医学講座
赤ちゃんの舌先がW字形
平成21年1月25日(日)朝日新聞朝刊の記事です。
どうしました
赤ちゃんの舌先がW字形
さかもとひろかず
阪本浩一さん
兵庫県立こども病院耳鼻咽喉科医長=神戸市
1歳半になる孫の男児。
舌を前に出すと丸くU字形になるはずの舌先が、Wのようにみえます。舌の動きが不自由なので、言葉の発音がきちんと出来るよう手術が必要になると聞きました。今は赤ちゃん言葉でよく話すのですが、早く手術した方が良いのでしょうか。 (兵庫県・S)
Q 舌を出すとWのようにみえるそうです。
A 舌の裏と口の中の下側をつなぐ舌小帯という薄い膜が生まれつき短いと、舌の先端が下側に引っ張られWのようにみえることがあります。舌小帯短縮症と呼ばれ、軽度も含めると新生児の数%にみられるという報告もあります。
Q 哺乳への影響は。
A 以前は、舌の動きが不自由になり母乳がうまく吸えなくなるとの見方もありましたが、舌小帯がよほど短い場合を除き、哺乳に影響がないとわかりました。心配な場合は、小児科の受診をお勤めします。呼吸障害との関係が指摘されることもありますが、直接的な因果関係を示す報告はまだありません。
Q発音への影響は。
A 舌を前に出して下唇を超えるようなら、まず影響はありません。舌小帯がそれより短いと、まれにラ行の発音などに影響が出ます。ただ、日本語の発音を習得し終えるのは6歳ごろ。それまでは、発達過程なのか、舌小帯の影響なのか判断は難しいです。
Q しばらく様子をみていいのですか。
A はい。発音は、成長とともに改善する子が多いので、ラ行の音を習得する4、5歳まで経過をみます。それ以降も発音に障害があれば、言語聴覚士がいる耳鼻咽喉科の受診をお勤めします。難聴がないかを検査して確かめ、発音の障害だけなら言語聴覚士による訓練が勧められます。その結果を踏まえて手術が必要か判断します。
Q どんな手術ですか。
A 舌小帯を切開し、再癒着がないよう舌の裏や口の傷跡を縫い合わせます。耳鼻咽喉科や形成外科で手術ができます。9歳で手術を受けて発音障害がなおった子もいますので、急ぐ必要はありません。だが、発音が気になるようなら、小学校入学前に手術の判断も含め、受診すると良いでしょう。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
私自身がこの舌小帯短縮症でした。
見つかったのは、札幌医大の学生の時です。
6年生で耳鼻科のポリクリという実習がありました。
学生同士が、指導教官の下で、
お互いのベロを引っぱって、
ノドの奥の声帯を見る実習があります。
教官が私の舌を引っぱって、
『舌小帯があるね』
と指摘してくれました。
■ ■
医学部でも舌小帯短縮症の講義は
あっても数分です。
医師国家試験には、まず出ません。
どんな手術をするかも習いません。
この手術はZ形成術という、
舌の裏側をZ型に切って縫う手術で治します。
形成外科での手術がベストです。
■ ■
私は中学校の時に
英語の時間にRとLの発音がうまくできず。
言語障害と英語の先生に言われました。
英語の先生に悪気はなく、
私があまりにできないので、
『キミは言語障害か?』
とボソッと呟(つぶや)いたのです。
それが原因で花田雅喜君という子が
本間は言語障害だと言い出しました。
■ ■
転校生で勉強ができるので、
気に入らなかったのでしょう、
私はことあるごとに花田君からいじめられました。
それを助けてくれたのが、
お助けマンの飛田君でした。
今にして思うと、
私の言語障害の原因は舌小帯短縮症でした。
私の周囲の誰もが気付きませんでした。
もちろん私の舌は下口唇まで伸びます。
■ ■
私はラ行の発音が苦手です。
‘ラルズ’というお店の名前は発音しにくいし、
英語のRとLの発音にも苦労しました。
私は自分の子どもが生まれた時に
舌をチェックしました。
残念なことに、
私に似て舌小帯短縮症がありました。
子どもが幼稚園の時に、
お父さんはこれで苦労したので手術をしよう!
と説明して市立札幌病院で私が手術をしました。
■ ■
赤ちゃんのうちに手術をする必要はありませんが、
小学校へ入る前には手術をおすすめします。
入院して全身麻酔でする手術なので、
乳幼児医療制度が使えるうちに手術をすると、
自己負担分の免除を受けられる自治体もあります。
赤ちゃんの舌の先がW型だったら、
可愛いとか言わないで形成外科です。
Z形成術の手術は耳鼻科より形成外科が上手です。