医療問題
電子カルテ
医療法という法律で、
カルテは5年間の保存義務があります。
大学病院などでは、
何十年分ものカルテを保管しています。
その保管場所や管理が大変です。
北大形成外科に勤務していた時は、
古い外来棟にカルテがありました。
手術記録などを調べるために、
カルテ探しを何度もしました。
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カルテの保管場所は
掃除をしていませんでした。
古いカルテを探しに行くと、
必ず、鼻の中が真っ黒になりました。
もちろん、手も真っ黒。
白衣は汚れてもいいような、
古い白衣を着て行きました。
当時の北大には、
診療情報管理士の方は
いらっしゃらなかったと思います。
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これからは電子カルテの時代だと思います。
航空券の予約・発券もネットでできる時代。
チケットはなくなり、
携帯電話やカードで、
‘ピッ…’とするだけで、
搭乗ができるようになりました。
医療機関は、
残念ながら…
一番IT化が遅れている業種の一つです。
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私たちが電子カルテの導入で、
一番困るのが、
過去のカルテを参照することです。
昨年の朝日新聞の投稿には、
韓国の先進的な病院を訪問する機会があった。
そこでは1958年の開院以来、
過去の入院診療録約100万件を
すべてデジタル化して保存しており、
診療録管理室には約50人のスタッフが配属されていた。
とありました。
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これは実にすごいことです。
電子カルテの導入費用以上に、
過去の100万件の入力費用がかかります。
札幌市内の総合病院で、
電子カルテが導入されました。
担当の先生が、
過去のカルテはどうやって見るのですか?
と聞いたところ…
『過去カルテの電子化は、
予算に入っていません』
とあっさり言われたそうです。
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私が勤務医をしていた時代に、
各病院にコンピューターシステムが入りました。
毎日、快適に動いていたのではありません。
システム障害が発生すると、
院内放送で、
『ただいま、システム障害が発生しています』
『復旧の見通しは立っていません』
『各部署では、手書き対応に変更してください』
という
悪夢の放送が流れました。
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外来は私と看護師さんが一人だけ。
患者さんには…
『ごめんなさい』
『今日、お薬を出すと、何時になるかわかりません』
『申し訳ありませんが、次にしてください』
『わかりました、先生も大変ですね』
なんてことがありました。
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札幌美容形成外科でも
電子カルテの導入を検討しています。
今の電子カルテはかなり進歩したようです。
過去カルテ入力など、
難問がありますが、
なんとか早期に導入しようと考えています。
システム障害になっても、
お薬は出せるように準備します。