医学講座

自己臭恐怖

 自己臭恐怖という‘病気’があります。ワキガではないのに、自分はワキガじゃないか?と疑う人。口臭、おならの臭い、尿臭、場所不明の臭いなど、人によって症状はさまざまですが、自分の臭いを極度に気にする‘病気’です。
 精神神経科では社会不安障害(Social Anxiety Disorder:SAD)という病気の概念で説明されます。北大精神科の先生から、この病気についての詳しい資料をいただきました。
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 札幌美容形成外科を受診していただく方の中にも、臭いが全くしないのに、自分は『ワキガ』だと思い込んでいる方がいらっしゃいます。
 ‘本物のワキガ’と‘思い込みワキガ’を見分ける方法として、私が注意するのは服の色です。
 ‘本物’の方は、まず絶対に白いシャツを着ていらっしゃいません。ブラなどの下着も白は着用されません。
 多いのは、グレーとか黒などのシャツや下着です。
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 中には、毎日とても気をつけていらっしゃるので、来院時には臭いがない方もいらっしゃいます。
 昔、北大形成外科の研修医だった頃、先輩から教えられた、ワキガの診察法は、ワキにガーゼをはさんでその臭いをかぐ方法でした。
 診察室に入ってから、ガーゼをはさんでいただき、問診の後で臭いを確認します。
 これで臭いがしなければ、ワキガではありませんと診断していました。
 今から考えると、ずいぶんいい加減な診断法です。たまたま、病院に来る前にシャワーでも浴びていれば、臭いはしません。
 美容外科でもこの方法をとっているクリニックがあります。
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 私が現在とっている診察法は、まず患者様に鏡でワキを見ていただきます。
 多汗が強い方は、見ている間にツブツブの汗が出てきます。この汗はワキガのアポクリン腺からもワキガと関係ないエクリン腺からも出ます。
 その状態で、ワキに触ってみます。必要に応じて患者様にも触っていただきます。
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 ワキガの方の汗はワキガでない方と比べて、ベトベトしています。おそらくアポクリン腺からの汗の粘度が高いのだと思います。
 耳垢が湿っているかどうかも、重要なポイントです。極めてマレに耳垢が乾いていても、ワキガ臭がすることもありますが、通常、ワキガの方の耳垢は湿っています。
 これで、‘思い込みワキガ’の方を間違って手術することはまずありません。
 単なる多汗症でしたら、ワキガ手術までしないで、ボトックス注射をお薦めします。また手掌(てのひら)まで、汗だらけの人には、胸部交感神経の手術を薦めています。
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 私がどう診断しても、ワキガの症状が無い方。手術をして臭いがなくなって、誰が嗅いでも臭いがないのに、他人が自分の臭いの事を話していて、学校や職場にも行けないという方がいらっしゃいます。
 そういう方には、自己臭恐怖のことを説明して、北大病院の精神神経科をご紹介しています。
 北大精神神経科は、昔から自己臭恐怖の研究をしておりご専門の先生がいらっしゃいます。最近、認可になったお薬がよく効くそうです。

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選挙

 参議院議員選挙で札幌駅周辺も賑わっています。私は特定の支持政党はありません。選挙には毎回行っていますが、最近は日曜日が仕事なので期日前投票をしています。
 私は政治家になろうと思ったことは一度もなく、政治に興味もありません。
 ただ、現在の厚生行政(医療問題)には大いに疑問と文句があります。
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 医療法の改正で少しはマシになりましたが、厚生労働省はダメな役所です。女性週刊誌や大新聞の一面には『ワキガが30分で治る超音波法』なんて‘広告’が大々的に出ているのに、真面目なクリニックが『わきが手術』と表示を出そうとすると禁止。
 『わきが手術』ではなく『腋臭症手術』にしなさいと指導されます。
 札幌美容形成外科を開業する前に会った友人の一人との会話です。
『本間、お前のところの看板に、‘腋’って書いてあるけど、あれ何て読むのよ?』
『次の‘臭’はくさいダベ』
『‘腋’なんて字は学校で習わないよな』
『‘腋’はエキって読むの?サンズイつけたら‘液’だもんな』
『腋臭症手術(エキシュウショウシュジュツ)なんて書かないで、わかりやすく、ワキガ手術って書けばいいっしょ』
『何?国が決めて書けないの?お役所だもんなぁ』
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 年金問題では国民が怒っています。30年前の領収書出せなんて言われて出せる人が何人いるのですか?
 よくよく調べてみると、社会保険庁がボンクラだったのでしっかり記録していなかった。もし銀行や金融機関が預かったお金の記録をしっかりつけていなかったらどうなりますか?
 大臣が‘女性は産む機械’だなんて、とんでもないことを言ってもクビになりません。
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 エステでレーザー脱毛をするのは医師法違反と言っておいて、エステの脱毛広告は規制なし。
 エステで脱毛してヤケドしたと来院なさる方がたまにいらっしゃいます。
 日本はエステで脱毛OKなら、しっかり法律で決めればよいのに、野放し状態です。
 運の悪いお医者さんだけが、たまに医師法違反で捕まります。50km制限の道路を、みんな70kmで走っていて捕まらないから、70kmや80kmで走っているのが日本のエステ脱毛です。
      ■         ■
 先日いらした女性は、無料体験脱毛で、ある大手のエステに行き、危うく30万円もするコースを契約させられそうになったそうです。
 ある女子学生は、エステの脱毛を契約したが、さっぱり毛が抜けず、お金をドブに捨てたようなものですと…。
 そもそも、違法だと言っているものを野放しにしているのが厚生労働省です。
      ■         ■
 薬害エイズの時も、ないナイと言っていた資料が大臣がかわったとたんに出てきました。
 資料が出てきた時には、時すでに遅し。一番悪いことをした‘大先生’はボケ老人になってしまっていて、結局、誰が悪いのかわからないままです。
 私は‘美しい国’は要りません。豊かで住みやすい安全な国が一番です。心豊かになれば、住民が自然と美しい街をつくり、美しい国ができると思います。

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良いものを安く

 今の社会では‘良いものを安く提供する’のが成功の秘訣だと、チェーンストア論を学んで感じました。
 流通業では、多店舗展開をして、商品の企画・製造・販売をすべて行うことで可能になります。
 これを医業に当てはめるのは、とても難しいことです。美容外科・形成外科で、‘商品’を製造することができるのは、医師だけです。医師は簡単には‘製造’できず、中国やベトナムから輸入することもできません。
      ■         ■
 東南アジアへ‘整形ツアー’に行く人もいます。日本国内ですら、どこの美容外科にかかってよいか選択するのが大変なのに、言葉が通じない外国で手術を受けるのはリスクが伴います。
 また、治療は一回の手術だけで終わるのではなく、アフターケアーという目に見えない‘商品’も大切です。
 美容外科のチェーン店で価格が驚くほど安いクリニックがあります。HPにも書きましたが、一人当たりにかける時間を短くしないと‘安売り’はできません。そのクリニックに行った患者様が、流れ作業で手術を受けているようだったと話されていました。
      ■         ■
 私が開業する時に、できるだけ多くの人に安心して手術を受けていただきたいと考えました。
 美容整形というと、いかにも高くて、高級そうで手が出ないと思いがちです。
 東京では、安売り店と高級店に二分化され、倒産する美容外科も多いと聞いています。数年前に韓国へ行った時も、廃業したり身売りする美容外科が多いと聞きました。
      ■         ■
 私はもともと形成外科医だったので、総合病院の形成外科で長らく診療を担当しました。
 夏休み前になると、ワキガ手術をしていますか?というお問い合わせをたくさんいただきました。
 総合病院の形成外科では、だいたい一週間の入院治療が‘標準’でした。
 朝8:30から外来診療をはじめても、終わるのは早くて午後1:00、遅いと午後3:00まで外来です。それでも、2時間待ちの3分診療なんてよく言われました。そんな混雑している外来で、わきが手術なんて到底できませんでした。
      ■         ■
 私がワキガ、眼瞼下垂、陥没乳頭は保険診療と看板に書いているのは、それだけ需要が多いからです。
 美容整形というと、二重や脂肪吸引が多いと思いがちですが、隠れたベストセラーがワキガです。
 患者様は、30分でできるワキガ手術という広告を信じて受診します。早い、簡単、通院不要という言葉を入れるとお客様が増えます。実際はそんな手術でワキガは治りません。
      ■         ■
 何度も日記に書いているように、ワキガ手術は簡単ではありません。通院不要のクリニックで手術を受けて無残なキズが残っている方がたくさんいます。
 流通業のように、大量生産で安くすることができないのが医療です。私ができることは、現在の保険制度を使って、最大限にキレイに仕上げる手術です。
 保険でも保険外でも使う糸は一緒です。手術をする医師も同じです。現在の医療保険制度がいつまで続くかはわかりませんが、高い保険料を給与から天引きされているのです、それを利用しようではありませんか!

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暮らしを豊かにする

 今日で北海学園大学経営学部経営学科のニトリ寄附講座(前期)が終了しました。一回90分の講義が2コマ。4月から今日まで7回あり全部で14コマでした。私は、すべて出席し一番前で聴講していました。
 北海学園大学の若い学生さんには、物好きな変なおじさんに思われていたことでしょう。
      ■         ■
 今年の講義の特徴は、お忙しい似鳥昭雄社長自らが半分以上の講義を担当されたことです。
 今日は、学生さんに256MのUSBメモリーのプレゼントまでありました。
 ニトリは家具・インテリア用品を総合的に扱う専門店(ホームファニシングストア)として毎年成長している優良企業です。株価も上昇を続けています。
      ■         ■
 似鳥社長に‘超お忙しい’社長が自ら講義を担当してくださる理由を伺いました。
 社長の回答です。
  自分が成功するまでには、たくさんの方に助けていただきました。自分を育ててくれた北海道に恩返しをしたいという気持ちから、北海道応援基金を創設しました。夕張市にもサクラとモミジの苗木を植樹して応援しています。
 自分が学んで成功した、渥美俊一先生の‘チェーンストア論’を大学の教育科目として系統だてて教えているところがありません。母校の北海学園大学の学生さんに是非学んで欲しいという、熱い思いから講義をしました。
 社長は常に夢とロマンを持つこと。を繰り返し強調されました。若い学生さんには、通じない人もいたようですが、私には十分すぎるくらい通じました。
      ■         ■
 このチェーンストア論は、異業種の私にもとても参考になりました。まず、起業の動機づけとして、‘人々の生活を豊かにしたいという’大原則があります。
 社長のメッセージです。『ニトリは、今、日本の国民に本当の住まいの豊かさを知ってもらう社会を目指して、チェーンストアづくりと取り組んでいます。あるべき経営方法と技術とを、懸命に学んでいるのはそのためです。それは日本で最初の“住生活提案企業”を築こうと考えたからです』
 常にお客様の立場に立って、商品開発から販売までを一貫して行っています。
 同じ子供用の机なら、他社よりも安く機能的にも満足できるのがニトリの製品です。ソファーも同じです。
      ■         ■
 私も札幌美容形成外科を開業する時に、美容外科・形成外科という‘医療’をリーズナブルな‘価格’で提供する。という大原則を考えました。
 せっかく高い保険料を払っているのだから、健康保険を使えるものは保険で安く手術いたします。というのが私の考えです。
 ‘美しい国’日本の厚生労働省は、国民にわかりやすく医療保険制度を説明していません。一部の‘賢い人’はワキガ手術や眼瞼下垂症手術を保険でできると知っていますが、大部分の国民は知りません。医学部や看護学校で試験に出しても学生は間違います。
      ■         ■
 医療業界も競争が激しく、札幌にも新しい美容外科が次々と‘開店’します。
 どんなに競争が激しくなっても、適正な料金で暮らしを豊かで快適にする技術力があるクリニックは残ります。
 私のロマンとビジョンは、最高水準の安全で快適な医療を適正な価格で提供することです。

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「甦れポプラ並木」写真展

 元札幌医科大学中央写真室長、武藤省吾先生の写真展が開かれます。今回のテーマは「甦れポプラ並木」。北大ポプラ並木の四季を30年間にわたり観察し、写真撮影を続けてきた武藤先生の写真展です。
 私が学生だった30年前から現在まで、北大ポプラ並木を撮りつづけた写真のプロです。
      ■         ■
 大学病院の写真室は、主として患者様の患部の写真撮影、手術のビデオ撮影、学会用写真やポスターの作製、学生教育用ビデオ製作などを担当してくださいます。
 札幌医大の写真室はスタッフが優秀で、医学写真学会でも高い評価を得ていました。武藤先生には論文用写真やビデオ撮影でお世話になった他、奥様が形成外科外来の看護師さんでしたので、ご夫婦ともにお世話になりました。
 武藤先生は温厚で物静かな先生。奥様は笑顔の優しい看護師さんでした。
      ■         ■
《札幌会場》
開催日 :2007年7月27日(金)~8月1日(水)
開催時間:午前10時~午後6時30分
開催場所:富士フイルムフォトサロン/札幌
札幌市中央区北2条西4丁目2 札幌三井ビル別館1階
TEL:011-241-7366
      ■         ■
《東京会場》
開催日 :2007年7月6日(金)~7月12日(水)
開催時間:午前11時~午後8時(最終日午後2時)
開催場所:富士フイルムフォトサロン/東京
東京都港区赤坂9-7-3 フジフィルムスクエア2階
TEL:03-6271-3351
      ■         ■
 札幌会場は札幌美容形成外科のすぐ近くです。日本航空札幌支店から、道庁方向へ歩くと、同じビルの一階にあります。
 北大ポプラ並木は、2004年8月3日に札幌美容形成外科が開院した翌月の大風で無残に倒れてしまいました。
 下の写真はおそらく倒れる前の写真です。お時間がある方は是非お立ち寄りください。入場は無料です。

北大ポプラ並木(武藤省吾先生の作品)

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医療問題

病院の赤字

 私は美容外科医になる前に総合病院の形成外科医をしていました。
 私が勤務した病院で黒字だったのは、釧路労災病院と帯広厚生病院でした。釧路労災病院は当時、新田一雄院長とおっしゃる、伝説の素晴らしい院長がいらっしゃいました。
 全国の労災病院でもトップクラスの黒字病院でした。設備は一流で、大学病院にない医療機器もたくさんありました。
      ■         ■
 帯広厚生病院は北海道厚生農業協同組合連合会(JA北海道厚生連)が経営する総合病院です。
 JA北海道厚生連は農協法により昭和23年8月に「農民の健康保持と生活文化の向上」を目的として設立されました。 農業団体が経営する、農民のための病院です。一番偉いのは農協の組合長さんで、医師はその下で雇われています。
 帯広厚生病院はJA北海道厚生連の中でも、トップクラスの黒字病院でした。設備も施設も一流でした。
      ■         ■
 逆に、札幌医科大学附属病院、北海道大学病院、市立札幌病院は赤字でした。
 これら3病院は今でも赤字だと思います。
 救命救急センターがあったのは、市立札幌病院と札幌医科大学附属病院。私が辞めた後で帯広厚生病院にもできました。北海道大学病院にも救急医学講座ができました。
      ■         ■
 札幌市には消防ヘリがあり、消防局の救急隊も優秀です。
 消防ヘリの維持管理には莫大な費用がかかり、消防・救急にもお金がかかります。
 現在の日本では、119番で救急車を頼んでもお金はかかりません。タクシー代わりに利用する人がいて困っているくらいです。
      ■         ■
 私は一人の札幌市民として、消防・救急、救命救急センターにお金をかけるのはよいことだと思います。
 病院が赤字で必要な医療器械も買えないのでは困ります。ある程度のお金は行政から支出しても仕方がないと思います。
 問題なのは、仕事をしないで、給料ばかり高い職員がいるために赤字になっている病院です。
 どこの病院とは申しませんが、そういう病院がありました。
      ■         ■
 私は札幌市民が安心して暮らせるために、ある程度の税金が使われることは必要だと思います。
 札幌は同規模の日本の他都市より凶悪犯罪が少ないそうです。統計的なデーターがあるかどうかは知りませんが、確かに凶悪犯は少ない気がします。これにも札幌市の医療が役立っているそうです。
      ■         ■
 事務所経費や、議員さんのわからない調査費に税金を使うのは反対です。
 安心して暮らせる街づくりのために税金を使うのは悪いことではないと思います。株式会社が病院を経営できるようになっても、救命救急センターは無理だと思います。
 お金持ちだけが、高度救命救急センターを利用し命拾いできるなんてまっぴらです。

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災害時の医療

 新潟県柏崎市を中心として大規模な地震がありました。被災地の皆様には、お見舞い申し上げます。
 地震のような大規模災害では、当然、医療機関も被災します。最近建築された病院は、免震構造で災害にも強くできていますが、100%大丈夫ではありません。
 私の経験では、札幌を中心として大規模な地震が発生し、ビルが何棟も倒壊したら、まず病院も救命救急センターも機能しません。
      ■         ■
 有珠山が噴火した時に、北海道で噴火による大規模な災害対策を検討しました。
 札幌医科大学高度救命救急センターの浅井教授を中心として、火砕流による熱傷が発生した場合にどう対応するか?などを検討しました。
 それより以前に、市立札幌病院救命救急センターの牧瀬部長も研究をしていらっしゃいました。北海道で重症熱傷の患者様が発生した場合、どの病院でどの位治療できるかについてです。
      ■         ■
 軽いヤケドなら通院でも治せますが、重傷熱傷は生命の危険を伴います。何回も手術が必要です。
 雲仙普賢岳が噴火した時には、長崎大学形成外科のスタッフが活躍しました。
 被災地にたどり着くのもやっとだったと伺った記憶があります。
      ■         ■
 札幌の災害についての話に戻ります。病院は倒壊を免れても、病院の中も地震で被害を受けています。
 救命救急センターといえど、地震に備えてすべての医療器械や薬品をしっかり固定しているわけではありません。
 札幌でマグニチュード7以上、震度7なんて地震がおきたら、市立札幌病院も札幌医科大学附属病院も北海道大学病院も患者受け入れは不可能だと思います。おそらく救命救急センターの中はてんやわんやで、現在入院中の患者様の手当だけで精一杯です。
      ■         ■
 それじゃどこで治療してくれるの?という疑問が出ます。
 高度の治療が必要な患者様は、まず北海道内の救命救急センターが考えられます。
 札幌から近いのは、旭川赤十字病院、旭川医科大学、日鋼記念病院(室蘭)、帯広厚生病院、函館市立病院などです。
 私が勤務していた帯広厚生病院でしたら、一度にお引き受けできる重症熱傷は多くても数名でした。これでも、他のすべての外来診療を中止しなければできないかもしれません。
      ■         ■
 北海道内がダメでしたら、航空機で東京へ搬送です。
 私が思い浮かべるのは、杏林大学高度救命救急センター。ここはスキンバンクもあり、重症熱傷でもかなりの数に対応できると思います。それでも二桁は無理だと思います。
 あとは東京女子医科大学形成外科。女子医大形成外科には熱傷治療のスペシャリストが揃っています。国立災害医療センター、ここにも女子医大形成外科のスタッフが行っています。病院長の辺見先生は熱傷治療の専門家です。
      ■         ■
 来年のサミットの時に、もし有珠山が噴火して、諸外国の首脳が大勢重症熱傷を負ったらどうする?なんて、安倍首相は考えていらっしゃるのでしょうか?
 今は選挙で年金問題で頭がいっぱいだと思います。来年有珠山が爆発しないように祈っています。

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救急当直

 昨日の日記に市立札幌病院救命救急センターが素晴らしいと書きました。
 私が市立札幌病院に勤務したのは平成元年から平成6年まででした。34歳の若い医師でした。当時の写真を見ると、自分でも若いなぁ~と思います。
 私は皮膚科の所属でしたから、救急の当直はしませんでした。もっぱら救急の先生から呼ばれる役でした。
 最初は、形成外科専門医は私一人。救急部に北大形成外科の後輩にあたる先生が一人いました。
      ■         ■
 救急部の当直医は3人でした。ファースト、セカンド、サードと呼ばれていました。研修医でも、ある程度できようになるとファースト当直に当たるようになります。
 当直は私の記憶では24時間勤務でした。朝から次の日の朝まで、救急部に搬送される重症患者さんの主治医になります。
 ‘運がいい’先生は、あまり患者さんが来ず、平穏無事に過ごすこともありましたが、極めてマレでした。
      ■         ■
 消防指令や他病院から連絡があり受け入れを決めます。救急車の到着5分前になると救急ホールの電話が鳴りました。医師も看護師も緊張の瞬間です。薬剤を注射器につめて、処置器械を準備して待っています。ピーポーピーポーが聞こえてきて、病院近くになると音を止めます。救急車が到着し電動シャッターが開きます。
 搬送されて来た患者様は心肺停止状態。すぐに気管内挿管をして、中心静脈へカテーテルを入れます。
 心臓が原因、脳が原因、多発外傷、自傷、中毒、重症感染症などなど。とにかくさまざまな患者様がいらっしゃいました。
      ■         ■
 ファーストの先生が形成外科医が必要と判断されると、研修医や私が呼ばれました。
 私は34歳でちょうど医師になって10年目でした。それまでの10年で数例しか経験しなかったような重症外傷を、何例も立て続けに経験しました。
 その当時は、札幌市の3次救急は、市立札幌病院と札幌医科大学で分担していました。市立札幌病院には‘一流’の重症患者が次々と搬送されていました。
      ■         ■
 ファーストの救急医は、自ら処置をして、他科の応援が必要であれば要請します。検査技師への依頼。手術室の手配。家族への説明。クタクタになるまで働いていました。
 手術が終わっても容体は安定しません。翌日も引き続き処置や検査です。形成外科の研修医も、救急のファースト当直に当たると、中毒や腹部外傷なども担当していました。
 自分の専門外は専門の先生に相談して決めます。もちろん救急のカンファレンスもあります。救急のスタッフも充実していました。
 現在、北海道大学医学部で救急医学講座を担当していらっしゃる、丸藤(ガンドウ)教授も当時は市立札幌病院にいらっしゃいました。
      ■         ■
 私が担当させていただいたのは、顔面外傷、四肢の軟部組織損傷、熱傷などです。
 救急医の中には、過労で病気になってしまった人もいました。一度、ファースト当直で重症患者さんを引き受けると、一週間も家に帰らない(帰れない)先生もいました。
 救急の先生は信じられないくらい働いていたと思います。
      ■         ■
 救急医療にはお金もかかり、人もたくさん必要です。
 もし自分の大切な人が、急に倒れてしまったら何としても助かって欲しいと願います。救急の現場で働く医師が、自分が働いてよかったと思えるシステムを作るのは、実は大変なことです。
 札幌を日本一安心で住みやすい街にするために、救急の先生も院長(事業管理者)も頑張ってくれています。

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札幌の救急医療

 メディカルトリビューンという医師向けの新聞に札幌市の救命救急について載っていました。
 札幌市の心肺停止症例の蘇生率が日本一で、極めて高いことが掲載されていました。
 簡単に言うと、札幌で突然心臓が止まって、救急車で運ばれたら、日本で一番助かる率が高いということです。
 これは実に素晴らしいことです。‘美しい国’よりも‘安心して暮らせる街’が大切です。サミットで諸外国の首脳がいらして突然死しそうになっても、東京より札幌の方が助かる率が高いのです。
      ■         ■
 AEDという止まった心臓を動かす器械が、駅や空港、航空機に備えられていることはご存知だと思います。
 AED(自動体外式除細動器)とは、心臓がけいれんし血液を流すポンプ機能を失った状態(心室細動)になった心臓に、電気ショックを与え、正常なリズムに戻すための医療機器です。
 心室細動とは、心臓の筋肉がけいれん状態になり、全身に血液を送るポンプ機能を失った状態になる致死性不整脈の一つです。 心室細動の唯一の治療方法が、除細動器(AED)で電気ショックを与えることです。
 2004年7月より医療従事者ではない一般市民でもAEDを使用できるようになり、空港、駅、スポーツクラブ、学校、公共施設、企業等人が多く集まるところを中心に設置されています。
 確かにAEDでも動く心臓はあります。ただ、すべての心肺停止がAEDで動くのではありません。
 札幌だけAEDが多いので助かる率が高いのではありません。
      ■         ■
 札幌の蘇生率が高く、元気で社会復帰できる率が高いのは、市立札幌病院救命救急センターと札幌市消防局の救急隊の協力のおかげです。
 平成7年に市立札幌病院が現在地の桑園に移転する際に、隣接して消防局の救急隊も移転しました。当時の桂信雄市長の英断です。
 札幌市の全救急隊員のうち、約7割を救急救命士が占めています。その結果、救急現場で気道確保ができる率が90%以上、静脈路確保率が43%と他都市に比べて優れています。病院と救急隊が力を合わせているからです。
      ■         ■
 消防本部から要請があると、市立札幌病院救命救急センターから医師が同乗して、ドクターカーが出動します。
 ドクターカーには救急の医師が同乗しているため、現場に着いたその瞬間から治療が始まります。
 直近の救急隊から救急救命士が現場へ駆けつけるまで平均6分。救命士が蘇生処置を行っている現場へドクターカーが着くまで平均20分です。
 2台の救急車が出動して、現場で救命処置が始まります。救急医は市立札幌病院と連絡を取り、救命救急センターで行う処置の準備を指示します。
      ■         ■
 ここからが札幌方式のすごいところです。
 一般に心臓と呼吸が止まった人には、気管内挿管といって口から管を入れて人工呼吸を始めます。これで酸素が入り肺が膨らみます。
 心臓は動かないので、胸をグイグイと押して心臓マッサージをします。TVなんかでやっている、胸の上に乗っかって手で押しているヤツです。とても疲れます。疲れる割に心臓のポンプ作用は弱く、脳に血液は行きません。心臓マッサージでは脳血流の10~20%しか保障されず、脳はどんどん死んでしまいます。心臓だけ動いて体は温かくなっても脳死になってしまいます。
 いくら頑張っても、脳死の患者さんを作るだけというのが真面目な救急医のジレンマでした。
      ■         ■
 2000年4月から、市立札幌病院ではドクターカーから、人工心肺という心臓の代わりに血液を送る装置を指示するシステムを始めました。
 正式には経皮的心肺補助(PCPS)と言います。心臓が止まっている人の血管に管を刺して、心臓の代わりに脳に血液を送るシステムです。一式約50万円と高価ですが、これで一人の人の命を救えるなら安いものです。
 この装置は準備に時間がかかるため、ドクターカーから『PCPSを準備してください』と指令を出すと、病院でスタッフが準備して救急車の到着を待ちます。
 こうして、脳が死んでしまうのを防ぐことができるため、突然死しそうになっても助かって社会復帰できる率が上がったのです。
      ■         ■
 市立札幌病院救命救急センターの部長は牧瀬博(マキセヒロシ)先生です。私が昭和55年に北大病院で研修を始めた時には麻酔科医でした。
 もの静かで真面目な先生です。私の恩師である、吉田哲憲先生が院長で、牧瀬先生が率いる(ヒキイル)救命救急センターが日本一になってとても嬉しいです。札幌市民でよかったと思います。札幌は日本一安心できる街です。

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電話再診料

 保険診療の規定で、通院中の方からの電話による医学的なお問い合わせには電話再診料がかかります。医師が答え、医師がその相談に対して治療上の指示等を行った場合です。通院日の予約などはかかりません。
 国が決めた健康保険の決まりです。札幌美容形成外科で保険診療で通院中の方から、お電話をいただき、医師である私がお答えすると料金がかかります。
 自由診療の二重まぶた手術などは、保険外診療ですから電話再診料はいただいておりません。
      ■         ■
 手術後に何か不具合が発生することも考えられます。札幌美容形成外科では、手術の難易度によって、術後に数時間院内で様子をみてから帰宅していただいています。
 例えば、ワキガ手術の場合などは、手術後最低2時間以上は院内で休んでいただき、出血がないことを確認してから帰宅していただいています。
 豊胸術を全身麻酔で行った場合は、必要に応じて職員が付き添い、ご自宅やホテルまで車でお送りしています。
 開院以来約3年になりますが、これでトラブルはゼロです。
      ■         ■
 電話再診は保険診療で再診のみの規定です。初診の前に電話でご相談をいただき、私がお答えした場合は、医学的な説明をしてもかかりません。これも保険の規定です。
 市立病院でも、国立病院でも、大学病院でも同じです。ただ大きな病院では‘先生’が直接電話で話してくれることはマレです。
 病院には当直医がいるため、手術後に何かあった場合は、まず病院へいらしてくださいとお伝えします。当直医が診察して主治医を呼ぶべきだと判断した場合に主治医に連絡します。これが私が勤務した総合病院のシステムでした。
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 札幌美容形成外科で行っている手術は、術後に大きなトラブルになる可能性はまずございません。
 入院が必要な手術や入院が必要と考えられる方には大きな病院をご紹介しています。
 札幌美容形成外科では、安全に手術をするために、手術前に血液検査もしますし、手術後のケアーについても詳しい説明書を差し上げています。
 説明書がない手術については、その都度、医師・看護師からご説明しています。
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 電話再診料の料金は、時間帯や自己負担割合によって異なります。
 電話を受ける時にカルテが手もとにない場合もあります。私が話す前に、念のために電話再診料がかかることをご説明すると、『お金がかかるならいらない』と言われることもあります。そう言われると、こちらからはご説明できません。
 成人の電話再診料金は、3割負担の方で自己負担が一回210円(診療時間内)です。『なぁ~んだ、210円なら聞いとけばよかった』と言われました。夜間・深夜(22:00~6:00) は高く一回1,470円です。休日は高くなりますし、6歳未満の乳幼児も高くなります。診療所へいらしていただき、処置をした場合は処置料・薬剤料が加算されます。
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 保険の有効期限が切れてしまった場合や保険証がない場合は全額自己負担になり消費税もかかります。
 自費の料金は750円(診療時間内)。夜間・深夜(22:00~6:00)は5,160円です。
 術後に何かあっても、これ位の料金でお医者さんから直接説明を聞ける方が安心だと私は考えます。

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