昔の記憶

雪国の楽しみ

 北海道も山形も雪国です。
 1月は深い雪に覆われて
 あたり一面真っ白になります。
 私が子どもの頃は、
 冬の晴れた日に、
 家族で山へスキーに行きました。
 当時のスキー場には、
 リフトもゴンドラもありません。
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 もちろん圧雪車もありません。
 朝一番にスキー場に着いた人が、
 新雪を踏み固めて上へ上へと登ります。
 頂上といっても…
 そんなに高くはない山でした。
 それでも上に着いた頃には、
 汗で体がポカポカになっていました。
 一息ついて、下へ滑り降ります。
 頂上まで行けるのは、
 上手な大人だけでした。
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 スキー場では汗をかくので、
 家で背中一面に
 タオルを広げて入れました。
 汗をかいたら、
 そのタオルを首の後ろから
 引っ張り出しました。
 背中から身体中に、
 爽快感が広がったのを覚えています。
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 スキー場までは、
 スキーを担(かつ)いで、
 歩いて行きました。
 今のスキー場とはまったく違う、
 丘のようなスキー場でしたが、
 小学校のスキー授業も
 スキー大会もありました。
 雪国の人は、
 雪の中で楽しみを見つけて、
 上手に雪を利用して生きていました。
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 子どもだけでスキーに行く時は
 歩いて担いで行きましたが、
 家族で行く時は、
 ‘山越え’といって、
 自宅から山の中をスキーで行きました。
 大人がスキーで歩いた後を、
 子どもがついて行きました。
 私はこの‘山越え’が好きでした。
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 山の中には、 
 小動物の足跡がありました。
 一度見てみたいと思っていましたが、
 子どもの時から一度も
 雪の中の小動物を見たことがありません。
 大人の話しだと、
 ウサギの足跡だということでした。
 おそらく日中は行動しないので、
 小動物を見つけられなかったのか?
 と考えています。
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 山の中には、
 さまざまな木がありました。
 ‘たらの木’は見つけられませんでしたが、
 ネコヤナギの木がありました。
 木の芽から、
 白いネコの毛のような芽が出ます。
 新芽の頃だけですが、
 芽が白い毛のようになります。
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 少しあたたかくなると、
 ネコヤナギの芽が膨らみます。
 ちょっと白い毛が見えます。
 ネコヤナギの芽を見つけると、
 もうすぐ春がくるなぁ…
 といううれしい知らせです。
 私が今でも山が好きなのは、
 こうした子どもの頃の想い出があるからです。
 家内には不評ですが、
 また山に行きたいと思っています。


左から、父、母、私、弟、友人たちです

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