医学講座

ワキガ手術と‘再発’

 他院でワキガ手術を受けたのに、
 臭いが取れない!
 手術前と変わっていない!
 と受診なさる方がいらっしゃいます。
 保険医療機関で手術を受けた方にも
 自由診療で受けた方にも
 治っていない!
 と言われる方がいらしゃいます。
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 かつて私が手術をさせていただいた方で、
 手術を受けたのに
 まだ臭いがする
 と再手術をした方がいらっしゃいました。
 2007年10月15日の日記、
 客室乗務員さんの手術
 に書いてあります。
 私が美容外科医になる前でした。
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 国際線の客室乗務員をなさっていらっしゃる
 美しい方でした。
 手術は順調に終わり、
 キズもキレイに治りました。
 手術後は長時間勤務も苦にならなくなり、
 快適にお仕事に復帰されました。
 数ヵ月後の診察の時に、
 『先生、臭いがするんです』
 と言われました。
 私は耳を疑いました。
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 手術後数ヵ月は、
 まったく気にならなかったそうです。
 ある日、長時間の勤務を終える頃に気づきました。
 以前とは比べものにならない位、
 汗は減り、
 臭いも通常は気になりません。
 その方は注意深くワキを観察されました。
 臭いが出ていたのは、
 おっぱいの横に近い、
 腋毛も生えていないところからでした。
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 形成外科や美容外科の教科書には、
 ワキガ手術をする範囲は、
 毛の生え際から1~2㎝と記載されています。
 標準的な範囲は、
 教科書には10×4㎝程度と書かれています。
 (腋臭症の治療、克誠堂出版、p64)。
 今、私が手術する範囲は、
 広い方だと10×18㎝にもなります。
 今までの最高は、12×20㎝でした。
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 臭いに対するこだわりは、
 総合病院の形成外科で手術を受ける方と、
 美容形成外科のクリニックでは違います。
 美容外科では、
 キレイに確実に治るというイメージがあります。
 経過を診察していて、
 臭いが残っていると、
 本人の次に気になるのは執刀医です。
 私は手術後に必ず臭いをチェックしています。
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 他院で手術を受けたのに、
 臭いがする
 と受診なさる方の中には、
 次の3通りがあります。
①明らかな汗腺の切除不足。
②手術する範囲が足りない。
③手術は完璧でワキガ臭もない。
 …なのに患者さんは臭いがすると訴える。
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 ①は吸引法で手術を受けた方に多い症状です。
 汗腺の切除が不足していて、
 ほぼ全範囲にアポクリン腺が残っています。
 手術直後から臭いがするはずです。 
 ②は客室乗務員さんの手術のように、
 おっぱいの近くや、
 切除範囲の周囲に、
 アポクリン腺が残っています。
 形成外科専門医が手術をした例もあります。
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 ③はアポクリン腺からのワキガの臭いはないのに、
 汗の臭いが残っている方です。
 もともとワキガではないか、
 ワキガと緊張性発汗が重なっている方にみられます。
 多汗症手術の難しさという日記に書いてあります。
 私が嗅いでも職員が嗅いでも、
 臭いがしないのに、
 臭いがすると訴える方もいらっしゃいます。
 HPに書いてあるように、
 汗腺がガンのように再発することはありません。

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