医学講座

スケッチ

 医学部の専門科目がはじまって、最初に行う解剖学実習は骨学(コツガク)という骨の実習です。本物の人間の骨が衣装ケース程度の大きさの木の箱に入っています。
 その箱から骨を取り出して、スケッチをします。ふつうのスッケッチブックに鉛筆でスケッチをするのです。これなら美術専門学校と変わらないですネ。医学部ではそのスケッチした絵に骨の部位の名前を記入して覚えるのです。
 なんだそんなの簡単じゃん。と言われるかもしれません。ところが骨にはたくさんの小さな穴があったり、ザラザラした面があったりして、その一つ一つに名前が付いています。
 一番複雑な形をしたのが頭蓋骨です。脳から神経や血管が小さな穴を通って頭蓋骨の外に出ます。この孔(アナ)の一つ一つに名前がついていて、そこを通る神経が脳神経の何番目でどういう働きをするか?孔(アナ)から入る動脈は何という名前で、どこから来てどこへ入るかなど、全部覚えなくてはなりません。卵円孔(ランエンコウ)→Foramen ovale(フォラーメンオバーレ)→下顎神経、中硬膜動脈副硬膜枝など。フォラーメンなんて味噌ラーメンなら知ってるけど…。この変てこりんな名前を数限りなく覚えるのです。
 覚えるだけで気が遠くなりました。しかも、日本語の他にラテン語の学名や英語でも覚えます。
 私が苦労したのは、スケッチができなかったからです。小学生から図工の工作は得意でしたが、図画は不得手でした。展覧会で金色のシールを貼ってもらっている友だちがうらやましかったです。父母参観日などでも、教室の後ろに貼ってある絵を見られるのが一番イヤでした。
 美術が得意で、美大に行った友人に聞きました。オレ骨の絵が書けなくて困ってんのよ。どうしたらお前みたいに上手に書けるの?本間、骨の絵が書いてある本かなんかあるベ。その本見てよ、真似すんのよ。
 その友人のアドバイスで、私は当時三越の隣にあった丸善に行って、線画で描かれた骨の教科書を買いました。その絵を真似して書くうちに骨の絵が描けるようになりました。

“スケッチ”へのコメントを見る

未分類

今日から4月

 今日から4月です。新しい土地で新学期や新生活をはじめられる方も多いと思います。美容外科の患者様も4月に入ると少なくなります。3月中は、卒業式後に手術を受けられる方が多く、ご予約が取りにくい状況でした。ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
 希望の学校に合格なさり、はりきって新学期を待っていらっしゃる方。難関の就職試験にパスして、明日が入社式の方。さまざまな人生が始まるのが4月です。
 一方で力及ばず、予備校に通われる方。今年は自宅で浪人なさる方。希望の就職先がなかったのでとりあえずフリーターとして仕事をなさる方もいらっしゃると思います。
 私自身はフリーターの経験はありませんが、私も私の息子も浪人しました。私の浪人が決まった時は、父に叱られるかと思いましたが、逆に励まされました。私の息子は2年間も予備校に通いましたが(2浪です)、念願の大学生になれました。私は自分の経験から、息子が予備校に通うのは賛成でした。
 医師という職業に就くには、他人の痛みや苦しみが理解できなくては務まりません。浪人したから立派な先生になれるという訳ではありませんが、少なくとも挫折感を味わい、そこからはい上がって努力する姿勢は大切だと思います。
 私の尊敬する立派な経営者の方も、最初から順風満帆だった人はマレです。みんな失敗してくじけて、もうダメだと思ったところから、自力ではい上がるのです。大切なのは、何が原因でどうしてダメだったのかを分析して、対策を考えることです。
 脅かすわけではありませんが、希望に燃えて入った学校や会社が自分の理想とかけ離れていて、落ち込む人もいるのです。ちょっとした人間関係から、学校や仕事がイヤになる人もいます。自分とたたかって頑張る力がある人はちょっと位イヤなことがあっても、乗り越えられるものです。4月から理想のところへ行けた方も、ちょっと残念だった方もどうか頑張ってください。人間は努力すれば、どんな希望でも叶えられるものです。
 いい加減にやってもなんとかなるさという考えは捨てて、自分の力を最大限に引き出せるように頑張ってみてください。

“今日から4月”へのコメントを見る

未分類

明日から医療法人

 明日から札幌美容形成外科は、医療法人札幌美容形成外科になります。医療法人になっても、私も職員も内部もまったく同じです。もちろん、今までと治療内容もフリープランも同じですので、ご安心ください。
 違うのは、保険診療の領収書に‘医療法人札幌美容形成外科’とつくこと位でしょうか?患者様から見ると、内容はほとんど変わらないと思います。
 事務的な手続きはかなり変わります。まず、札幌市保健所に‘札幌美容形成外科’の閉院届けを出して、新たに‘医療法人札幌美容形成外科’の開設許可をいただきます(既に認可されて、検査も受けておりますのでご安心ください)。また、社会保険事務局へも‘札幌美容形成外科’を閉院して‘医療法人札幌美容形成外科’として新しい保険医療機関としての番号をいただきます。この番号がないと保険診療ができません。
 銀行口座も変わります。札幌美容形成外科は本間賢一の個人口座でよかったのですが、医療法人は新たに法人としての口座を開設しました。この法人としての開設には、法務局から登記簿謄本(登記事項証明書)なるものをいただかないと開設できません。
 私と職員の健康保険証も変わります。前の職場を退職して、新しい医療法人の職員になります。個人の診療所では私は社会保険の本人にはなれませんでした。今度は医療法人なので私もようやく社会保険の本人になれます。
 日本のいろいろな制度は難しく、素人には戸惑うこともたくさんあります。医療法人になっても札幌美容形成外科の中身は変わりませんので、今まで以上にご愛顧をよろしくお願い申し上げます。

“明日から医療法人”へのコメントを見る

未分類

人生で最良の時

 明日で3月も終わりです。今年の冬は雪が少なく過ごしやすい冬でした。私がお世話になっている琴似の理容室、福原さんの花壇ではクロッカスの花が咲いていました。ご主人のお話しですと、建物の外壁に面した花壇なので、他の場所より暖かく毎年一番最初に花が咲くそうです。
 私は今年53歳になるオジサンです。美容外科医として毎日手術をしています。他人から見ると、繁盛している美容外科の幸せな院長に見えるかもしれません。
 私は手術で女性をキレイにする仕事は好きです。細かい作業も苦になりません。『先生ありがとうございました』と言われると、また頑張って手術をしようという気持ちになります。
 人生で最良の時はいつだったのかなぁ~?と考えることがあります。私の人生で最良の時は、25歳の研修医時代に家内と2DKの公団住宅で新婚生活をはじめた頃だったような気がします。
 私は中学、高校、大学とずっと自宅から通っていたので、早く家を出たいという願望がありました。結婚する前に、美唄労災病院に単身で赴任しましたが、自炊することもできず3ヵ月の単身生活で餓死しそうになりました。
 今の若い世代の方は、結婚する前に同棲生活を送り、楽しそうにしています。いきなりデキ婚で結婚するよりは、ある程度‘試用期間’をおいて、お互いをよく確かめるのもよい方法だと思います。
 私が若い頃も、同棲する人はいましたが、今ほどオープンではありませんでした。どちらかというと後ろめたく、こっそり生活していました。新婚でも同棲でも、二人で仲良く買い物をして食事をして、ビデオを見て、とても楽しい毎日だろうと思います。私にはもう戻ることができない楽しい世界です。一日一日を大切にして破綻しないように気をつけて生活なさってください。

“人生で最良の時”へのコメントを見る

未分類

医療法人の手続き

 今日は休診日でしたが、4月1日から医療法人札幌美容形成外科として診療をするため、お役所に手続きに行ってきました。
 最初に行ったのは、札幌市保健所。新しい建物の3階に窓口があります。1階は夜間急病センターです。午前9時過ぎに行ったので急病センターはひっそりとしていました。おそらく夜間はひっきりなしに救急車や急患が来ていると思います。保健所の担当は、以前からお世話になっているベテランの男性職員の方です。書類をお願いしてすぐに用件は済みました。
 次は札幌西社会保険事務所。こちらは私と職員の健康保険と厚生年金についてです。社会保険関係はあまり得意ではありません。今までは会計事務所にお願いしていました。こちらの担当は若い男性の方でした。いろいろ問題になっている社会保険庁ですが、担当の山上様はとても親切に教えてくださいました。社会保険庁を見なおしました。
 三番目は札幌駅北口の合同庁舎。法務局で法人の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)を発行していただきました。ここはとても混雑していました。約20分かかりました。次は同じ建物にある労働局です。私のような法人役員になると、労災保険はかけられないのだそうです。どこの会社の社長さんも労災保険はなく仕事でケガをしても補償は受けられない。労災病院に勤務したことはありましたが、そんな制度は知りませんでした。北海道労働局労働保険適用室で、今まで加入していた労災保険事務組合を通じて加入すると法人役員でも加入できると教えていただきました。いろいろな裏技があるものです。
 4番目は公共職業安定所(ハローワーク札幌)です。こちらは職員の雇用保険についてです。担当の男性職員はベテランの方で、とても親切に教えてくださいました。
 最後が札幌中税務署。最初は新人の女性職員が応対してくれました。あまり慣れていらっしゃらないのか、分厚い法令を見ながら対応してくれました。残念ながら、ちょっと対応に困り、お父さん位のベテラン男性職員を呼んでこられました。その方は、この人が怖い税務署の方?と思うくらい温厚な男性で、優しく新人職員を指導していました。
 今日はこの他に銀行も2軒行きました。とても忙しい一日でした。私の印象は、お役所も変わった!!! 時代の流れなのかも知れませんが、社会保険庁もハローワークも税務署もとても親切でした。私も明日からまた親切丁寧をモットーに仕事に励みます。今日お世話になった皆様ありがとうございました。

“医療法人の手続き”へのコメントを見る

未分類

最初の美容外科患者様

 コラーゲンの臨床試験については3月2日に書きました。北大形成外科といえども、シワをとって下さいという患者様はいらっしゃいませんでした。家内が目尻のシワをとって欲しいと皮内テストをしましたが、アレルギー反応が出て、蚊に刺されたように赤く腫れてしまいました。
 大浦教授は、自分の額のシワに注射するように私に命じました。まず自分で身をもって実験台になるという精神は、大浦教授から叩き込まれました。教授の方針は、自分の身内にできないような治療は、決して行ってはならないでした。
 家内の次は、私の母親が実験台(被験者)になりました。当時の記録を読むと58歳と書いてあります。もう20年前になります。私の母は、怖いオバサンだったので、眉間にいつもシワがありました。本人も気にしていて、北大で臨床試験をしているコラーゲンで治ると言うと、是非治療を受けたいと言いました。母親はアレルギー反応も出ず、コラーゲンですっかりシワがキレイになりました。
 私の周りには、あまりシワを気にしている人がいなかったので、身内以外にはお客様はいらっしゃいませんでした。
 大浦教授の患者様で、交通事故でケガをなさった美しい女性がいらっしゃいました。その方は、札幌で事業を営んでいらっしゃる女性経営者でした。美容にも大変造詣が深く、年齢よりもずっと若く見えました。はじめてお会いした時はカルテの年齢が間違っている?と思ったほどでした。その方は、既に美容外科をご利用になった経験があり、当時の私より、よほど美容外科に詳しく知識も豊富でした。教授の指示通りに慎重にコラーゲンを注射し、その方はますます若く美しくなりました。
 ところが何度かコラーゲンを注射していくと、非常にマレな副作用が出ました。前にコラーゲンを注射した部位が、赤くなるという副作用でした。数万人に一人の割合で起こることはメーカーからの情報で知っていましたが、私は焦りました。すぐに教授に報告しメーカーにも報告しました。
 私はその方に謝り、『非常にマレなケースです。今は少し赤くなっていますが、約1ヵ月程度で少しずつ薄くなります。申し訳ございませんがお化粧で隠して下さい。』
 その方は怒りもせず『イイのよ、先生気になさらないで。必ず快くなるのでしょう?少し赤くて可愛くなったって言ってくれる人もいるのよ』と言ってくださいました。
 私は、『どうしてくれるの?いつになったら治るの?』と怒られるとばかり思っていたので、逆にとても驚きました。自分の身に起こった副作用も悪く考えず、前向きに考える思考、今流行のことばで言うと『鈍感力?』が、その方を成功に導いたのでは?と思います。もし、私がその時にこっぴどく怒られていたら、私は美容外科がイヤになり、決して美容外科医にはならなかったと思います。今でもその患者様に感謝しています。

“最初の美容外科患者様”へのコメントを見る

昔の記憶

形成外科から美容外科

 私はもともと形成外科を専攻していました。昭和55年に北大形成外科に入局し大浦武彦教授の下で修行を積みました。一番最初に担当させていただいた手術は、子供さんの頭部にある1㎝大の禿頭(ハゲ)の手術でした。上の先生についていただき手術を担当しましたので、手術は無事に成功しました。最初の手術はかなり緊張しました。
 恩師の大浦武彦教授は、形成外科と美容外科は車の両輪のようなもの。形成外科を専攻するからには美容外科も勉強しなければならない。と常におっしゃっていらっしゃいました。
 大浦先生の師匠は日本の形成外科の父と言われた、東京警察病院の大森清一先生でした。大森先生は、形成外科学会の時は必ず一番前の席に座られ、少ししゃがれた声で『警察病院の大森ですが…』とコメントを述べられていました。今でもよく覚えています。
 大森先生は、学会でたびたび札幌へいらしていただいていました。私の先輩が大森先生を千歳空港まで車でお送りした際に『将来君はどうする?』『これからは総合病院の形成外科で勤務医として生きるか、開業するなら美容外科だよ』と言われていたそうです。これが今から25年も前の話しです。当時は美容外科のチェーン店もなく、二重や豊胸の安売り美容外科もありませんでした。大森先生は実に先見の明があったといえます。
 当時の私は美容外科医になるとは夢にも思っていませんでした。北大病院に勤務して、先輩や同僚と楽しく仕事をしていました。ちょうど自分の子供が生まれ、自分の子供と同じ年齢の赤ちゃんの手術を担当させていただき、少しでもキレイに治したいと努力していました。
 私が美容外科に興味を持ったのは、3月2日に書いたコラーゲンの臨床試験の担当を命じられてからでした。教授からは、美容外科は形成外科以上に厳しい結果を求められる。患者様の対応にも十分留意するようにと指導を受けました。当時、担当させていただいたコラーゲンの患者様のことはよく覚えています。私の率直な印象は『こんなにキレイな方なのにどうしてコラーゲンでシワなんかとるの?』でした。

“形成外科から美容外科”へのコメントを見る

未分類

日本形成外科学会

 今日、北大形成外科の先生から4月の日本形成外科学会の時に同門会をするという案内メールをいただきました。4月11日(水)~13日(金)まで、ホテル日航東京で開催されます。第50回日本形成外科学会学術集会というのが正式名称です。つまり今年で満50歳の誕生日です。私が52歳で形成外科医になってから丸27年です。学会の歴史の半分以上を生きてきたわけです。
 現在の日本形成外科学会理事長は杉原平樹(スギハラツネキ)先生。元北海道大学病院長で私の恩師です。私が札幌医大の最終学年だった頃、北大へ行こうかどうか迷っていました。杉原先生は当時講師で医局長でした。他大学から来た私を歓迎してくれ、あたたかく迎えてくれました。北大形成外科には札幌医大の先輩がすでに2人いらして、そのうちのお一人は私がよく知っていた先生だったので北大へ来ました。その先生が『私でもやっているのだから大丈夫だよ』と言ってくれたので北大に来たようなものです。最初は不安でした。
 北大の恩師や同僚のおかげで形成外科医として最高の教育とトレーニングを受けられたと思います。今、私がこうして札幌美容形成外科をやっていられるのは、北大のおかげです。
 今年の日本形成外科学会は東京慈恵会医科大学形成外科の栗原先生が会長です。こちらのページからは学会のプログラムも見ることができます。学会で発表したからといって必ずしもよい方法とは限りません。変な発表をすると徹底的に追及されます。これが学会の良いところです。中には、『あなたの手術は危険だ!』とまで言われた先生もいます(TVに出演している有名な先生です…)。一般の方にはわかりませんね。学会を通じて全国の先生と親しくなれます。私が自分が手術を受けるのだったらこの先生と決めたのも、学会に参加して発表を拝見し、その先生とお話ししたからです。残念ながら一般の方は参加することができません。4月に学会に参加したらご報告します。

“日本形成外科学会”へのコメントを見る

医学講座

チョコは毒

 唇裂(シンレツ)や口蓋裂(コウガイレツ)の患者様は、上顎骨(ジョウガクコツ)つまり上アゴの骨にも異常があることが多く、歯も曲がって生えたり、欠損したりします。普通の子供さん以上に、歯のケアーが必要になります。北大形成外科では、北大歯学部の予防歯科に赤ちゃんのうちから虫歯の予防とケアーをお願いしていました。
 私自身が小さい頃に受け口で、子供の頃に矯正治療をしました。ただ、札幌から離れてしまったため、矯正を最後まで行えませんでした。今でも、歯並びが悪く、何度歯磨きをしても歯石や歯垢が決まった部位にたまりイヤな思いをしています。自分の子供は小さい頃から歯科に通院し予防歯科の処置をしていただきました。
 子供が小さい頃は『チョコは真っ黒で毒が入っている!』とウソをついて、子供にチョコは食べさせていませんでした。幼稚園に入る頃になると、『お父さん、○○ちゃんはチョコを食べているけれど、何ともないよ』とウソがばれてしまいましたが、虫歯はなく、小学校で褒められていました。
 どこかへ出かける時も、水筒にお茶や水を入れて持ち歩き、ジュースは買いませんでした。私は自分が手術した患者様にも、同じように説明していました。数年前に私が手術を担当させていただいたお嬢様が、18歳になってクリニックへいらしてくださいました。口蓋裂だったのですが、口の中はまったく問題なく、歯もピカピカで一本の虫歯もありませんでした。そのお嬢さんから、小さい頃からお母さんに歯磨きを徹底的に指導されていたと伺い、とても嬉しく思いました。
 チョコやアイス、ケーキは甘くて美味しい食べ物です。これが嫌いな女性はマレです。ただ、チョコには毒が入っています。止められなくなる毒、食べ過ぎるとお肌に悪い毒、ニキビができやすくなる毒などなど…。疲れた時に、ちょっとだけ食べるチョコは悪くはありませんが、食べ過ぎると不要な脂肪がついたり、体重が増えたりします。ご自分のためにも、子供さんのためにもチョコや甘いものは毒であることを忘れないで下さい。

“チョコは毒”へのコメントを見る

未分類

病棟見学

 私が北海道大学医学部形成外科に在籍していた当時は、唇裂(シンレツ)や口蓋裂(コウガイレツ)の患者様がいらっしゃると、形成外科病棟を見学していただいていました。記憶は定かでありませんが、病棟の看護師さん(当時は看護婦さん)が院内研究で発表したスライドを使い、お母さんに説明をしてくれていました。
 手術前には手術後のキズを保護するために、スポイト式哺乳瓶でミルクを飲む練習をします。手術一週間前に入院して練習を開始します。母乳で育てている赤ちゃんもスポイト式乳首になります。お母さんのおっぱいが人工的な乳首になるので、赤ちゃんの機嫌は悪くなり哺乳量も減ります。また、術後に指しゃぶりなどをしないように、抑制帯という腕にはめる筒を製作していただき、それもつけます。
 病棟の看護師さんは忙しい業務の間に、外来からの患者様を案内して、必要物品や抑制帯の作製方法を説明してくださっていました。北大形成外科には、常時6人程度の唇裂や口蓋裂の赤ちゃんがおかあさんと一緒に入院していました。
 病棟見学へ行くと、看護師さんの説明の他に、この手術後の赤ちゃんや手術前の赤ちゃんに会うことができました。今なら個人情報保護などで難しいのかもしれませんが、どんなに私が口頭や図で説明するより、病棟で他のお母さんから『大丈夫よ。ウチも同じだったのよ』と言われ、実際に手術後の赤ちゃんを見ることが、お母さんの安心につながっていました。私が手術を担当させていただいた患者様同士が仲良くなり、ずっと交流を持っていらっしゃる家族もあります。
 美容外科ではなかなか体験談を直接聞くことはできません。私が患者様にお願いして、このHPでビデオや画像を使わせていただいているのは、この北大病院の病棟見学で得られた経験に基づいています。医師がどんなに説明するよりも、体験者の一言の方がよほど説得力があります。

“病棟見学”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ