医学講座
顎関節症(がくかんせつしょう)
昨日、家内が耳が痛いので
診て欲しいといいます。
左耳に何かできていない?
数日前から痛いの
頭の方(耳の上の側頭部という部位)
も痛くなる…
■ ■
仕方がないなぁ~
といいながら、耳を診察します。
何ともないよ。
外耳道炎とか起きていない?
大丈夫だよ。
でも痛いのよねぇ~
と一瞬、私を疑っています。
私は、耳を少し引っぱって…
これで口を開けてみて。
ここ痛くない?
私が触ったのは、
耳の前の顎関節(がくかんせつ)です。
■ ■
アゴの関節は耳の前にあります。
口を開けたり閉めたりすると
耳の前が
コロコロこりこりと動きます。
下顎骨という下あごの骨が、
耳の前にある顎関節で動きます。
顎関節症はこのアゴの関節の病気です。
■ ■
家内の顎関節症は、
もうかれこれ30年近くになります。
もともとは健康でした。
結婚が決まってから、
当時住んでいた、
兵庫県西宮市で、
歯の治療を受けました。
結婚前に悪いところは治しておこうという、
ごくふつうの考えで歯科医院を受診しました。
■ ■
そこの歯医者さんを選んだのは、
自宅から近く、
通勤途中でも診察を受けられる…
ただそれだけの理由でした。
30年前は、
ネットもなく、
歯科医院の数も多くはありませんでした。
もちろん、評判も知りません。
■ ■
そこの、年輩の歯医者さんは、
奥歯の虫歯は抜きましょう。
と右下の奥から2番目の歯、
専門的には7番(ななばん)と言います。
を抜歯することを提案しました。
家内は特に疑問も抱かず、
抜歯することになりました。
ここが、運命の分かれ道でした。
■ ■
歯を抜いたところは、
歯医者さんが補綴(ほてつ)処置をしました。
その入れた歯の高さが
少しだけ高かったようです。
結婚後しばらくしてから、
つまり治療後数年してから、
治療したのとは反対側の
左下の奥歯が痛くなりました。
■ ■
知り合いの歯医者さんに、
左奥歯を丁寧に診ていただきました。
しっかり治療されているし、
痛くなるような病巣(びょうそう)はありません。
大学病院にもかかりましたが、
左奥歯の痛みの原因はわかりませんでした。
函館に転勤してからも、
歯が痛くなりました。
■ ■
私は、幼馴染(おさななじみ)の
マーちゃんのことを思い出しました。
マーちゃんこと、
小山正美(おやままさみ)先生は、
東北大学歯学部をご卒業されました。
立派な歯科医になられて、
函館市で開業されていました。
小山先生を受診すると、
先生は、
奥さんの左奥歯の痛みは、
昔受けた、右奥歯の抜歯が原因と
はじめて診断をつけてくださいました。
■ ■
大学病院の先生がわからなかった
歯の痛みの原因を見つけてくれたのは、
函館で開業されていた、
小山正美先生(現在は厚沢部町で開業)
でした。
西宮市で抜歯を受けてから、
実に10年近く経っていました。
それから、
家内の顎関節症の治療がはじまりました。
■ ■
最近は落ち着いていたので、
本人も忘れていたようです。
私の‘診断’が正しいかどうかは、
今日、歯医者さんでわかると思います。
歯医者さんを選ぶのも大変です。
耳が痛くても、
アゴが原因のこともあります。
みなさま、
簡単に抜歯は受けないでください。
虫歯をつくらないようにするのが
一番の健康法です。