医療問題
医学教育と運転教習
優しくて、腕がよい、
お医者さんを
育てるのは大変です。
どんな職業でも
同じだと思いますが、
人にものを教えたり…
教えられたり…
というのは難しいことです。
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一般の方は、
医学部を卒業して、
医師国家試験に合格すると、
即、医師免許がもらえて、
簡単な診察、
簡単な処置、
簡単な手術、
などはできる……?
と思われるかもしれません。
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残念なことに、
そもそも‘簡単な’
診察・処置・手術なんてのが存在しません。
採血や注射など、
看護師免許でも、
認められていることもできないのが、
医師免許取得直後の新人医師です。
医学部6年間の教育で、
採血の実習はないか、
あっても1~2回です。
注射は免許がないとできないので、
医師も看護師も、
免許取得後に‘練習’します。
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自動車でいうと、
医師免許取得は、
仮免許で、
ようやく運転ができるようになったところ。
教官席に座って、
教習生と運命をともにして、
いつも非常ブレーキを踏めるように…
踏ん張っているのが、
指導医です。
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医学の難しいところは、
仮免許運転中のプレートをつけた、
自動車学校の教習車両ではなく、
営業中の
立派なリムジン?
と思わせるような、
有名な大病院で、
路上教習を教えなくてはならないことです。
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高いお金を払って、
立派なリムジンに乗っている、
つもりのお客様。
実際の運転が、
ベテランの運転手(指導医)ではなく、
新人の見習い運転手(研修医)
だと知ったら…
即、他のタクシーに乗り換えるか、
怒って、料金の返金を求めます。
それができないのが、
臨床研修指定病院です。
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名門の大病院ほど、
臨床研修を希望する研修医が集まります。
その病院で、
リスクがある…
手術や検査を受けるとします。
‘あなたの検査は、新人の研修医が行います’
‘当院では、十分な初期研修を行っています’
‘万一、不測の事態が起こっても、ベテランの指導医が対処します’
‘研修医がこの検査を担当するのは、3回目です’
‘2回の検査では、問題はありませんでした’
‘ただ、指導医が15分で終わる検査に、1時間を要しました’
‘以上の説明を受け、検査に同意します’
なんて同意書に署名・捺印ができますか?
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実際には、上記のような同意書なしに、
眠らされて…
ぼぉ~っとしているうちに、
検査や手術が終了します。
練習台になる患者さんも大変ですが、
詐欺のような…
指導医を続けるのも疲れます。
厚生労働大臣や
厚生労働省のお役人に
練習台になるボランティアをしていただくと、
実態がよくわかると思います。