医学講座
子どもが目を強打した時
平成27年3月14日に北大で開催された、
第26回日本眼瞼義眼床手術学会
私が一番勉強になったのがこの手術手技フォーラムでした。
第一回眼窩手術手技フォーラム:
「小児のブローアウト骨折」
小児のブローアウト骨折の特徴と手術加療の目標
【座長】
京都府立医科大学 眼科
渡辺彰英 先生
機能と解剖から考える小児の眼窩骨折
群馬大学 眼科
鹿嶋友敬 先生
成人例との比較
兵庫医科大学 形成外科
藤原敏宏 先生
治療の実際
北海道大学 形成外科
小山明彦 先生
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ブローアウト骨折とは聞き慣れない言葉です。
人間の頭蓋骨を思い出してください。
ドクロ髑髏とか
しゃれこうべとか
されこうべ晒され頭とか
あのがいこつです。
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眼球が入る部分を、
眼窩がんかと呼びます。
頭蓋骨はとても硬い骨ですが、
目が入る部分だけ、
とても薄い構造になっています。
卵の殻を少し厚くした程度です。
■ ■
私は形成外科で手術をする時に、
この卵の殻のように薄い構造は、
車の衝撃吸収バンバーだと説明していました。
つまり、
目という大切な器官を守るために、
強い外力が加わった時に、
卵の殻が壊れて、
眼球を保護する役割を持っています。
■ ■
子どもさんが目を強打したとします。
体育で、
自分の膝がぶつかることもあります。
他人の頭が目に当たることもあります。
そうすると、
目に強い力がかかります。
■ ■
最悪なのは眼球破裂です。
眼球が破裂しないように、
目の入れ物である、
眼窩の床が破れて、
眼球内容が下に落ちるようになっています。
これを、
眼窩床骨折がんかしょうこっせつと呼びます。
ブローアウト骨折と言います。
■ ■
眼窩の下と内側が弱く、
骨折しやすいです。
私が形成外科をやっていた頃は、
診断も単純レントゲン写真だけでした。
CTスキャンの精度も今ほど高くありませんでした。
今は画像診断がとても進歩しました。
■ ■
新しい知見として、
小児のブローアウト骨折で、
下直筋という筋肉が骨に挟まっている時は、
24時間以内に緊急手術が必要だと、
土曜日の手術手技フォーラムで知りました。
下直筋という、
目を下向きにする筋肉が、
骨に挟まって、
壊死になってしまうそうです。
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小児の骨は、
大人と違って若い竹のようにしなります。
簡単に卵の殻が割れないのです。
ですから、
ひびが入った骨に、
筋肉が挟まってしまい、
下直筋が壊死になります。
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救命救急の先生や、
小児科の先生でも知らない人いるそうです。
私も不勉強で知りませんでした。
子どもさんが目を強打して、
目が腫れて、
動きが悪ければ、
CTスキャンで精査して緊急手術です。
学会に出て勉強になりました。
“子どもが目を強打した時”へのコメント
コメントをどうぞ
24時間とはリミットがあまりありません。
とにかく病院に検査してもらったほうが安全ですね。
初めて聞きました。
私もブローアウト骨折という言葉も知りませんでした。先生も知らないことを地方の救命救急医がわかるでしょうか? タイムリミットが過ぎると失明するのでしょうか?
【札幌美容形成外科@本間賢一です】
地方の救急医でも知っている先生は知っています。24時間を越えても大丈夫なこともあるようですが、下直筋という筋肉の障害で目が下を向かなくなります。ふつうの眼窩床骨折は上転傷害といって上向きができないのですが、この小児の骨折は下向きができにくくなります。上向きより下向きができないと困ります。片方の目だけ下向きにならないので、下を向くと物が2つに見え危険です。子供さんが目を強打して片目だけ動きが悪かったら注意です。