医療問題

豊胸手術で死亡

 平成19年10月30日毎日新聞の記事です。
 「豊胸手術ミスで死亡」女性の遺族が医師を提訴
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 茨城県つくば市の医院で受けた豊胸手術の2日後に死亡したのは手術ミスが原因だとして、死亡した会社員の女性(当時50歳)の遺族が、執刀した稲吉浩司医師(45)=東京都品川区=を相手に、約5700万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことが分かった。
 稲吉医師は今月、所得税法違反で懲役1年、罰金4000万円の実刑が確定している。診療報酬の不正請求で医業停止中の2002年には、医師として勤務したことなどが県の調べで判明している。
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 毎日新聞が入手した医療記録によると、女性は稲吉医師が実質経営していたつくば市の医院で2006年7月15日、約30年前に注入したワセリンを取り去り、シリコンを入れる手術を受けた。稲吉医師が局部麻酔をして約40分後の執刀中に痙攣(けいれん)を起こして心肺停止状態になり搬送先の救急病院で死亡した。
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 稲吉医師は眼科医だった1998年に診療報酬の不正請求が発覚。詐欺罪で有罪が確定し、旧厚生省から2000年4月に医業停止3年間の処分を受けた。しかし、処分期間中の2002年10月に水戸市内の美容外科で勤務したことが水戸保健所の聞き取りで判明している。
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 処分が解けた後に3医院を開いたが、2006年4月~8月にすべて閉院。同年12月、所得税約1億6400万円を脱税したとして所得税法違反(脱税)罪で在宅起訴された。
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 稲吉医師が実質経営していた医院のある各地の消費生活センターには「まぶたの切開をして二重まぶたにしようとしたがならなかった」「美容整形を8回分契約したが、3回で医者がいなくなった」などの苦情が計110件寄せられている。
 稲吉医師は毎日新聞の取材に「コメントすることはない」と話している。【立上修、山本将克】
(2007年10月30日毎日新聞より引用)
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 平成18年3月の朝日新聞には次の記事も掲載されています。
 茨城県や東京都で美容外科や眼科を経営する柳瀬浩司院長(43)が、2004年分までの2年間で得た診療報酬など約4億6000万円の所得を隠し、約1億6000万円の所得税を免れたとして、東京国税局が東京地検に所得税法違反(脱税)容疑で告発したことが分かった。
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 院長は架空診療で多額の診療報酬をだまし取ったとして2000年に旧厚生省から医業停止3年の処分を受けている。隠し所得には停止中の医療行為で得た分が含まれており、医師法違反の疑いもある。
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 関係者によると、柳瀬院長は2002年10月~2003年12月、水戸市内の美容外科で週3回程度の診療を行い、1ヵ月数百万円の収入を得ていた。さらに2003年6月、東京都港区に「品川イーストワン眼科」、2004年1月、水戸市に「秀聖美容外科」を開業し、院長に就任した。
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 これらの診療報酬の一部だけを税務申告する「つまみ申告」の手口で所得を圧縮。除外した主な報酬は美容外科手術など医療保険が利かない自由診療の現金収入だが、保険診療分も含まれていた。都内で経営する賃貸アパートの家賃収入も除いていたという。
 隠し所得は柳瀬院長が預金や金融商品にして管理していたとされる。
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 柳瀬院長は以前、「稲吉浩司」の名前で東京都新宿区で眼科医をしていた。この際、偽造した診療報酬明細書を社会保険の審査支払機関などに提出。診療報酬約7000万円をだまし取った詐欺罪で1998年9月、東京地裁から懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡された。
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 この結果、2003年4月までの3年間の医業停止処分を受けたが、期間中の2000年9月に婿養子となって姓を変え、水戸市の美容外科で診療していたことが判明。2001年9月から2002年にかけ、東京都渋谷区で眼科を開業していたこともわかり、同区は医師法違反にあたるとみている。
 朝日新聞の取材に、柳瀬院長の広報窓口という秀聖美容外科の事務長は「査察を受けたのは事実。すでに修正申告や納税を済ませた」と話した。柳瀬院長は取材に応じなかった。
(2006年3月朝日新聞より引用)
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 亡くなられた女性に心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。
 事故が起きたのが2006年7月です。2006年3月には柳瀬浩司の名前で報道されています。
 平成18年3月の朝日新聞には「秀聖美容外科」というクリニック名が出ていますが、他紙では「つくば市にオープンした美容整形外科医院」しか出ていなかったところもあります。今回の毎日新聞でも「つくば市の医院」しか出ていません。
 亡くなった女性も、まさか脱税や医師法違反で捕まったことがある‘先生’とは夢にも思っていなかったと思います。
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 重大な犯罪では容疑者でも名前がすぐに報道されますが、医療事故や脱税などはなかなか病院名まで出ません。
 今回の医療事故も死亡事故でありながら、遺族が医師を訴えたという民事訴訟のためか、毎日新聞以外では報道されていません。
 医療事故を起こしても、立件されて起訴、有罪が確定し、医道審議会で医師免許が剥脱されても大きく報道されないことがあります。
 過去に脱税で有罪が確定した‘先生’の書籍広告が、朝日や道新などの一面の下に堂々と掲載されています。
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 消費者が美容外科を選ぶのは本当に難しいと思います。
 この死亡事故は痙攣を起こしているので、局所麻酔薬による中毒が考えられます。過去に札幌市内でも同じような事故がありました。
 局所麻酔薬は非常に低い確率ですが、中毒を起こすことが知られています。
 万一、事故が起きても、適切に対処できるかどうかで生死が別れます。助けられる技術と設備が必要です。
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 局所麻酔薬は、私たちも毎日使用しています。美容外科を開業する一人として、十分に気をつけなくてはならないことだと思います。
 稲吉医師は順天堂大学医学部を卒業し、眼科専門医も取得した‘先生’だったようです。
 どうしてこのような事故を起こしたのか?同業者の一人として本当に残念に思います。
 最後にもう一度、亡くなった女性に心から哀悼の意を表し、ご冥福をお祈りいたします。

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医療問題

カラコンに注意

 平成19年10月29日朝日新聞朝刊の記事です。
 カラーコンタクト規制へ 警告表示を検討
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 おしゃれ用品として人気のカラーコンタクトレンズによる目の病気が後を絶たない。学会の全国調査では一ヵ月で27件にのぼり、入院例も見つかった。医療用と違って品質や販売に規制はなく、独立行政法人の製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))は10月29日、調査委員会を発足させ、経済産業、厚生労働両省とともに警告表示を義務化する方向で対策に乗り出す。
 視力補正が目的でないおしゃれ用のカラーコンタクトは、「瞳がぱっちり大きく見える」「青や茶色の瞳でモテる」などの宣伝で、10年ほど前から若者に人気の品だ。1セット2,000~8,000円程度で、量販店やインターネットで売られている。
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 日本眼科医会や日本コンタクトレンズ学会でつくる協議会が昨年10月、全国213の眼科病医院の協力で調べたところ、おしゃれ用カラーコンタクトによる目の病気は一ヵ月間で27件報告された。うち失明につながる恐れのある角膜潰瘍(かいよう)・角膜浸潤も9件あった。
 製品事故情報を集約しているNITEによると、8、9月には北海道の医師から角膜疾患3件の情報が寄せられた。埼玉県消費生活支援センターからは今月、「県内の10代男性が角膜潰瘍で入院した」との通報があった。患者の男性は「量販店で買った。着けて違和感があったので外したが、右目が曇って見え、両目が開かなくなった」と話したという。
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 カラーコンタクトには医療用とおしゃれ用の2種類がある。視力を補う医療用は薬事法で品質や販売が規制されているが、おしゃれ用は雑貨品扱いで規制がない。業界団体もないため、業者の数や売上高すら分かっていない。
 国民生活センターが2005年度、おしゃれ用10銘柄を調べたところ、4銘柄で色素の流出が見つかった。うち2銘柄は細胞毒性も検出され、かゆみの原因になる「眼粘膜刺激」を起こす恐れがあるとわかった。
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 問題は国会でも取り上げられ、経産、厚労両省は5月、小売各団体に対し、使用上の注意を客に十分知らせるよう文書で要請した。
 両省とNITEは、流通と健康被害の実態を調べる調査委員会を設置、その初会合を10月29日に開く。委員は、眼科医やメーカー、消費者団体の代表ら19人の予定。経産省製品安全課は「これまで対策が抜け落ちていた。実態を確認し、規制の可能性を話し合いたい」としている。
(以上、朝日新聞より引用)
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 カラーコンタクトの危険性は、2006年2月に国民生活センターから発表されています。
 平成18年2月4日の新聞でも報道されています。
 国民生活センターの詳しい調査結果は、こちらのPDFファイルでご覧になれます。
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 カラコンは、瞼が下垂傾向で、黒目が小さく見える方が、目を大きく見せるためによく使用していらっしゃいます。確かに、目は大きく見えますが結膜に炎症が起きていて、二重手術ができないこともあります。
 カラコンをするのでしたら、是非、眼科で診ていただいて、眼科で購入してください。

カラーコンタクトレンズ、瞳が大きく見える
朝日新聞より引用

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医学講座

産科医冥利

 メディカルトリビューンという医師向けの新聞に、日本産婦人科医会会長、浜松医科大学長の寺尾俊彦先生のエッセイが掲載されていました。
 産科医冥利(ミョウリ)という心に残る文章です。少し長いですが、一部をご紹介します。
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 今、日本の産科医療の崩壊が始まったと言われている。毎年数千人単位で医師数が増加していくというのに、産婦人科の人気は低迷していて、残念なことに、産婦人科の医師数はむしろ減少傾向にある。
 産科に携わる医師数が少なければ安心・安全な産科医療ができない。その増加が喫緊の課題になっている。
 産科医には昼夜の区別がなく、宿命的とも言える宿日直がある。宿日直明けにも激務が待っている。
 我々はこんな生活を当たり前として受け止めていたが、今の学生には耐えられないことと映るらしい。
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 一旦、産科医になってしまうと、「こんなに楽しい診療科は無い」と異口同音に産科医は言う。私もこれを実感してきた一人である。産科医になって50年近くになるが、年を重ねるにつれ、産科医になって良かったとしみじみ思う。
 赤ちゃん誕生の感激は勿論、その赤ちゃんの成長も楽しみである。
 成長ぶりを写真で知らせていただいたり、その子の結婚式に招いて下さることもある。年賀状には孫ができたとの便りも多くなった。
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 産科医の楽しさ、良さを、私たちはもっと学生に伝える必要があると思っている。そこで、その二、三の例を紹介したい。
 先ず、産科医冥利につきると思ったこと、話は40年前に遡る。当時、私は名古屋大学医学部附属病院に勤務していた。
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 ある日、浜松から患者さんが診察にみえた。幼いころ、脊柱が湾曲する病気にかかり、身長が中学生位の方だった。
 大学で福祉の勉強をしたという、とてもかわいらしい女性である。卒業後、高校教諭と結婚したが、出産はあきらめていた。どの産婦人科医に尋ねても無理とのこと。
 しかし、愛する夫の子がどうしても欲しいと遂に名古屋まで来たという。
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 正直、私も無理かと思った。子宮が大きくなるにつれ腸の行き場がなくなり食事ができない、また、背骨が痛むのではないかと心配した。
 しかし、話をしているうちに、この方の明るさと前向きな姿勢なら、ひょっとしていけるかもしれないと思うようになった。
 結局、浜松から名古屋まで通っていただき、帝王切開で無事、男の子が誕生した。更に数年後には女の子が誕生した。
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 ある日、「私のことが新聞に載っているから見て下さい」との便りをいただいた。
 読売新聞社の「心に残る医療」体験記コンクールで、この方の「大丈夫。頑張りましょう」が厚生大臣賞に選ばれたという記事であった。
 また、数日後、その新聞の一面コラム欄(読売手帳)に、この体験記と私のことが紹介され、最後に「長男は医学部に進んだが、患者思いの医師になることだろう」とあった。
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 連絡したところ、長男は名古屋大学医学部、妹は南山大学の学生であるという。
 この長男が卒業後2年間の研修医期間を終え、私たちの産婦人科教室に入ってくれた。さらにまた、結婚し、私たち夫婦が仲人をさせていただいた。
 最近、この夫婦にも赤ちゃんが誕生したが、将来きっと素晴らしい医師になってくれるに違いない。
(以上、メディカルトリビューンより引用)
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 当直が多い、訴訟が多いと、産婦人科は医学生や臨床研修医から嫌われているようです。
 このお話しを読んで、一人でも多くの産婦人科医が誕生してくれたらと思います。美容外科では絶対に経験できないことです

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手のぬくもり

 幼稚園で、はじめて異性と手をつないでお遊戯をする。もう忘れてしまった記憶ですが、誰にでもある想い出です。
 今の時代には、『おじさん何言ってんの!』と笑われそうです。
 手をつなぐ、手を握るという行為は、心の温かみまで伝えてくれます。
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 私たちの手は、さまざまな作業をするため、実に精密に作られています。
 目以外に字が読めるのは手だけです。
 ホッペに点字を当てても読めません。
 指先には神経のセンサーがたくさんついているので、細かな違いも読み取れるのです。
      ■         ■
 手が温かいのは、血流があるからです。手には細かな血管網が密にめぐっています。
 手は細かい動作をするために、何本もの腱というスジがあります。前腕にある筋肉が収縮して、手の腱を引っ張るので、重いものも持てます。
 手にも筋肉があります。筋肉が収縮するためにはエネルギーが必要なので、血管が発達しています。だから手は温かいのです。
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 手当て(テアテ)という言葉があります。手当てをできるのは、お医者さんだけではありません。
 おなかが痛い時に、そっと手を当ててください。誰かの手を当ててもらうのもよいです。
 手のぬくもりが伝わり、痛みが和らぎます。
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 はじめての手術で、ガチガチに緊張している人がいます。
 緊張すると交感神経が働き、手足の血管を収縮させます。すると手足はスーっと冷たくなります。
 他の人の温かい手で、冷たい手を握ってもらうと、温かさが伝わり緊張もほぐれます。
 手を握るだけで、『がんばってください!』という声援が伝わります。手を握ってもらっていると安心感があります。
 人の手は、どんなに優れた鎮静剤や麻酔薬より効果的です。副作用もありません。
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 手術をするのも手。よいことをするのも手。悪いことをするのも手です。
 神の手、巧の手(タクミノテ)、ゴットハンド。
 手を組む。手を結ぶ。手を取り合う。
 悪に手を染める。麻薬に手を出す。手くせが悪い。
 あの手、この手など手に関する言葉もたくさんあります。
 手の握りかた一つで、気持ちも伝わります。
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 私たちの医業は、人の手がなくてはできない業種です。何をするにも手がかかります。手間隙(テマヒマ)をかけないとよい仕事はできません。
 医療に携わる(タズサワル)人は、自分の手を大切にし、自分の手で他人に喜ばれ、自分の生活を支えなくてはなりません。
 せっかく時間をかけて鍛えた手です。自分が元気な間は、手を動かし、手をかけて、人に喜ばれる仕事をしたいと考えています。
 私を含め、札幌美容形成外科の職員の手は、いつもキレイで温かです。私たちの手のぬくもりが伝わるような仕事をしたいと願っています。

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医療問題

サミット救急医療

 2007年10月26日北海道新聞朝刊の記事です。
 -救急医療態勢立ち遅れ-対テロ機関連携が急務
 「沖縄」は1年前から準備

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 来年七月の北海道洞爺湖サミツトで、首脳らを狙ったテロなど不測の事態に備える救急救命医療態勢づくりが急務となっている。
 国は今月ようやく作業に着手したが、テロなどの恐れは2000年の沖縄サミット時と比較にならぬほど高まっており、関係者の間には作業の遅れに懸念も広がっている。
      ■         ■
 札幌市内のホテルの一室に20日夜、国や道、それに道内外の医療関係者が集まった。会合の狙いは、サミット開催期間中の救急救命態勢をいかに構築するか。関係者にとって、初めての意見交換の場だった。
      ■         ■
 沖縄サミットの際は、ほぽ一年前から救急医療態勢が始動していた。厚生労働省は「北海道は医療基盤が整っている」と、沖縄との違いを説明するが、サミットの救急救命態勢は警備と並ぶ最重要課題。不測の事態の際の要人救護はもちろん、騒乱などによる傷病者の大量発生にも備えなければならない。
      ■         ■
 2005年のクレンイークルズ・サミット(英国)ではロンドン同時爆弾テロが発生。2001年のイタリアではデモ隊の一人が死亡し、今年のドイツでもデモの一部暴徒化で多数の負傷者が出た。
      ■         ■
 関係機関の連携も大きな課題だ。サミットの救急医療態勢は、複数の省庁や医療機関などが参加する。関係者の一人は「要人の情報など機密も絡むだけに、各機関の連携を円滑にするためにも、早く態勢を立ち上げて備えなければならない」と指摘する。
      ■         ■
 沖繩サミットでは、医師ら約200人が全国から集結。毒劇物や感染症の専門医も加めった。生物・化学兵器に対する防護マスクや除染テントの準備のほか、首脳を関係者以外の目に触れさせない動線の確保など、細かい態勢を整えた。
 沖縄サミットで国の医療対策本部に参加した札幌医大の浅井康文教授は、「万一の事態を想定した万全の態勢づくりが必要」と話している。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 のん気な厚生労働省は『北海道は医療基盤が整っている』と、言っているそうですが、とんでもない誤りです。
 北海道の医療機関は、国の医療費削減政策で疲弊しています。特に、洞爺湖がある胆振管内は、唯一の救命救急センターである、日鋼記念病院が機能していません。
 日鋼記念病院がゴタゴタしているおかげで、お隣の市立室蘭総合病院や新日鉄病院も大変です。
      ■         ■
 私が札幌医大に在籍してた時に、有珠山が噴火しました。洞爺湖は有珠山が噴火してできた、カルデラ湖です。
 サミット会場のウインザーホテルからも有珠山はすぐ近くです。
 有珠山噴火によって、ヤケドの患者さんがたくさん出たら、北海道としてどうやって対処するかを検討しました。
 高度救命救急センターである、札幌医科大学ですら、重症のヤケド患者さんを、一度に数十名も治療することは不可能です。
      ■         ■
 もし、サミットの際に集団テロで、一度に数百人もの人が負傷したら、大都市の札幌ですら対処するのは大変です。
 浅井教授は、その辺のことは十分にご存知です。
 サミットを洞爺湖に決めた安倍首相はもう退任されました。厚生労働大臣も年金問題でサミットの医療問題どころではなさそうです。
      ■         ■
 救急医を全国から集めただけでは救急医療はできません。
 看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師、医療事務、病院の設備、一つ欠けても病院として機能しません。
 テロが起きてからでは遅いのです。国立災害医療センターなどの専門家を交えて、慎重な討論と準備が必要だと思います。

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私立医大納付金

 2007年10月22日朝日新聞夕刊の記事です。
 私大医学部納付金値下げ続々
 国立大の定員増視野に

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 都内の私立大医学部が来春人学者の入学金や授業料などの納付金を相次いで値下げする。優秀だが経済的余裕がない学生を迎え入れるのが狙いだ。来春には地方の国立大医学部が定員を増やすことが決まっており、優秀な学生を獲得しようと私立と国立の競争は激しさを増している。
      ■         ■
 昭和大医学部(品川区)は来春から、6年間合計の納付額を今より400万円安い2650万円とする。入試の成績上位者は、500万円安くする。守屋明俊教務部長は「最近、学生の水準が、学力以上に人間性の面で低下している。両方優れているのに高い学費を理由に受験をあきらめている受験生に来てほしい」と話す。
 同大の06年度の収入は1056億円。学生納付金は100億円で、付属病院の医療収入647億円に次ぐ大きな収入源だ。今回の値下げで年間5億円の減収となるが、守屋部長は「現在の利益でぎりぎり対応できる。いっそう経費節減を進めていきたい」。
      ■         ■
 さらに大幅な値下げに踏み切るのが順天堂大(文京区)だ。880万円引き下げて同2090万円とする。日本医科大(同)は同27万円減だが、保護者に負担感が大きい初年度納付金を588万円と52万円値下げする。
      ■         ■
 日本私立医科大学協会によると、現在、医学部生が6年間で支払う納付金の平均は、国立大が350万円なのに対し、私大は10倍近い3357万円。私大が医学部生1人を6年間教育するのに約1億円の経費がかかるため、容易には値下げに踏み切れないという。
      ■         ■
 今回の動きについて、代々木ゼミナールの坂□幸世本部長は、地方の医師不足対策として来春、地方国立大医学部の定員が8校で計80人増えることの影響を指摘。「値下げする3大学とも伝統校で、内部留保に余裕があるから実現できた面もあるだろう」(増谷文生)
 (以上、朝日新聞より引用)
      ■         ■
 クリニックや先生を選ぶ時に、出身大学を参考にすることがあります。
 私立医大に高額の入学金や寄付金を払って入学したので、‘あの先生は金儲け主義’と考えるのは、必ずしも正しくありません。
 私の高校の同期にも、私立医大に入学した人がいましたが、全員とても良い先生です。
 私立でも、慶応大学医学部や慈恵医大は、他大学と比較して入学金が安くなっています。それでも、国公立よりは格段に高いですが…。
      ■         ■
 美容外科医としての腕になると、旧帝大卒の先生より、腕の良い私立医大卒の先生がたくさんいらっしゃいます。
 もともと、美容外科は‘下賎な医業’と見下されていた時代がありました。
 日本の美容外科に名前を残している、著名な美容外科医は、多くが私立医大の卒業生です。
      ■         ■
 一番問題なのは、外科的なトレーニングもせず、学会にも参加しない、一匹狼のような‘先生’です。
 TVで取り上げられて問題となった、リピーター医師(医療事故を繰り返し起こすリピーター)です。彼は有名国立大学を卒業しました。
 国立大学を卒業したから、お金で私立医大に入ったからで、その先生を見分けるのは危険です。
 私立医大を卒業して立派に開業して、患者様から感謝されて盛業中の先生を何人も知っています。
      ■         ■
 国公立大学を卒業しても、私立医大を卒業しても医師免許証は同じです。国立大学医学部でも医師国家試験に落ちる人もいます。
 先生を選ぶ時は、大学はひとつの目安に過ぎません。‘彼氏’を選ぶ時と同じように、本当にその‘先生’と相性がよいか、腕がよいかを慎重に選んでください。

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院長日記一周年

 2006年10月22日から日記を書き始めて、丸一年が過ぎました。われながら、よく一年も毎日書き続けたものだと感心しています。
 実は、今日の日記を書き始めるまでは、10月25日から始めたと思い込んでいました。初期のアルツハイマーです。
 息子にも家内にも『大丈夫?』と言われる始末です。
      ■         ■
 この一年で実にいろいろなできごとがありました。人生で一番辛かった一年でした。
 クリニックを開業した時も、大学をクビになった時も、いろいろ大変でしたが、何とか自分で乗り切ってきました。
 昨年末に、信頼の絆を切られて、落ち込みました。
 絆を切ったのは私の娘です。私なりに教育も授けて、話しもして、しっかり育てたつもりでしたが、見事に裏切られました。
      ■         ■
 父親としての自信、教育者として自信、医師としての自信のすべてを失いました。
 大切に育てていたラベンダーも手放し、自宅も転居しました。
 正直に申し上げると、事業の継続を断念しようと考えたこともありました。
 今、日記を読み返してみると、いたるところに私の苦悩が出ています。
      ■         ■
 私が、事業の継続を断念しようと考えるほど落ち込んでいた時に、救ってくれたのは、札幌美容形成外科の職員とお客様でした。
 日記を読んだ、たくさんのお客様から声援をいただきました。
 わざわざ私を励ましに、遠方から駆けつけてくださった保健師さんもいらっしゃいました。
 友人や先輩の諸先生にも助けていただきました。本当にありがとうございました。
      ■         ■
 他人から見ると、順風満帆に見えるかも知れませんが、私の人生は波乱万丈です。
 よく職員に、『こんな可愛そうなオヤジはいないよなぁ!』と話しています。
 娘のことで、家内と何度も大喧嘩をしました。本当に、昨年の暮れから人生が変わりました。
 日記を書いていて、一番困ったのが、元気がない時に元気なフリをして書かなければならなかったことです。
      ■         ■
 私は家内に、一年365日、一日も休まずに日記を書き続ける美容外科医はいない。と豪語して書いていました。
 ところが、塩谷先生にはあっさり負けました。塩谷先生は、私のはるか上を行かれています。
 日記を書いたおかげで、自分が一年前、一ヵ月前、半年前にどんなことを考え、どんなことをして、何を書いていたかがはっきりわかります。
      ■         ■
 これから、どのように日記を続けられるか、わかりませんが、できる限り、本間賢一という一人の人間が生きた証(アカシ)を残したいと考えています。
 これからも、何卒よろしくお願い申し上げます。

自宅で日記を書いているところです

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院長の休日

北大の紅葉

 今日は朝から快晴で天気が良かったので、北大構内を散策してきました。
 北大は知る人ぞ知る、紅葉の名所です。189万の人口がある都市の中心部に、これだけの緑が残っているのは札幌市民の財産です。
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 今日は北大正門(北9条)から入りました。北大構内に一歩入ると、緑の香りが漂ってきます。
 紅葉が始まっているのはモミジでした。北大病院の近くには、イチョウ並木がありますが、イチョウの紅葉はまだでした。例年、10月末には見事な黄色のトンネルができます。
 銀杏(ギンナン)を拾いに来る市民やたくさんの写真家もいらっしゃいます。
      ■         ■
 北大病院の研修医をしていた頃に、夜、イチョウ並木の下を歩いて、銀杏を踏みつけて、靴に臭いがついて困った記憶がありました。
 夜のイチョウ並木は、あまり明るくないので、気をつけないと銀杏を踏みつけてしまいます。
 たまに、銀杏の実でかぶれる方もいらっしゃいますので注意してください。
      ■         ■
 今日、写真を撮ったのは、クラーク会館の前です。
 クラーク会館(通称クラカン)には、パイプオルガンのある講堂や北大生協の食堂があります。
 昔は書籍部という本屋さんもありましたが、現在は近くの生協会館2Fにあります。
 現在、クラーク会館は耐震補強工事の最中で食堂は休業していました。
      ■         ■
 正門から入って、右手に北海道大学本部の建物があります。北大総長や副学長など、偉い方がいらっしゃる重厚な建物です。
 その本部を過ぎてから、右手奥に、百年記念会館があります。北大創基百周年記念事業の一環として昭和52年に建設されました。
 地階に「きゃら亭」というレストランがあります。日替わり定食が2種類あり、\700と\740でした。サラダバーとドリンクバーがついています。月曜日~金曜日 (祝日及び年末年始を除く)11時~19時までの営業です。
 今日は、学術交流会館で学会があったのと、お昼に行ったので混んでいました。
 70歳台と思われる、年配の市民グループの方がたくさんいらしていました。
 1階ロビーには百年史を解説する写真や資料があり、無料で閲覧できます。
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 これから、一日ごとに寒くなり、一日ごとにイチョウ並木が黄色く色づきます。
 札幌美容形成外科の近くにある、北3条通りにも道庁までイチョウ並木があります。
 あと一ヵ月もすると、夏タイヤからスタッドレスタイヤへの履き替え時期になります。
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 つかの間の秋ですが、機会があれば是非、北大構内も散策してください。
 私のお薦めコースです。

北大構内で

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司法試験合格年3000人

 平成19年10月20日、朝日新聞朝刊の記事です。
司法試験合格年3000人計画 弁護士会から反対続々
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 司法試験の合格者を年間3千人に増やす政府の基本計画について、中部弁護士会連合会(1568人)は19日の定期大会で、「弁護士制度の変質を招く」として反対する決議を可決した。
 全国8ブロックにある弁護士会連合会による反発の動きは、先週の中国地方弁護士連合会(733人)に続き2例目。司法をより身近にし、弁護士偏在の解消への期待もかかる法曹人□増に対し、競争激化や人材の質の低下を懸念する弁護士の声が相次いで表面化した形だ。
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 決議は「弁護士数の急激かつ大幅な増加は、弁護士界に深刻な事態を引き起こしている」とし、日本弁護士連合会に増員計画の見直しを政府や国民に訴えるよう求めている。拘束力はない。
 定期大会には計212人が出席。「すでに新人弁護士の就職難の状況が出ている。過当競争で倫理が低下し、公共的な活動をなおざりにするなどの弊害が出れば、我々のみならず国民にとっても不幸だ」と提案理由が説明された。
 討論では決議について「『業界利益を守るうとしている』と見られる」「競争すれば質は向上するはず」との反対意見も出た。賛成162人、反対29人(留保・棄権21人)で可決した。
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 中国弁連は12日に「司法試験の合格者数を適正水準まで削減するよう求める議題」を採択。賛成134人、反対64人だった。
 埼玉弁護士会は12月の定期人会に同趣旨の議案を提出する予定だ。千葉県弁護士会も17日の常議員会で「弁護士増員問題対策本部」を設置する決議を採択した。
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 司法試験合格者は65~90年は年間500人前後、99年は1千人。政府の司法制度改革審議会は2001年の最終意見書で「2010年ころに年間合格者3千人」の目標を打ち出した。
 日弁遮の藤井伊久雄副会長は「決議は重く受け止めている。3千人の基本方針に沿ったうえで、指摘されている問題について検証を行いたい」と話している。(花野雄太)。
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 同日の社会面には関連した記事が掲載されていました。
 法曹人口増就職難など懸念噴出「業界のエゴ」批判の声も
 法律家の数を増やす政府の計画に反対する動きが相次いで表面化し始めた。司法制度改革に携わった弁護士らからは批判も出ている。
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 日本弁護士連合会は2000年の臨時総会で「3千人」を認める決議案を賛成多数で採択したが、当時から会内には不満や不安がくすぶっていた。いま反対の決議が相次ぐのは、需要増が見込まれていた自治体や企業による雇用が進まないうえ、司法研修所の卒業試験で史上最多の不合格者が出て「質の低下」が話題に上るようになるなど、当初の懸念が顕在化し始めたことが背景にある。
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 見直し論は政府与党内にも浮上している。鳩山法相は[毎年3千人は多すぎる」と主張。自民党司法制度調査会も16日、小委員会で見直しの検討をすることを決めた。臼井日出男・調査会長は「増やす、増やすで来たが、量と質の問題として考え直す時期だ」と話す。
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 こうした流れに対して、司法制度改革に携わった弁護士を中心に「業界のエゴだ」と批判する声も強まっている。ある弁護士は「はしごを外されるような議論だ。社会の隅々まで市民の法的二ーズを満たすという目標を捨てて『就職難だから減らせ』ということが国民の理解を得られるとは思えない」と話す。(市川美亜子)
  (以上、朝日新聞より引用)
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 医者も弁護士も、社会的な地位が高く、人の役に立つ安定した職業と見られてきました。
 現在、医師不足が叫ばれていますが、私が医師を志した30年前には、将来は医師過剰時代になると言われていました。
 今の医師不足は、厚生行政が招いた‘人災’であり、医師が偏在しているだけだと私は考えます。
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 私は、司法試験は難しくするべきで、安易に弁護士の数を増やすべきではないと考えます。
 米国を見ると、すぐに何でも裁判です。お金になりそうな裁判にだけ飛びつく弁護士もいるそうです。
 弁護士の安売りはいただけません。やはり、弁護士は人物・知識・経験がすべて揃っている方になっていただきたいと思います。
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 医師不足だからといって、医師を促成栽培で大量生産しても医療はよくなりません。
 弁護士を一挙に何倍も大量生産すると、訴訟だけが増えて、世の中が険悪になりそうです。
 試験を容易にして、誰にでも運転免許を与えると交通事故が増えます。いたずらに弁護士を増やすと冤罪や不要の裁判が増えそうです。

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医療問題

喫煙者率

 平成19年10月18日、北海道新聞朝刊の記事です。
 全国の喫煙者率 道内男性急落、3位に 女性ではダントツ
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 日本たばこ産業(JT)は10月17日、今年の全国の喫煙者率調査を発表した。全国9地域のうち北海道は、男性の喫煙者率が前年比8.5ポイント減の42.4%で昨年の首位から3位になった。女性は同3.1ポイント減の19.4%で首位だった。
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 北海道の男性が3位になるのは1983年以来24年ぶりで、喫煙者率は10年で21.5ポイント低下。女性は30年以上、北海道の首位が続いている。道内女性の喫煙者率の高さについて、JTは「他地域よりも多いといわれる社会進出と関係あるのでは」という。
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 全国の喫煙者率は、男性が同1.1ポイント減の40.2%、女性が同0.3ポイント増の12.7%。男女平均は26.0%で12年連続して低下した。
 調査は5月に実施し、約19,200人から回答を得た。
  (以上、北海道新聞より引用)
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 海外では、タバコとキズの治りに関する研究が多数報告されています。下の論文は1996年の米国形成外科学会雑誌に掲載された論文です。
 ネズミにタバコを吸わせて、皮弁の生着(キズの治り)を調べた研究です。
 The Effect of Cigarette Smoking on the Survival of Free Vascularized and Pedicled Epigastric Flaps in the Rat.
 Plastic and Reconstructive Surgery: Volume 97(1) January 1996 pp86-96
 結論は、タバコを吸うと皮弁の生着が悪くなる。つまりキズの治りが悪いということです。
 In conclusion, this study proves that smoking of cigarettes is detrimental to the survival of free vascularized flaps.
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 北海道の女性喫煙者率が日本一なのは、他地域と比較して社会進出が多く、自立した女性が多いことと関係があるようです。
 美容の立場から言うと、残念なことにタバコは百害あって一利なしです。
 タバコは血管収縮作用があるので、皮膚血流が悪くなります。どんなにお手入れをしても皮膚の血流が悪くなると新陳代謝も落ちます。
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 タバコは発癌物質の集まりですから、煙が通る、口腔(コウクウ)、咽頭(イントウ)にガンができます。
 咽頭癌(イントウガン)と聞いても、ピンとこないと思います。
 簡単に言うとノドの奥にガンができます。声帯という声を出す部位にガンができると声が出なくなります。
 キレイな可愛い声が、魔女のようなシワガレ声になります。最悪の時は手術で声帯をとってしまいます。
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 ノドの奥にガンができると食事もできなくなります。
 食べるという、人間にとって最大の楽しみである食事ができなくなるのは、とても辛いことです。
 ガンになってはじめてその辛さがわかります。タバコでノドがイガイガする人は、そこにガンができたらどうなるか考えてみてください。
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 ちょっとしたイタズラ心ではじめたタバコは、依存性があるため、やめるのが大変です。
 これからの世の中は、タバコを吸う人はますます肩身が狭くなります。
 今日からでも遅くはありません。キレイになりたい人はタバコを吸わないでください。

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