医療問題
培養皮膚の現実
昨日、名古屋のベンチャー企業、J-TECが開発した培養皮膚の記事を紹介しました。この新聞記事を読むと、培養皮膚を使うと、どんなヤケドでも元通りキレイに治るような印象を持ちます。
6月8日の日記にも書いてありますが、1,000万円もする培養皮膚を使っても、深いヤケドを負うと‘絶対’に元のツルツルの肌には戻れません。
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子供さんがヤケドをすると、『先生、どんなにお金がかかっても、私の皮膚を採っても、とにかく痕(アト)が残らないようにキレイに治してください』と懇願されることがあります。
親として当然の気持ちですし、私も同じ立場だったらそう言うと思います。新聞に1,000万円の培養皮膚の記事が出ると、その切抜きを持っていらっしゃる方もいると思います。
残念なことに、こんなに医学が進歩した世の中でも、神様がお作りになった、ヒトの皮膚を人工的に作ることはできません。
培養皮膚と言っても、現時点でできるのは、オブラートのように薄くて弱いペラペラの‘培養表皮’です。
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昨日、培養皮膚のことをGoogleで検索していたら、米国のサイトを見つけました。英語で培養皮膚のことをcultured skin(カルチャード スキン)といいます。
そこに培養表皮で治療に成功した子供さんの写真が掲載されていました。
下の写真は本人が特定できないように、顔の部分を外したものです。
首から胸、両腕にかけて赤くなっている部分が、培養表皮で治したと考えられる部位です。
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赤くなっているのは、瘢痕(ハンコン)とか肥厚性瘢痕(ヒコウセイハンコン)と呼ばれるキズです。
培養皮膚は、元のツルツルの肌に戻せるのではなく、グチャグチャになって、血が出て滲出液が出て、そのままだとキズからバイ菌が入って死んでしまうようなキズを、早く治すのに役立つだけです。
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それでも、そのままだと死んでしまう命を助けられるのはすばらしいことです。
救命ということだけを考えると、現在は培養皮膚よりもスキンバンクという‘亡くなった方の皮膚’の方が有用性があると思います。
私は直接治療にタッチしていませんが、あのコンスタンチンちゃんを救ったのは、東京から空輸された、亡くなったおばあさんの皮膚だと聞いています。
現在、旭川赤十字病院形成外科部長をしていらっしゃる阿部清秀先生と札幌医科大学形成外科の当時のスタッフが救命しました。
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新聞報道は、新しいことを伝えなければなりません。
朝日新聞のような大新聞は購読者も多く、新聞を読むと‘すごい!’と驚くこともたくさんあります。
署名記事で、記者の熱意も伝わってきます。ただ、もう少し専門家に検証するなどして、‘現実’を伝えないと、間違ったイメージを植えつけてしまいます。
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現在、子供のヤケドを治すのに、もっとも優れた薬は6月7日の日記に書いた、bFGF(ベーシック・エフジーエフ)という薬です。商品名をフィブラストスプレーと言います。
この薬は、もともと褥瘡(ジョクソウ)という床ずれのキズを治すのに開発されました。
バイオ技術で作られた薬です。日本の科研製薬という会社が開発しました。
残念なことに、科研製薬も厚生労働省も、ヤケドに使うことを認めていません。‘ヤケドに使うな’と注意が書いてあります。
ところがこの薬を使うと、いままでは絶対に痕(アト)が残っていたようなヤケドもキレイに治ります。1万円ほどの薬ですが価値があります。
私は一日も早く子供のヤケド治療に、この薬を使えるようにして欲しいと願っています。
新しい厚生労働大臣に、この日記を読んで欲しいです。
医療問題
培養皮膚1000万円
平成19年8月24日(金)の朝日新聞朝刊に、培養皮膚の記事が出ていました。6月8日の熱傷学会③の日記で紹介した製品です。
以下は朝日新聞の記事です。
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「培養皮膚」の製造販売を承認
再生医療、初の商業化
厚生労働省の医療機器・体外診断薬部会は23日、愛知県の企業が申請していた「培養皮膚」の製造販売を承認した。
重症やけど患者自身の組織から作った皮膚のシートで、患部に移植して治療する。病気やけがで失った体の一部を再生させる目的でヒト細胞や組織を使った製品が国内で承認されるのは初めて。再生医療が国内でも商業化の段階に入った。(岡崎明子、田村建二)
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申請していたのは、ベンチャー企業「ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング」(J-TEC)。9月末にも開かれる薬事・食品衛生審議会薬事分科会を経て、正式に承認される。
培養するのは、皮膚の一番外側の「表皮」と呼ばれる部分。損傷していない皮膚組織を1平方センチほど採取して表皮細胞を分離し、マウスの細胞を加えてウシの胎児血清で培養する。約3週間で、8×10㎝の表皮シートが十数枚できる。これを病院に出荷し、医師が患部に移植する。
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重症やけど患者は、全国で年間4,000~5,000人ほど。やけどが大きい場合は自分や家族の皮膚などを移植することが多いが、自分の皮膚は足りなかったり、他人の皮膚だと拒絶反応が起きたりする問題がある。
培養皮膚はこれらをクリアでき、3日~1週間で自分の皮膚として生着するという。J-TECは皮膚の培養のほか、出荷検査、輸送までを請け負う。販売価格は現時点で1,000万円ほどの見込みで、今後、公的医療保険適用の申請を行う。
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同社は99年、名古屋大の技術協力などを得て設立。培養皮膚は02年から国内2施設で臨床試験を行い、04年10月に製造販売を承認申請していた。
再生医療は90年代後半からベンチャー企業などが製品開発に取り組んできた。しかし、脳外科手術でヒト乾燥硬膜の移植を受けた人がクロイツフェルト・ヤコブ病に感染する被害が社会問題化したことなどから、厚生省(当時)は00年に規制を強化。審査や安全性の確認に時間がかかるようになった。培養皮膚以外では現在、2製品が臨床試験の段階まで進んでいる。(朝日新聞、2007年8月24日から引用)
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培養皮膚は大学病院の形成外科で10年以上前から作られていました。日本で一番最初に培養表皮移植に成功したのが、聖マリアンナ医科大学形成外科の矢永博子先生でした。
現在は北九州市小倉北区で医療法人風の会 矢永クリニックを開業なさっていらっしゃいます。私は矢永先生が日本で一番キレイな培養表皮を作成できる先生だと思います。
矢永クリニックのHPには培養表皮によるニキビ痕治療が紹介されています。
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矢永先生の培養表皮がおいくらか?私は存じませんが、J-TECよりかなりお安いと思います。
今から10年くらい前に、米国のベンチャー企業が培養表皮の製造販売をしていました。日本にも宣伝に来ていました。
当時で約100万円でしたが、保険も効かず高すぎて使えませんでした。そのベンチャー企業はその後広告も出していませんし宣伝にも来ていません。
J-TECが開発から承認までにかかった費用を積算すると、1,000万円になるのだと思いますが、高すぎます。
厚生労働省は、もう少し早く承認できるようにするべきです。学会で一般化してから10年以上たっています。
体力がないベンチャー企業は倒産してしまうし、新しい企業は育ちません。
未分類
カゼ薬でシミを治す
平成19年8月23日(木)の北海道新聞朝刊に、しみ改善に効能。第一三共来月発売、初の厚労省承認薬品という記事が出ていました。
以下は北海道新聞の記事です。
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第一三共ヘルスケア(東京)は22日、しみの改善につながる成分を配合した医薬品「トランシーノ」を9月4日に発売すると発表した。
30‐40代の女性のほおなどに見られるしみの一種「肝斑」に対する効能について、日本の医薬品で初めて厚生労働省から承認を受けた。
肝斑は女性ホルモンの乱れなどが原因と考えられおり、トランシーノは有効成分のトラネキサム酸などを配合した。錠剤になっており、一日に6錠を約2ヵ月間、服用する。
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一瓶が180錠(約1ヵ月分)入りで、希望小売価格は5,880円。会見した井手口盛哉社長は「トランシーノブランドの商品追加も考えたい」と述べた。
広告に人気ヘア・メーキャップアーティストの藤原美智子さんを起用。本年度の出荷額は30億円を目指す。
以上が北海道新聞の記事です。8面の経済欄に載っていました。
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この記事だけを読むと、‘すごい薬が出た’、‘世紀の大発見’と思われる方もいらっしゃると思います。
経済面ですから、第一三共の株を購入したら値上がり間違いなし?と思う方もいらしたと思います。
実は、このお薬は、ずっと昔からある薬です。厚生労働省の承認も得ています。薬価(病院で請求するお薬の価格)は250mgで一錠12円です。ジェネリック品だともっと安い製品もあります。12×180=2,160で薬価だと180錠で2,160円です。5,880-2,160=3,720円は広告宣伝費ともうけです。
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この記事は、あたかも世紀の大発明のように思えますが、‘オチ’があります。
それは、しみの一つである‘肝斑’に対して一般医薬品(薬屋さんで買える薬)として承認を得たということです。
お薬は、効果があることがわかっていても、厚労省が‘承認’しないと宣伝できません。このお薬は‘肝斑というしみに効きます’とお墨付きを得たのというのが今回の目玉です。
皮膚科医や美容外科医の間では、肝斑にトラネキサム酸が効くことは昔から常識でした。
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トラネキサム酸はカゼでのどが痛い時に、内科や耳鼻科の先生が処方してくださいます。
トランサミンというのが一番有名な商品名です。札幌美容形成外科にはニコルダという製品があります。
トラネキサム酸はすべてのしみに効くのではありません。肝斑というしみにしか効きません。見分けるのは専門医でも難しい場合があります。
ほほに左右対称に出る薄いしみが肝斑です。かぜ薬が残っていたらチェックしてください。しみが治る可能性があります。
医療問題
治療費未収
平成19年8月23日(木)の北海道新聞朝刊のトップ記事です。北海道内の国立病院で、治療費の未収金残高が昨年度末で9,090万円になりました。今年度末には、1億円台になる可能性が高いそうです。
治療費の未収金は公立病院にとって頭が痛い問題です。
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私が市立札幌病院や帯広厚生病院に勤務していた時代にも未収金問題がありました。
救急車で搬送されてきた患者様を目の前にして、『保険証がないと診療できません』とか『あなたは前月分の治療費が未払いなので治療できません』とは言えません。
医師法第19条に【医師の応召義務】 という規定があります。 『診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない』という規定です。正当な事由とは、『医師の不在または病気等により、事実上診療が不可能な場合に限られる』という旧厚生省通達があります。
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急病になって病院へ救急車で搬送され一命を取り留める。美談で終わるのはマレです。
入院→仕事ができない→収入がなくなる→生活費もなくなる→入院費も払えない。となります。
特に、高度救命救急センターに搬送され、集中治療室に入ると、とてつもない金額になることがあります。
どんな高級リゾートホテルよりも高くつきます。
私が知っている範囲で、一ヵ月の医療費が1,000万円を超えた方がいらっしゃいました。自己負担分だけで300万円になります。
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このような一時的な高額医療費は、委任払(イニンバライ)制度を使います。事務手続きをすると、実際に病院窓口で支払う金額は低く抑えることができます。
加入している保険の種類が、社会保険か国民健康保険かによっても違いますが、一ヵ月に10万円以上の負担はないのが通例です。
それにしても、仕事ができなくなって、急に10万円払えと言われても困ります。
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外国人も問題になります。私が札幌医科大学でロシア人の熱傷患者様を治療した際には、治療費を確実に支払うことで北海道が受け入れを決めていました。
市立札幌病院に勤務していた時には、ロシア人船員が小樽で中古車を購入。無免許、酒酔いで運転して自損事故を起こし、救急車で搬送された方もいらっしゃいました。
その方は治療費を支払えなかったので、未収金になっていました。
最終的にどうなったかはわかりませんが、未収金になった場合は、札幌市民が納めた税金が使われることになります。
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北海道新聞の記事によると、厚生労働省は、治療費を支払えない人は、治療を断れるように、医師の応召義務を見直す考えもあるようです。
美容外科には関係ありませんが、私はお金がない人でも安心して治療を受けられる制度作りが必要だと思います。
治療費が払えない人の分は、国が一時的に立替えて医療機関に支払うようにすれば、安心して治療が受けられます。
議員さんに払っているわけのわからない‘調査費’なんか止めて、病気で苦しんでいる人を助けるべきです。
医療問題
自治体病院再編
平成19年8月19日(日)の北海道新聞に北海道の自治体病院についての記事が載っていました。
自治体病院とは市町村が経営する病院のことです。
北海道内の94ヶ所の市町村病院と7つの道立病院を合わせた累積赤字は、2005年度で計1,800億円です。
北海道庁を筆頭にどこの自治体も財政難のため、一般会計からの繰入金には限度があります。
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公務員は倒産する心配がなく、退職金もたくさんもらえるというのは過去の話です。
昨年は道職員の給与が10%削減されました。赤字再建団体になった夕張市では職員の待遇が悪くなり、救急隊員が辞職しているというニュースが流れています。
退職金を払えないので、定年を延長して退職金代わりにする構想もあるようです。
財政難の地方自治体では、病院経営ができなくなっています。
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病院に入るお金は、患者様からいただく自己負担金と保険者から支払われるお金で決まります。
このお金の額は、厚生労働省が決める、診療報酬という価格表で左右されます。この価格を毎年下げられているので、自治体病院の経営も民間病院の経営も苦しくなっています。
同じ内容の治療をしても、病院に入る収入が毎年少なくなるのです。職員の給与は下げることはできません。
辞める医師や看護師が増えると、残された人に負担がかかります。給料は増えないは、仕事は増えるは、では辞めたくなって当たり前です。
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病院の経営が難しくなった市町村は、近隣の市町村に患者様を‘回す’ことになります。
北海道の構想では、道内を数十の区域に分け、各区域ごとに200床以上の規模で高度な医療や手術を行う中核病院を設置。その他の病院は、初期診療を担う診療所などに役割分担するというものです。
中核病院としては、根室管内の中標津町立病院などがあります。近隣の羅臼町立病院は累積赤字が9億円になり、診療所に格下げしました。
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一見、合理的な政策に見えますが、羅臼から中標津までは約65㎞もあります。
車を持っている若者でも、簡単に行ける距離ではありません。
病気や体が不自由なお年寄りに、羅臼から中標津まで通いなさいというのは無理だと思います。
医療制度は、国民が健康で文化的な生活を営む上でとても大切なものです。憲法で保障された国民の権利です。
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老人が増えて医療費が増大したから、医療費を削減する。医療費を削減するには、診療報酬を下げる。
診療報酬を下げると、病院経営は成り立たなくなり、地方の医療機関から切り捨てられる。という悪循環です。
私は、若い先生が‘夢とロマン’を持って働けるような医療制度改革をしないと、決して医師不足も僻地医療も改善しないと思います。
医学講座
カバーマーク
生まれつき顔に大きなアザがある子供さんがいらっしゃいます。日本人だけではなく、西洋人にも同じようなアザができます。
1928年にニューヨークのリディア・オリリー夫人が「カバーマーク」という化粧品を発明しました。
日本では1960年に発売されました。大学病院の皮膚科や形成外科では、アザがある子供さんにカバーマークをお薦めしていました。
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現在はグラファ ラボラトリーズ株式会社から、カバーマークオリジナルという商品名で販売されています。
デパートで売っているカバーマーク化粧品とは別の製品です。
カバーマークオリジナルは、練りタイプのファンデーションです。基本色12色と調整色6色があります。
これらの色から肌色に合わせて選び、合わない時は混ぜて調整することが可能です。
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もともと子供さんのアザを隠すために開発された商品です。長時間塗っていても、色が落ちないのが特徴です。
子供さんの柔らかい肌にも優しく作られているため、アレルギーが少ないのも優れた特徴です。
このカバーマークのもう一つの特徴は、SPFが50という値の遮光効果です。一度塗ると落ちないので、遮光効果が高く、シミを隠すのにはもってこいです。
レーザーでシミをとっても、赤みがある間に紫外線に当てると、シミがかえって悪化します。PIHという色素沈着です。
カバーマークを塗っていると、シミや赤みを隠せるだけではなく、紫外線を防御できますので、再発防止にもなります。
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レーザーが開発される前は、顔半分が真っ黒になるアザでも治せませんでした。
Qスイッチレーザーというレーザー機器が発明されて、アザの治療は飛躍的に進歩しました。
レーザーで治療しても、すぐに普通の皮膚になるわけではありません。一時的に赤くヤケドをしたようになります。
この時に役立つのがカバーマークです。
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自分自身の顔に大きなアザがあったリディア・オリリー夫人が開発したカバーマークは、優れた‘医療材料’だと思います。
私が25年以上前に、はじめて見たカバーマークのインスタラクター(マークアーチスト)の方も、ご自身の顔に大きな太田母斑という黒いアザがありました。
カバーマークをつけていると全くわかりませんでしたが、私たちの目の前でカバーマークを落とすと、黒い大きなアザが出ました。
それを上手にカバーマークで隠すのは手品を見ているようでした。
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メディカルメイクというNPO法人もあるようです。手術やレーザー治療をしないでキズを隠すメイクもあります。
カバーマークオリジナルは、デパートの化粧品売り場では販売されていません。
特定の美容室で扱っていらっしゃいます。札幌美容形成外科でも一部の製品を販売しています。グラファ ラボラトリーズ株式会社のHPからも購入できます。
医学講座
ニキビ
5月28日にニキビと毛の関係を書きました。女性でも顔に毛が生えています。薄くて目立たない人から目立つ人まで個人差があります。
難治性のニキビで悩んでいる人の中には、顔の毛が多いことが原因になっている場合があります。
毛には皮脂腺(ヒシセン)が開口していて、ここから‘脂(アブラ)’が出て皮膚を潤し(ウルオシ)ます。
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皮脂腺にはキズを治す細胞もあります。ヤケドをしても、顔は皮脂腺が多いため治りやすいという利点があります。
思春期にはホルモンの影響で、この皮脂腺が活発に活動することがあります。
そうすると、何回顔を洗っても顔がギトギトに脂ぎってしまいます。たまった脂にバイ菌がつくと、感染して赤く腫れてしまいます。
赤くなったニキビの奥には、毛が潜んで(ヒソンデ)いるため、この毛の根っこをとらないと、いつまでたっても治りません。
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おでこ、ほっぺ、あごなどにできて、何週間も赤みが取れない、しこりのようなニキビは、指で押しつぶしてもダメです。
針のように先が細い手術用ピンセットで、丁寧に中の毛を取り除くと快くなります。
レーザーを当てても、炎症の原因になっている毛の根っこは取れません。
手術用顕微鏡で見ながらひとつひとつ退治します。中から白い膿と一緒に毛と毛の根っこが出てきます。
そこに炎症を抑える軟膏を塗ると数日で赤みが取れてキレイに治ります。
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札幌美容形成外科ではレーザーフェイシャルという治療をしています。
脱毛用のアレキサンドライトレーザーで顔の毛を処理する治療です。最初はシミの治療目的ではじめましたが、最近はニキビに悩む方に評判です。
難治性のニキビはレーザーフェイシャルだけでは治りませんが、レーザーフェイシャルを繰り返すことで毛が少なくなります。
その結果、ニキビの原因となる皮脂腺の活動も減って、つるつるお肌になってきます。
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フォトフェイシャルなどの光を利用した肌の治療は、アザや脱毛治療をしていて、肌がキレイになることから開発されました。
レーザーフェイシャルをすると、‘顔そり’をしなくても済むので楽だと言われる方もいらっしゃいます。
毛が生えてきたら、繰り返されると効果的です。
当院と同じキャンデラ社製のGentleLASE(ジェントルレーズ)という機種を使っている医療機関でしたら、同じ治療を受けられる筈です。
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まだ日差しが強いので、赤くなったニキビには紫外線を当てないでください。PIHという色素沈着になります。
レーザーフェイシャルをした後も、おでこや上唇(ウワクチビル)は赤くなります。紫外線防御のために、札幌美容形成外科ではカバーマークⅡという製品をお薦めしてます。
憎きニキビを退治してお肌つるつる美人になりましょう。
未分類
サーモンフィッシング
北海道は秋の紅葉が終わって、雪景色の冬になるまでの期間は何もなく、観光シーズンの端境期(ハザカイキ)になります。
11月から12月中旬までは、枯木が目について、キレイな花の咲いたお花畑も寂しくなります。
この時期はホテルや旅館も暇になります。一年を通じて常にお客様にいらしていただければ、経営的にも安定していますが、繁忙期と閑散期の差が激しいと経営は大変です。
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航空機の切符も、閑散期は安くなります。安い時期に旅行に行くのは楽ですが、枯木ばかりの北海道に来てもつまらなくて退屈します。
私が北海学園大学ニトリ講座で石屋製菓の石水勲社長の講義をお聴きした時に、この北海道の観光端境期にサーモンフィッシングの構想があることを伺いました。
一般的に北海道に遡上する鮭はシロザケと呼ばれるサケです。
シロザケは遡上する際に餌を捕食しないので、しだいにやせ細ります。最後にはホッチャレと呼ばれる哀れな姿になり一生を終えます。
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サケ科の魚の中には、遡上しても餌を捕食してホッチャレにならない魚種があるそうです。
石水社長の構想では、キングサーモンの仲間を豊平川に放流して、観光端境期の10月~11月に、日本全国やアジア圏から大勢のサーモンフィッシングファンを呼ぼうというお話しでした。
生態系に与える影響など、問題はあるのでしょうが、この景気が悪い北海道に、何か新しい観光資源を開発するのはとても有意義だと思います。
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確かに賞味期限の問題では、石屋製菓に改善していただき、生産管理体制を新しくする必要があると思います。
石水社長に対する非難ももっともだと思います。
私は、石水社長が頑張って作られた、コンサドーレ札幌や白い恋人パークが北海道に役立った点を評価したいと思います。
失敗は誰にでもあると思います。問題なのはその失敗からどう立ち直って、またやり直せるかです。
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豊平川にたくさんの観光客がやってきて、豪快にサーモンフィッシングを楽しむのは夢がある事業だと思います。
豊平川が無理なら、石狩川や他の一級河川でできたらと思います。
今のままの北海道では、いつまでたっても景気がよくなりません。
失業率も高く、生活も苦しいままです。北海道にしかできない事業を官民で考えて実行することが重要です。
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白い恋人に一日も早く立ち直っていただきたいと願っています。
サーモンフィッシングは一例ですが、石水社長にはこのまま退陣していただきたくないです。
石水社長には、他の人にできない何かがあると感じました。
未分類
白い恋人
私は毎年3月14日のホワイトデーに、白い恋人を従業員に贈っています。昔、家内の実家を訪ねる時にもよく白い恋人を買っていました。
韓国の学会に招待された時のお土産も白い恋人です。
韓国には白い恋人のような美味しいお菓子がないそうで、とても喜ばれていました。
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北海学園大学のニトリ講座で石水社長の講義をお聴きしました。
石屋製菓は、現社長のお父さんが札幌市北区茨戸(バラト)近くで、水飴(ミズアメ)を作るお菓子屋としてはじめたそうです。
終戦後の甘いものがなかった時代に、水飴はよく売れ、その後は駄菓子を製造し販売していたそうです。
一時期は駄菓子もよく売れたましたが、時代とともに売れなくなり、試行錯誤の上に石水社長が作られたのが、クッキーとホワイトチョコを挟んだ白い恋人でした。
苦労して作ったお菓子ができた時の喜びを講義でお聴きしました。
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フランスのグルノーブルで開かれた冬季オリンピックの記録映画の音楽が‘白い恋人たち’でした。フランシスレイという作曲家の映画音楽で、昔のスキー場ではよく流れていました。
白い恋人の発売前にヒットしていた北海道のお菓子に、当時の帯広千秋庵(現六花亭)が作ったホワイトチョコがありました。
帯広でしか買えないという希少価値と、フキノトウの包装紙に包まれた白いホワイトチョコが人気でした。
石水社長はこのホワイトチョコとクッキーのミックスを考え試行錯誤を続けたそうです。
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白い恋人のネーミングは、ちょうど初雪が降ってきた頃にお菓子が完成し、石水社長のお父さんが、『白い恋人たちが降ってきた』と言われたのがきっかけだと伺いました。
体育会系の石水勲社長が、お菓子を持って千歳空港の全日空カウンターへ行き『このお菓子を機内で配ってください』とお願いしたのが成功のはじまりだったというのが有名です。
この時に、全日空の担当者が会社を見せてくださいと言われ、工場の見学にいらしたそうです。
全日空から製品の衛生管理などに改善を求められ、これがきっかけとなって石屋製菓の体制が変わったと講義でお聴きしました。
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昨日、うちの職員に『来年のホワイトデーはどうしようか?』と尋ねたところ、
『白い恋人は美味しいので、また白い恋人がいいです』と言ってもらいました。
今回の事件を契機にして、是非、石屋製菓を立て直して欲しいと願っています。
新しい社長は、北洋銀行から慶応大学卒の重役さんがいらっしゃるそうです。
経営は銀行からいらした社長に任せて、新しい白い恋人を作っていただきたいです。
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昨日まで順調だった企業も何が起こるかわからない時代です。
新しい白い恋人には、‘白い恋人ライト’などの、カロリーが低くて美味しい製品を追加していただきたいと願っています。
カロリーが低くて、味がよくて、食べても太らないお菓子は絶対に売れます。
白い恋人というネーミングも好きです。白い恋人が一日も早く立ち直って欲しいと願っています。
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講義でお会いした時の石水社長は、お嬢様がご結婚なさってとても嬉しそうでした。
今は人生で最悪の時かもしれませんが、また一人のお菓子職人として、美味しいお菓子を作ってください。
銀行マンに経営再建はできても、お菓子は作れませんから…。
未分類
人間の能力
数学の問題を何回やってもダメだった経験は、医学部を受験した人なら誰でも持っていると思います。
ところが、世の中には頭の良い人がいるもので、一度参考書で問題を見ただけでスラスラと解ける人もいます。
医学部の勉強は、ほぼすべてが丸暗記です。解剖学は頭の先から、つま先まで全ての骨、筋肉、神経、血管の名前を地図を覚えるように覚えなくてはなりません。
解剖学実習には口頭試問がありますので、カンニングもできません。
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私など何度もなんども復唱して、トイレに紙まで貼って覚えたものです。苦労して覚えたことは、なかなか忘れません。
カメラで撮ったか、頭の中にコピー機でもあるの?と思うくらい覚えるのが早い人がいます。
覚えるのが早く、忘れるのも早い人もいます。試験の時に覚えてさえいれば試験は通ります。
医師国家試験の前にも、膨大な量の過去問や問題集を叩き込まないと合格できません。
普通の頭の人は、何度もなんども忘れて『自分はバカだなぁ~』と思いながら、苦労して覚えるものです。
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学生さんにレポートを書かせても、短時間で見事に立派なレポートを完成させる人がいます。
頭のデキが違うなぁ~と感心されられることがありました。
大人になって社会に出て仕事をするようになっても、個人の能力の差は出てきます。
研修医に仕事を教えても、一度で覚える人も、何回教えても間違える人もいます。
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私はデキのよい研修医ではなく、北大に入った時はよくチーフレジデントの先生から叱られていました。
一番、頭がよかったのは斉川(サイカワ)先生という北大卒の先生でした。彼は頭がよかっただけではなく、ピアノが上手で形成外科の宴会で見事な腕を披露してくれました。
残念なことに、斉川先生は北大形成外科を辞めて国立がんセンターに行ってしまいました。今は東京で仕事をなさっています。
デキが悪かった私は、他の研修医や看護師と一緒にチーフの先生から叱られながら、コツコツと仕事を覚えました。
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人間にはさまざまな能力があります。受験勉強や医師国家試験の勉強は‘暗記’が得意な方に向いています。
ところが、実際の医療は‘暗記’では片付けられない難問がたくさん出てきます。
研究者になっても、ただ‘暗記’が得意なだけでは世界に通用する研究はできません。
どの職種にも共通して言えることは、他人と接する‘医療’を実践するには、他人とよくコミュニケーションを取れる能力が必要なことです。
他人の目を見て話すことができる能力が大切です。
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このような能力は学校で教わるのではなく、職場や社会に出てから自分で磨くものです。苦労して失敗して覚えるものです。
私もコミュニケーション能力が高い方ではありません。
今は、一開業医として、美容外科・形成外科の診療を生業(ナリワイ)としています。
受験勉強で役に立っていることはあまりありません。数学よりも簿記でも覚えていたらどんなに役立つだろうと思います。
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受験では挫折も味わいました。奈落の底から這い上がる力も受験でできたかもしれません。
丸暗記では覚えられない、さまざまな‘試練’という経験を積むのが受験勉強の価値であり、人間の能力を高めるのかもしれません。