医学講座
医者は横暴?
私の父は約30年近くもの間、
病院勤務の薬剤師をしていました。
北海道厚生連というJA系列の厚生病院から始まり、
築別炭鉱(留萌管内)→
三菱鉱業の
手稲療養所(ここで私が生まれました)→
茶志内炭鉱病院(美唄市)→
大夕張炭鉱病院(夕張市鹿島)→
南大夕張炭鉱病院(夕張市南部)
で定年を迎えました。
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私が子どもの頃は、
病院の職員住宅に住んでいました。
近所には、
お医者さんの家があり、
家族ぐるみでお付き合いをしていました。
私の兄貴分だった、
マーちゃんのお父さんは、
内科の小山昌正(オヤマヨシマサ)先生でした。
子どもの頃には、
楽しい想い出がたくさんあります。
私の周囲にいらしたお医者さんは、
みんなとても親切で優しい先生でした。
■ ■
私が医師免許を取得した後だったでしょうか?
結婚する前だったようにも思います。
父から『横暴な医者になるな!』
と言われたのを覚えています。
親父なに言ってんの?と…
当時はあまり考えもしませんでした。
医師になって30年近くたつと、
父親が言っていた意味がわかります。
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形成外科の大先輩である、
北里大学名誉教授の
塩谷信幸先生のブログがあります。
塩谷先生は
医者はともすると欠陥人間になりやすい。
それは、医者はいつも自分より立場の弱いもの、
つまり患者や看護師を相手にしているので、
自分の意思を一方的に押し付ける態度が身についてしまう。
だからよほど心しないと・・・
というのがいつも日野原先生のお諭しの言葉である。
と書かれていらっしゃいます。
■ ■
私は、この日野原先生のお言葉を
若い先生や医学生に伝えたいと思います。
現場の研修医や若い先生は、
看護師さんが医師より弱い立場?
とは思わないでしょうが…
指示を出せるのが医師であり、
指示を受けるのが看護師であることは事実です。
どんなに優秀な看護師長でも、
医師に診療上の指示は出せないのです。
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不幸な医療事故の多くは、
ちょっとした異常のサインを見落としたことで、
重大な医療事故につながります。
看護師さんからの助言を
素直に聞く医師でなければ、
横暴な医者になり、
いつかは重大な医療事故を起こす危険があります。
患者さんからのメッセージや
パラメディカルからのメッセージを
真摯(しんし)に聞く耳を持つ医師が、
技術的にも向上できると、
自戒を込めて書かせていただきます。