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新聞を読む

 北海学園大学経営学部・大学院経営学研究科の㈱ニトリ寄附講座で、2回続けて講師の先生が新聞を読むことを学生さんに薦めていました。
 昨日の前田勝敏先生は日経(日本経済新聞)と全国紙一紙(道新でも可と言われました)、前回のイオンの阪本先生は最低全国紙一紙を読むように話されました。
 私は、札幌西高校2年生の時から、ずっと朝日新聞を購読しています。現代国語の成績が伸びず、国語の成績が優秀だった友人に訊いたところ『本間、新聞読め!』と言われました。
      ■         ■
 当時はよく大学入試に、朝日新聞から出題されていました。私が、現役で受験した時も(落ちましたが…)、朝日新聞の天声人語から出題されました。
 ちなみに、その時は現代国語はできたのですが、数学がダメで落ちました。医学部を制覇するには、まず数学です。
 今の時代は、ネットで何でも検索できる時代です。わざわざ新聞なんか買って読まなくても、携帯端末でもニュースが読めます。では何故、企業の経営者は新聞を読めといわれるのでしょうか?
      ■         ■
 私は、朝日新聞と北海道新聞の2紙を購読しています。
 毎朝、最初に読むのは北海道新聞です。そして、一番最初に目を通すのが、おくやみ広告です。
 私くらいの年齢になると、知人友人の親やお世話になった方の身内にご不幸があることが多くなります。
 失礼があってはいけないので、まずおくやみ広告をチェックします。これは、ある医局長をしていた先輩から教わりました。
      ■         ■
 おくやみ広告をチェックしても、知り合いの不幸を‘発見’するのは、年に数回あるかないかです。
 その代わり、おくやみ広告から、意外なことを見つけることもあります。
 例えば、あの社会福祉法人は、あのお寺の住職さんが経営していたのか…など。
 この人はこの国会議員を支持していたのか…などです。
 企業の経営者が学生さんに新聞を薦めるのは、おくやみ広告を読ませるためではありません。
      ■         ■
 私は、日記を書く材料を探すために、新聞をよく読むようになりました。
 自分の子供や当院の若い職員を見ると、新聞を定期購読している人は少なくなりました。
 ニュースはだいたい、パケホで携帯端末から読んでいます。
 新聞社はニュースすべてを携帯に配信していたら、新聞を買う人がいなくなり倒産です。
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 新聞には、ネットで読めない記事がたくさん出ています。
 私は、社会面から経済欄、家庭欄をよく読みますが、天声人語や社説も読みます。
 昨日の前田先生は、自分の興味がある項目だけではなく、新聞の端から端まで読むように薦められました。
 これから就職活動をなさる学生さんには特に必要だと思います。
 新聞を一ヵ月購読すると\4,000弱になりますので、図書館などを利用するするのもよいと思います。
      ■         ■
 新聞を読むことで、世の中の流れがわかります。
 TVのニュースでは得られない情報が伝わります。TVでは、一瞬聞き逃すとわからなくなりますが、新聞は読んでいる間に考えることができます。
 新聞社の方針にもよりますが、事件などに対して一定の論評が伝わります。
      ■         ■
 私は経営者が新聞購読を薦める理由は、字を読んで、そこから自分で考える思考過程が生まれるからだと思います。
 世の中は刻一刻と変化しています。企業が生き残るには、いかに早く情報をキャッチし、機敏に対応できるかがポイントです。
 新聞はあらゆる種類の情報が満載されています。その中から取捨選択して、自分の頭で考える思考過程が必要なのです。
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 私たちは、朝起きて夜寝るまでに、自分の仕事や勉強以外のことに触れる時間がありません。
 自分だけの世界に閉じこもらず、広く世界を見て、これからのことを考えるために、新聞を読むことが重要なのではないでしょうか?
 活字離れが進んでいて、新聞社も将来のことを心配しているようです。
 活字離れの一方で、日本人がブログなどの文章を書くようになっているそうです。私も毎日まいにち日記を更新しています。
 毎日の更新はかなり辛い作業ですが、自分の自己主張の場、後世に私の考えを伝える場として、日記を利用しています。今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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社長になる

 今日は、北海学園大学経営学部・大学院経営学研究科の㈱ニトリ寄附講座に行ってきました。
 今日の講師は、前DCMJapanホールディングス㈱社長の前田勝敏先生です。
 前田先生の講義は、2005年から3年目になります。すでにマスコミで報道されているように、平成19年5月に社長を退かれました。
 今日は、5月以来はじめて大勢の人の前に出てお話しをされたそうです。
      ■         ■
 現在は㈱未来流通研究所の代表取締役。といってもお一人で東京に事務所を開かれていらっしゃいます。
 DCMJapanホールディングス㈱の時はは2万人のトップ。今はお一人で、今までの体験を元に、新しい仕事をはじめられました。今日の講義も、聴く人の心を打つものがありました。
      ■         ■
 前田社長は、立教大学経済学部経営学科を、昭和42年3月31日に卒業されました。
 大学時代は、校門までは行くが、講義には行かず、雀荘や喫茶店で学生生活を謳歌なさったそうです。
 満足に勉強をしなかったので、卒業できるかどうかわからず、そのため4年生になっても就職活動は一切しませんでした。
 3月25日が卒業式で、他の学友は、卒業式の会場に向かう中、前田社長は追試の試験会場に向かっていました。
      ■         ■
 卒論はなかったものの、27科目の卒業試験があり、卒業式の日になっても、3科目が追試でした。
 ようやく追試に合格し、3月31日に卒業証書をいただきました。
 その頃、流行っていたのが、加山雄三さんという歌手でした。加山雄三をもじって、成績がカヤマユウゾウ。可が山のようにあり、優が3つだったとか。このように楽しい大学生活だったそうです。
      ■         ■
 卒業はしたものの、就職はせず、本当の意味で浪人でした。親には、もう少し東京で勉強したいと言い、プータローをしていました。
 そうこうしているうちに、親が急死してしまい、実家の釧路に帰りました。
 釧路に帰ってから、電柱に貼ってあった『石黒商店』のアルバイト募集の紙を見つけて、石黒商店という金物屋さんに面接に行きました。
      ■         ■
 配達のトラックの助手席に乗って、配送の手伝いをする、アルバイトに応募しました。
 そこで、石黒商店の創業者に会い、せっかく東京の大学まで出ているのだから、アルバイトではなく正社員として勤めなさいと誘われ、石黒商店に入社しました。年商3億円の釧路の有力企業でした。
      ■         ■
 昨年までの講義では、お話しになりませんでしたが、入社して間もなくの頃から、将来は社長になろうと決意されていたそうです。
 創業者の石黒社長を支えながら、一生懸命に働き努力しました。
 アメリカへ行って勉強したり、同業他社の勉強をして、昭和51年に石黒ホーマーをスタートさせました。
 私たちの世代には、ホームセンターといえば、石黒ホーマーです。電話番号も○○○-1496(イシグロ)でした。
 前田社長は創業者の信頼を得て、物流やコンピューターシステムをどんどん発展させました。このシステムがホーマックを北海道発の成功企業に育てた原点です。
      ■         ■
 似鳥社長も前田社長も、商売の原点はお客さんに喜んでもらうこと。と強調されます。
 お客さんが、お店に来て、商品を手にして喜んでくださる。これこそが自分が人間として生きる価値だと言われます。
 この仕事をしたら、お金が儲かるからしようは×。人の役に立つ仕事をする喜びがある会社が、残る会社です。
      ■         ■
 会社を選ぶ時は、×給料が高いから、×仕事が楽そうだから、×会社が潰れなさそうだから、で選んではダメです。
 ○自分がその会社で何をしたいのか?○何がやりたくて、どういうことができるから、その会社に行くのか?が大切です。
      ■         ■
 何かやりたいこと、したいことがあれば、毎晩寝る前に3回声に出して唱えるのだそうです。前田流の成功法です。
 彼氏(彼女)がいない人は、『毎晩、彼氏(彼女)ができますように…』と3回唱えてください。数週間もすると、自分の身の回りにいる素敵な異性に気づくそうです。
 社長になりたい人は、『私は社長になる。私は社長になる』と、毎晩3回唱えて、努力すると社長になれる芽が芽生えるそうです。

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醜形恐怖症③

 2日間にわたり、克誠堂出版、美容外科最新の進歩から 畷 稀吉(ナワテ キヨシ)先生の醜形恐怖症の症例をご紹介しました。
 畷先生は、形成外科領域では一番熱心に醜形恐怖症に取り組まれた先生です。残念なことに、平成13年にお亡くなりになりました。
 私たちが外来で醜形恐怖症を疑う方を診察し、精神科を紹介しようとしても受け入れられないことが多くあります。
 畷先生は美容外科最新の進歩に次のように書かれています。
      ■         ■
 筆者は精神科医ではないので正確に診断はできないが、患者から聞き出すことは可能である。そして筆者なりに神経症なのか精神病なのかを判定する。
 この判定にあたっては、過去において患者対応に苦労した経験や、友人としての精神科医との付き合いの中から得たもの、さらに自分で精神科関係の書物を読んで学んだ雑学的知識と筆者の人生経験とが、すべて含まれるものと思っている。
      ■         ■
 さて患者の話を聞いてこの患者は、筆者には扱えない、いや扱うべきでないと思ったら、ただちに精神科医に紹介する努力に入る。
 ではつぎに、いかにして確実に精神科医に手渡しするかの手順について述べる。「あなたがたいへん悩み苦しんでおられることはよく分かりました。
 しかし私にはあなたの悩みは解決できません。なぜなら、あなたの悩みは心の悩みだと思うからです。心の糸のもつれが原因だと思います。
 それらのもつれた糸の1つ1つをはずして楽にして頂けるのは、私が信頼しているお医者さんです。その方を紹介します」というと、患者は必ず「先生、そのお医者さんは精神科医でしょう」と、かえってくる。「はい、そうです」と、さらりと答える。
      ■         ■
 そしてその後で「あなたは、アメリカなどでは、ごく自然に精神科医を主治医として持ち、いつでもアポイントを取って、心の悩みを聞いてもらっていることを知っていますか。
 日本では、まだ遅れていて、精神科医とコンタクトを取ることを恥としているが、それは間違いですよ。私も精神科医を主治医として持ち、どうにもならない心の悩みを聞いてもらっていますよ。
      ■         ■
 このような手順で1989年から1996年12月までに42名の患者を紹介できた。文献でも精神科に紹介することはたいへん困難であると述べられているが、たったこれだけの話で患者は訪ねてくれる。
 福田らは、変形恐怖症の患者対応について、詳細に記述した最後に、精神科に紹介する時に患者に使う言葉として「放置しておけばノイローゼになるから、その予防のために精神科にみてもらうように」との一言が、精神科紹介をしやすくしたと述べている。
      ■         ■
 筆者は「ノイローゼになるよ」にさらに追加して、「このままほっておいたら、本当の精神病になってしまうよ。そんな患者さんを私は何人も見ている。
 あなたにはそうなってほしくないので、私のいうことを聞いて、だまされたと思ってもいいから先生のところへ行って、話を聞いてもらって下さい」と、ムンテラしている。
 本当にこんないい方で、患者は納得して訪ねるのであろうかと思われるだろうが、コロンブスの卵ではないが、一度試してみて頂きたい。
      ■         ■
 患者が筆者の信頼する精神科医を訪ねることを納得したら、確実に紹介できるように努力する。
 なぜなら、患者の悩みを筆者では救ってあげることができないからだ。だからといって見離せば、間違いなく手術をしてくれる医師を求めてドクターショッピングに走るであろう。
 そんな無駄をさせないで、精神科医の治療にゆだねることが大切だと考えるからだ。これが25年間でつかみ得た筆者の結論である。(畷 稀吉)
 (以上、畷先生の著書、美容外科最新の進歩から引用)
      ■         ■
 とても残念なことですが、畷先生はもうこの世にいらっしゃいません。
 私など、足元にも及ばない大先生です。先生が遺された、文献や書物は、先生が亡くなった後も残り、必ず引用されると思います。
 美容外科を志す医師は、最新の治療機器や儲かりそうな治療法だけではなく、必ず醜形恐怖症について知ってほしいと思います。
      ■         ■
 私は、開業後に札幌北警察署から電話をいただき愕然としました。
 その方の手術を私が引き受けていれば、自殺しなくても済んだのではないか?
 精神科と眼科に紹介状を書いて、お母様にも説明をして、私としてはできる限りのことをしたつもりでした。
 手術を繰り返し受けていた方が、死ぬよりもよかったのか?と考えたこともあります。
 メンタルな問題はとても難しく、美容外科医が片手間に対応できるものではありません。
 私は優秀な精神神経科医を友人に持ち、いつでも患者様のことを相談できるようにしています。

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醜形恐怖症②

 昨日に引き続き、克誠堂出版、美容外科最新の進歩から 畷 稀吉(ナワテ キヨシ)先生の醜形恐怖症の症例をご紹介します。
      ■         ■
【症例】小陰唇肥大にかくされた6歳時の強姦体験者
 55歳の女性。2ヵ月後に、子宮筋腫の手術が某病院で予定されている。そのとき手術室で、医師や看護婦に外陰部を見られるのがたまらなく嫌だという。
      ■         ■
 話をよく聞くと、6歳の時に見知らぬ男に山小屋へ連れ込まれ強姦されたという。それを聞いた祖母が、心の傷をいやすためにいったのだろう。よもぎをすって局部へ湿布し、きれいな草花を局部へすり込むと治るから安心しなさい」と教えた。子供ながらにそれを信じて、暇があると山へでかけ、きれいな草花を見つけては局部へ擦り込んだという。
      ■         ■
 その行為がいつしかオナニーヘと変わっていったのであろう。成人して何度か恋愛をしたが、いざ本番となるとあの時の恐怖とオナニーによると信じている小陰唇の変形に気づかれるのではないかと思い、性行為を拒否するため、いずれの恋も失敗に終った。現在でも、スーパーなどで買物しているときに、男性が近づいてくると足がすくんで歩けなくなることがあるという。
      ■         ■
 親戚の人の勧めで結婚はしたが、不幸なことに、夫が実母と通じ合っている現場を見てしまい、ただ優しくされるだけの夫婦生活であったという。姑が亡くなった後、夫と離婚し独り暮らしをしている。
 小陰唇の変形はごく軽いもので、一部切除しただけの手術であったが、術後は感謝と明るさを取り戻した。
 (以上、畷先生の著書、美容外科最新の進歩から引用)
      ■         ■
 この症例は外科手術で、心のキズが快くなった例です。
 小陰唇肥大は、実際に擦れて痛いとか、炎症を起こしていることがたくさんあります。見た目の問題も重要です。
 なかなか人に言えない悩みがあり、それが外科手術で解決できるのでしたら、ちょっと痛いのをがまんすれば済むことです。
      ■         ■
 小陰唇縮小手術は意外と多い手術です。勇気を出して産婦人科の先生に相談しても、なかなか取り合ってもらえません。
 当院にいらっしゃる方は、脚を閉じた時にはみ出してしまう方が大部分で、手術適応があるため、何故手術を受けるのかは伺ったことがありません。
 手術後の抜糸の時に、サービスで周囲の脱毛をして差し上げることがあります。とても満足度の高い手術で、みなさん『もっと早く受けておけばよかった』と言われます。
      ■         ■
 他人には言えない、ちょっとした心の悩みは誰にでもあるものです。
 それを、外科的に治せるのでしたら喜んで手術をお引き受けします。
 私の恩師である、北大名誉教授の大浦武彦先生は、形成外科を「心の外科」と呼んでいらっしゃいました。
 北大形成外科では、精神神経学講座と協力して、昔から醜形恐怖症の患者様を治療していました。
 札幌美容形成外科では、北海道大学医学部精神医学教室と協力して治療に当たっています。

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醜形恐怖症①

 克誠堂出版(コクセイドウ)という医学書の会社があります。そこから、美容外科最新の進歩という本が出ています。1998年に出版されたので、もう最新ではありませんが、内容の深い本です。
 この本のP9に美容外科と精神疾患-醜形恐怖症を中心とした患者対応-という項があるので、一部をご紹介します。
 著者は金沢で開業されていた、故 畷 稀吉(ナワテ キヨシ)先生です。
      ■         ■
 畷(ナワテ)先生は1976年7月に金沢で畷形成外科医院を開業。開業以来、精神・心理面に問題がある患者様との相談を行われました。
 私は直接面識はありませんが、形成外科・美容外科領域ではとても有名な先生です。
 日本美容外科学会誌にも、醜形恐怖症の論文を書かれています。
 醜形恐怖症の患者様とはどのような‘病態’なのか?畷先生の著書から引用してご紹介します。以下は美容外科最新の進歩の13ページから引用しました。
      ■         ■
【症例】二重の幅の違いに悩む短大生
 18歳の女子短大生。ほとんど差を認めない二重の幅を気にしている。最初は、手紙で悩みを打ち明けられた。高校時代、左目をいじっているうちに左右が違うようになったという。寮生活をしているが、左目が気になり、毎日鏡を見て悩み、友達と顔を合わせるのが辛くて、ほとんど付き合いをしていない。「ぜひ手術をしてもらえないか」という訴えだった。
      ■         ■
 そこで夏休みに本人と面接をした。少し小柄の美人。二重の左右差は、ほとんどない。文面からも実際に会った感じでも、左目へのこだわりを除いては、普通の短大生である。手術は必要でなく、人間にとって何が大切なのかを、私の人生観を含めて話をした。しかし、理解させることができないまま、次回の面接を約束した。
      ■         ■
 二度目は母親と一緒に来院した。母親も手術の必要性は認めず「何でそんなことぐらいで悩むの。悲しいわ」と私の前で口論になった。彼女は、母親の意見を無視してはいるが、親子関係が破滅的になるようには感じなかった。私の目には、しっかりとした考えを持った母親に感じられた。この日も、手術の必要性はないという話で別れた。
      ■         ■
 その後は手紙で手術の不必要性を何度も書いて様子を見ていたが、彼女の執拗な要求に根尽きて、第1回目の手術を約束した。短大を卒業し、金沢で就職することになったので、その前に手術をしてほしいとの要求であった。最初の面接から数えて、約1年後に手術をしたことになる。
      ■         ■
 手術は、メスを入れて縫合するという儀式に近いものであった。その後、当院で5回、金沢医科大で4回手術を受けている。繰り返し手術を要求する理由はそのつど内容は違うが、左右差を問題にしたり、術後の瘢痕を気にしたりで、どのように対応したらよいか困ってしまった。
      ■         ■
 今回、11回目の手術を要求されたので「こんなに何度もメスを人れると、しまいに皮膚が破れてしまうかもしれない。もし失敗して、機能的に問題が出たら取り返しがつかないよ」と脅しをかけて手術を諦めさせた。5年間を通して、人格的にだめになったということもなく、恋人もでき、家庭でも会社でもとくに問題をおこしていない。
 (以上、畷先生の著書、美容外科最新の進歩から引用)
      ■         ■
 この症例のように、ほとんど差を認めない二重の幅を気にする方はいらっしゃいます。
 私は、外科的に治せるものでしたら手術をお引き受けすることもあります。ただ、何回も何回も手術を受けている方は瘢痕(ハンコン)というキズのため修正が難しく、手術適応にならないこともあります。そういう時は手術はお引き受けしません。
 手術をお断りして、精神科受診のお話しをしても受け入れてもらえないこともあります…。

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医療問題

自殺予防ケア

 週刊文春に病院情報ファイルという記事があります。恵原真知子さんという方が担当です。医学的な内容が充実していて、医師が読んでも参考になります。
 9月13日号に横浜市立大学附属病院神経科、河西千秋先生の自殺予防ケアが掲載されていたので、ご紹介します。
 以下は週刊文春の記事です。
      ■         ■
 日本人の自殺者数は1998年に年間3万人を超え、以来9年間もその最悪の状態が続いている。
 昨年「自殺対策基本法」が施行。自殺予防総合対策センターも設置され、自殺対策が整備されつつある。
 自殺は個人的な問題としてのみとらえられるべきものではなく、社会的に取り組む必要性があると国レベルで認められるようになってきたのだ。
      ■         ■
 しかし、個々人の自殺や遺族に対する理解はいまだ乏しく、誤った情報を鵜呑みにしていることが多いといわれる。例えば、以下の説明のうち正しいものを判定できるだろうか。
・自殺の動機で最も多いのは経済問題である
・自殺の多くは何の前兆もなしに起こる
・自傷行為を繰り返す人ほど死なない
・自殺未遂者はそっとしておいたほうがよい
・遺族の苦しみは時間が解決してくれる
・自殺は個人の哲学、死生観の問題である
・自殺を企てる人の気持ちは変えられず、自殺を防ぐことは不可能である
      ■         ■
「いずれも『ノー』が正解です。 ちなみに2006年に警察が行った調査によると自殺の動機の一位は健康問題(42%)、二位が経済・生活問題(29%)、三位が家庭問題(10%)となっています」
と横浜市立大学附属病院神経科(精神科)の河西千秋病棟医長(准教授)は説く。
 同附属市民医療センター救急救命センターに入院する自殺未遂患者のケアも担当し、厚生労働科学研究費補助金事業による「自殺未遂者ケアガイドライン」作成にも関わる専門家だ。
      ■         ■
 重症急患の2割が自殺未遂
 高度の救急救命センターには重症のけがやヤケドなどの患者が搬送されるが、実は全体の10~20%が自殺を図った人だという。
 「自殺者の約半数には自殺未遂歴があり、また未遂者を9年以上追跡した研究によると、自殺未遂者ないし自傷患者の3~12%はその後に自殺していることが確認されています。ということは、自殺未遂者を多く診る救急医療施設で自殺予防を考慮したケアを行えば予防につなげうる。そこで横浜市大では、一昨年から精神科医が救命センターに常駐し、命を取り留め意識が戻った段階から専門的なケアを行っています」
      ■         ■
 自殺の引き金となる危険予測因子として、自殺念思や絶望感、自殺未遂歴、家族や親族の自殺、あるいは大切な人との離別・死別、失業や経済破綻、精神疾患、がんなど進行性の重い病気、身体機能の喪失などがある。これらは少なくとも医療関係者の間では知られるようになった。
 また、最近ではうつ病患者は自殺の危険が高いとも流布されているが、現実に自殺者の多くがうつ病・躁うつ病であり(約30%)、依存症、統合失調症、人格障害が各十数%ずつを占めていたことも、既遂者の調査研究から明らかにされているという。
      ■         ■
 つまり、ある程度の知識とその人への関心があれば、素人でも自殺の危険を感じる想像力が働くということだ。河西医師らは自殺予防活動普及のため「自殺予防のための手引き」を学校関係者用、プライマリ・ヘルスケア従事者用など利用者別に作成した。詳しくは同大学精神医学教室(℡045-787-2667)へ。
 救急救命センターにおける精神科医の関与は、自殺未遂者本人はもちろん、彼らを抱える家族、担当する医療スタッフにも不可欠だが、多くの病院では経済的理由などから夢のまた夢なのが現状だ。河西医師らの活動がよきモデルとなり普及することが期待される。
      ■         ■
 7月24日の日記、札幌こころのセンターに書いたように、3年前に、札幌美容形成外科を受診なさった患者様が自殺されました。
 私は、その患者様を手術していませんが、もし私が手術していれば死ななくてもよかったのか?…と今でも心に残っています。
 醜形恐怖症という‘病気’は心の病気です。社会不安障害という概念に入る精神疾患です。
 美容外科を開業していると避けて通れないのが、醜形恐怖症の患者様です。
      ■         ■
 精神神経科医と密接に連携をとって治療に当たります。
 これから美容外科を志す先生は、必ず頭に入れておいて下さい。患者様が亡くなると、自分が手術したしないにかかわらず、とても悲しくなります。
 このような‘病気’があることを認識してください。自殺率が高いことも…。

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美容外科の修行

 昨日ご紹介したの朝日新聞の記事に、『美容外科を志す人は、やけどの跡の修復などをする形成外科の経験を基に、試行錯誤で技術や知識を身につけているのが実情だ。技術水準は個人差が大きく、医療被害にもつながっているという指摘がある』と記載されていました。
 実情は違うと思います。‘美容外科を志して、形成外科を選んだものの、やらされるのは毎日まいにちヤケドの処置だけ’
 ‘こんなはずじゃなかった!’と形成外科を去る若い先生がたくさんいます
      ■         ■
 現在、日本の医育機関で実際に教鞭をとっていらっしゃる形成外科教授で、美容外科がバリバリできるのは、ほんの数名しかいないと思います。
 その数名の先生も、大学病院で美容外科の症例を重ねたのではなく、民間の開業医レベルか有名美容外科で手術をたくさんした先生です。
      ■         ■
 日本形成外科学会でも、過去に何回か美容外科研修について取り上げたことがありました。
 何回議論しても、大学病院に美容外科の‘お客様’は多くはいらっしゃいません。よそで手術をしたけれど、トラブルになったとか、大手美容外科に行ったけれど心配になった方が多いと聞きます。
 25年前に、私が北海道大学でコラーゲンの臨床試験を担当させていただいた時も、‘お客様’は来院されず、自分の母親とか妻とか、知り合いばかりでした。
      ■         ■
 私自身は、総合病院に勤務中に、土日に美容外科へ‘ほぼ無給’で修行に行きました。担当させていただいたのは、ワキガ手術。あとはひたすら、ゴットハンドの院長先生の手術を見て覚えました。
 前任の中央クリニックでは、私が尊敬する美容外科‘指導医’の先生に、美容外科スピリットを教えていただきました。
 その先生は、大学卒業後に十仁病院へ入職。私が形成外科医として経験したのと同じ歳月を、美容外科医として活躍された先生でした。
      ■         ■
 確かに形成外科医は、技術では素晴らしいものを持っていると思います。
 しかし、美容外科は‘技術’だけでは食べて行けません。
 ‘お客様のニーズ’に合わせた手術や治療を提供できるのが美容外科だと思います。
 そういう意味では、私もまだまだ修行が足りません。大変申し訳ないことですが、私は形成外科出身なので、自分の考えに合わない手術はお引き受けしていません。
      ■         ■
 私の周囲を見ると、美容外科を志す若い先生は、大部分が有名な美容外科に就職しています。
 若くして分院の院長に就任している先生もいらっしゃいます。
 美容外科は、競争が激しい業界です。老舗(シニセ)と言われていた有名美容外科が廃院しました。
 若くして、大手美容外科チェーン店の店長になった先生が、独立して同じような業態のチェーン店を展開しているところもあります。
      ■         ■
 20年以上も大々的にチェーン展開をしている美容外科は、私が知る限り、数軒しかありません。
 優秀な先生をいかに長く雇用できるか?店長クラスの先生をいかに多く確保するか?チェーン店の美容外科経営も楽ではありません。
 私のように、個人で自分ができる範囲の手術をして、他に‘先生’を雇わないのが、一番楽だと思います。
 自分の‘分身’だと思っていた‘先生’に裏切られる心配もありません。
      ■         ■
 美容外科は外科手術ですから、知識と技術が必要です。
 どこでも、タダで安易に知識と技術は教えてくれません。これから美容外科を志す先生が、どうやって知識や技術を習得するかが問題なのですが、なかなか簡単に解決はしないと思います。
 私は将来も、大学医学部では美容外科研修は難しいと思います。

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神戸大が美容外科開設

 平成19年9月28日(金)朝日新聞朝刊の記事です。
 神戸大が美容外科開設、国立大学で初 専門医養成へ
 神戸大学は27日、付属病院内に美容外科の専門診療科を新設することを発表した。国立大学で初めての試みだ。社会の高齢化に伴い、美容外科は若い女性だけでなく、中高年の生活の質を高める医療として需要が高まっている。
 だが、今の医学教育の中で学ぶ機会がほとんどなかった。神戸大は専門教育の場を設け、若い医師を育てるとともに、老化と闘うアンチエージング医学の拠点作りを目指す。
      ■         ■
 10月1日に診療を始める。全年齢を診るが、主に中高年のしわやたるみ対策を対象にする。容姿に自信を取り戻すことで、生活や心の張りも戻ってくるという報告があり、高齢者にとって大きな意味を持つからだ。
 現在、美容外科を志す人は、やけどの跡の修復などをする形成外科の経験を基に、試行錯誤で技術や知識を身につけているのが実情だ。技術水準は個人差が大きく、医療被害にもつながっているという指摘がある。
      ■         ■
 神戸大病院では、形成外科の専門医2人が専従し、若い研修医らを交えてチームで診療する。医療保険の適用外で自費診療だが、まぶたの垂れ下がりなど、保険治療の対象と診断した場合は、他の診療科に紹介する。
 責任者の一瀬晃洋(いちのせ・あきひろ)・神戸大医学部講師は「診療だけでなく、手術や処置の安全性、リスクと効果など、美容外科に関する適切な情報を社会に提供します」と話す。
 初診は週3回で、電話予約が必要。問い合わせは神戸大病院(078-382-5111)へ。
 (朝日新聞朝刊より引用)
      ■         ■
 この朝日新聞の記事は何点か誤りがあると思います。
 国立大学ではじめて美容外科外来を開設したのは、東京大学です。東大病院のHPには診療実績も掲載されています。
 東京大学形成外科の波利井清紀 名誉教授(現:杏林大学医学部形成外科教授)が在職中に開設され、吉村浩太郎講師が中心となって診療をはじめられました。
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 大学病院の美容外科外来は、大手美容外科と比較すると、患者数が2桁以上違います。
 東大形成外科HPによると、平成18年度の新患総数は2,052人です。そのうち、美容外科の入院患者数31人、外来患者数33人となっています。
 東大病院ですら、平成18年度一年間で入院と外来を合わせても64人です。吉村先生という、トレチノインの権威がいらしてもこの数字です。一般病院の美容外科でしたら倒産です。
 早くから、美容外科外来をはじめた、昭和大学、北里大学ですら、患者数は多くないと聞きます。
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 大学病院で美容外科を担当する‘先生’はどこで美容外科を習得するのでしょうか?
 大部分の‘先生’は、民間で開業している美容外科や形成外科へ行って、美容外科手術を習得します。
 形成外科医は眼瞼下垂症手術などは得意ですから、手術のアルバイトに行って、ついでに他の手術も覚えることもあります。
 国立大学では、おおっぴらにアルバイトに行くことは禁止されていますから、土日の休みなどを利用することもあります(厳密に言うと土日でもバイトは禁止ですが…)。
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 大学病院で美容外科診療をしようとすると、料金も大学の規則で決めなくてはいけません。
 市立病院や公立病院では、条例で料金を決めなくてはならない場合もあります。
 美容外科で普通に使っている、厚労省が認めていないコラーゲンやヒアルロン酸も使えません。
手術を決めて、麻酔科に麻酔を依頼すると、自由診療だからと麻酔科から断られることもあります。
 さまざまな制約を受けるのが大学病院の美容外科です。
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 ただ、全国的に見ると、国立大学でも形成外科を形成外科・美容外科とするところは増えています。
 医学部の学生が美容外科手術を見学したいと願っても、なかなか実現しません。普通の美容外科でしたらまず断られます。
 医学部の教育の中で、美容外科が一般化するには、形成外科が普及した以上に時間がかかると思います。
 日本の医学部・医科大学の中には、形成外科すらない医育機関がまだかなりあります。

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医療問題

日鋼記念病院【室蘭】

 平成19年9月27日(木)北海道新聞朝刊の記事です。
 室蘭日鋼病院、循環器医全員退職へ 11月末 “カレス騒動”なお
 【室蘭】医療法人社団カレスアライアンス(室蘭)が経営する日鋼記念病院で、勝賀瀬貴院長を含む循環器科の医師4人全員が11月末に、泌尿器科の医師1人が今月末までに退職することが26日分かった。同病院によると、12月以降の循環器科の診療体制の見通しは立っていない。
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 循環器科は今年8月、心不全の患者への心臓リハビリなどに新たに取り組むために、「循環器センター」を開設したばかり。
 同病院は患者に対し、医師退職の説明や他病院への紹介を始めており、今後の診療体制が決まるまでは初診患者の診療は行わない。
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 現在2人の常勤医がいる泌尿器科へは、北大から出張医1人が派遣され、2人体制を維持する。
 カレスアライアンスの西村昭男前理事長が今月11日に解任されたことに伴って、同病院では西村氏に近い医師を中心に退職の動きが広がっており、既に、消化器科の医師二人が9月末付で、脳神経外科医1人が10月末付で退職届を出している。
 (北海道新聞朝刊より引用)
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 循環器科センターは心臓や血管の専門家が集まって、心筋梗塞や下肢の動脈硬化症を治療する科です。
 7月7日の日記に書いた、時計台記念病院の浦澤先生も循環器センター長です。
 室蘭でははじめての循環器センターで、急性心筋梗塞など命にかかわる急性期の治療ですから、とても残念なことです。
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 病院経営者にとって、一番頭が痛いのが、優秀な医師を採用することです。
 日鋼記念病院循環器センターのような、設備が整った総合病院で働くことは、医師としてはやりがいがあり、腕のみせどころです。
 循環器センターの開設に当たっては、夢と希望を持って、仕事に取り組んでいたと思います。
 日鋼記念病院HPを拝見すると、かなり腕の良い先生を集めていると思います。
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 人にはそれぞれ考えがあり、人生観や道徳観も違います。
 医師は高度の知識と技術を持った‘技能集団’です。
 数十人もの‘先生’を取りまとめるのは、相当の苦労を伴います。
 院長が頭ごなしに命令したところで、担当の先生にそっぽを向かれたらどうにもできません。
 代わりを見つけようにも、高度の技術を持った先生であればあるほど、簡単には見つけられません。
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 今の時代の病院経営は本当に大変です。
 診療報酬という、病院経営の根幹をなす医療収入は、国の方針により毎年下がっています。
 看護師など職員の給与は上げなくては、人が集まりません。看護師が足りないと診療報酬が減ります。
 この数年で一番給与が下がったのが勤務医だと言われています。
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 日鋼記念病院で何があったかわかりませんが、一日も早く正常な診療ができるようになって欲しいと思います。
 病院がゴタゴタして一番困るのは、地域の患者様です。
 日鋼記念病院形成外科には、坂本泰輔(サカモトタイスケ)先生という私の後輩が勤務しています。とても優しくてまじめな先生です。
 西村先生との確執はわかりますが、循環器センターを潰さないでください。

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医学講座

アッカンベーの手術

 顔面神経麻痺によるアッカンベーの手術は、通院でできます。目尻を数㎜切って、靭帯(ジンタイ)という組織を引っ張って、骨に固定する手術です。
 顔面神経麻痺では表情筋が機能しなくなります。ピーンと張っていた筋肉が弛んで(ユルンデ)しまい、それで下まぶたがアッカンベーになります。
 弛んだ筋肉の端のヒモを引っ張って、ピーンと張る手術です。
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 重症のヤケドでも目がアッカンベーになります。
 私が札幌医大に在職中に、ロシアからジェーニャくんという子供がヤケドの治療にやってきました。全身の大ヤケドでしたが、ロシアで治療できなかったのが顔と手でした。
 顔の治療は形成外科が、手の治療は整形外科の石井教授が担当しました。
 有名なコンスタンチン君ではありません。コンスタンチン君を治療したのは、旭川赤十字病院にいらっしゃる阿部清秀先生です。
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 ヤケドでアッカンベーになるのは、皮膚が焼けて、皮膚が縮み(チヂミ)、まぶたが引っ張られることによります。
 ジェーニャ君は上まぶたも下まぶたも、頬もすべて焼けていました。顔の皮膚をすべて貼りかえる大手術でした。
 このような手術は、入院施設がある総合病院でなければできません。
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 下まぶたの『たるみ』とり手術で、アッカンベーになることがあります。
 初心者の先生が手術して、皮膚を取りすぎたり、脂肪を取る時に止血が不十分だったりすることが原因です。
 かなりベテランの先生が手術しても、ちょっとしたアッカンベーが気になることがあります。
 私が大学病院に勤務していた時に、ある美容外科で手術を受けて、その後、軽度のアッカンベーになり、不眠症になって精神科から紹介された方がいらっしゃいました。
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 この方は軽度でしたので、再手術はせずに通院で様子をみました。
 また、別のクリニックで手術を受けて、明らかにアッカンベーになった方の修正手術をしたこともあります。
 手術を受けたクリニックでは対応できなかったようです。
 再手術は難易度の高い手術です。‘簡単’には治らないケースもあります。
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 2000年8月のPlastic and Reconstructive Surgery という米国形成外科学会雑誌(106(2):438-53)に、
The evaluation and management of lower eyelid retraction following cosmetic surgery.という論文が出ています。
 『美容外科手術後の下眼瞼外反(アッカンベー)の評価と治療法』というタイトルです。
 冒頭の文章に、Lower eyelid retraction is a common complication after cosmetic surgery of the lower eyelids. と書いてあります。Yahoo翻訳で訳すと‘下眼瞼撤回は、下眼瞼の美容外科の後の普通の合併症です。’
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 Lower eyelid retractionが下眼瞼撤回と訳されていますが、アッカンベーのことです。医学用語では下眼瞼外反と訳します。
 要するに、アッカンベーになるのは、下まぶたの美容外科手術ではcommon(共通の、普通の、ありふれた)complication(合併症)ですよという意味です。
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 美容外科の宣伝やホームページでは、手術は簡単ですぐに治ります。お化粧すれば、翌日からでも仕事ができます。なんて平気で書いてあります。
 アッカンベーになるなんて書いたら、お客さんが来なくなってしまいます。
 私は、起こり得る合併症や手術後のトラブルについてもご説明しています。
 手術は飛行機と同じで安全第一です。慎重すぎて後悔することはありません。

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