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                            失明の原因2017                                                    
    
                         昨日の院長日記、
 ヒアルロン酸のトラブル2017
 …の続きです。
 私が院長日記で取り上げても、
 なかなか原因究明も、
 対策もできていないのが日本です。
 残念なことです。
      ■         ■
 下に引用したのは、
 2014年のAesthetic Surgery Journalに投稿された論文です。
 カナダのClaudio DeLorenzi先生が書いたものです。
 ネットで検索すると、
 全文を読むことができます。
 その中には、
 ヒアルロン酸が血管内に入って、
 それが原因で失明したり、
 皮膚が壊死になったりする例が出ています。
      ■         ■
 安全対策として、
 ヒアルロン酸溶解剤が推奨されています。
 残念なことに、
 日本で認可されたヒアルロン酸溶解剤がありません。
 厚生労働省は、
 いくつくかのヒアルロン酸注入剤を認可しています。
 私は、
 国とメーカーの責任で、
 ヒアルロン酸溶解剤を、
 すぐに準備するべきだと思います。
      ■         ■
 失明の医療事故は、
 一瞬でおきます。
 なんちゃって美容外科医も
 なんちゃって美容皮膚科医も
 英語の論文を読んで、
 すぐに対処できる準備をするべきです。
 YouTubeには、
 ヒアルロン酸トラブルの動画も出ています。
 勉強していただきたいです。
      ■         ■
 Complications of Injectable Fillers, Part 2:Vascular Complications
 Claudio DeLorenzi, MD, FRCS
 Aesthetic Surgery Journal, 2014, Vol. 34(4) 584–600
 Abstract
 Accidental intra-arterial filler injection may cause significant tissue injury and necrosis. Hyaluronic acid (HA) fillers, currently the most popular, are the focus of this article, which highlights complications and their symptoms, risk factors, and possible treatment strategies. Although ischemic events do happen and are therefore important to discuss, they seem to be exceptionally rare and represent a small percentage of complications in individual clinical practices.
 However, the true incidence of this complication is unknown because of underreporting by clinicians. Typical clinical findings include skin blanching, livedo reticularis, slow capillary refill, and dusky blue-red discoloration, followed a few days later by blister formation and finally tissue slough. Mainstays of treatment (apart from avoidance by meticulous technique) are prompt recognition, immediate treatment with hyaluronidase, topical nitropaste under occlusion, oral acetylsalicylic acid (aspirin), warm compresses, and vigorous massage. Secondary lines of treatment may involve intra-arterial hyaluronidase, hyperbaric oxygen therapy, and ancillary vasodilating agents such as prostaglandin E1. Emergency preparedness (a “filler crash cart”) is emphasized, since early intervention is likely to significantly reduce morbidity.  A clinical summary chart is provided, organized by complication presentation.



                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            ヒアルロン酸のトラブル2017                                                    
    
                         ヒアルロン酸注射なんて、
 誰がやっても同じ
 どうせやるなら、
 一円でも安いところで、
 たくさん注射してもらおう!
 こんなお客さんがいます。
 お気持ちはわかります。
      ■         ■
 でも、
 美容外科や、
 美容皮膚科など、
 頭に♡美容♡の2文字がつくクリニックは、
 【要注意】です。
 ちゃんと勉強をしていない、
 なんちゃって医師がいます。
 高級優遇の4文字に惹かれて、
 昨日まで美容のびの字も知らなかった医師が、
 いきなり♡美容皮膚科♡になることがあります。
      ■         ■
 私たち形成外科医は、
 顔面の血管解剖を詳しく勉強します。
 どこにどんな血管があって、
 どことつながっているかを、
 よく知っています。
 血管の勉強をしないと、
 手術ができません。
      ■         ■
 米国の学会では、
 下の写真にあるような討論が真剣にされています。
 ヒアルロン酸やレディエッセなどによる、
 皮膚壊死や失明を防ぐためです。
 日本の学会では、
 残念なことにここまで深く検討されていません。
 下の英語は、
 ヒアルロン酸注射をする前の準備です。
      ■         ■
 もしヒアルロン酸でトラブルが生じたら
 こうすると助かりますという方法が書いてあります。
 残念なことですが、
 日本の厚生労働省が認可したヒアルロン酸注入剤には、
 このことは記載されていません。
 日本には、
 認可されたヒアルロン酸溶解剤がありません。
 ヒアルロン酸注射はどこで受けても同じではありません。
 失明することがあります。
 安いところでたくさん打ってもらうと、
 ●ヒアルロン酸顔貌●になります。
 注意してください。


                        
                        
                     
                                    
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                            ヒアルロン酸は吸収されない?                                                    
    
                         私がはじめて【美容】の世界を見たのは、
 日航ジャンボ機が墜落した、
 1985年でした。
 今から32年前です。
 ヒアルロン酸は100%安全か?
 2015年8月15日の院長日記です。
 米国のベンチャー企業が作った、
 ザイダームという牛コラーゲン注入剤の臨床試験を担当しました。
      ■         ■
 米国で製品化された商品を、
 日本に輸入して販売するための臨床試験です。
 臨床試験の責任者が、
 北大形成外科の大浦武彦先生でした。
 北大形成外科、
 東大形成外科、
 京大形成外科、
 …という国立大学の形成外科が担当しました。
      ■         ■
 米国では美容目的に使われていたコラーゲン注入剤ですが、
 当時の厚生省は美容目的に使うことを禁止して認可しました。
 実際には美容目的で多く使われていました。
 この牛コラーゲンは、
 アレルギー反応が問題でした。
 うちの奥さんに皮内テストをして、
 注射した部位が、
 蚊に刺されたように赤くなりました。
 たいそうお怒りでした。
      ■         ■
 うちの奥さんが赤く腫れたので、
 それ以降は、
 目立たない部位(上腕内側など)で皮内テストをしました。
 アレルギー反応以外には、
 大きな問題がなかったザイダームでしたが、
 ザイプラスとという製品が出てから、
 眉間のシワに注射して、
 皮膚が壊死になる例が報告されました。
 血管内にコラーゲン注入剤が入るためです。
      ■         ■
 時代は変わって、 
 コラーゲンからヒアルロン酸になりました。
 札幌美容形成外科を開業した頃は、
 コラーゲンもヒアルロン酸も使っていましたが、
 今はコラーゲンは使っていません。
 札幌美容形成外科のHPにも、
 ヒアルロン酸は効果が約6ヵ月から1年です。
 吸収され自然に元に戻るので安全だとお考え下さい。
 …と書きましたが間違っているようです。
      ■         ■
 エビデンスがない本間仮説です、
 長年通院してくださっている患者さんを見ると、
 コラーゲンからヒアルロン酸にしたことにより、
 明らかに注射の回数が減っているのです。
 中には吸収されやすいヒアルロン酸もあるようですが、
 私の感触では、
 ヒアルロン酸は吸収されにくく、
 効果が減るのは、
 周囲組織へ拡がるためだと思います。
      ■         ■
 近年は、
 ヒアルロン酸をより深い層に注射する方法が流行りました。
 その結果として、
 顔が丸くなる、
 【ヒアルロン酸顔貌】
 …と呼ばれる患者さんがいらっしゃいます。
 いろいろなクリニックで、
 ヒアルロン酸は吸収されるから
 【安全】
 …と注射を受けた方たちです。
 札幌美容形成外科のHPも次回の更新時に書き換えます。
 ヒアルロン酸は吸収されません
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            方波見先生、第71回北海道新聞文化賞受賞                                                    
    
                         平成29年11月3日、北海道新聞朝刊の記事です。
 第71回北海道新聞文化賞の受賞者が決まった。社会部門は長年、地域医療に従事し、その発展に貢献した医師 方波見康雄(かたばみやすお)さん(91)=空知管内奈井江町=、学術部門は胆振管内むかわ町で大型恐竜の化石の発掘を指揮し、全国的にもまれな全身骨格の発見につなげた北大准教授小林快次(よしつぐ)さん(45)=札幌市=、経済部門は道内を中心に地域密着のコンビニチェーンを展開する株式会社セコマ=札幌市=。贈呈式は11月9日午前、札幌市内のホテルで行い、正賞の安田侃氏制作「意心帰(いしんき)」(ホワイトブロンズ)と副賞100万円が贈られる。受賞者のこれまでの歩みと喜びの声を紹介する。
■社会部門 方波見康雄かたばみやすおさん_地域医療一筋60年
 生まれ育った空知管内奈井江町で、父の荘衛(そうえい)さんが1924年(大正13年)に開業した診療所「方波見医院」を引き継いで58年半。地域の人々の“生老病死”に、同じ地域に暮らす一人の人間として、開業医として、寄り添ってきた。
 診療所に来る人は「患者さんではない」と言う。「地域で生きる人間。たまたま病気になった。一人一人違う生身の人間をみるのが町医者の仕事」。だから話にじっと耳を傾け、笑顔にして診察室から送り出す。そして、最期までみる。
 北大卒業後も大学でがんの免疫を研究し、その後、内科で学んだ。研究者か大病院の勤務医になる将来図を描いていたが、父が病気になり、奈井江で医院を継ぐことに。「夢にも思わなかった」。32歳だった。
 開業医のイロハも知らない青年医師に、「人間をみる」ことのやりがいを教えてくれたのは故郷の人たちだった。医院を継いで数年後、「腰を据えよう」と決意した。「毎日、一流の医学専門誌を読んで勉強する」「世界のどこでも通用する総合医になる」。この時立てた二つの志は、91歳の今も失っていない。
 先駆的な取り組みも進めた。緩和ケア、ターミナルケア(終末期医療)、死の臨床など、専門的な用語や概念が国内で普及する前に診療所で実践していた。
 地域で老いを共にみる仕組みを作ろうと、町立国保病院に入院した患者を、かかりつけ医が診療できる「開放型共同利用」を町長に提案し、1994年に実現。地域包括ケアシステムを、いち早く実現した形だ。
 受賞には「おやじが一番喜んでいるでしょうね」。週1回の外来診療をずっと続けたいと願っている。「今の私をつくってくれたのは奈井江の人たち。古里に戻って、開業医になって、よかった」と語った。
    略 歴
 1926年 空知管内奈井江町で出生
 1945年 旧制岩見沢中(現岩見沢東高)を卒業。北海道帝国大予科医類に入学
 1952年 北大医学部を卒業。大学でがん免疫抗体の研究に、さらに内科の臨床に従事する
 1959年 北大から奈井江町に戻り、父荘衛さん(1979年死去)が開業した方波見医院を継ぐ。その後北大非常勤講師や藤女子大教授を兼ね生命倫理や死生論などを教える。道医師会常任理事も歴任
 1994年 町長に提案した開放型共同利用が、町立国保病院で実現。後に介護福祉施設に拡大
 2006年 院長の職を次男の基雄さん(59)に譲る。北海道新聞生活面にエッセー「いのちのメッセージ」を書き始める

「早いものですね。(奈井江に戻ってからの58年半は)あっという間でした」と医院の診察室で振り返る方波見康雄さん
 (以上、北海道新聞より引用)

方波見医院(Googleより引用)
      ■         ■
 2017年11月1日の院長日記でご紹介した先生です。
 親子3代でお医者さんはすごいです。
 ご子息もすばらしい先生だと思います。
 私が持っている、
 北大医学部同窓会名簿には、
 方波見姓の先生が3人いらっしゃいます。
 北大医学部に、
 親子で入学するのはとても難しいことです。
      ■         ■
 親→子への継承も難しいです。
 美容外科でも、
 親子で仲良く開業していらっしゃるのは、
 ほんの一部の先生だけです。
 私が尊敬する先生です。
 これからも奈井江町の地域医療のために、
 方波見医院が発展することをお祈りしています。
 方波見先生おめでとうございます。
                        
                        
                     
                                    
                                                院長の休日
                        
                            孫娘に教わりネット満喫                                                    
    
                         平成29年11月2日、北海道新聞朝刊への投稿です。
 孫娘に教わりネット満喫
 竹田悦夫87(渡島管内松前町)
 パソコンを始めたのは69歳だった。その頃ネットの接続まで手は伸びなかった。今年、妻に先立たれ、時間はたっぷりある。多くの方と交流の輪を広げたくてネットを始めた。
 分からない事ばかり。孫娘が遊びに来たので早速指導を依頼した。宛先設定、送信、それの確認、保管などの素早い便利な操作を教えてもらった。めい、おいからの受信は毎朝確認する。メル友がいつもそばにいるようで元気が出る。
 さらに、この辺はラジオ民間放送の難聴地帯だが、セットしてもらったらいろいろな放送局が入る。ぼんやりしている間に世の中便利になったものだ。今まで知らずに人生を過ごしてしまったのだから自分の責任と悔やんでいる。
 孫娘がいつの間にこんなに成長したのかと驚いた。「今はこれが普通なのよ」と言われれば返す言葉もないが、孫娘からいっぱい教えてもらって文明の利器を楽しんでもう少し生きたい。冬は寒くて外に出ることもないのでなおのことだ。
 (以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 朝からいいお話しを読ませていただきました。
 奥さんに先立たれた87歳の男性が、
 お孫さんのお嬢さんに教えていただき、
 ネットを始められた。
 なんてすばらしいことでしょうか。
 北海道の南端、
 松前町です。
 桜がきれいな街です。
 ♡優しいお孫さん♡に感謝です。
      ■         ■
 函館中央病院に勤務していた頃に、
 松前城の桜を見に行きました。
 函館からでも松前はかなり距離があります。
 ラジオ民間放送の難聴地帯もわかります。
 場所によっては、
 北海道の民放より、
 青森県の民放が入るところもあります。
      ■         ■
 私の母親も89歳でパソコンを使っています。
 たまにアマゾンで失敗することもありますが、
 ネットで株をやっています。
 株のことは私よりずっと詳しいです。
 私の安否は院長日記で確認しているようです。
 クリニックが赤字になったと心配したり、
 さくらんぼさんのコメントに感謝しています。
 松前町の竹田様にはもっとネットを活用していただきたいです。
 朝からいいお話しをありがとうございました。
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            医療とは「声」聴くこと                                                    
    
                         平成29年11月1日、北海道新聞朝刊の記事です。
 医療とは「声」聴くこと
 特別編「Fan-Funフェスタ」の講演から=2017年10月29日、札幌・道新ホール
 道民の皆さんに感謝の気持ちを伝える「どうしんFan-Funフェスタ『ありがとうの日。』」(北海道新聞社主催)の一環として、方波見康雄さんの講演会が2017年10月29日、道新ホールで開かれ、約650人の聴衆が方波見さんの話に耳を傾けた。講演の一部をお届けする。
 「医療とはなにか」を皆さんと一緒に考えてみましょう。私が父の方波見医院を受け継いだのは、昭和34年(1959年)4月。それまでは大学で当時としては最先端のがんの免疫研究に携わり、地方のことはまったく知りませんでした。大学病院では難しい病気の患者さんしか診ていなかった。奈井江では「まるごとの人間」、つまり地域に住みつき、生活する、生まれも育ちも違う「人間」が受診に見えたのです。
 東京で、永井友二郎という先生が「実地医家のための会」という勉強会を立ち上げ、私はすぐ入会しました。永井先生は「人間を部分としてでなく全体として、生物としてでなく社会生活をいとなむ人間として、みてゆかなければならない」「病気の初期の姿をきちんと診ること」がマチのお医者さんの大切なことであると言われた。私が考えていたことと同じでした。
 初期の診断は非常に難しい。症状は軽いが、よくよく診ると大きな病気が潜むことがある。マチの医者はそれをきちんとキャッチする必要がある。そのためにも感性と経験、生涯の勉強が求められるのです。
 マチのお医者さんは「迷医」のほうが良い。私はいまだに迷っています。迷うから勉強する、仲間の医師の意見を聞く。自分でさらに調べる。かつて東京大学の有名な内科教授が、ご自身の患者さんで亡くなられた方の4割に誤診があったと発表されました。医療は完璧ではなく、発展途上の学問なのです。各専門学会で出す臨床医の「診療ガイドライン」は、定期的に書き換えられます。医者は今持っている知識が最高であると考えるのは大間違い。医学知識は絶えず更新されると思わないといけない。
 故郷での地域医療60年の経験から、医療とは「病気を患う人間のいのちの声に耳を傾けることである」と考えています。「声にもいのちがある」と言ってもよい。私は、患者さんが診察室に入って来られるときに、体の動き、座り方、声、表情、目つきなどの立ち居振る舞いの変化を一つの声として受け止めるように努めています。
 最初は勢いよくお話になっても、途中から声が小さくなる方もいる。つらそうな顔をしていたが、話をしているうちに表情が穏やかになり、にこにこして診察を終えられる方もいらっしゃる。さまざまな声を音楽家のように深く聴き取る。専門的に耳を傾ける。知覚・聴覚などの五感すべてを動員して向き合うのが実地医家の医療と考えています。
 風邪だけで大病院を受診する方がいますが、考え直したほうがいいですね。高血圧や糖尿病、風邪などの病気は、マチのお医者さんにかかったほうがいい。ゆっくりお話できます。大病院とマチの医師がお互いに時間のやりとりをしあって、大病院の有能な専門医が、ご自分の専門医療に専念できるようにしてあげたい。お互いの見逃しを補うためにも大切なことです。
 みなさん、かかりつけ医をお持ちになってください。そして、必要な時には紹介状を持参して専門医を受診する。すると主治医が2人になり、互いに連携しあうようになります。大いに活用したほうが、ご自分のためになります。(方波見康夫=かたばみ・やすお、方波見医院医師・空知管内奈井江町)

聴衆を前に医師としての自らの経験を語る方波見康雄さん
(以上、北海道新聞より引用)
      ■         ■
 早いもので今日から11月です。
 先日、
 えりーさんからコメントをいただいた、 
 方波見康雄かたばみやすお先生のご講演です。
 方波見先生は、
 北大医学部を1952年(昭和27年)にご卒業されました。
 北大医学部28期です。
 私の恩師、大浦武彦先生より5期上です。
      ■         ■
 1926年(大正15年)、
 北海道空知郡奈井江町生まれ、
 代々お医者さんの家系です。
 亡くなった私の父と同じ、
 寅年生まれです。
 まだ現役で診療をなさって、
 精力的に講演活動もなさっていらっしゃいます。
 素晴らしい先生です。
      ■         ■
 私が方波見先生の講演で大切だと思ったのは、
 医療は完璧ではなく、
 発展途上の学問なのです。
 各専門学会で出す臨床医の
 「診療ガイドライン」は、定期的に書き換えられます。
 医者は今持っている知識が最高であると考えるのは大間違い。
 医学知識は絶えず更新されると思わないといけない。
      ■         ■
 その通りです。
 私がほぼ毎日している、
 眼瞼下垂症手術もとても難しいです。
 患者さんには申し訳ありません。
 私も「迷医」です。
 迷うから勉強する、
 仲間の医師の意見を聞く。
 自分でさらに調べる。
 これの繰り返しです。
      ■         ■
 私は自分が勉強しなくなった時、
 学会に参加しなくなった時が、
 自分が仕事を辞める時期だと思っています。
 日本形成外科学会には、
 京都の冨士森良輔先生のように、
 まだ現役で仕事をなさっていらっしゃる先生がいます。
 私も「迷医」で、
 これからも勉強を続けます。
 素晴らしい講演を記事にしてくれた、
 北海道新聞社に感謝いたします。
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            保険診療の制限                                                    
    
                         ヒルドイドローションの記事では、
 私の院長日記が原因で、
 一回処方量の制限
 …といった事態になることを心配しています。
 私が何回か書いたことを、
 今さら訂正するつもりはありません。
 ご批判は真摯に受けとめます。
 申し訳ありませんでした。
      ■         ■
 私が推奨したのは、
 ご高齢で皮膚の乾燥で困っている人です。
 正直に言って、
 若い人への処方が増えるとは考えていませんでした。
 それは、
 保険診療にはルールがあり、
 処方量にも制限があるからです。
 査定という厳しいチェックがあります。
      ■         ■
 都道府県よって違いますが、
 保険医療機関の診療内容は、
 厳しくチェックされています。
 北海道では、
 ローション5本とクリーム3箱など、
 量を指定して処方してもらうことは、
 無理だと思います。
 必ず審査でチェックされます。
      ■         ■
 医療機関は、
 療養担当規則という決まりに従って、
 保険診療をしています。
 カルテには詳しく症状を記載して、
 それに見合ったお薬を処方します。
 患者さんがどんなに希望しても、
 ローション5本とクリーム3箱などはもらえません。
 インフルエンザで病院にかかった時に、
 薬を3ヵ月分くださいと言ってももらえないのと同じです。
      ■         ■
 保険医療機関は、
 厚生労働省からの指導もあります。
 健康保険組合連合会(健保連)が調査され、
 年間約93億円の医療費無駄遣いと書かれていました。
 申し訳ありません。
 医療費抑制は急務です。
 私が院長日記に書いた記事で、
 健保連に教えてあげたいことがあります。
 これが解消されると93億円以上の効果があると(私は)考えます。
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            ヒルドイドローションの記事                                                    
    
                         平成29年10月30日、北海道新聞朝刊の記事です。
 保湿用塗り薬の処方で女性急増_保険適用、「美肌」目的か
 アトピー性皮膚炎などの治療に使われる保湿用塗り薬の医療機関での処方が急増していることが、健康保険組合連合会(健保連)の調査で分かった。雑誌やインターネットで「美肌になれる」などと紹介されて広まり、公的医療保険の適用により低料金で入手できることから、化粧品代わりに求める女性が増えたことが背景とみられる。
 治療以外でのこうした処方は薬剤費を押し上げ、税金や保険料で賄う医療財政を圧迫。年間約93億円が無駄に支出されている可能性があり、厚生労働省は2018年4月の診療報酬改定で処方量の制限など対策を講じる方針を固めた。近く、中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)で議論を求める。
 医師から処方される保湿薬の中で特に女性に人気なのが「ヒルドイド」。軟こうやクリーム、ローションタイプがあり、50グラム1185円だが、保険適用の場合、自己負担は最大でも3割の約360円で済む。
 アトピー性皮膚炎の場合、かゆみ止めの薬などと一緒に処方されることが多いため、健保連はヒルドイド(後発医薬品を含む)が単独で処方された加入者のレセプト(診療報酬明細書)を集計。
 2015年10月から2016年9月の1年間で20~59歳を対象にした処方は、男性が3万9312件だったのに対し、女性は16万4377件と4.2倍。前年同期と比べると、女性は17.3%増えており、男性の増加率7.9%を大幅に上回った。25~29歳では女性の増加件数が男性の33.9倍に上った。多くは病名が「皮膚の乾燥」のみで、健保連は「美容目的の使用が増えていると考えられる」と分析する。
 ●病院で美容クリーム/化粧品代を節約…
 芸能人も絶賛罪悪感薄く
 健康保険が適用される保温薬「ヒルドイド」は、雑誌やインターネット上で「究極の美容クリーム」などと呼ばれ、化粧品を購入する感覚で病院を訪れる女性が多い。公的医療保険制度の目的に反しており医療費の増大にもつながるが、利用者の罪悪感は薄い。
 「病院で美容クリームをお得に手に入れた。まるで高級メーカーの商品みたいに肌のきめが整った」。川崎市の主婦(37)は約1年前、女性芸能人のプログにあったこんな記述でヒルドイドの存在を知った。
 すぐに皮膚科で「ヒルドイドが欲しい」と頼んだところ、医師は症状を尋ねることもなく、軟こう5本分の処方箋を出してくれた。それまで5千円の市販の美容クリームを使っていたが、ヒルドイドなら1本数百円。「化粧品代を節約できた」と声を弾ませる。
 女性向けのある美容雑誌に載ったヒルドイドの特集記事には「塗ってパックすると小じわが軽減する≒肌が生き返る」の文字が躍る。ネット上でも芸能人やモデルのブログなど、絶賛する内容が氾濫している。 
 大阪市の病院に勤務する・皮膚科医の元には、宣伝もしていないのにヒルドイドを求め、20~40代の女性が月10人ほど受診しに来る。中には「ローション5本とクリーム3箱」と処方量まで指定してくる人も。「患者のモラルが崩壊している。健康保険を使った美容目的での使用は非常に問題だと思う。ただ、『乾燥がひどい』と訴えられたら断れない」と嘆く。
 札幌市の美容形成外科の院長は、手肌の乾燥にヒルドイドのローションを勧めるブログを10年前に執筆した。自院では美容目的の処方は一切していないが、院長が書いた「3万円の高級乳液より効果があると思う」という言葉がネット上で拡散され、何度も引用される事態となっている。
 院長は「不適切だと言われても仕方ないが、当時は手先がひび割れで、出血して困っている人に勧める趣旨で書いた」と弁解する。
その上で「効果を実感したのは事実だが、肌に合わない人もいる」と注意を促した。
 健保連の推計では、ヒルドイドを中心とした保湿薬の単独処方による薬剤費は、公的医療保険全体で年間約93億円。厚労省は1回の処方量の制限や、単独処方を保険適用外にすることなどを検討する。
 ヒルドイドを販売する「マルホ」(大阪市)は、「患者の自己判断での使用は副作用のリスクもあり、控えてほしい」と訴えている。
 (以上、北海道新聞より引用)
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 2017年10月24日に共同通信社から電話取材がありました。
 私の2007年2月12日の院長日記、
 ヒルドイドローションが、
 ネット上でヒットしているそうです。
 マスコミからヒルドイドローションの取材は今回がはじめてです。
 年間約93億円の医療費無駄遣い、
 一回の処方量の制限
 まじめに診療をしている皮膚科の先生にお詫びします。
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 私がヒルドイドローションを紹介した目的は、
 冬に乾燥肌でかゆくて困っている人のためです。
 当院を受診した患者さんで、
 かゆくて自分でひっかいて、
 血が出ている人がいました。
 そんな高齢者のために書いたつもりでした。
 3万円の高級乳液より効果がある
 …というのが一人歩きしているようです。
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 ヒルドイドローションは医薬品です。
 市販の保湿剤より効果があると(私は)思います。
 注意しなくてはいけないのが、
 肌に合わない人です。
 お医者さんがしっかり診察をして、
 適切に処方することを想定していました。
 私が提案する【解決策】です。
 ロキソニンSのように、 
 ヒルドイドローションにOTC薬を出すことです。
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 ロキソニン
 ガスター
 リアップ
 …などは、
 第1類医薬品です。
 今はネットでも買えるようです。
 ヒルドイドローションを、
 薬局で買えるようにすると、
 病院に行く時間がない人も買えます。
 アトピー性皮膚炎など、
 ほんとうに必要な人には、
 今まで通り処方できるようにしてほしいです。
                        
                        
                     
                                    
                                                院長の休日
                        
                            北大のイチョウ並木2017                                                    
    
                         平成29年10月29日、北海道新聞朝刊の記事です。
 夜空に浮かぶ「黄金色」北大イチョウ並木ライトアップ
 色づいたイチョウ並木を市民に楽しんでもらうイベント「北大金葉祭(こんようさい)」が10月28日、札幌市北区の北大構内で始まった。夜にはライトアップされ、黄金色に染まったイチョウのトンネルが夜空に浮かび上がった。
 今年で6回目。学生有志約30人でつくる実行委が主催した。
 イチョウは北13条門から構内を西へ向かう約380メートルの道沿いに約70本が並んでいる。カウントダウンに合わせ、午後6時に約60個の投光器にスイッチが入った。見ごろを迎えたイチョウが一斉に照らし出されると、集まった市民や学生から歓声が上がった。
 金葉祭は最終日の10月29日も午前10時からあり、焼きイモ、豚汁などを学生たちが振る舞う。ライトアップは午後6時~9時の予定。(野沢俊介)

(以上、北海道新聞より引用)
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 今日は休診日でした。
 昨年はイチョウ並木を見に行く余裕がありませんでした。
 今年は、
 2年ぶりに見に行きました。
 おだやかな天気でした。
 たくさんの観光客が来ていました。
 北大の若い学生さんが、
 音楽を演奏したり、
 子供たちのためのイベントをしていました。
 楽しい一日でした。

                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            選挙とオリンピックに弱い美容形成外科                                                    
    
                         うちの奥さんが、
 10月の売上が少ないと心配しています。
 私:選挙があったから仕方がないさ。
 そうなんです、
 不要不急の医療の典型が美容外科、
 その次くらいが形成外科です。
 お腹が痛くて、
 頭が痛くて、
 かかる病院とは違います。
      ■         ■
 選挙になると、
 すすきのの飲食店のお客さんが減るそうです。
 選挙で忙しくて、 
 とても飲みに行っている時間がありません。
 美容外科も、
 選挙があると売上が減ります。
 私が開業してから同じ傾向が続いてます。
      ■         ■
 オリンピックの時も、
 お客さんが減ります。
 オリンピックと飲食店の売上はわかりませんが、
 美容外科は、
 オリンピック
 ワールドカップ
 …でお客さんが減って、
 売上も減ります。
      ■         ■
 飛行機にも繁忙期と閑散期があります。
 閑散期の航空運賃は安いです。
 札幌美容形成外科は保険診療の眼瞼下垂症手術が多いので、
 一年中いつでも同じ費用です。
 美容外科に、
 閑散期割引料金
 …は聞いたことがありません。
 ぼったくりはよく聞きます。
      ■         ■
 開業なさったばかりの先生へのアドバイスです。
 お客さんが少ないから、
 あせってはいけません
 今は大繁盛している先生ですら、
 開業して資金が少なくなってきて、
 どうしよう
 …と思った先生はたくさんいます。
 広告宣伝費をかけても、
 すぐに患者さんは増えません。
 ♡いい治療♡をすることです。