医学講座

ケナコルトの注射2016

 毎日、私のつたない院長日記を読んでいただきありがとうございます。
 少しでも役立つこと
 ネットで検索しても出ていないこと。
 どれを信じたらいいかわからなくて
 いろいろ調べて、
 とうとう私の院長日記にたどり着いた方
 少しでも役立つ
 有益な情報
 …を提供するように努力しています。
      ■         ■
 今までに受けた相談の中で、 
 困るのが、
 bFGF注射による後遺障害です。
 第37回日本美容外科学会(東京)④
 2014年9月5日の院長日記です。
 自分の血から採った血小板を注射して、
 シワを取ったり若返りをする治療です。
 b-FGFが入ったフィブラストスプレーを混ぜると、
 劇的な効果が出ます
      ■         ■
 このフィブラストスプレーを混ぜることについて、
 積極的に治療をすすめる先生と、
 私のように超慎重で、
 今のところ絶対にしないという医師がいます
 良い結果だけを見ると、
 実にすごいと思います。
 問題なのは、
 注射後に予想以上に膨らんでしまったり、
 『しこり』が残る方がいることです。
      ■         ■
 膨らんでしまった方を、
 【簡単】に治す方法がありません。
 これが慎重派が使わない理由です
 b-FGFを入れるか入れないか?
 入れたものを使うのだったら、
 患者さんにはどう説明して、
 副作用にはどう対処するのか?
 学会として結論が出ることを期待しています
 残念なことですが、
 2016年5月現在、日本美容外科学会としての結論は出ていません
      ■         ■
 この後遺障害に対して、 
 ケナコルトという薬を注射してほしい
 注射しようと思う
 …そんな相談を受けることがあります。
 申し訳ありませんが、
 札幌美容形成外科では実施していません。
 理由は次の通りです。
 注射薬による失明
 2015年10月21日の院長日記です。
      ■         ■
 2015年10月21日
 私が不思議に思うのが、
 レディエッセ(Radiesse)という注射で
 鼻を高くしようと思った女性が、
 失明までしているのに、
 マスコミが一向に報道しないことです。
 ふつうの日本国民は、
 鼻を高くする注射で失明したなんて、
 信じられないと思います。
      ■         ■
 美容形成外科のHPで、
 レディエッセ(Radiesse)という注射で失明した人がでたので、
 この注射の取り扱いを止めました

 …と書いているのは、
 札幌美容形成外科の他にはあまり見ません
 まして、
 謹告
 当院で鼻を高くする目的で、
 注入治療を受けた患者さんが、
 皮膚が壊死になってしまいました。
 失明してしまいました
 そのため鼻の注入治療を今後は行いません。

 …というような文言はどこにもありません。
      ■         ■
 事故を起こした美容外科では、
 性懲りもなくなんちゃっての先生が、
 他の注入剤で鼻を高くしましょう
 …というようなブログまで書いています。
 失明というのは、
 重大な医療事故なのに、
 厚生労働省も、
 国民生活センターも、
 消費者庁も、
 注意喚起をしていません。
 残念なことです。
      ■         ■
 経験を積んだ医師は、
 注射剤によって失明することを知っています。
 形成外科でケロイド治療によく使う、
 ケナコルトAという注射薬があります。
 皮内用関節腔内用
 水懸注50mg/5ml
 トリアムシノロンアセトニド水性懸濁注射液

 …という薬です。
 形成外科医なら誰でも知っています。
      ■         ■
 この薬の
 重大な副作用
 10)失明、視力障害 
 頭頸部(頭皮、鼻内等)への注射により、網膜動脈閉塞が生じ、失明、視力障害があらわれたとの報告があるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

 これが書いてあることを知っている形成外科医は、
 意外と少ないと思います。
 実際に、
 眉の近くに注射をして失明したという例があります。
      ■         ■
 ネットで検索すると、
 耳鼻科の先生が書かれた文章があります
 愛媛県西条市大町520-8の
 篠原内科外科耳鼻科
のHPです。
 ここに、
 医事問題委員の方のコメントです。
 「ケナコルトに関して医事問題委員会からの注意喚起が出されていますので、ご報告しておきます。
 ケナコルトの下鼻甲介粘膜注射で失明による事例が、
 九州で1件、近畿で数件あり、危険性の高い治療法と報告さています。
 患者さんの安全を考えるなら、決して行うべき治療法でないとの見解になっています。

 …と書かれています。
      ■         ■
 形成外科でケロイドに注射するのは問題がないと私は考えます。
 ただ、
 目の近くにケナコルトを注射する時には、
 この網膜動脈閉塞が生じ失明に気をつける必要があります。
 レディエッセ注射による失明も、
 このケナコルトによる、
 網膜動脈閉塞が生じ失明と同じ仕組みです。
 台湾の事故がネットに掲載されてから、
 私は注意して使用していました。
 札幌美容形成外科では失明事故はありません。 
      ■         ■
 bFGFの後遺障害を治すのは難しいです。
 私のところにもbFGF注射後の相談が来ます。
 申し訳ありませんが、
 注射してもらったクリニックに相談してください。
 当院では治療できません

 …と回答しています。
 責任を持って治せないからです
 bFGFを使った治療を受けたい人や
 後遺障害で困っている人には、
 福岡の飯尾形成外科をおすすめします。
 信頼できる先生です

“ケナコルトの注射2016”へのコメント

  1. なっちゅん より:

    どうしてレディエッセの事故は
    マスコミに流れないのでしょうか?
    理由がわかりません。

    防ぐようみんなに広めて欲しいですね。
    先生の日記はいつも誰よりも新しい情報で
    拝読してる人は感謝してると思います。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。レディエッセの事故は何件も起きています。マスコミはもちろん、厚生労働省や国民生活センター、消費者疔などの対応が遅いです。

  2. さくらんぼ より:

    怖いですね!失明する可能性があるなんて!鼻が低い方がましです。
    こんなにはっきり教えてくださる先生は本間先生だけだとおもいます。
    安易になんちゃってのいうことを聞かないことです。
    鼻が低いのと目が見えないのはどちらがいいか 誰だってわかりますよね。騙されない事ですよね。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    コメントをいただきありがとうございます。患者さんはもちろん、注射したなんちゃっての先生すら失明とは考えていなかったようです。失明や顔に傷が残るのはとても残念なことです。

  3. くくるん より:

    記事から半年経ちましたが、何のうごきもないのでしょうか。

    事故を起こしたクリニックもお蔵入りにさせちゃうしマスコミも
    国も【わかっていながら?】黙認してしまってて、正しい情報が
    伝わらないですよね。
    自由診療といえども医療なのに。

    【札幌美容形成外科@本間賢一です】
    最近は新たな失明事故は聞きませんがマスコミからの追加報道もないですし国も何もしていないようです。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ