医学講座

看護師の喫煙

 平成20年1月19日、北海道新聞朝刊の記事です。
 禁煙訴えているけど
 看護師3割「吸ってます」
 道看護協会調査 職場でストレス
      ■         ■
 道内で働く看護師のうちたばこを吸う喫煙者の割合が30%に上り、道内の女性平均を大幅に上回ることが道看護協会の調べで分かった。
 職場のストレスなどが背景にあるとみられるが、医療機関は禁煙を訴えているだけに、関係者は「もっと自覚を」と呼びかけている。
      ■         ■
 調査は昨年8月に、同協会の全会員約3万7千人を対象に行い、約3万8百人から回答があった。
 回答率は83%で、回答者の95%が女性だった。
 2004年にも約6千人を対象に喫煙率調査をしているが、全会員を対象にしたのは初めて。
      ■         ■
 アンケートでは、たばこを「吸っている」が30%だったのに対し、「吸わない」は55%、「吸っていたがやめた」は15%だった。
 喫煙者の割合は、2007年に全国九地域の中でワーストだった道内女性の19%(日本たばこ産業調べ)を大きく上回り、全国の看護師の20%(2006年)と比べても飛び抜けていた。
 また稚内40%、根室35%など、地方都市で高い傾向があった。
      ■         ■
 どんな時にたばこを吸いたくなるかの問いには、
「イライラした時」が68%、
「酒を飲んだ時」が63%、
「気分転換したい時」が59%と多かった。
そのほか
「緊張を和らげたい時」(30%)、
「憂うつや不安を忘れたい時」(21%)など。
      ■         ■
 喫煙率の高さについて、同協会の高橋慶子常任理事は
「命にかかわる仕事の緊張感や対人関係で、ストレスがかかる職場なのが影響しているのでは」と話す。
 ただ、医療界はたばこの健康被害を訴えてきただけに、
「看護職の喫煙率が高くては患者さんに示しがつかない」と頭を抱える。
      ■         ■
 同協会は2002年に「たばこ対策委員会」を設置。
 2004年の調査で35%だった喫煙率の半減を目指し、
 啓発ポスターの作製や禁煙を推進するリーダーを育成するための講習会などを行ってきたが、今回は5ポイントの減少にとどまった。
 道外では受験資格に「非喫煙者」を条件とする看護学校もある。
      ■         ■
 日本禁煙学会(東京)の理事を務める深川市立病院の松崎道幸主任医長は
「周りに喫煙者が多いから『吸ってもいいや』という意識もあるのでは」と分析。
「分煙ではなく、病院が敷地内禁煙に取り組み、吸えない環境をつくっていくことが大切」と話している。

以上、北海道新聞より引用

      ■         ■

 看護師さんに喫煙者が多いのは昔からです。
 多くの病院でナース・ステーションの横に、休憩室がありました。
 昔は、そこでタバコが吸い放題でした。
 私の記憶では、大学病院と市立札幌病院以外は、ナース・ステーションの横で‘先生’もよく吸っていました。
      ■         ■
 時代は変わって、今や敷地内禁煙が主流となりました。
 敷地内禁煙になっていないと、禁煙指導をしても、料金がいただけないという‘事情’もあります。
 ある‘先生’が、病院でタバコが吸えないなんて、オレに辞めろと言うに等しいと…
 言ったとか言わないとか…
 結局、その先生はお辞めになって開業なさったそうです。
      ■         ■
 私が、禁煙をすすめる一番の理由は、健康上の問題です。
 お肌にも、キズの治りにもよくありません。
 タバコには多くの発癌物質が含まれています。
 毎日、発癌物質を口からノド→肺まで、塗りつけているようなものです。
      ■         ■
 私は、耳鼻科の先生と一緒に、たくさんのガン患者さんの手術をしました。
 口の奥を、咽頭(イントウ)といいます。
 カゼをひくと痛くなるところです。
 ここにガンができると、手術や放射線、抗癌剤で治療をします。
      ■         ■
 カゼをひいてノドが痛いだけでも、苦痛です。
 ここに、ガンができららどんなに苦しいでしょうか?
 声帯にガンができると(下咽頭癌カイントウガンといいます)、声が出なくなります。
 可愛い声が、ガラガラ声になります。
 手術で声帯を取ってしまうと、二度と同じ可愛い声が出せなくなります。
      ■         ■
 食べ物も食べられなくなります。
 1月9日の日記に書いたように、首に穴が開いてしまう人もいます。
 悲惨な結果になる前に、タバコはおやめになるべきです。
 私から、喫煙者の皆様への‘ご忠告’です。

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未分類

センター試験前日

 大学入試センター試験が明日から、2日間の日程で開催されます。
 札幌でも、北大や河合塾札幌校などで行われます。
 私が、昭和49年(1974年)に札幌医大を受験した時は、桑園予備校という予備校で試験がありました。
 医学部の教室は、階段教室になっているため、前の人の答案が見えることがあります。
 そのため、入学試験は予備校を借りて行われていました。
      ■         ■
 桑園予備校は、今はもうなくなってしまいました。
 今は、札幌情報未来専門学校という専門学校になっているようです。
 札幌市中央区北5条西13丁目に、校舎はまだ残っています。
 近くを通ると、予備校や試験のことを思い出します。
      ■         ■
 何歳になっても、試験はイヤなものです。
 信じられないかもしれませんが、私は50歳になっても
 『アッ!ヤバイ!』
 『明日試験なのに、何も勉強していない!』
 という‘悪夢’をみていました。
      ■         ■
 不思議なことに、大学の教員になって、こちらが試験問題を作成する側になってからも、この‘悪夢’にうなされました。
 『アッ!問題を作る側だった!』
 と気づいて目が覚めたこともありました。
      ■         ■
 センター試験は、国公私立の大学教員などを中心とした約400人が問題を作成しているそうです。
 委員の任期は2年で、毎年約半数ずつ交代します。
 おそらく、国立大学教員で、大学入試の試験問題作成を、専門に‘研究’している‘先生’はいないと思います。
 試験問題を一番よく研究し、勉強しているのは、予備校の‘先生’です。 
      ■         ■
 大学教員にとって、試験問題作成は、辛い仕事です。
 ‘良い問題’を作るのは、本当に至難のわざです。
 センター試験が、過去の良問を出題する方針を出したのも、ネタ切れになったからです。
 20年近くも試験を続けていると、良い問題は出つくしてしまいます。
 予備校の模擬試験にも気を遣います。
      ■         ■
 試験前日は、緊張します。
 体調を崩す人も出てきます。
 ちょっと位の熱でしたら平気です。
 ただ、カゼ薬には注意してください。
 眠くなる薬があります。
 バスの運転手さんが気を失った事故もあった位です。
      ■         ■
 試験当日は、誰でも緊張するものです。
 一年間の努力は必ず報われます。
 マークシートの欄を間違えないように。
 解答用紙のマークシートに受験番号をマークし忘れる人がいるそうです。
 自分が緊張している時は、他人も緊張しています。
 緊張して眠れなければ、黙って目を閉じているだけでも大丈夫です。
 明日から2日間、体調に気をつけて頑張ってください。
 応援しています♪
 

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医療問題

再診料引き下げ

 平成20年1月17日、朝日新聞朝刊の記事です。
 再診料下げ医師会反発
 医師不足緩和-増す不透明感
 開業医の収人源にどこまで切り込み、勤務医不足対策に回すことができるのか-。
 診療報酬の2008年度改定の配分をめぐる議論が、16日の中央社会保険医療協議会(中医協)で始まった。
 厚生労働省は、勤務医に比べて優遇されている開業医の再診料の引き下げを提案したが、日本医師会は猛反発。対立が続いた。
 対策の実現に向けて不透明感が増している。(太田啓之)
      ■         ■
 対馬忠明・健康保険組合連合会専務理事
 開業医の再診料の引き下げた分を産科や小児科につけるのが、医師不足対策の分かりやすいメッセージとなる。
 鈴木満・日本医師会常任理事
 開業医が楽してもうけているなんてことはない。引き下げは絶対反対だ。
      ■         ■
 都内で聞かれた中医協の会合。
 健保連などの支払い側と医師会の激しい応酬は予定を1時間オーバーし、3時間に及んだ。
 外来の初診料は、開業医、勤務医とも2,700円で同額だが、再診料は勤務医570円に対し、開業医は710円。
 患者は自己負担が少なくて済む病院に通いがちとなり、入院患者の治療が本来の仕事であるはずの勤務医は外来に追われ過剰労働を強いられている。
 このため、厚労省は今回の診療報酬改定の「緊急課題」として、開業医の再診料の引き下げを提案した。
 昨年末の改定率交渉では、医師の収入に直結する診療報酬の「本体部分」について、8年ぶりに0.38%引き上げることが決定。
 この財源に加えて、再診料引き下げで浮いたお金を、勤務医不足が著しい産科・小児科などに重点配分する方針を打ち出した。
      ■         ■
 支払い側も厚労省に歩調を合わせる。
 健保組合は昨年末の2008年度予算編成で、中小企業向けの政府管掌健康保険への国の負担を、共済組合と合わせ1千億円肩代わりすることをのまされた。
 社会保障費の歳出削減を健保組合などの「犠牲」で達成し、診療報酬のマイナス改定を回避した。
 これで開業医の既得権益が温存されるなら、我々は『取られ損』(健保連幹部)との思いが強い。
      ■         ■
 医師会の鼻息は荒い。年明け早々、「再診料は医師の無形の技術を評価する重要な項目で、死守する」との方針を決定。
 医師不足対策としてプラス改定分に相当する国費300億円(医療費べースで1,200億円)をあてることは認めているが、
 再診料という自らの懐には「手をつけさせない」という考えだ。
      ■         ■
 次期総選挙がとりざたされるなか、支持をとりつけたい自民党も医師会をバックアップ。
 厚労関係議員は「医師会には思い切りけんかするよう言ってある。
 再診料を引き下げる必要など、まったくない」と話す。
      ■         ■
 中医協は2月中旬までに再診料をはじめとする個別の治療行為の価格を決定するが、調整難航は必至だ。
 医師会の利害むき出しの主張に、他の委員が「それでは国民の納得が得られませんよ」と、半ばあきれ顔で諭す場面もあった。
      ■         ■
 開業医への報酬手厚さはっきり
 厚労省の昨年6月の調査によると、病院の1ヵ月当たりの赤字額は2年前の前回調査に比べて2倍以上の1,315万円に膨らむ一方、
 開業医の平均の黒字額は100万円増の336万円。
 平均年収も私立病院の勤務医が1,603万円に対し、開業医は2,531万円。
      ■         ■
 再診料や慢性疾患の管理料など、開業医への報酬の手厚さは、数字にはっきりと表れている。
 一方、勤務医が担う高度な手術や病院の設備投資に対する報酬は概して低い。
 開業医の権益が温存され、診療報酬の配分の偏りがただされなければ、
 病院が行う「命にかかわる医療」の質が下がる恐れがあるとの指摘も出ている。
      ■         ■
 2008年度の診療報酬改定の骨子案
 主な引き上げ項目
 産科、小児科の重点評価
 開業医の夜間診療の報酬を引き上げて時間外診察を促し、勤務医の救急医療負担を軽減
 重症患者の専門的・総合的医療を担う大病院の入院料上乗せ
 放射線治療や緩和ケアなどがん治療の体制が整った施設を評価
      ■         ■
 主な引き下げ頂目
 開業医の再診料をカット
 療養病床の入院料を引き下げ、介護保険施設への転換を促進
 軽いやけどなど、簡単な治療への評価を廃止
 コンタクトレンズ専門の診療所への報酬をカット
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 朝日新聞の他、読売新聞などでも、同じ論調で‘医師会批判’‘開業医批判’が出ています。
 私は、再診料の710円と570円の差ではないと思います。
 患者側が支払うのは、3割負担の方で、710円の3割→210円。
 570円の3割→170円です。
 特売のティッシュを買うのでしたら、210円が170円で売っていれば、間違いなく買いに行きます。
 ところが、一ヵ月に一回行く、美容室の料金だったとします。
 210円-170円=40円です。
 40円の違いで、美容室を変えますか?
      ■         ■
 70歳以上の高齢者の方でしたら、もっと違いが少なくなります。
 710円の1割→70円。
 570円の1割→60円です。
 70円-60円=10円です。
 たった10円の違いで、3時間待ちの3分診療と言われる、大病院へ行きますか?
 大部分の方は、大病院の方が、なんとなく安心できるから、大病院へ行かれるのです。
 もう少し、詳しい方は、大病院が安い理由をちゃんとご存知です。
      ■         ■
 開業医が‘儲かる仕組み’は、再診料の違いではないのです。
 特定疾患療養管理料(月2回まで)
 診療所 225点
 病床数99床以下病院 147点
 病床数100~199床病院 87点
 という、管理料が‘開業医儲かりの秘密です’
 大病院はこれがないので‘安い’のです。
      ■         ■
・悪性新生物 (ガン)
・糖尿病
・高血圧性疾患
・虚血性心疾患
・不整脈
・心不全
・脳血管疾患
・単純性慢性気管支炎
・詳細不明の慢性気管支炎
・肺気腫
・喘息
・胃潰瘍
・十二指腸潰瘍
・胃炎及び十二指腸炎
・慢性ウイルス肝炎
・アルコール性慢性膵炎
・その他の慢性膵炎
 などの病気で通院している患者様に、「計画的な療養上の管理を行った場合」に、月2回を限度に請求できると定められています。
 これが、高いのです。
 診療所 225点ということは、2,250円です。
 再診料の他に請求できます。
 再診料710円+特定疾患療養管理料2,250円=2,960円。
 この他に、処方箋料などがかかります。
      ■         ■
 私たちのような、形成外科には特定疾患療養管理料がありません。
 ケロイドなど、難治性の病気や、
 生まれつきの病気(唇裂など)に、一人当たり一時間かけて説明しても
 再診料しか請求できません。
      ■         ■
 開業医の平均年収が2,531万円と書かれています。
 ただ、ここから借金を返済しなくてはなりません。
 退職金もありません。
 私のように、深夜までメールの返事を書いて、
 朝から夜まで働いても、そんなに‘儲かる仕事’ではありません。
      ■         ■
 自分が働いて、一人でも多くの方に喜んでいただいて…
 自分の好きな仕事ができる喜びがあるから、仕事を続けています。
 マスコミの方も、もう少し突っ込んで、開業医批判をなさっていただきたいと思います。
 私たちのような形成外科では、‘再診’は、赤字部門です。
 人件費・医薬品費・材料費・光熱費・減価償却費などを考えると、、‘再診’は、赤字になります。

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昔の記憶

経歴詐称

 昨日、お問い合わせをいただいた、女性の方です。
 院長日記を読んで、よさそうな先生だと思ったけれど、
 昭和55年に札幌医大を卒業して、1980年(昭和55年)北大医学部形成外科と書いてあった。
 札幌医大を卒業した先生が、北大に入るわけがない!
 経歴詐称じゃないか!
 というお怒りのお電話でした。
 担当した職員が驚いていました。
      ■         ■
 経歴詐称はしておりません。
 確かに、札幌医大を卒業して、北大に行く学生が少なかったのは事実です。
 私の同期では、4人でした。
 私:北大形成外科。
 森川清志先生:北大第一内科。
 森川玲子(旧姓:小林玲子)先生:北大皮膚科。
 橋本洋一先生:北大神経内科、北大免疫研究所。
      ■         ■
 今は、医科大学や医学部を卒業し、医師免許を取得すると、2年間の臨床研修が義務付けられています。
 私の頃には、大部分は、大学の医局に‘入局’しました。
 大学医局というのは、教授を頂点とする、医師の集団です。
 古き、よき時代でもあり、悪しき点も、あったのが医局でした。
 幸い、私が入った、北大形成外科は家庭的なあたたかさのある、よいところでした。
      ■         ■
 大学の医局に入らないで、大きな病院へ就職する仲間もいました。
 脳神経外科を選んだのは、同期では6人いましたが、札幌医大の脳神経外科へ入局したのは一人でした。
 一番多かったのが、中村脳神経外科病院でした。
 中村脳神経外科へは3人が就職しました。
 勤医協病院という病院へ就職した仲間もいました。
      ■         ■
 医師は大学を卒業して、医師免許証をいただいただけでは何もできません。
 自動車学校でいうと、仮免許取得程度です。
 路上に出て、横に教官に乗っていただいて、いつでも非常ブレーキを踏める状態で、トレーニングを受けます。
 仮免許で、乗せられる‘患者様’は、たまったものじゃありませんが、これが日本の現状です。
      ■         ■
 中には、ロクに路上教習も受けないで、いきなり高速道路を飛ばすような‘先生’もいます。
 自動車の運転もそうですが、
 最初に運転を教えてくれた‘先生’のクセが、その人の運転に影響を及ぼします。
 丁寧に慎重に運転するクセがついた人は事故率が低いそうです。
      ■         ■
 弁護士の高橋智先生が、弁護士も最初についた‘先生’によって、大きく影響を受けると何かに書かれていました。
 医師も、最初に、見て・聴いて・覚えた、やり方が、その‘先生’に影響を与えます。
 三つ子の魂(タマシイ)というヤツです。
      ■         ■
 私が形成外科を専攻しようと思った当時は、札幌医大には形成外科がありませんでした。
 口腔外科の、篠崎文彦先生がクラブの先輩だったので相談しました。
 東京に行く手もあるが、北大へ行ったらどうだ、と篠崎先生から、アドバイスをいただきました。
      ■         ■
 北大形成外科には、私より先に、
 松本敏明先生(札幌医大22期、昭和50年卒)
 大岩 彰先生(札幌医大26期、昭和54年卒)
 のお二人の札幌医大の先輩がいらっしゃいました。
 私は、最終的に、松本敏明先生から、入局お誘いの電話を受けて、北大に決めました。
 昭和55年1月のことでした。
 同期ではかなり遅い方でした。
      ■         ■
 こうして、私は、札幌医大から北大へ行きました。
 北大の同期では
 浅見謙二先生(北大51期、昭和50年卒)、小児科を経験し、形成外科へ転科。
 井川浩晴先生(北大56期、昭和55年卒)。
 斉川雅久先生(北大56期、昭和55年卒)。
 菅野弘之先生(北大56期、昭和55年卒)。
 私。
 の合計5人が、昭和55年4月に、北大形成外科へ入局しました。
 私たちの、新人歓迎会は、中島公園の大手門という店で行っていただきました。
 大浦武彦教授が、5人も入局してくれて感慨深いものがあると、お言葉を述べられたのを記憶しています。
      ■         ■

1980年北大形成外科入局当時
私、二期上の小椋哲実先生、同期の井川浩晴先生
北大病院6-3病棟ドクタールームで

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医療問題

救急中核病院174ヵ所減少

 平成20年01月14日、朝日新聞朝刊の記事です。
 救急中核病院、2年で174ヵ所減
 ~搬送遅れの要因に~
      ■         ■
 地域の救急患者を受け入れる中核的存在の「2次救急病院」が、この2年間で174ヵ所減ったことが、朝日新聞の全国調査でわかった。
 深刻化する医師不足や経営難が影を落とした結果、減少傾向が加速しており、
 新たに救急を掲げる病院がある一方、救急の看板を下ろしたのは、2年間で全体の5.6%にあたる235ヵ所に上る。
      ■         ■
 急患の収容先選びが困難になり、搬送遅れが続発するなど市民生活への打撃は大きい。
 国の医療費抑制政策が救急医療の根幹を揺るがしている実態が、色濃く浮かんだ。
 日本の救急医療機関は、
①開業医らが軽症患者を診る 「1次(初期)救急」
②入院や手術の必要な患者を治療する「2次救急」
③救命救急センターなど重篤患者に対応する「3次救急」
に分かれ、中でも、多くの市にある公立・民間の2次救急病院が地域医療の中心的担い手となっている。
      ■         ■
 調査は、救急医療計画を策定する各都道府県を対象に、2005年10月~2007年10月の増減状況を尋ねた。
 全国の2次救急病院は2005年10月時点で4,170ヵ所あったが、2年後には3,996ヵ所となり、174の純減。
 救急対応をやめた235ヵ所に加え、21ヵ所が3次救急に移行するなどした一方、新たに82ヵ所が2次救急病院になった。
 2004年以前のデータがある自治体の多くで、2005~2007年の年間減少数がそれ以前を上回り、減少率が高まっている。
      ■         ■
 2次救急病院の減少数トップは福岡県の26ヵ所。
 県東部の京築地区で市町村の補助金が打ち切られた結果、当番制で急患を受け入れる「輪番制度」がなくなり、10病院が一気に救急から外れたのが響いた。
 東京都の15ヵ所、大阪府の14ヵ所がこれに続き、診療報酬の改定に伴う収入減などで、診療体制を縮小する病院が都心部で増えている実情を裏づけている。
 当直の確保で人件費がかさむ救急が不採算部門になっている例も多く、東京では、5病院が破産や廃院に追い込まれていた。
      ■         ■
 地域別では、四国の落ち込みが著しく、全体の11%にあたる22ヵ所の減。
 北陸・甲信越でも8%(22ヵ所)減少し、激務などから救急勤務医の退職が相次ぐ地方病院の苦悩が際立っている。
 こうした状況を背景に、各地で救急患者の搬送先探しが難しくなっており、兵庫県姫路市では昨年12月、吐血して搬送された男性が17病院に受け入れを拒まれ後に死亡。
 大阪府富田林市でも下痢や嘔吐(おうと)で搬送された女性が30病院に断られた翌日に亡くなった。
 福島市では同11月、交通事故に遭った女性が4病院に計8回搬送を拒否された後、死亡している。
      ■         ■
 このほか、2次救急に指定されている診療所も同時期に57ヵ所減り、404ヵ所になった。2年間で12%が消えたことになる。
 調査と並行して、救急対応をやめた235病院のうち、自治体が公表しなかった病院などを除く227病院に撤退の理由(複数回答可)を聞き、204病院から回答を得た。
 最多は「医師や看護師の不足」で66病院。
 次いで「診療所への変更」(40病院)が多く、「療養型病院などへの転換」も28病院あった。
 「地域の輪番制度がなくなった」が24病院、「倒産・廃院」は20病院だった。
      ■         ■
 スタッフ不足を挙げた病院は地方に顕著で、
「大学の医局による医師引き揚げで常勤医が10人以上減った」
「医師が半減し、当直態勢が取れなくなった」などと事情を説明。
「看護師が給与の高い都市部へ流れ、夜間の救急体制が築けない」との声も多かった。
      ■         ■
 都市部では、人手不足を訴える病院が多い一方で、
「救急での収益が期待できない」
「病院の収支が厳しい中で続けるメリットがない」など、経営上の理由も目立った。
 中には「当直医の専門外の患者が来る救急は、訴訟リスクが高い」と回答した病院もあった。

以上、朝日新聞より引用

      ■         ■
 自分や身内が急病になった時に、救急車や救急病院ほど、頼りになるものはありません。
 救急車のピーポーピーポーという音が聞こえてきただけで、 ‘助かった’と思うものです。
 国の医療制度改革で、今、救急医療がピンチを迎えています。
      ■         ■
 もともと、救急は、病院の‘赤字部門’でした。
 国や地方自治体からの、補助金があるので、なんとかやって来れたのです。
 病院勤務の医師や看護師は、救急当直をできれば避けたいというのが‘本音’でした。
 一晩、救急当直をすると、一日くらい代休をもらっても疲労がとれません。
 看護師さんは、代休がもらえますが、医師はまずもらえません。
      ■         ■
 救急当直をした翌日も、通常勤務が当たり前でした。
 夜中じゅう、働いて、真っ赤な目をして、翌日も勤務です。
 労働基準法も何も、あったものではありません。
 過去には、過労死した研修医が問題になったこともありました。
 救急を支えていたのは、自分がしなければ…という使命感だけでした。
 手当も決して多くはありませんでしたし、医師に手当が出ない病院もありました。
      ■         ■
 今年、サミットが行われる、洞爺湖がある、北海道胆振支庁には、救命救急センターがありません。
 民主党の鳩山由紀夫代議士の選挙区です。
 北海道庁は、緊急時には、ヘリで搬送すればよいと考えているようです。
 過去に、悪天候でヘリが飛べなかったことがあるのを、すっかり忘れているようです。
 全国から、救命救急の専門医・看護師を集めて待期させるようです。
 どんなに偉い先生を集めても、会場のウインザーホテルでは何もできません。
      ■         ■
 急性心筋梗塞やクモ膜下出血で、外国の首脳が倒れても、適切な処置ができるか疑問です。
 有珠山が噴火して、大量の熱傷患者が出ても、手当ができません。
 有珠山が噴火すると、ヘリも飛べなくなります。
 日本の偉い政治家の方には、救急医療や医療界全体が疲弊していることを、強く認識していただきたいと思います。
 今のままでは、救急医療を目指す、若い医学生や医師はいなくなってしまいます。

 

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院長の休日

成人の日

 今日は成人の日です。
 私は1954年(昭和29年)生まれです。
 私の頃は、札幌市では19歳で成人式の案内状が来ました。
 20歳になる年の1月に成人式がありました。
 私は浪人中でした。
 1月15日が成人式で、札幌予備学院の医進クラスで、その日を迎えました。
      ■         ■
 当然、札幌市が主催した、成人式には参加しませんでした。
 記念品をいただいた記憶がありますが、何か?覚えていません。
 今も昔も、成人式には、晴れ着を着たお嬢さんが、白いショールを巻いて、晴れやかに街を歩いているのが目立ちます。
 私は、同世代のキレイな方を、横目で見ながら、最後の追い込みに懸命でした。
      ■         ■
 当時は、今のようなセンター試験はありませんでした。
 1月は、私立大学の入学試験が始まる頃でした。
 2月に、自治医大の一次試験がありました。
 国立大学は一期校と二期校に分かれていて、3月上旬と下旬に試験がありました。
 北海道では、北大と札幌医大(公立)が一期校。
 旭川医大が二期校でした。
      ■         ■
 来年も受験勉強はしたくないなぁ…というのが正直なところでした。
 私は、現役の時に受かったのが、同志社大学(法)。
 一期校。札幌医大→不合格。
 二期校。弘前大学(医)→不合格。
 11月試験の旭川医大→不合格。
 弁護士になりたいという、微かな希望もありましたが、医学部を目指し浪人しました。
      ■         ■
 当時から、男性は成人式にはあまり出席しませんでした。
 20歳になると、酒・タバコが解禁になるといったところが、‘大人’になった証(アカシ)でした。
 私は、昔からタバコは吸いませんでした。
 高校の友人と、居酒屋程度は行きましたが、アルコールには弱い方でした。
 ‘大人’になって、唯一、楽しみだったのが運転免許の取得でした。
 運転免許は大学に入学して、すぐに自動車学校に通いました。
      ■         ■
 運転免許は取得しましたが、自分の車はありませんでした。
 父親がようやく手にした、10万kmも走った中古車を、たまに運転させてもらっていました。
 わが家では、はじめての車で、とても立派とは言えませんでしたが、嬉しかったものです。
 暇さえあれば、洗車して、ピカピカにワックスをかけていました。
 自分で使ったガソリン代は、自分でアルバイトをして、稼いで入れていました。
 ちょうど、オイルショックがあって、今と同じくらい、ガソリンが高騰していました。
      ■         ■
 私にとって、成人の日は、あまり想い出もなく、写真もありません。
 高校時代も、予備校時代も‘彼女’はいませんでした。
 その頃の写真を探しましたが、見つかりません。
 写真を撮ることもなかったのでしょう。
      ■         ■
 昔の写真を探して出てきたのが、下の写真です。
 後列の真ん中が私です。
 大学時代に、臨床実習で胸部外科を回った時です。
 24歳でした。
 写っているのは、小松教授と安倍助教授(後の教授)。
 7人グループの仲間です。
 全員元気ですが、すっかりおじさんになっています。

札幌医大6年生の臨床実習
胸部外科

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医療問題

看護職の将来

 昨日の日記に、看護師さんが、この20年で飛躍的に昇進したと書きました。
 市立札幌病院の看護師で、初代の副院長になられた看護師さんは、とても素晴らしい方です。
 私が在職していた当時、内科病棟と手術部で、ご一緒に働きました。
 穏やかで、実に優しい婦長さんでした。
 怒ったことや、大きな声を出したのを見たことがありませんでした。
 私は、新聞で辞令を拝見した時に、本当によかったと思いました。
      ■         ■
 札幌市内の病院で、早くから看護婦さんを副院長に登用したのは民間病院でした。
 私の記憶が正しければ、東札幌病院と札幌麻生脳神経外科病院が早かったと思います。
 どちらの病院の副院長(看護部長)さんも、素晴らしい方でした。
 理由はわかりませんが、HPを見ると、両方の病院とも今は副院長ではないようです。
      ■         ■
 札幌麻生脳神経外科病院の副院長(看護部長)だったのは、紙屋克子さんでした。
 1992年にNHKスペシャルで取り上げられた「あなたの声が聞きたい~“植物人間”生還へのチャレンジ~」で有名になられました。
 看護の力で意識障害、いわゆる植物状態の患者さんを回復させる取り組みに成果をあげられました。
 紙屋さんは、その後、筑波大学の教授になられました。
 紙屋さんは、看護師でなければできない、‘リハビリ’を行って、患者さんを回復させました。
      ■         ■
 公立病院や大学病院での登用は、民間に遅れること、20年近く経ってからです。
 最近でこそ、看護師さんが副院長になるのは珍しいことではありません。
 20年前は、看護職の副院長は珍しかったものです。
 看護師さんが、副院長となって、病院経営に携わる(タズサワル)のは、よいことだと思います。
 経営者として、看護職をまとめるのは大変なことです。
      ■         ■
 経営の効率化とサービスの質を落とさないことは、相反することが多く大変です。
 国の医療制度改革で、公立病院を中心とした医療機関は倒産寸前です。
 地方の公立病院では、累積赤字が数億円から数十億円になって、民間であればとっくに倒産しているところもあります。
 看護職をまとめて、赤字を出さないように、病院を‘経営’するのは、並大抵のことではありません。
 偉くなると、‘病院経営’にかかわることを求められます。
 職位と、責任は平行して増加するものです。
 会社でも、役員になると経営責任を問われます。
      ■         ■
 私の父が、現役の薬剤師だったころは、薬価差益という‘利益’がありました。
 薬を安く購入することで、保険で支払ってもらう金額との差額が、病院の‘儲け’になっていました。
 薬局長の裁量で、病院の収益が左右されました。
 その頃は、院長→事務長→薬局長→看護部長というのが、暗黙の階級だったように思います。
 私が、子供の頃に住んでいた、手稲療養所の職員住宅が
 院長→事務長≒医師→薬局長という順番で立派でした。
 大卒という‘学歴’の他に、経営への‘貢献’があったからだと思います。
      ■         ■
 薬剤師は、国家試験受験資格を得るまでの修業年限が6年間になりました。
 病院での実習や、医薬分業での患者様への説明など、求められる業務が増えたからです。
 理学療法士や作業療法士も、4年制大学の卒業生が出てきています。
 医療機関で働く専門職が、どんどん高学歴になってきています。
      ■         ■
 私は、将来、
 医師
 歯科医師
 事務長
 看護師
 薬剤師
 臨床検査技師
 診療放射線技師
 理学療法士
 作業療法士
 管理栄養士など、
 医師(歯科医師)と医師以外のパラメディカルが一緒に病院経営を考える時代になると思います。
      ■         ■
 これからの日本社会は、少子高齢化社会へまっしぐらです。
 国は増える医療費を何とか削減しようと懸命です。
 今は‘病院’で、医師の指示のもとに、処置をするのが看護師さんです。
 将来は、病院や診療所ではない、介護施設で、看護師が高齢者をケアーする時代になると思います。
      ■         ■
 少子高齢化社会になり、看護師のニーズはますます増えると思います。
 施設では、看護師や保健師が入居者の健康管理をするようになると思います。
 どの段階で、医師に診察を求めるか?
 どこまで、看護師がケアーしていて大丈夫なのか?
 これを見極める能力を求められます。
 簡単なようで、実に難しいことです。
 当然、責任も重くなります。
 判断を誤ると、訴えられることも考えられます。
      ■         ■
 看護職は、社会的地位や職位の向上に伴い、職責も重くなります。
 経営手腕のある方は、自ら介護施設を経営するようにもなると思います。
 そこでは、必ず、‘責任’が求められます。
 当然、勉強も必要になります。
 私は、これからの高齢化社会で、看護職の役割が、ますます増えると考えています。
 看護職を目指す学生さんや、若い方に期待しています。

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医療問題

看護師の職位

 私は平成元年4月1日に札幌市に採用され、市立札幌病院皮膚科へ配属となりました。
 医師となって10年目で、34歳でした。
 私の職位は、係長職でした。
 当時、札幌市の規定で、医師は卒業後一定の年数が経つと、自動的に一般職→係長職→課長職と昇進できました。
      ■         ■
 私の記憶が正しければ、市立札幌病院では平成元年から看護係が→看護課になりました。
 それまで、看護職のトップが係長職だったのが、課長職になりました。
 病院で一番偉い看護婦さんを、総婦長と呼んでいました。
 総婦長の職位が係長職から課長職になったのが、約20年前です。
      ■         ■
 看護婦さんは、高校卒業後に3年間専門学校に通い、国家試験を受けて‘看護婦免許’をいただいていました。
 学歴は、専門学校卒。
 医師や薬剤師が、大卒だったのに対し、失礼な言い方ですが、一ランク低い学歴とみなされていたようです。
 公務員の給与は、‘学歴’によって、俸給表というランクが変わります。
 同じ医師でも、大卒と大学院卒では、少しだけランクが違ったようです。
      ■         ■
 この20年の間に、看護婦→看護師と名称が変わりました。
 さすがに、看護職の方を‘先生’と呼ぶ習慣はありませんが、大卒の看護師も登場しました。
 4年制大学を卒業すると、看護師の他に、保健師の国家試験受験資格も得られます。
 看護師・保健師、両方の免許を持ったナースも働いています。
      ■         ■
 実際のところは、大卒ナースだから…
 看護師・保健師の両方の免許を持っているから…
 という理由で、仕事ができる優秀なナースとは限りません。
 正直なところ、高校の衛生看護科を卒業して、准看護師の資格を取得し、
 働きながら、夜間の進学コースに通い、看護師免許を取得したナースが、
 免許取立ての看護師としては、一番戦力になります。
      ■         ■
 今でも、病院で‘先生’と呼ばれるのは、医師と薬剤師です。
 理由はよくわかりませんが、長い間の慣習でしょうか?
 従来は、病院での職位は、医師と事務長が高かったようです。
 平成元年は、院長、副院長と主任医長の一部の偉い先生が、札幌市の局長職に相当する‘理事’でした。
 医師以外の理事は、札幌市の本庁からいらっしゃる、事務局長だけでした。
 理事になれる先生は、5人くらいしかおらず、給与も退職金も多かったと聞いています。
 事務局長は、札幌市の中でもかなり優秀な方がいらっしゃいました。
 区役所の区長クラスの方だったと記憶しています。
      ■         ■
 薬局長も、医学博士の学位を取得した、偉い先生でしたが理事ではありませんでした。
 看護師は、理事どころか、ようやく課長職になったばかりでした。
 ところが、この20年間に、飛躍的に昇進したのが看護職です。
 課長職→部長職→理事(副院長)と…
 あっという間に、副院長にまで昇進しました。
      ■         ■
 このような、‘昇進’は、他の
 薬剤師
 臨床検査技師
 診療放射線技師
 理学療法士
 作業療法士
 などでは、考えられないことです。
 もちろん事務職の事務局長でも、副院長にはなれません。
 医事課の事務員さんは、20年前から、派遣の方が活躍なさっていました。
      ■         ■
 看護職の昇進は、市立札幌病院に限ったことではありません。
 大学病院や一般病院でも副院長として、看護師を登用しています。
 これは、国の方針が変わったからです。
 診療報酬にかかわる、看護料の比率が大きくなったからです。
 看護師を数多く確保しないと、病院の存続にかかわることになったからです。
      ■         ■
 病院というところは、マンパワーが必要なところです。
 一番、数が多いのが、看護職です。
 大病院になると、数百人単位の看護師さんがいます。
 数百人の部下を持つトップです。
 理事も副院長も当然だと私は思います。
 遅すぎたくらいです。
      ■         ■
 この20年で、看護職に求められる仕事も実に増えました。
 北大病院では、現在、看護部長を公募しています。
 HPを拝見すると、看護師としての実務経験の他に、研究業績が必要なことがわかります。
 著書,論文,学会発表など、従来は大学の講師・准教授・教授などに求められたことが、看護部長に要求されています。
      ■         ■
 数百人の部下を持つ、局長職(副院長)の職責は重いものです。
 もし、看護部看護課の看護師が不祥事を起こせば、副院長も当然、責任を問われます。
 教育・研修に対する責任も大きくなります。
 将来、大病院の看護職のトップは、
 看護学博士号を取得した‘先生’になるのでは…?
 と、私は考えています。
      ■         ■
 私たちのような、小さな診療所は、医師も看護師も同じサービス業です。
 医師も看護師も、高度の専門的知識と技術を持った‘接客業’だと考えています。
 私は、‘白衣の天使’ということばが好きです。
 看護職の基本は、他の方への愛情・奉仕・技術・サービスだと思います。
 笑顔や、優しい思いやりがなくてはできない職種です。
 どんなに偉くなっても、優しい看護婦さんであって欲しいと願っています。

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医療問題

酒気帯び手術

 平成20年1月11日、朝日新聞朝刊の社説に、医療事故調査委員会のことが掲載されていました。
 最後の方に、‘もちろん、酒を飲んで手術をしたり、カルテを改ざんしたりするのは論外だ。’と書かれていました。
 この‘酒を飲んで手術’が気になりました。
      ■         ■
 医師は急患の診察を求められた際に、‘酒を飲んでいる’ことを理由に断ることができます。
 誰が考えても、‘正当な理由’です。
 私は、25年以上医師をしていますが、緊急のために‘酒を飲んだ先生’が手術をしたことを何度か知っています。
      ■         ■
 私自身は酒は飲めませんし、飲んでもごく少量です。
 アルコールに弱い体質だと思います。
 医師の中には、大酒飲みやアルコール依存症?と思われる方もいらっしゃいます。
 朝、手術室で一緒に手術をはじめる時に、手術用マスク越しに、アルコールの臭いがした‘先生’もいました。
 問いただすと、朝方まで飲んでいて、数時間休んで、そのまま病院へ出てきたということでした。
      ■         ■
 病院では、航空会社やタクシー会社のような‘点呼’はありません。
 個々人の自覚に任されています。
 酒臭い息をして、外来診療をすると、すぐにバレますが、手術室ではわかりません。
 チェックする機構も機能もありません。
      ■         ■
 手術の前日に、朝方まで酒を飲んでいる先生はもちろん論外です。
 酒臭い息をして、手術室に入るなんて許せません。
 ただ、医師法には、呼気中・血液中のアルコール濃度が○%だったら診療をしてはいけないという規定はありません。
 自動車の運転と違って、酒気帯びで手術をしても、診療をしても、罰則規定はないはずです。
      ■         ■
 問題なのは、緊急手術で呼び出しを受けた時です。
 病院も、ふつうの会社と同じように、歓送迎会や忘年会をします。
 特に、忘年会は手術部、各病棟、医局、と所属部単位で行われます。
 年に一度の‘慰労会’です。
 楽しく、にぎやかな忘年会が多いです。
      ■         ■
 問題なのは、手術部の忘年会や救命救急センターの忘年会です。
 当直要員は、もちろん病院で通常通り勤務しています。
 手術部の当直で、準夜・深夜を合わせて看護師が5~6人。
 救命救急センターの医師が、多くても10人程度。
 その日の当番は、病院で仕事です。
      ■         ■
 忘年会の夜は、大事故が起こらないようにと祈って参加します。
 ところが、何年かに一度は、その日に限って大事故が起こります。
 病院から緊急の呼び出しを受けると、
 忘年会の2次会でカラオケにいても…
 宴会の最中で、ちょうど盛り上がったところでも…
 ただちに病院へ直行です。
      ■         ■
 大事故で大ケガの場合は、たとえ酒を飲んで‘酒気帯び’でも、緊急手術をしなければ、生命の危険がある場合があります。
 手術をできる先生が、一人しかいなくて、その先生が‘酒気帯び’だったら…
 もちろん、ベロベロに酔っ払って、手術ができない状況だったら別です。
 ビールを1~2杯飲んだ程度の、‘酒気帯び’だったどうでしょうか?
      ■         ■
 私が患者だったら、たとえ酒気帯びの先生でも
 『先生、お願いします、助けてください』と言います。
 僻地や、専門医が一人しかいないような地域でしたら、
 現実には、ちょっと位の‘酒気帯び’でも、診療を引き受けている先生はいらっしゃると思います。
      ■         ■
 医師だって人間です。
 お酒やワインが好きな先生もたくさんいます。
 お酒を飲んで、気分よく休んでいる時に、呼び出されて緊急手術なんかしたくはありません。
 夜間に、呼び出されて、‘酒気帯び’で緊急手術を引き受ける先生は、仕方がなく引き受けているだけです。
 航空機のパイロットのように、乗務○時間前から、一切飲酒は厳禁。
 違反した場合は、医業停止。
 なんて規定を作ったら、間違いなく、日本の僻地医療や救急医療は崩壊します。

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医学講座

小陰唇縮小手術

 包茎手術の女性版が小陰唇縮小手術です。
 神様は、どうして包皮や小陰唇を作られたのでしょうか?
 他人より、ちょっとだけ長かったり、大きかったりするだけなのです。
 この1㎝とか5㎜とかが気になるのです。
      ■         ■
 小陰唇縮小手術で受診なさる方は、真面目でしっかりした方です。
 ちょっとした他人との違いに、悩んでいらっしゃいます。
 どうってことはない、と思われててもご本人にとっては問題なのです。
 手術を受けられる方は、10代から40代までとさまざまです。
      ■         ■
 大部分の方は、『もっと早く手術を受ければよかった』とおっしゃいます。
 HPにも記載しましたが、婦人科の先生に勇気を出してご相談なさっても、『普通』ですと言われます。
 どこまでが‘普通’という定義はありません。
      ■         ■
 見えない部分だから、気にしなくてよいという人もいます。
 でも、一番気になる部分でもあるはずです。
 何もしていないのに、人より大きくて黒かったら…。
 手術で治るものなら、治してしまえば、一度で済むことです。
      ■         ■
 札幌美容形成外科では、小陰唇縮小手術を受けていただいた方に
 ビキニ奥の脱毛を、一回サービスでテスト照射することがあります。
 せっかく、キレイになったので、毛も無くなれば一石二鳥です。
 テスト照射の後で、脱毛に通われて無駄毛もなくする方もいらっしゃいます。
      ■         ■
 見た目は顔だけではありません。
 一重の目だって、しっかりものが見えれば、目としての機能には問題はありません(眼瞼下垂症は別です)。
 外科的に治せるものでしたら、治してしまえばわからなくなります。
 包茎手術も小陰唇縮小手術も、しっかり治せばキズはほとんど目立たなくなります。
 最初に勇気がいるだけです。
      ■         ■
 ナイロン糸という溶けない糸で縫合するのが、キレイに治すポイントです。
 抜糸が必要になりますが、10分程度で終わります。
 包茎手術も小陰唇縮小手術も、手術後の出血が一番問題になります。
 昨年、お一人だけ手術後の出血がありました。
      ■         ■
 幸い、適切に処置ができたため大事には至りませんでした。
 どんなに丁寧に手術をしても、手術後のトラブルはゼロではありません。
 札幌美容形成外科では、手術後2時間程度はお休みいただき、出血がないことを確認してからお帰りいただいています。
 それでも、ちょっとしたことで出血することがあります。
      ■         ■
 手術後の痛みは、2~3日こそ少し痛いものの、
 その後は痛み止めを内服する必要もないくらいになります。
 局所は生理食塩水で洗浄し、軟膏をつけてナプキンを当てるだけです。
 包茎手術も小陰唇縮小手術も、一生に一度手術を受けるだけです。
 悩んでいる方は、勇気を出してご相談ください。

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