医学講座
ワキガ手術と‘再発’
他院でワキガ手術を受けたのに、
臭いが取れない!
手術前と変わっていない!
と受診なさる方がいらっしゃいます。
保険医療機関で手術を受けた方にも
自由診療で受けた方にも
治っていない!
と言われる方がいらしゃいます。
■ ■
かつて私が手術をさせていただいた方で、
手術を受けたのに
まだ臭いがする
と再手術をした方がいらっしゃいました。
2007年10月15日の日記、
客室乗務員さんの手術
に書いてあります。
私が美容外科医になる前でした。
■ ■
国際線の客室乗務員をなさっていらっしゃる
美しい方でした。
手術は順調に終わり、
キズもキレイに治りました。
手術後は長時間勤務も苦にならなくなり、
快適にお仕事に復帰されました。
数ヵ月後の診察の時に、
『先生、臭いがするんです』
と言われました。
私は耳を疑いました。
■ ■
手術後数ヵ月は、
まったく気にならなかったそうです。
ある日、長時間の勤務を終える頃に気づきました。
以前とは比べものにならない位、
汗は減り、
臭いも通常は気になりません。
その方は注意深くワキを観察されました。
臭いが出ていたのは、
おっぱいの横に近い、
腋毛も生えていないところからでした。
■ ■
形成外科や美容外科の教科書には、
ワキガ手術をする範囲は、
毛の生え際から1~2㎝と記載されています。
標準的な範囲は、
教科書には10×4㎝程度と書かれています。
(腋臭症の治療、克誠堂出版、p64)。
今、私が手術する範囲は、
広い方だと10×18㎝にもなります。
今までの最高は、12×20㎝でした。
■ ■
臭いに対するこだわりは、
総合病院の形成外科で手術を受ける方と、
美容形成外科のクリニックでは違います。
美容外科では、
キレイに確実に治るというイメージがあります。
経過を診察していて、
臭いが残っていると、
本人の次に気になるのは執刀医です。
私は手術後に必ず臭いをチェックしています。
■ ■
他院で手術を受けたのに、
臭いがする
と受診なさる方の中には、
次の3通りがあります。
①明らかな汗腺の切除不足。
②手術する範囲が足りない。
③手術は完璧でワキガ臭もない。
…なのに患者さんは臭いがすると訴える。
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①は吸引法で手術を受けた方に多い症状です。
汗腺の切除が不足していて、
ほぼ全範囲にアポクリン腺が残っています。
手術直後から臭いがするはずです。
②は客室乗務員さんの手術のように、
おっぱいの近くや、
切除範囲の周囲に、
アポクリン腺が残っています。
形成外科専門医が手術をした例もあります。
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③はアポクリン腺からのワキガの臭いはないのに、
汗の臭いが残っている方です。
もともとワキガではないか、
ワキガと緊張性発汗が重なっている方にみられます。
多汗症手術の難しさという日記に書いてあります。
私が嗅いでも職員が嗅いでも、
臭いがしないのに、
臭いがすると訴える方もいらっしゃいます。
HPに書いてあるように、
汗腺がガンのように再発することはありません。