医療問題

釧路労災病院不正

 平成20年9月3日、北海道新聞朝刊の記事です。
 釧路労災病院
 室長が1600万円着服
 【釧路】釧路労災病院(釧路市、小柳知彦院長)の
 遠藤芳彦・地域医療連携室長(52)が、
 十年間にわたって診断書の作成費など
 約1600万円を着服していたことが9月2日、分かった。
 同病院は同日付で懲戒解雇処分にするとともに、
 釧路署に告発する方針を発表した。
      ■         ■
 同病院の調査では、
 室長は2001年から今年七月にかけて、
 特定疾患の医療受給者証の交付に
 必要な診断書の発行に際し、
 本来は患者が会計課に支払う
 一通3,150円の作成費を直接受け取り、
 病院に納めなかった。
 また、1998年から釧路管内釧路町が同院に支払った
 高額療養費の一部も着服していた。
      ■         ■
 今年5月、患者が室長への支払い方法を
 会計課に相談して発覚した。
 室長は旅行などに使ったと認め、全額弁済した。
 同病院は小柳院長ら
 関係者19人も減給などの処分とした。
 長期間、発覚しなかったことについて同病院は
 「診断書の発行と入金を照合するシステムがなかった」
 と陳謝した。
 (以上、北海道新聞より引用)

      ■         ■
 昨夜テレビを見ていたら、
 小柳先生が悲痛な表情で映っていました。
 先生は、元北大泌尿器科教授。
 北海道大学病院長も歴任された、
 優しくて優秀な泌尿器科医です。
 北大の定年後に、
 釧路労災病院院長に就任されました。
      ■         ■
 私は、釧路労災病院に勤務した、
 20年前に遠藤さんにお世話になりました。
 正直なところ、
 『えっ???…』
 『まさか?あの遠藤さんが…?』
 というのが私の実感です。
 医療相談室で、
 患者さんの困りごとに、
 親切に相談にのっていただいていました。
 『まさか?』
 『どうして?』
 という思いは今でも消えません。
      ■         ■
 私が勤務した当時の釧路労災病院は、
 初代院長の
 新田一雄(にったかずお)先生が築かれた
 全国一の黒字労災病院でした。
 ニッタビジョンというか…
 ニッタマインドというか…
 優秀な外科医であった、
 新田先生の手づくり病院という感じでした。
      ■         ■
 新田先生は、
 北大第一外科助教授から
 釧路労災病院長になられました。
 新田先生が着任した当時の、
 病院建設地は、
 釧路湿原のはずれにあり、
 雨が降ると、
 膝まで泥に埋まるような
 土地だったと聞いていました。
 そこに、職員が力を合わせて、
 立派な病院をつくりました。
      ■         ■
 私が勤務したのは、
 2年間程度ですが、
 たくさんの患者さんの手術をしました。
 札幌から離れていたので、
 簡単に北大に応援を頼めません。
 手術中に…
 『本当に困った!』
 ことが何度かありました。
 何度か困って…
 それを乗り越えて、
 腕を磨きました。
      ■         ■
 新田一雄(にったかずお)先生は、
 私が尊敬する院長のお一人です。
 残念なことに…
 新田先生はお亡くなりになりました。
 遠藤さんは、
 新田先生の時代に、
 釧路労災病院へ採用された方です。
 もし…
 新田先生がご存命だったら…
 『おい、遠藤!』
 『なんてことしたんだ、バカ野郎!』

 と怒られたことと思います。
 でも新田先生だったら…
 更生して出直す道をくださったと思います。
      ■         ■
 病院長というのも無力なものです。
 職員を信頼して仕事を任せなければ、
 病院は運営できません。
 私たち医師は、
 基本的に仲間や職員を信用しています。
 最初から疑っている院長などいません。
 最後に責任をとって謝罪するのが院長です。
 信頼関係が成り立たないところでは、
 医療はできません。
 そこが他の企業と違うところです。
 信頼を裏切った遠藤さんの責任は重いですが、
 是非更生して、
 また患者さんの役に立って欲しいと願っています。
 とても仕事ができる方でした。
 残念に思っています。

“釧路労災病院不正”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ