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形成外科と健康保険

 昨日、日本IBM健保組合HPでワキガ、身体の機能にさしさわりのない先天性疾患(小耳症、四肢奇形など)は保険適応にならないと記載してあるのは誤りと書きました。IBMのHPでは奇形と記載していますが、‘奇形’という言葉自体が差別用語になり、HPにふさわしくないと思います。正しく書くなら四肢(指趾)の形態異常です。私が形成外科医になった頃は、小耳症(生まれつき耳がない病気)は保険に収載されていませんでした。正式には保険がききませんでした。
  日本形成外科学会HPにも記載されていますが、私たちの先輩が大変なご苦労をなさって、形成外科に対する保険適応を拡大しました。小耳症は、ある患者さんが『ぼくに耳をください』という手紙を厚生大臣に出して、新聞社が取り上げてくれてから保険が適応されるようになったと聞いています。
 生まれつき指がくっついている、指が一本多い。などの先天性の病気があります。これらも合指症手術、多指症手術として保険に収載されています。つまり保険がききます。身体の機能にさしさわりがあるかどうかの判断は不要です。ちゃんと走れるから、ちゃんと歩けるから、あなたの足趾が一本多くても保険で手術ができません、とは形成外科医だったら‘絶対に’言いません。IBM社員の子供さんが保険で手術を受けようとして、IBM健康保険組合から文句を言われたら裁判を起こせば勝てます。
 私が医学部や看護学校で講義を担当した時に、ワキガは保険で手術できる。○か?×か?というテストをすると、ほぼ100%の学生が間違います。講義でワキガは保険適応になると話しても、しっかり聴いていない学生は間違います。
 他人が気にならないような軽微なキズは確かに保険で治す必要はありません。しかし、もし交通事故などで誰かにつけられたキズだったとすると、どんなに目立たないキズでも治せるものは治してくださいと言われます。車だってそうですから人の顔だったらなおさらです。
 キズも健康保険が適応にならなければ自由診療になります。自由診療はそれぞれの診療所や病院が自由に料金を決めることができます。
 ブラックジャックじゃありませんが、私が手術すればキズ1㎝治すのに100万円ですというのも合法です。保険にない手術は保険請求できなので任意保険で治すにしても、とてつもない料金を請求されることが考えられます。
 ワキガ手術は保険外だと思ったIBM社員の方は、100万円もする診療所へ行って騙されるかもしれません。社員のためにもワキガ手術は健康保険で治した方がいいと私は思います。IBM健康保険組合の方には、是非考えていただきたいと思います。

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医学講座

眼瞼下垂症と保険適応

 眼瞼下垂症は‘病気’なので保険適応になります。と昨日記載しました。どの程度の眼瞼下垂なら保険適応になるのでしょうか?というお問い合わせをいただきました。
  どの程度だったら保険適応になるか?という厳密な規定は現在のところございません。保険医の判断に委ねられているのが現状です。ただ、保険医も監査や審査を受けますので、いい加減な診療をしていると保険医を取り消されます。
 陥没乳頭手術は注釈に‘授乳障害のある陥没乳頭に対して乳頭形成を行った場合に算定する(保険の対象になる)’と規定があります。ところが眼瞼下垂症には注釈がありません。
 保険適応になるかならないかは国が決めた決まりがあります。健康保険で治療を受けられる病気やけがとは、保険医が診療の必要を認める状態をいいます。ですから、単なる疲労とか、美容整形、正常なお産、健康診断などは、健康保険では診療できません。ただ誤解も多く、知らないと損をします。こちらのIBM健保組合HPの記載も誤っています。ワキガ、小耳症、四肢(指趾)の先天異常はいずれも保険適応になります。
 札幌美容形成外科を開業して間もない頃でした。あるご婦人が眼瞼下垂症手術を希望なさって来院されました。そのご婦人は片眼が義眼でした。両眼とも眼瞼下垂症があり、見えるほうの目で見ても瞼が下がって明らかに見にくそうでした。そのご婦人は、以前別の病院で眼瞼下垂症手術を受けたことがおありでした。
 私は大変申し訳ありませんが、義眼の目は保険適応になりません。と申し上げました。眼瞼下垂を手術して治しても視力が改善して見えるようにはならないからです。
 その方は、以前別の病院で手術を受けた時には、義眼の目も保険で眼瞼下垂症の手術を受けられたので聞いて欲しいといわれました。私は北海道社会保険事務局に内議(問い合わせ)をしました。担当の先生は、眼瞼下垂症で肩こりや頭痛などの症状があり、社会通念上、手術が必要と認められれば、保険適応にして構わないと回答してくださいました。保険の審査でも特に問題はありませんでした。
 私は、眼瞼下垂症の手術適応は、①アゴを上げてモノを見ている。②正面を見た時に、瞳孔が睫毛や瞼で隠れて視野が狭くなっている。③肩こりや頭痛など眼瞼下垂による症状がある。などを総合的に判断して保険適応を決めています。
 保険適応の判断は都道府県によっても異なります。一般的に大学病院や総合病院の形成外科は保険適応にしてくれると思います。日本形成外科学HPなどでお近くの認定施設を探して相談なさってください。

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医療問題

眼瞼下垂症とコンタクト

 眼瞼下垂症はコンタクトレンズと関係があります。コンタクトは眼球の上に薄いレンズを置いて視力を調節する医療機器です。ご存知のようにコンタクトにはハードとソフトの2種類があります。ハードの方が厚みがあります。
 腕時計を思い出してください。パネライやロレックスのような厚い時計をしてセーターを着ると時計の部分が盛り上がります。薄型の腕時計でしたらあまり気になりませんが、時計が厚ければ厚いほど盛り上がります。
 同じセーターを着続けたとします。時計が当たった部分のセーターの袖は薄くなりますね。しまいには時計の部分に穴があいてしまいます。
 目も同じです。私たちの瞼は一日に何回もなんかいもまばたきをします。目の上を瞼が往復します。その時、眼球の上にコンタクトがのっかっていると、その部分はちょうど厚い腕時計をしてセーターを着たのと同じになります。長袖のシャツでも同じです。
 気に入ったシャツを長く着ていると一番先に傷むのが袖ですね。時計が当たっていると早く傷みます。瞼を開ける筋肉はとても薄いのです。その膜のように薄い筋肉がハードコンタクトやソフトコンタクトで傷みます。
 実際にコンタクトレンズで眼瞼下垂症になった方を手術すると、ちょうど穴のあいたセーターのように筋肉が薄くなっています。その穴を繕う(ツクロウ)ように手術で筋肉を治します。何度もできる手術ではありません。
 コンタクトレンズは眼科の先生の指示ではじめて装着できます。眼科の先生かどうかもわからないアルバイトの先生に適当に診てもらってコンタクトを買うのは危険です。カラコンをディスカウントストアーで買って診察も受けないで使うのはもっと危険です。カラコンは医療機器ではないので、規制もなく何の保障もありません。通販で購入したカラコンでひどい炎症をおこしていた人もいました。
 便利でおしゃれなコンタクトも使い方を間違えると取り返しがつかないことになります。目は大切なたいせつな器官です。年をとっても目が見えるように、自分で目を守ってください。

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医療問題

眼瞼下垂症

 私は二重の手術、目頭切開、眼瞼下垂症手術など目の手術が好きです。目は人間の表情の中で極めて重要な役割をします。
 目を見てお話しをする。目は口ほどにものを言う。目つきが悪い。など目に関する表現はたくさんあります。それほど目は大切なのです。
 他院で何回埋没法の手術をしても自然な二重になりません。という主訴で来院なさる方には、かなりの頻度で眼瞼下垂症がみられます。
 眼瞼下垂症を見落として、埋没法の手術を繰り返しても、自然な二重にならないことがあります。
 小さい頃からのアルバムをご覧になってください。小学生の頃から、学級写真でいつもアゴを上げて見ている方は眼瞼下垂症です。若いのに、肩こりが強くて、指圧やマッサージにかよっていらっしゃる方も眼瞼下垂症の疑いがあります。
 眼瞼下垂症は‘病気’なので保険適応になります。大手美容外科で保険医療機関の指定をうけているところはありませんが、形成外科の先生が開業している診療所は保険適応になります。当院へ来院できない方はお近くの形成外科を検索なさってみてください。

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医学講座

専門医

 形成外科にも美容外科にも専門医制度があります。自分に合った先生を見つけるのに、専門医は一つの指標にはなります。ただ形成外科専門医だから、美容外科専門医だから、腕が良いかというと、残念ながら答えはNOです。
 2006年12月1日にも書きましたが、日本には同姓同名の2つの日本美容外科学会があります。どちらの学会にも専門医制度があります。学会HPで専門医を探すことができますが、専門医だからといって手術が上手とは限りません。日本形成外科学会専門医も同じです。形成外科専門医でも手術が下手な先生がいるのは事実です。
 美容外科は内科・外科・整形外科・脳外科などより、医者選びが難しいと思います。『私、○○美容外科で手術して大成功だった!』なんてことはあまり人前で言いません。ブログで画像つきで紹介されている方なら信用できそうですが、先生との相性まではわかりません。
 はじめて美容外科に行かれるなら、何軒かのクリニックをはしごされることをお薦めします。札幌美容形成外科へいらしていただいたお客様にも、もし迷っているようでしたら他院にも相談に行ってくださいとお話ししています。
 私は、‘イメージは自然’というキャッチコピーを考えました。自分の身内にはできないような不自然な整形はしません。もし頼まれてもお断りしています。自分の家族ならしない手術はお客様にはいたしません。
 この日記も私という人間を理解するのに、少しでも参考にしていただければと考え、毎日更新しています。ご不明の点がございましたら相談フォームからご相談下さい。

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医療問題

美容外科選び

 美容外科をどのように探すのが一番良いのでしょうか?というお問い合わせをいただきました。東京都の方からです。
 はっきり申し上げて、これほど難しい質問はありません。私が手術を受けるならこの先生と決めた方はいますが、ご質問をいただいた方に合っているかどうかはわかりません。
 今は大学病院にも美容外科がありますが、有名大学の有名な先生が必ずしもご自分に合っているかどうかはわかりません。
 ご自分でできることと言えば、ネットで検索して、その先生のHPなどを読んで、症例写真を見て、これだ!と思ったらまず予約なさることです。
 電話応対の仕方やそのクリニックへ行ったときの雰囲気から自分に合っているかどうかを判断なさってください。
 一般的にテレビで宣伝しているから、あの先生は○○というテレビに出演していたから、というのはアテになりません。テレビはとてつもなく高い広告宣伝費がかかります。料金にはテレビの宣伝費が入っていると思って間違いありません。
 人を騙すのが上手な先生もいます。言葉巧みに騙して手術をする先生もいます。唯一隠しようがないのが、実際に手術を受けた方のキズです。実際に手術を受けた方を見てキレイだったらまず大丈夫です。
 美容外科は先生との相性も大切です。何軒か信用できそうな美容外科を訪ねてみて、この先生ならと思ったところで手術を受けてください。

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医療問題

医療と広告

 平成19年3月30日付けで厚生労働省医政局長から医政発第0330014号という通知がありました。医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関して広告し得る事項等及び広告適正化のための指導等に関する指針(医療広告ガイドライン)について。という題名だけでも読む気がしなくなるような長ったらしい名前です。
 医療に関する広告は医療法で厳しく規制されています。それは次のような理由からです(厚労省の通知にあります)。
①医療は人の生命・身体に関わるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害は、他の分野に比べ著しいこと。
②医療は極めて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であること。
 今回の通知は、医療の広告をよりよいものにするために法律を改正しましたという内容です。
 信じられないかもしれませんが法律では、わきが手術という字句を広告に使うのはNGです。腋臭症手術という名称を用いなれればなりません。
 女性週刊誌を読むと、わきが手術は簡単でキズも残らず通院も不要です。という‘広告’がたくさん目に入ります。全国紙朝刊一面の下には‘わきが-超音波法-30分で治る’という‘広告’が出ています。実際に東京まで行ってそのクリニックで診察を受けると、あなたは範囲が広いから100万円かかります。と言われます。
 ローンを組んで30分で100万円の手術を受けても臭いは消えません。苦情を言っても受け付けてもらえません。先生はワキガ手術で大儲けして、脱税で捕まったことがあるなんて、後から知って、はじめてだまされたことに気づきます。札幌だけで何人も被害者がいます。
 厚生労働省は警察庁と組んで、悪質な広告をして診療を続けている診療所を摘発すべきです。
 エステの脱毛も違法です。実際に被害者となった患者様を診察している私には、上の①②が遵守されているとは思えません。

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院長の休日

鮓佐(すしさ)

 私の贅沢はおすしです。家内は神戸の出身ですが、北海道に嫁に来た理由の一つはおすしが美味しいことだそうです。
 私の行きつけのおすし屋さんは鮓佐(すしさ)さんです。ご主人は佐々木隆さん。昭和28年生まれの54歳。私より一つ年上です。佐々木さんとはじめて出会ったのは、琴似にあった‘琴ずし’というおすし屋さんでした。琴ずしのご主人は山口さんという職人さんで、今は‘すし処さっぽろ’というお店を経営なさっていらっしゃいます。
 佐々木さんが琴ずしにいらした頃からの知り合いです。私は鮓佐のおすしを食べさせていただくと、また明日から元気で働こうという意欲が出ます。とにかくネタが新鮮で美味しいです。ウニは塩水ウニです。
 こんなに新鮮で美味しいのに、価格も手ごろです。佐々木さんがお一人で握ってお茶まで出してくださいます。知る人ぞ知る、こだわりのおすし屋さんです。私の知人のANAの機長さんは東京から食べに来られます。
 鮓佐(すしさ)
 札幌市西区24軒4条5丁目9-1
 地下鉄琴似駅5番出口から徒歩2分
 地下鉄東西線の通りの上
 セブンイレブンがある交差点の角です
 電話:011-622-6797
 営業時間:12:00~22:00
 定休日:第2第4水曜日
 価格:一人前1,300円~
 ウニが入った特上は2,100円
 カウンター7席+小上り
 お電話で予約なさって行かれるのがベストです。

鮓佐の佐々木さん
(2007年4月28日)

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カラーコーディネーション

 一昨日のニトリ寄附講座の続きです。安孫子先生のご専門の一つがカラーコーディネーションです。米国の家庭ではおおよそ3色でその家のカラーを決めるそうです。ニトリの社員さんが米国研修でモデルホームを見学に行きます。そこで発見する米国流の豊かな生活は、色鮮やかな家庭です。日本でもこれからはカラーコーディネーションの時代になります。
 米国モデルハウスの壁紙、カーテン、椅子などの家具、壁のポスター。どれもその家で選んだ3色のカラーでコーディネートされています。日本では、どちらかというとバラバラになりがちな家具やインテリアがカラーコーディネーションで見事に演出されています。安孫子先生に写真を見せていただきましたが、確かに色彩豊かで落ち着いていました。
 タオル一つにしても、その家のカラーがあるのが米国流。日本では、どこかのお店からいただいた白地に字が入ったタオルと引き出物やお返しでいただいた、さまざまなブランドのバスタオルが混在しています。タオルもいわゆる手ぬぐいの大きさのタオルとバスタオルの2種類です。
 トイレのタオルも、フェイスタオルもバスタオルも色をそろえてみると、その家のカラーができます。日本では一枚で顔を洗い、頭を拭いて、ボロになったら雑巾になるまで徹底的に使います。米国では用途別にさまざまな種類のタオルを使い分けるそうです。タオル一枚にも日米の違いが出ています。私はラベンダーが好きなので、わが家はラベンダー色にしてみようかと考えました。心豊かで落ち着いた家になるでしょうか?
 安孫子先生のお名前を昨日まで間違って表記していました。先生申し訳ございませんでした。

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日米の違い

 昨日のニトリ寄附講座の続きです。㈱ニトリでは創業以来毎年、社員の米国研修があります。今年は総勢700人が渡米するそうです。ニトリの社員は米国研修でさまざまなことを学びます。
 安孫子尋美(アビコヒロミ)先生の講義で印象に残ったのが、日米の違いでした。米国では豊かさに対する感覚が日本と異なるそうです。日々の生活の中で、さまざまなものをコーディネートさせる生活が米国流の豊かな生活です。
 日本人はブランド物が大好きです。海外で高価なブランドのバッグや時計を買うのは日本人です。腕にはスイスの高級時計。バッグはフランス製の高級品。どこへ行くにも高級ブランドを身につけるのが、ステータスだと信じています。
 その結果、ラーメンを食べに行く時もロレックスをしてヴィトンのバッグを持って行き、ホテルのディナーでも同じ時計とバッグです。米国では、TPOS (Time, Place, Occasion, Life Style)によって時計もバッグも帽子も靴も使い分けるのが豊かさなのです。
 家庭でも、高価なウェッジウッドの食器を‘来客用’として食器棚の奥にしまっておき、毎日の食事はお父さんとお母さんと子供たちがバラバラの食器で済ませてしまうのが日本。米国では、食器は壊れる消耗品扱い。その日の料理に合わせて使い分けるのが米国流。
 なんでもかんでも米国流が一番とは限りませんが、確かに考えさせられることがたくさんあります。この豊かさに対する考え方の違いは、昨日紹介した渥美先生のテキストに紹介されています。

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