医療問題
レーザーと価格
以前の日記に書きました。
美容外科の二重まぶたは、
安売りのティッシュとは違います。
ティッシュは特売でも中味は同じですが、
低価格の整形にはワナがあります。
私が美容外科医になる前1997年のことです。
帯広厚生病院に勤務していた時に、
手術室の看護婦さんが…
帯広市内の有名エステ(全国チェーン)に行きました。
■ ■
ワキの脱毛(針脱毛)を50万円で契約しました。
当時はワキ脱毛=50万円が相場でした。
その脱毛法は、
電気で毛根を焼く施術でした。
電気メスのような機器を使い、
専用の脱毛針を毛穴に刺して、
通電して毛根を焼く治療です。
厚生労働省は、
医療機関以外での施術を禁止しています。
■ ■
看護婦さんは、
こんな治療を、
エステで無資格の人がしても、
いいのかなぁ~と思いながら、
施術を受けたそうです。
いざ、脱毛がはじまると…
針を刺して電気を通すと…
飛び上がるほど痛い!
痛いなんてモンじゃない!
とにかく苦痛だったそうです。
■ ■
私はその看護婦さんから相談を受けました。
当時、医療機関(美容外科)では、
局所麻酔をしてから、
針脱毛をするのが当たり前でした。
エステでは麻酔ができません。
私は、
もう少しで
レーザー脱毛が主流となること。
エステよりも
医療機関で脱毛すること。
をお話ししました。
■ ■
ちょうどその頃、
東京の日本医学脱毛学会で、
日本ではじめて、
米国製脱毛用レーザーの展示がありました。
参加した高名な美容外科の先生が、
ズボンの裾をめくって、
自分のすね毛にレーザーを当てていました。
東京都渋谷区千駄ヶ谷の
津田ホールであった学会でした。
札幌スキンケアクリニックの、
松本敏明先生が会長でした。
■ ■
最初は、
レーザーで脱毛ができる筈がない。
しばらくたったら生えてくる。
永久脱毛にはならない。
などさまざまな意見が出ていました。
そのレーザー脱毛の機器は、
3,300万円もしました。
サイノシュア社製で、
日本ではJMEC(ジェイメック)という会社が代理店でした。
■ ■
私は、札幌中央形成外科副院長に
就職することが決まっていました。
シミ取り用レーザーを
購入しようとなさっていらした、
武藤靖夫先生を説得して、
私は札幌で2台目の、
レーザー脱毛機を導入しました。
このレーザー脱毛は、
大ヒットしました。
私は自分の腕と左下腿に照射し、
レーザー脱毛の効果を確認していました。
■ ■
現在、札幌美容形成外科では、
ワキのレーザー脱毛が一回9,600円です。
平成10年(1998年)に、
札幌でレーザー脱毛をはじめた時は、
一回の価格が今の10倍もしました。
レーザーも進歩しました。
現在の機器は冷却ガスがついているので、
痛みもずっと少なくなっています。
レーザー機器の本体価格も
最初の半分以下になりました。
■ ■
価格競争によって、
レーザー脱毛の価格は安くなりました。
札幌美容形成外科より安い価格のお店も
たくさんあります。
ただ、レーザーを照射するのは看護師です。
丁寧に照射するか?
痛くないように照射するか?
は看護師の腕にかかっています。
■ ■
レーシック手術も、
もっと価格が下がります。
安全性も高くなると思います。
お金儲けの道具として、
レーシックを施術している医療機関では、
手術を受けられないのが安全だと思います。
レーザー機器には、
メンテナンス費用もかかります。
しっかりメンテナンスをしている医療機関は、
それなりの料金を請求するはずです。