医療問題
山形大学の事件⑥
美容形成外科、
美容外科、
美容整形、
このうち厚生労働省が認めた、
正式な標榜科目名はどれでしょうか?
医師免許を持っていても間違う人がいます。
■ ■
正解は美容外科です。
いちばん一般的な美容整形は、
認められていません。
でも、
‘整形する’
という日本語を聞くと、
整形外科で骨の手術をするのではなく、
美容外科で
二重の手術や鼻を高くするする手術を連想します。
■ ■
形成外科は、
よく誤解されます。
最近では、
さすがに、
形成外科医です、
といって
整形外科医と間違える人は
少なくなりました。
でも、形成外科と美容外科は混同されます。
■ ■
いちばん多い誤解は、
山形大学医学部が間違った誤解です。
つまり、
事故などでできたキズを
キレイに治す手術は、
‘美容外科的手術’であるという誤解です。
これは、
私の先輩にあたる形成外科医が
長い年月をかけて保険適応にしてきた、
‘形成外科戦いの歴史’です。
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生まれつき、
耳がない子どもさんがいます。
今は、保険適応になっていますが、
昔は耳をつくる手術が
保険適応になりませんでした。
昭和50年の毎日新聞社会欄に
「ボク、左耳がほしい。健保なぜきかないの?」
という記事が出ました。
耳がない病気の子どもさんが、
当時の田中厚生大臣に手紙を書きました。
■ ■
その翌日に、
「左耳、手術できるよ」と、
田中厚生大臣が健康保険の適応を認め、
それが毎日新聞の記事になっています。
このことを書かれたのは
日本形成外科学会で、
長い間、社会保険委員をなさった、
東京厚生年金病院の故中村純次先生でした。
中村先生が、
1982年に
日本形成外科学会25周年記念誌に書かれました。
■ ■
キレイなるために
鼻を高くする、
おっぱいを大きくする、
これはもちろん美容外科の手術です。
保険はききません。
不慮の事故や
熱傷で
キズができてつっぱっている、
そのキズを少しでもよくしたい。
これは形成外科の手術です。
形成外科では保険診療で手術をしています。
■ ■
日本形成外科学会HPには、
次のように書かれています。
生まれつきの病気や
変形の治療、
外傷や熱傷(ヤケド)の治療、
ガン切除後の再建手術などは
健康保険の対象になります
■ ■
山形大学医学部に入院された患者様は
私の推測では、
健康保険の適応手術だったと思います。
それを
「美容的外科手術」
などと報道発表すること自体が、
形成外科を理解していない証拠なのです。
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同じような事故を防ぐためには、
山形大学医学部に形成外科をつくり、
形成外科の診療体制を確立することです。
それが患者様への償いになります。
私は、
今でも患者様の脚にはキズが残り、
少しでも、
それを改善したいと
願っていらっしゃると思います。