医療問題
北大形成外科同門会
昨夜、北大形成外科同門会の会議がありました。
同門会というのは、
北大形成外科で修行をした仲間医師の集まりです。
今は、北大形成外科には所属していなくて、
病院勤務や開業をしている医師が
同門会の主要メンバーになります。
OBによる親睦団体というところです。
北大形成外科では、
現在、北大形成外科に在籍している医局員も
教室会員となります。
教授や准教授、講師、助教というスタッフの他に
研修医も教室会員です。
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北大で研修した仲間の会ですから、
30年近くも、ずっと顔見知りです。
遠い親戚よりも、自分にはずっと身近な存在です。
自分にいろいろなことを教えてくれた、
大切な先輩であり、
自分が手術を教えた、
かわいい後輩も同門会員です。
業界の親睦団体と違うのは、
師弟関係であったり…
よき相談相手であったり…
私に言わせると、
形成外科という、自分にとってかけがいのない
もう一つの‘親兄弟・親戚’以上の関係が同門会です。
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最近の若い先生は、
卒後に大学病院の医局に入らず、
すぐに市中病院や民間病院で臨床研修をします。
結果的に、大学に残る人が少なくなっています。
確かに、昔から医局制度には問題もありました。
ただ、私にとっては良い制度で
良い時代でした。
採血や点滴すら満足にできなかった私が、
手術ができるようになったのは、
北大形成外科のおかげです。
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私は、大浦武彦教授が率いる、
北大形成外科へ入局しました。
現在の私があるのは、
大浦武彦先生や北大形成外科の先輩のおかげです。
いつも感謝しています。
札幌医大から北大へ行くことは少し勇気がいりました。
私が北大へ行けたのは、
松本敏明先生、
大岩彰先生という、
お二人の札幌医大の先輩がいらしたからでした。
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特に大岩彰先生は、
私が札幌医大に入学した時に、
熱心に弓道部へ誘ってくださった先生でした。
大岩先生の、
『私でもやっているんだから大丈夫だょ』
『おいで!』
という一言で、
私は安心して北大形成外科へ来ました。
大岩先生はお忘れになっていると思いますが、
私が北大を訪ねた時に、
生姜焼き定食をごちそうしてくださいました。
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松本先生は、アクティブで激しい先生です。
レーザーのスペシャリストです。
大岩先生は、穏やかで優しい先生です。
巻き爪という、手術が難しい爪の病気に、
独自の大岩法という、手術法を考案されました。
あまり知られていませんが、
私は今でも素晴らしい手術法だと思っています。
大岩先生は現在は形成外科を離れていらっしゃいますが、
同門会にはいつもいらしてくださいます。
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同門会の会議で、
最近、医局を離れる先生のことが話題になりました。
全国どこの大学の形成外科でも、
専門医も取らずに、大学を去る先生がいらっしゃいます。
どこへ行くのも、
職業選択の自由という、
日本国憲法が定めた基本的人権です。
形成外科や自分の将来のことを考えてのことです。
私は、北大形成外科は円満退局しましたが、
札幌医大は追い出されました。
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前にも書いたことがありますが、
48歳にして職を失い、
路頭に迷いました。
子どもにもお金がかかる時期だったので、
本当に困りました。
私は幸いなことに、
中央クリニックの社長さんに拾っていただきました。
中央クリニックも円満に退職させていただき、
札幌美容形成外科を開業できました。
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私は自分の生き方が正しいとか、
大学を辞めて美容外科医になるのが悪いとか、
言うつもりはまったくありません。
一度しかない人生ですから、
自分の思うように生きるのがいいと思います。
ただ、
私が札幌医大を追い出された時に、
精神的な力になってくれたのが、
北大形成外科の先輩や後輩でした。
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医師にもたくさんの悩みや苦しみがあります。
悩んだり苦しんだりした時に、
相談できる先輩がいるのは、
本当にありがたいことです。
これは苦しんだ人にしかわかりません。
そんな時に相談できる先輩を持つには、
北大形成外科同門会は最適なところだと思います。
私は、自分が一度、
奈落の底へ落ちて助けてもらったので、
後輩が困っていたら、
できるだけのことをしたいと思っています。