医療問題

刑務所の医療

 平成20年6月20日、北海道新聞朝刊の記事です。
 医務官診療拒む 福岡
 「刑務所に戻らぬよう苦痛与える」
 福岡刑務所(福岡県宇美町)の受刑者が
 「医務官から投薬や診療を拒否されたり、
 差別的、侮辱的な暴言を受けたりした」と
 福岡県弁護士会に人権救済を申し立てるケースが相次ぎ、
 2002年以降少なくとも70件に上っていることが6月19日、
 関係者の話で分かった。
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 ほとんどは医師資格を持つ同刑務所第2医務課長の言動に集中。
 この課長は、
 法務省が福岡県内の大学教授や弁護士らに委嘱した
 福岡刑務所視察委員会の調査に対し
 「二度と刑務所に来させないためにも、
 受刑者には苦痛を与えなければならない」
 という趣旨の説明をしたという。
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 特定非営利活動法人(NPO法人)監獄人権センター(東京)は
 「自らに加罰権限があると思っている医務課長の発想はおかしい。
 全国の刑務所に根差している問題ではないか」と指摘している。
 福岡刑務所の広報担当者は
 取材に対し「コメントすることはない」と話した。
 刑務所を管轄する福岡矯正管区は
 「福岡刑務所に問題があるとは考えていない」、
 法務省矯正局は「事情を把握していない」としている。
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 関係者によると、
 第二医務課長は投薬や診療を求める受刑者に対し
 「仮病だろう」
 「帰れ」
 「日本で盗みをする中国人は診ない」
 とたびたび発言したとされる。
 県弁護士会や
 監獄人権センターには
 「詐病と決めつけられた」
 「人工透析を受けさせてもらえない」
 「診察要請に一切応じてくれない」
 などの訴えが寄せられている。
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 関係者によると、
 課長は自らを
 「コスト力ッター(経費を削減する人)」と公言。
 刑務所の薬剤費は
 2005年度に約5千万円だっが
 2007年度には約3千万円に減ったという。

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 昨日の朝日新聞の投稿記事で、
 受刑者一人に年間300万円の経費がかかるとありました。
 受刑者の医療水準をどの程度にするか、
 とても難しい問題です。
 コストがかかるのは、
 外科手術。
 人工透析。
 抗癌剤治療。
 などなど、さまざまな治療があります。
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 覚醒剤依存症で、服役したとします。
 覚醒剤を注射する時に、
 注射器を使いまわしして、
 高い確率で、
 ウイルス性肝炎になります。
 肝炎の治療にはお金がかかります。
 新薬ですと、一ヵ月の薬代が数万円。
 インターフェロンの注射なんかをすると、
 数十万円にもなります。
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 もし刑務所でこのような‘治療’が認められると、
 お金がなくなったら、
 悪いことをして、
 刑務所に入れてもらい、
 医療刑務所で治療してもらう…
 なんて人が増えたらどうしましょうか?
 税金で数百万円もかけて、
 ‘治療’してあげる必要があるのでしょうか?
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 私たちは、中学校までの義務教育で、
 悪いことをしたら刑務所に入れられることを教えられます。
 でも、普通の国民は、
 刑務所の中がどうなっているか?
 刑務所の中で病気になったらどうなるのか?
 まったく知識がありません。
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 受刑者の人権もわかりますが、
 刑務所で、
 普通の病院と同等か
 それ以上の医療を求めるのは…?
 身勝手すぎると、私は思います。
 どこまで治療するのが、
 受刑者に適当なのか、判断に困ります。
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 世の中には、
 毎日、
 朝早くから、夜遅くまで働いて、
 きちんと納税もして、
 選挙には投票にも行っているのに…
 無医村で、
 医療を受けられない人がたくさんいます。
 受刑者だけが、
 際限なく医療を受けられるというのは、
 医療者の一人として、納得できません。

“刑務所の医療”へのコメント

  1. さくらんぼ より:

    刑務所 の中の事は誰も 詳しくはわかりませんが、先日も話したばかりです。死刑が執行されましたが 宮崎死刑囚はじつに20年も 刑務所の中で 生かされていたのですから・・裁判の期間をもう少し 短くできないものなのでしょうか? だれかさんみたいに 死神 と呼ばれて激怒しませんから・・

  2. ペコ より:

    いつも楽しく拝見しています。娘が先生に眼瞼下垂の手術をして頂きました者です。私が勤める病院では近隣に刑務所があり時々受刑者が入院してくることがあります。入院するとなると一人の受刑者に三名の刑務官が泊り込みで付き添います。なぜ三名かというと二名だと一人がトイレや食事、仮眠などで席をはずすと一人の刑務官では万が一の時に(脱走、暴力など)対応できないからだそうです。その刑務官も付き添いには非番の日に来る事になるので、一人が入院するととても大変なのだそうです。末期の肝臓癌の受刑者が入院したとき、高価な抗がん剤を使用しても、医療費は国が負担し、あげぐの果てには、末期なので刑の失効の手続きがされ、残りの刑をまぬがれ、病院の在る市の生活保護を受けることになりました。失効されるともちろん付き添いの刑務官もいなくなり、とても怖い思いをした記憶があります。刑務官がいるときはおとなしかったのが、いなくなると要求がエスカレートして大変でした。国が自治体に押し付けたのかと思ってしまいました。受刑者は麻薬常習犯でそれによるC型肝炎からの肝臓癌です。自業自得だとおもいます。そんなひとのために税金を使われるなんて私も納得出来ません。

  3. さくらんぼ より:

    ↑ 死神は朝日コラムに出ていて 言い過ぎかどうかの投票ラジオでしていて おもしろかったです。

  4. ようすけ より:

    とある町の刑務所の隣にあるとある病院で勤務医してます。いま現在
    週代わりで刑務所から受刑者が、イレウス、吐血、腹痛、肺炎等で入院
    してきます。その地域を管轄とする医療刑務所が満床で入院できないと
    すぐ隣の病院にSOSの連絡がきます。
    数ヶ月前も肺炎から人工呼吸器をつけた受刑者を他府県の医療刑務所ま
    で救急搬送しましたが、地元の患者さんというこ
    ともあり、まさに超法規的に救急車をすぐに出してもらえました。
    本来ならば他府県に搬送することは非常に難しいそうです。

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