事です。
取材・構成 恵原真知子さん
医療ユーザー編
たらい回し診療の背景
医師の過酷な勤務状況を改善し、
安全な医療を実現するために必要なこと。
■ ■
緊急治療を要する産科や外傷患者の救急受け入れがスムーズにいかず、手遅れになる。
この急患たらい回しの報道が目立つ。
保険証があればいつでもどこでもある程度の医療が受けられるはずだが、その常識はもはや幻想かもしれない。
背景には深刻な医師不足がある。
■ ■
本質的な問題として医師の過酷な勤務実態や責任に比して低い報酬、あるいは医学教育と医療の制度疲労などがあげられる。
医療が限界状況にきているのだ。
患者側では手出しできない問題ばかりだが、医師が働きやすい環境が担保されなければ、安全な医療など望めない。
医師の仕事や働き方は、ユーザーの問題でもあるはずだ。
■ ■
現在、多くの病院ではリスクマネジメント会議などで
「急患は、スタッフなどの受け入れ態勢が不十分な場合は、無理せずに断る」
旨を話し合っているという。
不十分な人員や機材のまま患者を受け入れ、不満足な結果になれば、訴えられ敗訴するからだ。
不眠不休で働こうと誠意を尽くそうと、ミスになる確率が高い以上、診療回避が当然の判断であり、合法的だ。
■ ■
しかも、例えば未熟児網膜症により失明した責任を問うた訴訟事例では、被告病院が、治療能力のある病院に転院させなかった落ち度を問われている。
医師の数が十分で、医療レベルが周知されているならそれも正しいだろう。
だが、そのような体制が不備な現状では、我々はいつ診療回避で医療難民になっても不思議はない。
■ ■
必要に応じて難なく治療を受け、治る病気を治したいという患者の願いは、医師の願いでもあるはずだ。
もはや他人任せにはしておけないという思いをもった医師たちが、その実現に向けて具体的に動き出した。
そのーつが勤務医を中心とする新しい団体(全国医師連盟設立準備委員会・黒川衛代表世話人)の設立だ。
新団体は、医療崩壊を食い止めるためにも医師の労働環境改善を図るべきとし、本年5~7月頃に千人規模での設立を目指す。
目下の会員数は約420人、平均年齢は約43歳と若い。
■ ■
医療の中核的担い手の出番
医師不足に対しては今年から医学部の定員が増えるが、産婦人科医や救急医療専門医が増える保証はない。
また、診療点数は一律で、医師の経験や専門医資格の有無や技術格差は反映されない。
少しずつ定額制が導入されているが、基本的には個々の医療行為ごとに点数が定められているので、検査や処方薬の多い医師のほうが稼ぐなどの矛盾も孕(ハラ)んでいる。
さらに定価になる診療点数が逆手に取られ、ペースメーカーや人工内耳など輸入医療機器は世界一高い価格で買わされている。
■ ■
「医師を悪者にして叩いても何も解決しない。
患者と医師は治療の共同体で、敵対関係になるほど不毛なことはない」
と『医療崩壊』の著者で虎の門病院泌尿器科の小松秀樹部長はいう。
そもそも患者を“様”づけし、
「医療も教育もサービス業の一種」
という考え方が示された(「サービス」の誤訳という説も)頃から、
患者側の勘違いも目立ってきた。
■ ■
・マナー違反、
・医療費踏み倒し、
・医療スタッフの使用人扱いや
・タクシー代わりの救急車利用
などの事態が、病院の混乱や疲弊に拍車をかけている。
まず一刻も早い医療の総点検が求められる時期なのだ。
医療費を抑制するべきかどうかなどもその後の問題だろう。
たらい回しや高齢者の切り捨てがなく、さらに医療スタッフが落ち着いて働ける医療環境が整うよう、
私たちも関連報道などに注目していこう。
■ ■
医療問題の理解に役立つホームページ
・現場からの医療改革推進協議会:
http://plaza.umin.ac.jp/~expres/genba/index.html
・周産期医療の崩壊をくい止める会:
http://perinate.umin.jp/
・ロハス・メディカルブログ:
http://www.lohasmedical.jp/blog/
・医学研究情報所のメールマガジン:
http://mric.tanaka.md
(以上、週刊文春より引用)
■ ■
国が進めた医療制度改革で、保険医療機関も保険医も疲弊しています。
私などが、とやかく言うと…
美容整形の医者が何を言ってるんだ!
と、お怒りの電話を受けそうです。
(美容外科医は、悪徳医師の代表のような印象があります。)
■ ■
北海道では、平成19年に
五輪橋内科病院/民事再生法 負債41億/H19年1月
北斗循環器病院/破産 負債16億/H19年4月
パーク歯科医院/医療法人白歯会/破産 負債1.7億/H19年5月
松井病院/医療法人円友会/破産 負債2.7億/H19年5月
三恵病院/医療法人社団和城会/民事再生法 負債13.3億/H19年9月
の医療機関が倒産しています。
■ ■
昔は、
お医者さん=お金持ち
というイメージがありました。
今は、
お医者さん=休みがない
いつも疲れている。
激務
過労死
などなど…
あまり良いイメージがありません。
■ ■
私は、長い間、勤務医をしていました。
総合病院の診療科長会議なんていうと…
格調高い、医学のお話しなんて、イメージをもちそうですが…
実際のところは、経営が苦しいので、皆様のご協力を…
てな、会議が大部分です。
■ ■
一般に、勤務医は、いくら働いて‘売上’が多くても、
お給料は上がりません。
せいぜい、増えるのが、時間外手当でした。
それも、出なくなっている病院が多いと聞いています。
■ ■
診療科によって、忙しい科と、比較的ヒマな科があります。
9:00~17:00までで、定時に終わる科の医師と
7:00~22:00まで、働いている医師の給与差が、ほとんどないことがあります。
若手の働き者の医師の給与が低く、
あまり働かないで、
‘医局で昼寝’なんかしている医長クラスの給与が高いこともあります。
そうすると、
『こんなところで働いていられるか!』
とキレる医師が出てきます。
■ ■
総合病院の院長職の仕事は、優秀でよく働くお医者さんを
いかに多く確保するかに翻弄されます。
医師の給与を、出来高払いにする必要はありませんが、
一生懸命働いた医師が
夢も希望もなくするような病院はダメです。
健康で文化的な生活を営む権利は
憲法で保障された、基本的人権です。
為政者は、この憲法の規定を守るような政策を立てる必要があります。
このままだと、本当に日本の医療は崩壊します。
医療問題
ボトックスで死者16人
平成20年1月27日の北海道新聞朝刊に、
毒素の美容注射で死者
米消費者団体が警告
という記事が掲載されていました。
■ ■
この記事は、共同通信が配信した記事です。
同じ内容の記事をネットで検索したところ、スポーツニッポンの記事が詳しかったので、以下に引用します。
スポニチの記事は、ロイター通信社の配信記事です。
■ ■
米国の有力な消費者団体「パブリック・シティズン」は1月24日、
顔のしわを取る美容外科や筋肉を弛緩(しかん)させる治療で使うボツリヌス菌毒素の注射薬で、
16人の死者が出るなど重大な副作用が発生しているとして、
医師や患者に警告を出すよう米食品医薬品局(FDA)に要請したと発表した。
■ ■
対象の薬は「ボトックス」と「マイオブロック」で、
特にボトックスは日本でも美容外科でよく使われている。
■ ■
同団体によると、これらの薬のメーカーがFDAに自主的に提出した報告書から、
米国内で1997年11月から2006年末までに658件の副作用例があり、
うち180件は、ものがのみ込みにくくなる障害や肺炎などの呼吸器関係だった。
■ ■
87人が入院し、
注射後に呼吸器の障害で死亡したケースはボトックスで12人、
マイオブロックで4人。
ボトックスの少なくとも1件は美容目的だった。
■ ■
ボトックスの製造元の米アラガン社は
「患者自身の神経的な病状やリスク要因が重大な結果をもたらすことがあり、
必ずしもボトックスと因果関係があるわけではない。
過去17年間で重大な副作用は極めてまれだ」
とコメントしている。
■ ■
ロイター通信によると、
FDAは「要請の内容を検討してからコメントする」としている。
(以上、スポーツニッポンHPから引用)
■ ■
ボトックスはHPにも詳しく記載してあるように、
正しい使い方をする限り、安全で有用な薬剤です。
ただ、どんなに優れた薬でも、使い方を誤ると重大な副作用が起こります。
この新聞記事に掲載された内容は、誤りではありませんが、
いたずらに不安を煽る(アオル)書き方はよくないと思います。
■ ■
札幌美容形成外科のHPにも記載してありますが、
この薬はもともと斜視の治療に用いられました。
その後、眼瞼痙攣、片側顔面神経麻痺などの治療に使われ、
美容外科で使われるようになったのは、ずっと後です。
日本で最初に使って紹介してくださったのは、
サフォクリニックの白壁征夫先生だったと記憶しています。
白壁先生が、ご自身の額に注射して、学会の時に見せてくださいました。
■ ■
米国では、日本よりずっと多くのボトックスが使われています。
PRSという、米国形成外科学会雑誌に特集号が出たくらいです。
数多く使われるようになると、不慣れな医師が使って、事故も起こるようになります。
米国では、歯科医師が‘歯軋り(ハギシリ)’の治療に使うこともあります。
■ ■
死亡事故の原因となった、
・ものがのみ込みにくくなる障害
・肺炎
・呼吸器の障害による死亡
は、いずれもボトックスを過剰に注射して、
呼吸筋が麻痺したか
血管内に注射してしまった事故だと、推測されます。
■ ■
もし、血管内に入って、呼吸障害を起こした時は、
麻酔器や人工呼吸器で酸素を投与すればよいことです。
決して、死ぬようなことは起こりません。
薬の作用機序から考えても、
致死的な副作用は考えられません。
■ ■
不慣れな医師が、安易に使うと事故になります。
どんな薬剤にも副作用はあります。
よく効く薬ほど、使い方が難しいのです。
そこに、医師の腕が必要になります。
■ ■
米国で大ヒットしたので、
中国や韓国でも、コピー商品が出ています。
中国製は、名前まで似ています…
今回、報告された副作用は、コピー商品ではなく
本家本元の正規品です。
■ ■
正規品ですら、副作用が問題になっています。
どんなハイテク航空機でも…
パイロットが下手だと墜落します。
乱気球に巻き込まれて、機体が傾いても
未熟なパイロットは機体を立て直せません。
■ ■
医療も同じです。
経験を積んだ医師と…
免許取立ての医師は違います。
万一の事態に対処できるかどうかで、生命の危険が左右されます。
安全性からいえば、ボトックスより脂肪吸引の方がずっと危険です。
■ ■
形成外科の専門誌には、
まだ、ボトックスで死者が出たことは掲載されていません。
以前にも書いていますが、
脂肪吸引による重大事故は、文献的にも紹介されています。
私は、自分の身内にも、ボトックスを注射しています。
自分の身内に使えないような薬剤は、‘絶対に’使いません。
ボトックスは、正しく使えば、怖い薬剤ではありません。
医療問題
本人確認
保険医療機関では、健康保険証を提示していただき、本人確認をいたします。
美容外科では、自由診療のため、本人に申告していただきます。
原則として、運転免許証などで、本人確認はいたしません。
法律で義務付けられていることもございません。
ホテルや旅館で、チェックインの時に、住所と名前を書くのと一緒です。
■ ■
法律で義務づけられているのは、診療録(カルテ)の記載と保存です。
カルテは5年間の保存義務があります。
実際には、5年以上、保存している医療機関が多いと思います。
大学病院や大病院では、カルテの保存や管理が大変です。
現在は、電子カルテも認められており、将来的には電子カルテになると思います。
■ ■
電子カルテにしても…
紙カルテにしても…
カルテ入力する、
・氏名
・生年月日
・住所
・電話番号
などは、本人の自己申告です。
■ ■
もし、他人の保険証を借りて、
医療機関を受診して…
保険診療を受けたとすると…
これは、立派な‘犯罪’です。
刑法の詐欺罪になります。
外国人が他人の国民健康保険証を借りて、逮捕された事件がありました。
■ ■
美容外科の自由診療では、保険証の提示は求められません。
ご本人に記入していただく、問診票だけです。
今までにお一人だけ、
名前も住所も書きたくないという方が来院されました。
医療法の規定で、
名前も住所もわからなければ、
記録を残せませんので、
診療をお断りいたしました。
■ ■
以前、勤務していたクリニックでのことです。
30年前に、豊胸術を受けました。
当時は、偽名で受診しました。
何という名前で受診したか、覚えていません。
でも、この病院で受けたのは確かです。
■ ■
偽名の他に、
妹さんの名前で受診した…
生年月日を10歳若くした…
(実際に10歳以上、若く見えました…)
などなど、美容外科ならではの‘偽装’もあります。
■ ■
これも、以前勤務していた時のことです。
ある、大手美容外科が近くに出店する前です。
美しい女性が、相談にいらっしゃいました。
素人ぽく、質問をされます…
こちらがどういう説明をするか…
チェックされている様子がわかりました。
私も気付かぬフリをして…
ふつうにご説明をいたしました。
変だなぁ…
と思いながら…
■ ■
豊胸術を受けたい…
と相談にいらして、
ご自分の胸まで出されて…
こちらの、
・料金
・方法
・アフター
などを、細かくチェックなさる方もいらっしゃいました。
■ ■
問診票に記入された、
氏名・生年月日・住所・電話番号は、
本人が記入したものを、そのままカルテに使用します。
ですから、19歳の方が20歳と記載した場合は、
申告通り、20歳として受け付けます。
20歳でしたら、
本人の手術承諾書だけで手術をお引き受けすることになります。
■ ■
明らかに、未成年と思われる人を、
保護者の承諾なく手術することはありません。
ただ、24歳でも、
未成年に見える方もいらっしゃれば…
18歳でも、20歳過ぎに見える…
方もいらっしゃいます。
■ ■
自由診療では、この辺の本人確認が、しっかりしていないのが‘実情’です。
これは、札幌美容形成外科に限ったことではなく、どこの美容外科でも同じだと思います。
保険証の不正使用は、もっと重大な問題です。
こちらは、立派な犯罪ですが、医療機関としては確認のしようがありません。
■ ■
不正使用が発覚した場合は、医療機関も医療費を本人に請求し直す必要があります。
せめて、健康保険証に写真が貼付してあれば、不正使用は少なくなると思います。
健康保険証は、公的な証明書として利用されます。
それなのに、住所の記入も本人ができます。
厚生労働省は、せめて写真の貼付など、保険証をもう少し改善すべきだと思います。
医学講座
献血とHIV
平成20年1月24日、朝日新聞朝刊の記事です。
献血でHIV判明100人超
日赤「検査目的やめて」
■ ■
献血時にエイズウイルス(HIV)感染が判明した人が2007年に初めて100人を超えたことが1月23日、日本赤十字社の調べで分かった。
感染者増に加え、検査目的で献血をする人が後を絶たないためとみられる。
日赤は「感染直後は検査をすり抜けて輸血で感染してしまう恐れがある。
検査目的の献血はやめてほしい」と呼びかけている。
■ ■
2007年の献血者総数延べ約494万人のうち、HIVが検出されたのは102人で前年比15人増。
献血者10万人あたり2.065人で、初めて2人を超えた。
(以上、朝日新聞から引用)
■ ■
HIV検査は、保健所では、無料で実施してくれます。
匿名でもOKです。
でも、いくら匿名でも…
保健所に行くのは本人です。
いかにも…
という目で見られる?
と考えるとイヤなものです。
(実際には、そんなことはないと思いますが…)
■ ■
私が、HIV検査を手術を受ける方全員に行うようになったのは、
帯広厚生病院時代からです。
院内感染対策委員会の委員でした。
当時の院内感染対策委員会の委員長が
現在、JA帯広厚生病院院長の川口勲先生です。
■ ■
川口先生は、産婦人科のベテラン医師です。
帯広厚生病院は、北海道内の病院でも、早くからHIV検査を実施しはじめました。
HIV検査の重要性を一番強く認識されているのが、臨床検査技師の方です。
われわれ医師は、担当した患者様の結果しかわかりません。
臨床検査技師は、すべての方の検査結果がわかります。
院長より、よく知っています。
■ ■
私は、臨床検査技師の方から、HIV検査をすすめられました。
毎日、たくさんの検査をしていると、たとえ10万人に2人でも、陽性者に遭遇する確率は高くなります。
HIV陽性者の増加を、肌で感じているのが臨床検査技師さんです。
■ ■
現在、問題になっている肝炎は、血液製剤で感染しました。
医師・看護師などの医療従事者は、血液を通じて感染するリスクがあります。
私の知人の医師でも、誤って針を刺してしまい肝炎になってしまった人がいます。
■ ■
同じことが、HIVでも起こる可能性があります。
将来、何の罪もない人が、HIVに感染してしまう可能性があります。
献血に行って、HIV陽性だったとしても、結果は教えてくれません。
ブラックリストに載るだけです。
■ ■
HIVに感染する可能性があるようなことは、しないのが一番です。
ただ、もし、HIV感染が心配なら、
絶対に献血はやめてください。
HIVに感染していたとしても、検査で見つからない時期があります。
ウインドウピリオドといいます。
ここのHPに詳しく書かれています。
HIV検査は、札幌美容形成外科でも、他の医療機関でも受けられます(有料:当院は1,050円)。
心配な方は、保健所や医療機関で検査を受けてください。
医療問題
出産事故-補償-
平成20年1月24日、朝日新聞朝刊の記事です。
出産事故2,500万円補償
2008年度から-重い脳性まひ救済-
■ ■
政府方針で導入される、出産時の医療事故で重い脳性まひになった子の救済制度について、
厚生労働省所管の財団法人・日本医療機能評価機構は1月23日、子1人当たりの補償額を計約2,500万円とすることを決めた。
事故直後の一時金と、成人するまでの分割給付金に分ける。
■ ■
救済対象となるには出産を扱う病院・医院が保険に加入している必要があり、 同省などが加入を呼びかける。
2008年度中に開始する。
■ ■
救済対象は、妊娠33週以降に体重2,000グラム以上で誕生するなど、通常の妊娠・出産で、重い脳性まひになった子。
年間500~800人程度を見込む。
未熟児や先天的に脳に異常がある子らは原則対象外。
医師に過失がなくても救済されるのが特徴で、産科医不足の一因とされる医療紛争を減らす狙いもある。
■ ■
補償金は、出産後の一時金(500万~600万円)と、
子どもが成人するまで支払われる分割金(1ヵ月当たり約8万円、総額約2,000万円)に分けて給付。
子どもが成人前に死亡した場合は遺族に給付される。
■ ■
医療機関が支払う保険料は出産費用に転嫁されるとみられ、個人負担が3万円程度高くなる恐れがある。
このため同省は、制度開始にあわせて健康保険から支払う出産育児一時金(現行35万円)を引き上げる方針。
(以上、朝日新聞から引用)
■ ■
赤ちゃんは、お母さんのお腹にいる時は、お母さんの血液から、胎盤を通じて酸素をもらっています。
出産と同時に、赤ちゃんは自分で呼吸を始め、『おぎゃぁ!オギャァ!』と言って、酸素を自分で取り込みます。
■ ■
産道を通って、無事に生まれるまでの間に、『何か?』が起こると、赤ちゃんの脳に酸素が届かなくなります。
出産時の脳性マヒは、簡単に説明すると、こういう‘事故’です。
お母さんが健康でも、赤ちゃんが健康でも、事故が起こる可能性はあります。
■ ■
・妊娠33週以降
・体重2,000グラム以上
・通常の妊娠・出産
と条件がついていて、
・未熟児
・先天的な脳の異常
は原則対象外となっています。
■ ■
脳性マヒになるのは、出産時だけではなく
出生前
・胎内感染
・母体の栄養障害や中毒
・胎児の黄疸
・未熟児
出生後
・脳炎
・脳内出血
・中枢神経感染症
などによっても起こります。
1,000人につき2?4人の割合で起こり、
早産児にはその10倍と言われています。
こちらの萬有製薬HPに詳しく記載されています。
■ ■
以前から私が書いているように、どんなに医療が発達しても、100%安全なお産はありません。
お母さんだけではなく、赤ちゃんにも危険は生じます。
不幸にして、悪い状態で生まれた子供を助けてくれるのが、小児科医です。
■ ■
私は、平成元年から平成6年まで、市立札幌病院に勤務しました。
市立札幌病院には、NICUがあり、服部先生、中島先生という、素晴らしい先生が活躍していらっしゃいました。
NICUは未熟児センターと呼ばれていました。
■ ■
私の友人や後輩の子供さんが、1,000㌘にも満たない、極小未熟児で生まれた時に、
見事に助けてくださったのが、未熟児センターの先生でした。
私も、形成外科医として、未熟児センターへよく往診に出かけました。
■ ■
周産期医療ということばがあります。
元気な赤ちゃんを産むには、お母さんのお腹にいる時から、赤ちゃんをしっかり診断して、
もし、異常があれば、生まれる前から治療をしたり、治療の準備をします。
■ ■
産科医はもちろん大切ですが、小児科医も大役を果たします。
残念なことに、産科医も小児科医も、不人気なのが現状です。
今回の出産事故の補償は、一つの保険システムです。
救済されるのは、脳性マヒの方の一部です。
■ ■
国は、少子化対策の一環として、
不幸にして脳性マヒになった子供さんすべてが、救済されるようなシステムをつくるべきです。
生まれてくる子供に罪はありません。
脳性マヒで困るのは、子供の時期だけではありません。
生涯にわたり、ハンディが残ります。
障害者に優しい国づくりが、日本を豊かにすると思います。
未分類
住民票の写し
役所でいただく書類には、戸籍謄本、印鑑証明、住民票などがあります。
この中で、住民票だけ、
『住民票の写し』が正しい日本語だということを、つい最近知りました。
『住民票の写し』は‘住民票’のコピーではありません。
役所に保存してあるのが‘住民票’。
私たちが、役所からお金を払っていただくのが、『住民票の写し』です。
■ ■
ネットバンキングやネット証券など、インターネットを使ったお金の取引が多くなっています。
お金を不正に、やり取りされると困るので、本人確認を厳しくされます。
口座開設にも、さまざまな書類が必要です。
■ ■
昨年、ご紹介した、新生銀行に口座を開設するには、2種類の本人確認書類が必要です。
A.コピー(下記のうち一通)
・運転免許証(変更があれば裏面もコピー)
・パスポート(顔写真のページと住所のページ)
・住民基本台帳カード(変更があれば裏面もコピー)
・各種健康保険証(住所欄があれば裏面もコピー)
・各種年金手帳(住所記載ページもコピー)
・各種福祉手帳(住所記載ページもコピー)
B.原本(コピー不可)(下記のうち一通)
・電話・携帯電話
・電気
・水道
・ガス
・NHK
・当行所定(Yahoo! BB、OCN、nifty、DION、Plala、BIGLOBE、So-net、DTI、ODN、フレッツ)のインターネットプロバイダー
・CATV
の請求書・領収書の原本。
■ ■
新生銀行では、2種類の書類で本人が、本当にそこに住んで、生活しているかどうか?を確認しています。
引っ越して間もないと、請求書が前の住所のままなので、難しいことがあります。
この時は、『住民票の写し』の原本で、証明します。
新生銀行のHPには、『住民票の写し』について、
・ 作成、発行後6ヵ月以内のものに限ります。
・ ご本人さま記載ページだけでなく、発行日、発行者印のあるページまですべてお送りください。
・ 複数ページで発行されたものは切り離さずそのまま全てお送りください。
と書かれています。
住民票の写し(コピーのことではありません)と書かれています。
これだけだと、役所からいただくのが、『住民票の写し』であることは、わかりません。
ただ、コピーはダメだということはわかります。
■ ■
住民票は、役所にある原本のこと。
私たちが、お金を払ってもらうのが『住民票の写し』。
昔は、役所に、紙でできた、住民票という‘札(ふだ)’があって、その写しをいただいていたのでしょう。
今は、戸籍も電子化されています。
『住民票の写し』は、いかにもお役所らしい、古い言葉です。
■ ■
私は、岩井証券という会社に登録してある住所を変更するのに
『住民票の写し』のコピーを送ってしまいました。
書類不備で返送されてきました。
住民票のコピーは受付できかねます。
お手数ですが、添付の「本人確認書類について」を参照の上、送付願います。
と書いてありました。
最初は何のことかわかりませんでした。
よく読んでみて、はじめて、私たちがいただくのが『住民票の写し』であることを知りました。
紛らわしい(マギラワシイ)日本語です。
■ ■
運転免許証や住民基本台帳カードはコピーを送ります。
住所変更をすると、裏面にゴム印と公印で訂正してくれます。
住所変更を証明するために、免許証の表と裏をコピーして送ります。
カード式の健康保険証は、裏面に自分で住所を記入するようになっています。
実際に住んでいない、住民登録もしていない、住所を記入することもできます。
■ ■
運転免許証や健康保険証の裏面には、本人の名前も記号番号も記入してありません。
他人の運転免許証や健康保険証を借りて、裏面に書かれた、他人の住所を‘悪用’してもわかりません。
『住民票の写し』には、前住所、住所を定めた日(移動年月日)も記載されます。
どちらが、正確に新しい住所を証明できるかというと、私はコピーでも『住民票の写し』だと思います。
■ ■
金融機関が、住所にうるさくなった理由は、法律が改正されたからです。
金融機関等による顧客等の本人確認等及び預金口座等の不正な利用の防止に関する法律施行規則
という、長い名前の法律ができました(平成18年9月22日公布)
これにより、平成19年1月4日から、本人確認が厳しくなりました。
■ ■
この法律によると、
運転免許証や健康保険証は、第三者が入手できない、公的証明書。
『住民票の写し』は、第三者も入手できる、公的証明書。
と区別されています。
不思議なことに、金融庁は、HPで『住民票の写し』と言わないで、住民票と記載しています。
■ ■
私は、誤解を招く、『住民票の写し』などという、お役所用語は、死語にしてほしいと思います。
義務教育では、『住民票の写し』が正しい日本語である、とは教えていません。
センター試験にも出ません。
ふつうの日本人は、『住民票の写し』といわれると、住民票のコピーを連想します。
間違いやすいお役所用語は、訂正するべきです。
住所変更は、『住民票の写し』のコピーでもできるようにして欲しいと思います。
医療問題
ピルネット販売?
平成20年1月21日、朝日新聞朝刊の記事です。
ピル、無診察でネット販売
医師法違反も 愛知の医師
■ ■
現役の医師であるクリニックの院長が、低用量ピル(経口避妊薬)をインターネットで全国に販売していることがわかった。
ピルは処方箋(せん)医薬品で、医師の診断と処方箋が必要だが、院長は簡単な電子メールのやりとりだけで販売していた。
医薬品販売業の許可も得ておらず、厚生労働省は医師法や薬事法に違反する疑いがあるとして調査する方針だ。
■ ■
ネットでピルを販売しているのは愛知県丹羽郡にある婦人科や泌尿器科を掲げるクリニックの男性院長(49)。
院長は「オンライン処方」と題したホームページ(HP)を開いている。
HPでは、通常3,150円の低用量ピル1周期(シート)分を2,500円とし、
「2,000円に値下げ」との記載もある。
「どの低用量ピルが適しているか、院長が無料・ボランティアで相談する」と書かれ、
購入希望者には、メールで
①年齢、身長、体重
②健康状態や服用中の薬の有無
③ピルの使用経験――について返信を求めている。
■ ■
取材に応じた院長によると、HPへのアクセスは1日約6万件で、
処方依頼や服用の問い合わせなどのメールが1日60~100件あるという。
■ ■
昨秋、このHPを通じてピルを購入した東京都内の女性によると、ピルの使用経験はなかったが、
「ピルを使用したことがある」
とメールで送ると、
「経験者で、すでに近くの産婦人科で検査も終わっているようですから、低用量ピルの使用はOKと判断しました♪」
と返信があった。
■ ■
料金は2シート分で5,000円(内税)。
指定の銀行口座に入金すると、その日のうちに入金確認のメールがあり、翌日にはピルが届いた。
■ ■
厚労省によると、医師法は、医師が診察せずに診断書もしくは処方箋を交付してはならないと規定している。
また、医師が診察後に処方する場合を除き、
医師の処方箋があっても処方箋医薬品の販売には医薬品販売業の許可や薬局開設許可が必要だが、
愛知県江南保健所によるとクリニックはいずれも無許可だった。
■ ■
専門家らは、ピルを医師の経過観察なしに自己判断で長期間服用すると、乳がんや肝機能障害といった健康被害を引き起こす恐れもあると指摘している。
院長は「メールで患者の健康状態は十分に把握できる。
無診断処方を禁じた医師法の規定は実態にそぐわない。
処方はあくまで医療行為であり、薬事法に基づく無許可販売との指摘は受け入れられない」と話している。(本田直人)
■ ■
患者の利便性考慮
あくまで医療行為
一問一答
院長との主なやりとりは次の通り。
■ ■
-購入希望者とのメールでのやりとりは医療行為と言えるのか。
医療行為だ。ピルの処方を求める患者は、転居などのたびに初診を繰り返す必要があり、その都度、高額の診察料や細かい検査を求められる。
来院後も長時間待たされるが、メールならば好きな時間に健康状態を送信でき、処方がOKだと判断すれば2~3日以内に全国に郵送できる。
ほかの医師が患者の利便性を考えない方が不思議だ。
■ ■
―直接診察しない購入希望者についてもカルテを控えているのか。
当然だ。
パソコンでカルテを作成し、新たに処方する場合、薬の種類や量を逐一上書きしている。国が進める電子カルテを先取りしている。
-医師法や薬事法違反と指摘されているが。
医師法はネット社会の到来より半世紀も前にできた法律であり、医師不足の解消や遠隔地医療の充実を求める世論に照らし合わせても、規定は実態にそぐわない。薬の処方はあくまで医療行為であり、薬事法上の無許可販売にはあたらない。
■ ■

東京都内の女性購入客のもとに郵送されたピル
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
この記事は、朝日新聞が朝刊に掲載。北海道新聞が夕刊でした。
朝日が、(他社を)抜いた記事で、記者の署名入りで力が入った、書き方でした。
朝日新聞社は、医師法違反で、無許可でネット販売をしている。
けしからん医師だ!
と決めつけているようです。
‘ネットで販売で、儲けている’
という、読者へのメッセージが見えてきます。
■ ■
私は、この先生と面識がありませんし、所属学会も違います。
ただ、ネット検索で10年位前から、存じていました。
クリニックの名前は、宮川クリニックです。
先生は、宮川善二郎先生です。
婦人科のことはわかりませんが、包茎手術に関していえば、良心的な先生です。
HPでの包茎や性病についての記載も、正確です。
職員への教育や啓蒙に使わせていただいています。
■ ■
宮川先生は、
日本遠隔医療学会
という学会の会員です。
遠隔医療学会が、薬のオンライン処方を推進しているかどうか?わかりませんが
少なくとも、患者様に危害を加えることは少ないと思います。
■ ■
ピルが欲しければ、宮川先生のオンライン処方に頼らず
ネットで、『ピル、個人輸入』と検索すれば、簡単にサイトが見つかります。
私が検索した範囲では、宮川先生より‘高い’ところが多いようです。
■ ■
朝日新聞社は、もし、ピルのオンライン処方が問題だと取り上げるのでしたら
もっと危険な、個人輸入を取り上げるべきです。
宮川先生は、少なくとも、メールで相談した上で‘処方’しています。
何かあっても、すぐにメールで返信しているはずです。
■ ■
朝日新聞社の記者は、他の婦人科の先生から情報を得て、
宮川先生を取り上げたと、私は推測します。
同業者にとっては、目障りなサイトです。
東京には、たくさんの婦人科やレディースクリニックがあります。
日本国内には、ピルが欲しくても、近くに婦人科がない地域がたくさんあります。
そういう僻地にも、妊娠可能な若い女性はいます。
■ ■
望まれない妊娠を繰り返しているよりは、ピルは役に立ちます。
仕事が忙しくて、受診する機会がない女性もいます。
毎月、耐えられない生理痛に悩んでいる女性にも、ピルが役立つことがあります。
オンライン処方は、そういう、社会的なニーズがあるからヒットするのです。
■ ■
厚生労働省は、この際、古い医師法を見直して
このように、社会的ニーズがある、ネット処方を是非考えて欲しいものです。
家内は‘ネット販売で儲けている、けしからん医師’だと、
TVのワイドショーを見て思ったそうです。
私は、そうは思いません。
先生が自ら、メールの返事を書いて、2,000円では安いと思います。
おそらく、私と同じように、夜遅くまでPCに向かっていると思います。
先生を取り締まる前に、危ない個人輸入に歯止めをかけるべきだと思います。
医学講座
ワキガ手術-通院不要?-
先日、次のようなお問い合わせをいただきました。
他の美容外科では、ワキガ手術を、2回とか3回の通院でしている。
お宅で、何回も通院させるのは、
保険でやって、ちゃんとやっていないからじゃないの!?
という、お電話でした。
■ ■
何度も、私がHPや日記で繰り返しています。
ワキガ手術は、ワキの皮膚を裏側から削る手術です。
どんな方法で手術をしても、必ず皮膚は傷つきます。
傷ついた皮膚を回復させるためには、軟膏を塗ったり、マッサージをしたりする必要があります。
ちゃんと治療しているから、何回も通院するのです。
■ ■
保険診療では、形成外科の再診(通院)は赤字です。
現在の保険制度では、私と看護師が15分もかけて説明して、マッサージをしても軟膏代+490円(再診料別)しかいただけません。
クリニックで処置をした際の、テープ・ガーゼなどの料金は、こちらで負担。
本人には請求できません。
処置だけの場合でしたら、本人負担額は500円程度です。
テープやガーゼの価格を考えると赤字です。
通院が多ければ多いほどクリニックの赤字は増えます。
それでも、通院が必要ですとご説明し、赤字でも通院して処置をしているのは、
キレイに治すために、処置が必要だからです。
■ ■
先日いらした女性の方は、東京でワキガ手術を受けられました。
通院は不要。
その日に手術ができます。
その言葉を信じて…
手術を受けられました。
結果は…
ワキのキズが化膿して、キズがふさがらず、結局、大きなキズが残ってしまいました。
■ ■
私が手術をしても、残念なことに、キズが残る方はいらっしゃいます。
その方の体質により、盛り上がること(ケロイド)や、
皮膚が一部死んで壊死(エシ)になってしまうことがあります。
範囲が広い方は、ワキ中央部の血流が悪くなります。
臭いのキツイ方、
毛の濃い方は
できる限り、汗腺や毛根をキレイに取り除きます。
そうすると、皮膚血流が悪くなり、壊死(エシ)や色素沈着(クロズミ)のリスクが高くなります。
■ ■
キズが目立ったり、黒くなったりした部位は軟膏を塗って治療します。
回復までに一年以上かかることもあります。
それだけ、ワキガ手術は大変なのです。
総合病院の形成外科では、入院手術をすすめます。
入院しても手術後はベッドの上で安静にしているだけです。
自宅でもできることです。
■ ■
手術後にキレイになるかどうかは、
安静を保つこと
ご自身のケアー
タバコを吸わないこと
によって、大きく違ってきます。
■ ■
通院不要は、手術を受ける側にとって、 魅力的な言葉です。
通院不要で、ワキガ手術をしたら…
汗腺をしっかり取らなければ、キズの治りもよいので可能かもしれません。
しかし、臭いを取るのが目的の手術です。
汗腺の取り残しがあれば、必ず臭いが残ります。
一般に『再発』といわれているヤツです。
最初から取っていないのですから、『再発』ではなく『取り残し』です。
■ ■
多くの美容外科では、ワキガ手術は‘簡単です’と説明しています。
難しい手術で、キズが残る可能性があります…
なんて書いたら、お客さんが逃げてしまいます。
形成外科出身の美容外科医は悩みます。
治療方針と‘営業方針’が合わないからです。
私も、雇われ院長だった時に悩みました。
当時も‘安静の必要性’を説明しました。
ですから、手術件数は他院より少なかったかもしれません。
■ ■
自分で開業してからは、保険診療以外ではワキガ手術をしておりません。
お休みが取れない方には、手術をおすすめしません。
赤字でも、
お客さんが減っても、
私は、キズをキレイに治すことを第一に考えています。
残念なことに、これだけ、徹底しても、治りが悪い方がいらっしゃいます。
キズが残った時は、キレイになるまで、責任を持って治療しています。
それは、私が形成外科医だからです。
昔の記憶
受験生の宿
平成20年1月19日朝日新聞朝刊の記事です。
受験生ホテル高級化
少子化 都内で獲得競争
スイート開放「自習室」/脳活性化メニュー
■ ■
高層階のスイートルームを「サロン」として開放したり、
「脳を活性化するメニュー」を提供したり――。
きょう19日に大学入試センター試験が行われ、大学受験シーズンが本番を迎える。
地方から多くの受験生が集まる東京都内のホテルは、次々と高額な受験生プランを打ち出している。
■ ■
受験向けの宿と言えば「格安」を連想しがちだが、受験者数の減少で状況は様変わり。
各ホテルは高級感や違いをアピールして、受験生の獲得にしのぎを削る。
スイートルームを利用した「自習室」。
■ ■?
東京・新宿駅西口の京王プラザホテルは2月から、一泊13万9,000円の41階のスイートルームを、ホテルに宿泊した受験生たちに開放する。
一室はソファで談笑できるスペース、一室はダイニングルームをアレンジした「自習室」だ。
■ ■
受験雑誌や辞書、時刻表はもちろん、お菓子やコーヒーも無料で用意。
夕食には「脳が活性化し記憶力が増す」といわれる脂肪酸の一種「アラキドン酸」を含む肉料理を用意する気の回しようだ。
ホテル側は「部屋に引きこもらずに、リラックス出来るように」と話す。
値段は夕食付きで「2万3,000円~」。
■ ■
中央区のロイヤルパークホテルは近くの水天宮のお守りを用意し、受験生を迎える。
モーニングコールは電話だけではなく、スタッフが直接部屋を訪ねて目覚めを確認。
同じくコーヒーなどが飲めるエグゼクティブラウンジを開放し、交通手段などの相談に乗る女性スタッフも常駐。
値段は2万7,000円前後と高めだが、前年を7割上回るペースで予約が入る。
■ ■
JR東日本系のホテルメトロポリタン(池袋駅西口)では、
合格祈願のメッセージが入ったIC乗車券Suicaをオプションで購入できるプランも。
「受験会場まで、切符を買わずにらくらく乗車できます」。
一泊約2万4,000円など。
ホテルニューオータニ(千代田区)は、便利な立地や加湿器の提供などを売りに3万円や4万円のプランを組んだ。
■ ■
旅行各社によると、一泊1万円以下の格安ホテルも根強い人気だが、今年は全般的に「高め」の傾向という。
背景には、少子化に伴う受験者数の減少がある。
■ ■
今年度の大学入試センター試験の志願者数は約54万人で前年比1.8%減。
定員割れを避け、少しでも優秀な学生を確保しようと地方で「出張入試」をする大学も増えた。
その分、受験生は長期上京する必要がなくなった。
■ ■
JTB広報室の関口和彦マネジャーは
「申し込みに来るのはほとんどが親。
2、3泊なら多少高くても立地や環境を優先し、
安心して受験させたいという親心なのでは」と話している。
■ ■

スイートルームを利用した「自習室」。
隣にはソファでくつろげるスペースもある
東京・新宿の京王プラザホテルで、同ホテル提供
■ ■
私が受験生だった時に泊まった宿は、
現役の時、弘前:駅前のカネサダ旅館。
一浪の時、栃木県の旅館。
いずれも、大学指定の旅館組合が斡旋してくれた旅館でした。
■ ■
弘前へ行くのも、栃木県へ行くのも、JR(当時の国鉄)と青函連絡船で行きました。
東京へ行くのは、スカイメイトで飛行機が主流でしたが、弘前と栃木は、列車が便利でした。
ちなみに高校の修学旅行(京都)も国鉄の夜行寝台急行でした。
■ ■
弘前へは、西高の仲間と行きました。
全員、一期校を‘落ちた’同級生でした。
私が医学部、他に農学部と教育学部が一人ずつでした。
農学部を受けた、友人だけが合格しました。
彼とは、今でも親友です。
■ ■
二期校の受験でしたから、気は楽でした。
修学旅行気分で行った記憶があります。
帰りは、函館でお鮨を食べて帰ってきました。
函館から、夜行寝台で帰って来たのを覚えています。
■ ■
栃木県へ行ったのは、自治医大の二次試験でした。
北海道からの受験生が、まとまって一つの旅館に宿泊しました。
この時は、まだ一期校の合格発表前でした。
北大を受けた人と、札幌医大を受けた人がいました。
自己紹介をして、仲良く、宿泊した記憶があります。
栃木に行ったのは、はじめてでした。
都会を想像して行ったのですが、思っていたより、ずっと田舎だった記憶があります。
■ ■
申し訳ないことに、自治医大からは合格通知をいただきましたが、結局、札幌医大に入学しました。
もし自治医大に行っていたら、今は違う仕事をしていたと思います。
同じ旅館に泊まって、相部屋でした。
たった2日間でしたが、同宿できてよかったと思っています。
■ ■
今は、旅館で相部屋なんて考えられないでしょうが、案外リラックスできてよかったものです。
もし、北大や札幌医大の受験で札幌へいらっしゃるのでしたら、
試験場の近くにある、ビジネスホテルもよいと思います。
北大正門前には、東横イン、札幌駅西口北大前があります。
高級ホテルは、防犯、防音(安いホテルは隣室の音が気になることがあります)の面で優れています。
会場に近いホテルは、なんと言っても、便利です。
受験生の皆さんのご健闘を祈念しています!
医学講座
看護師の喫煙
平成20年1月19日、北海道新聞朝刊の記事です。
禁煙訴えているけど
看護師3割「吸ってます」
道看護協会調査 職場でストレス
■ ■
道内で働く看護師のうちたばこを吸う喫煙者の割合が30%に上り、道内の女性平均を大幅に上回ることが道看護協会の調べで分かった。
職場のストレスなどが背景にあるとみられるが、医療機関は禁煙を訴えているだけに、関係者は「もっと自覚を」と呼びかけている。
■ ■
調査は昨年8月に、同協会の全会員約3万7千人を対象に行い、約3万8百人から回答があった。
回答率は83%で、回答者の95%が女性だった。
2004年にも約6千人を対象に喫煙率調査をしているが、全会員を対象にしたのは初めて。
■ ■
アンケートでは、たばこを「吸っている」が30%だったのに対し、「吸わない」は55%、「吸っていたがやめた」は15%だった。
喫煙者の割合は、2007年に全国九地域の中でワーストだった道内女性の19%(日本たばこ産業調べ)を大きく上回り、全国の看護師の20%(2006年)と比べても飛び抜けていた。
また稚内40%、根室35%など、地方都市で高い傾向があった。
■ ■
どんな時にたばこを吸いたくなるかの問いには、
「イライラした時」が68%、
「酒を飲んだ時」が63%、
「気分転換したい時」が59%と多かった。
そのほか
「緊張を和らげたい時」(30%)、
「憂うつや不安を忘れたい時」(21%)など。
■ ■
喫煙率の高さについて、同協会の高橋慶子常任理事は
「命にかかわる仕事の緊張感や対人関係で、ストレスがかかる職場なのが影響しているのでは」と話す。
ただ、医療界はたばこの健康被害を訴えてきただけに、
「看護職の喫煙率が高くては患者さんに示しがつかない」と頭を抱える。
■ ■
同協会は2002年に「たばこ対策委員会」を設置。
2004年の調査で35%だった喫煙率の半減を目指し、
啓発ポスターの作製や禁煙を推進するリーダーを育成するための講習会などを行ってきたが、今回は5ポイントの減少にとどまった。
道外では受験資格に「非喫煙者」を条件とする看護学校もある。
■ ■
日本禁煙学会(東京)の理事を務める深川市立病院の松崎道幸主任医長は
「周りに喫煙者が多いから『吸ってもいいや』という意識もあるのでは」と分析。
「分煙ではなく、病院が敷地内禁煙に取り組み、吸えない環境をつくっていくことが大切」と話している。

以上、北海道新聞より引用
■ ■
看護師さんに喫煙者が多いのは昔からです。
多くの病院でナース・ステーションの横に、休憩室がありました。
昔は、そこでタバコが吸い放題でした。
私の記憶では、大学病院と市立札幌病院以外は、ナース・ステーションの横で‘先生’もよく吸っていました。
■ ■
時代は変わって、今や敷地内禁煙が主流となりました。
敷地内禁煙になっていないと、禁煙指導をしても、料金がいただけないという‘事情’もあります。
ある‘先生’が、病院でタバコが吸えないなんて、オレに辞めろと言うに等しいと…
言ったとか言わないとか…
結局、その先生はお辞めになって開業なさったそうです。
■ ■
私が、禁煙をすすめる一番の理由は、健康上の問題です。
お肌にも、キズの治りにもよくありません。
タバコには多くの発癌物質が含まれています。
毎日、発癌物質を口からノド→肺まで、塗りつけているようなものです。
■ ■
私は、耳鼻科の先生と一緒に、たくさんのガン患者さんの手術をしました。
口の奥を、咽頭(イントウ)といいます。
カゼをひくと痛くなるところです。
ここにガンができると、手術や放射線、抗癌剤で治療をします。
■ ■
カゼをひいてノドが痛いだけでも、苦痛です。
ここに、ガンができららどんなに苦しいでしょうか?
声帯にガンができると(下咽頭癌カイントウガンといいます)、声が出なくなります。
可愛い声が、ガラガラ声になります。
手術で声帯を取ってしまうと、二度と同じ可愛い声が出せなくなります。
■ ■
食べ物も食べられなくなります。
1月9日の日記に書いたように、首に穴が開いてしまう人もいます。
悲惨な結果になる前に、タバコはおやめになるべきです。
私から、喫煙者の皆様への‘ご忠告’です。