医学講座

痛みの原因

 一昨日書いた、家内の顎関節症は、
 歯医者さんを受診して私の診断通りでした。
 スプリントという樹脂製の薄い装置をつけて、
 痛みは軽減しているようです。
 アゴの病気なのに…
 本人が訴えたのは…
 『耳が痛い』
 もう少しで、耳鼻科へ行くところだったと
 少しは感謝してくれたようです。
      ■         ■
 日常診療で困るのが、
 痛みの原因です。
 すぐにわかるものから、
 今回のようにわかりにくいものまで、
 痛みの原因は実にさまざまです。
 経験を積んでも、
 わからないことも…
 間違うことも…
 あります。
      ■         ■
 赤く腫れているとか、
 打撲のアトがあるとか、
 骨折しているなどの、
 他覚的所見(たかくてきしょけん)
 要するに他人が見て、
 はっきりわかる症状がある時は簡単です。
 本人の自覚症状だけが、
 唯一の所見である時が難しいのです。
      ■         ■
 私は形成外科医ですので、
 首から上の痛みは、
 まだ少しは理解できます。
 お腹が痛いなどは不得意です。
 家内のアゴの病気は、
 顎関節(がくかんせつ)に痛みを生じました。
 その関節は耳のすぐ前にあるので、
 耳が痛いと思ったのです。
      ■         ■
 アゴの骨には、
 筋肉がついています。
 その筋肉が、
 側頭骨という、
 頭の骨につながっています。
 だから、
 左アゴの関節の病気で、
 左の頭が痛くなるのです。
 アゴの骨から、
 頭までつながっているの???
 と家内は驚いていました。
      ■         ■
 眼瞼下垂症(がんけんかすいしょう)という、
 瞼(まぶた)が下がる病気で、
 肩がこったり、
 偏頭痛がするのも、
 瞼を上げるために、
 前頭筋という筋肉を使うためです。
 全員ではありませんが、
 かなりの確率で、
 眼瞼下垂症手術で
 肩こりや頭痛が…
 治ったという方がいらっしゃいます。
      ■         ■
 痛みの原因や程度は、
 病気や
 人によって
 さまざまな形で出ます。
 はっきりとした、
 診断をつけられないこともあります。
 痛みのことを、
 一番研究しているのは、
 おそらく麻酔科だと思います。
 ペインクリニックという、
 痛みの外来もあります。
 どうしてもとれない慢性の痛みは、
 ペインクリニックもよいと思います。

“痛みの原因”へのコメントを見る

TEL 011-231-6666ご相談ご予約このページのトップへ