医学講座

和解成立

 和解成立
 大同生命保険㈱から平成28年4月に提訴された建物明渡請求事件は札幌地方裁判所で和解が成立しました。
 平成29年10月30日(月)に予定されていた判決はなくなりました。
 医療法人札幌美容形成外科は平成30年3月31日(土)に建物を明渡しいたします。
 コンタクトオフビルでの診療は平成30年3月26日(月)で終了します。平成30年4月以降は新しい診療所で診療を継続いたします。
 新診療所については決まり次第お知らせいたします。
 和解が合意されるに至るまでの経緯や和解条件については第三者に開示しないことが和解条件となりました。
 たくさんの皆様にご心配をいただき応援していただいたことに心から感謝いたします。
 これからも健康に気をつけて診療を継続して参ります。
 お世話になった札幌地裁民事第5部4係の根本宜之裁判官、裁判所職員の皆様。
 私の弁護を担当してくださった、
 佐々木総合法律事務所の
 佐々木泉顕(もとあき)先生、
 土田慧(けい)先生、
 福田友洋(ともひろ)先生、
 山田敬之(たかゆき)先生、
 佐々木総合法律事務所の職員の皆様に感謝いたします。
      ■         ■
 たくさんの皆さまにご心配いただきありがとうございました。
 これからも身体に気をつけて、
 診療を継続いたします。
 新しいクリニックについては、
 決まり次第お知らせいたします。
 2017年10月27日、
 医療法人札幌美容形成外科
 理事長 本間賢一

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昔の記憶

おばが亡くなりました

 私のおば(太田昌子)が亡くなりました。
 1937年9月生まれ、80歳でした。
 私の母の弟(太田和男)の奥さんです。
 私が小さい頃から、
 けんちゃんケンちゃんとかわいがってくれました。
 叔父とは大学時代に知り合い、
 当時は珍しかった、
 ♡恋愛結婚♡だと聞いていました。
      ■         ■
 子供の私には、
 ♡れんあいけっこん♡が何を意味するかもわかりませんでした。
 小さい頃に、
 はじめておじさんの家に行った時に、
 水洗トイレでした。
 見るのも使うのもはじめてでした。
 おじさんの家は公団住宅でしたが、
 ハイカラでした。
      ■         ■
 おじとおばは、
 昔の北海道学芸大学(今の北海道教育大学)で、
 音楽を学び、
 音楽の先生になりました。
 おじが東京で音楽の勉強を、
 もっとしたいと、
 札幌から関東に引越しました。
 関東学院中学高校で、
 長い間ハンドベルを指導していました。
      ■         ■
 奥さんが亡くなってしまい、
 おじは一人になりました。
 今朝電話がありました。
 教え子たちが、
 みんなやってくれて、
 ぼくはだまってすわっているだけなんだ。

 おじ夫婦には子供がいません。
 おばもハンドベルをしていました。
      ■         ■
 関東学院の卒業生の方たちが、
 おばのことを
 ママ、ままって呼んでくれ、
 最期まで面倒をみてくださり、
 葬儀もしてくださるそうです。
 ほんとうにありがとうございます。
 私は葬儀には参列できませんが、
 札幌から冥福を祈っています。
      ■         ■
 横浜のタウンニュース
 2016年9月1日号に掲載された、
 私の叔父の記事です。
 金沢区・磯子区版
 2016年8月13日、ファイナルコンサートを開いた「クレシェンド」を21年指導した指揮者
 太田和男さん
 並木在住 82歳
 独自に創ったベルの響き
○…「こんなに楽しく棒を振ったことはない」。ミューザ川崎シンフォニーホールで開かれた最後の舞台に涙はなかった。「キレイに響くベルの音が最高で、ウキウキだった」と笑う。客席には教え子や教員仲間、札幌から駆け付けた兄弟、車いす姿の難病の妻ら。アンコールが終わると列ができ、懐かしい顔が見送ってくれた。「舞台を一番楽しんだのは僕だったね」
○…声楽を学び関東学院中学高校の音楽教師に。そんな折、ある演奏会で初めてハンドベルの音色を聞いた。「えもいえない美しい音。『これだ!』と思った」と振り返る。校長にかけあい、何とか40万円近くする3オクターブのハンドベルを米国の会社から購入。だが、肝心の音が響かない。「大変なものを買ってしまった」という思いで必死になった。教本も楽譜もなく指導者もいない中、音を響かせる試行錯誤が始まった。
○…苦難の末、手に入れた大きな音を響かせる関東学院の演奏は、当時の日本のハンドベル界では異端だった。1976年に初の全国大会が開かれるも、柔らかで優雅な音をスピーカーで流す他校から「関東は乱暴だ」と陰口を叩かれた。それでも「生の音で演奏するのが本来のベル」という哲学は曲げられない。生徒たちも「これが関東学院の音」と背中を押した。そんな中、当時の米国ハンドベル連盟の理事長と意気投合。ジョイントコンサートをやろうという話から、世界大会の構想が生まれた。1982年に渡米し理事会で世界大会開催を提唱、その2年後に実現する。海外での評価が高まるにつれ、国内でも認められるようになった。
○…教員時代に始め、21年間活動を続けたクレシェンドのメンバーには関東学院の卒業生も多い。「3年ぐらいしか続かないと思っていたけど」とほほ笑む。このたび、目を悪くするなどの理由で、指揮棒を置く決意をした。「迷惑をかける前にやめないと。最後は大事だから」

太田和男
(以上、タウンニュースより引用)

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二重・眼瞼下垂

眼瞼下垂症手術のダウンタイム

 私が聖路加国際病院形成外科で、
 大竹尚之先生から、
 眼瞼下垂症手術をしていただいて、
 今年で丸7年になります。
 おかげ様で快適です。
 何の不自由もありません。
      ■         ■
 自分で手術を受けたので、
 患者さんへの説明にも使っています。
 実際に私のキズを見ていただいています。
 ちょっと見ただけでは、
 どこにあるかわかりません。
 大竹先生の技術は素晴らしいです。
 感謝しています。
      ■         ■
 手術を受けたいという患者さんから、
 よくご質問をいただきます。
 質問:私は仕事をしています。
 仕事に復帰できるまでの期間はどのくらい必要ですか?

 私からの回答です。
 お仕事の内容によります
 目の印象が変わるので、
 不特定多数の方に顔を見られる職種の方には、
 難しい手術です

      ■         ■
 一週間のお休みで無理な方
 2015年10月24日の院長日記です。
 航空機のCAさん、
 ホテルのコンシェルジュさん、
 不特定多数のお客さんに見られる職種の方、
 デパートで化粧品販売をなさる方、
 高級ブランドの販売員さん、
 会社の社長さん。
 ご自分の顔が商売道具です。
 目が腫れているので仕事ができない職種の方は、
 一週間のお休みでは無理です
      ■         ■
 私はよく次のように説明しています。
 ばりばりお仕事をなさっていらっしゃる方は、
 最低2週間以上のお休みが取れる時期に
 手術をおすすめします。
 デパートに買い物に行けるようになるまで
 最低1ヵ月はかかる
とご説明しています。
 手術後1ヵ月でも腫れている人もいらっしゃいます。
 切る長さが長いと腫れも強くなります。
      ■         ■
 眼瞼下垂が重度で、
 切る長さが4㎝以上になると、
 近所のスーパーにサングラスで行くにも、
 2週間以上はは必要だと思ってください。
 キズが落ち着くまで3ヵ月くらいかかります。
 私は7年前の12月1日に手術をしていただき
 桜が咲く頃
 触っても違和感が少なくなりました。
 (つまり半年はかかりました
 かぶれやすい方は腫れが長く続きます。
      ■         ■
 簡単に手術で治ると思っている方には、
 手術はおすすめいたしません。
 私が手術をしても、
 治りが悪い患者さん
 腫れが予想以上に長く続く患者さん
 左右差が出る患者さんがいらっしゃいます
 手術後に目をこする
 再発して再手術になることもあります
 大変な手術なので毎日苦労しています

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医学講座

保育所で使ったおむつ

 平成29年10月24日、朝日新聞朝刊の記事です。
 保育所で使ったおむつ持ち帰るべき? 衛生上の問題は
 使用済みのおむつは持ち帰って処分して――。そんなルールがある保育所は多い。衛生上の問題もありそうだが、どうして?
 さいたま市の会社員の女性(37)の1歳の子の保育園では、使ったおむつと子ども用エプロンが隣り合って保管されている。「おむつは口のあいたポリ袋に保管されている。不衛生でにおいも気になる。感染症も心配」。これを毎日、自宅に持ち帰っている。
 4歳になる長男の時から、三つの認可保育所に通わせたが、どこも対応は同じ。理由は「自宅で体調把握ができるように」。「おむつの中身を見なくても、連絡帳などで伝えれば十分では……」
 千葉県旭市の医師(43)の1歳の娘が通う公立の認可保育所も持ち帰りだ。「衛生的な問題があるのでは」と昨年度、市に改善を要望したが、受け入れられなかった。市によると、市内の公立保育所ではすべて保護者がおむつを持ち帰る。理由は「事業ゴミの収集が週2回で、保育所内で保管すると感染リスクも高まる」からだという。
 厚生労働省によると、2012年に出した保育所の感染症対策ガイドラインがあり、ふた付き容器への保管や手洗いの徹底などは定めている。だが、最終的に誰が処分するかは明記されておらず、「園や自治体の事情もあるので任せている」(担当者)という。どのくらいの保育園で持ち帰りをしているかも把握していない。
 東京都世田谷区の会社員の男性(41)が8月末、ツイッター上で保護者を対象に調査を呼びかけた。約1700の回答のうち「持ち帰る」と「持ち帰らない」は半々。3人の子が通った園はいずれも持ち帰りで、「なぜ対応に差があるのか」と驚いた。フランス在住のジャーナリスト高崎順子さん(43)は8月末、ツイッター上で日本の実態を調べ、約2千の回答が寄せられた。紙おむつだけでも「大のみ、園で処分」「すべてまとめてポリ袋に入れ、帰宅時に渡す」「有料で処分」などさまざまな例があった。
 見直した自治体もある。東京都千代田区はこれまで、公立の認可保育所6園で基本的に持ち帰りとし、希望する場合だけ、月310円で園で処分してきた。担当者は「布おむつを保護者が持ち帰って洗っていた時代の名残では」。無料で一括処理している私立が増え、「不公平だ」という声に配慮し、今年4月から一括して園で処理することにした。区内の公立保育所の園長は「以前は持ち帰る人とそうでない人との対応に神経を使い、衛生面も気になった。今の方が保育士の負担は小さい」と話す。
 自宅への持ち帰りに、衛生的な問題はないのか。厚労省のガイドライン作成に関わった東京都足立区の小児科医、和田紀之さんは「園の状況にもより、統一的な対応は難しい」と話す。おむつからの感染は起こりやすく、適切な処理が必要だが、処理業者が認識していなければ拡大のリスクが高まる。専門業者に頼むと費用もかかり、保管場所がない園もある。「保護者も感染拡大防止のための自覚を持ち、納得できる方法を話し合うことが大切」という。
 一方、フランスの子育て事情に詳しい高崎さんは、「日本では子育ての負担が大きい。おむつ持ち帰りはその象徴だ」と話す。2人の息子がフランスの保育所に通っていた数年前、日本の親から「おむつ持ち帰り」のことを聞いた。1枚1枚に名前を書き、包むための新聞紙の持参を保護者に求める園もあると聞き、「今でも大変なのに、日本だったら子育ては無理」と感じた。
 「日本では、『母親がこうあるべきだ』という理想や慣例に縛られ、無駄な負担が残っているのではないか」。フランスが出生率を回復した背景の一つに、合理的に親を支える仕組みがあることを知ってもらおうと、フランスの事情についての本を出版した。
 「保育所に通わせるために、保護者の日常の煩雑さが増えては本末転倒。子どものために本当に必要か、という観点から考え直してみては」と話す。(仲村和代)

(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 知りませんでした。
 保育園に子供さんを預けて働くのは大変です
 お迎えに行く時には、
 晩ご飯の食材もあるでしょうし、
 自分の荷物もあります。
 子供さんを迎えに行くだけでも大変なのに、
 使用済おむつまで持ち帰るとは?
 両親にとって大変なことだと思います。
      ■         ■
 布おむつを持ち帰って洗っていた時代の名残も、
 何となくわかりますが、
 それにしても、
 私立では、
 無料で一括処理しているところが増えているのに、、、
 どうして?
 …という思いがします。
      ■         ■
 医療機関では、
 ふつうの患者さんが使用したおむつ
 事業系一般廃棄物
 感染症の患者さんのおむつは、
 医療廃棄物の感染性廃棄物です。
 保育園のおむつは、
 事業系一般廃棄物として保育園で処理するのが、
 医療従事者としてはふつうの感覚です。
 持ち帰るときに、
 他の子供さんのおむつと間違わないのでしょうか?

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昔の記憶

自民党が大勝しました

 昨日の第48回衆議院議員選挙で
 前評判通りに自民党が大勝しました。
 安倍首相の満面の笑みが、
 北海道新聞に掲載されていました。
 自民党の勝因として、
 各紙が伝えているのが敵失です。
 小池百合子さんも認めていました。
      ■         ■
 今日は安倍首相がお好きな、
 読売新聞の社説を引用します。
 平成29年10月23日、読売新聞社説です。
 衆院選自民大勝 信任踏まえて政策課題進めよ 
 ◆「驕り」排して丁寧な政権運営を
 安倍政権のすべてを支持するほどではない。だが、政治の安定を維持し、経済再生や日本の安全確保できちんと結果を出してほしい。それが、今回示された民意だろう。
 第48回衆院選は、自民党が過半数を大きく上回る議席を得て、大勝した。公明党との連立政権が継続する。安倍首相は2012年衆院選以来、国政選で5連勝だ。
 首相は大勢判明後、「安定した政治基盤の下、一つ一つ結果を出したい」と強調した。
 ◆首相全面支持ではない
 首相は、来年秋の自民党総裁選での3選に向けて、足がかりを築いた。内政、外交両面でさらなる長期的な政権戦略を練り、その布石を打つことが大切である。
 我が国は今、デフレ脱却、財政再建、北朝鮮の核・ミサイルなど様々な課題に直面している。
 今の野党に日本の舵かじ取りを任せることはできない。政策を遂行する総合力を有する安倍政権の継続が最も現実的な選択肢だ。有権者はそう判断したと言えよう。
 希望の党の結成や、民進党の分裂・合流、立憲民主党の結成という野党再編の結果、小選挙区で野党候補が乱立し、反自民票が分散した。これが、自民党に有利に働いた点も見逃せない。
 公示直後の世論調査で、内閣支持率は不支持率を下回った。首相は、自らの政策や政治姿勢が無条件で信任されたと考えるべきであるまい。与党の政権担当能力が支持されたのは確かだが、野党の敵失に救われた面も大きい。
 安倍政権の驕おごりが再び目につけば、国民の支持が一気に離れてもおかしくない。首相は、丁寧かつ謙虚な政権運営を心がけ、多様な政策課題を前に進めることで国民の期待に応えねばなるまい。
 与党は、2019年10月の消費増税による増収分の使途変更で教育無償化などを拡充すると表明した。
 バラマキを排し、真に必要とする家庭を支援する制度を設計する必要がある。達成不可能になった2020年度の基礎的財政収支の黒字化という目標に代えて、新たな財政健全化の道筋も明示すべきだ。
 安倍政権の原点は経済再生だ。アベノミクスの加速へ、既存政策の焼き直しでなく、成長戦略を多角的に強化することも急務だ。
 ◆希望は新党の脆さ露呈
 北朝鮮情勢は今後、さらに緊迫する可能性がある。日米韓3か国が連携し、金正恩政権への圧力を強めつつ、中国の協力を得て、核放棄を迫り続けねばならない。
 立憲民主党は当初、希望の党に合流できない民進党の左派・リベラル系議員の受け皿として出発したが、安倍政権に批判的な層に幅広く浸透し、躍進を果たした。
 労働団体による個別議員への支援に加え、共産、社民両党との選挙協力も効果を上げた。
 今後、民進系の無所属議員らと連携する可能性がある。政府・与党に何でも反対する「抵抗政党」に陥らず、建設的な論戦を仕掛けることが求められよう。
 希望の党が安全保障関連法を容認し、安保政策で自民党と差のない保守系野党を目指す姿勢は、評価できる。従来の不毛な安保論争に終止符を打つことは重要だ。
 希望の党は一時、政権獲得を目指す構えだった。だが、小池代表の民進党からの合流組への「排除」発言などで失速した後は、盛り返せず、苦戦した。
 消費増税凍結、2030年の原発ゼロなど、付け焼き刃の政策は具体性を欠いた。「しがらみのない政治」の名の下、政治経験の乏しい新人の大量擁立も疑問視された。
 組織基盤がなく、「一枚看板」の小池氏の人気に依存した新党の構造的な脆もろさを印象づけた。
 小池氏の地元の東京で振るわず、全国でも当選者の大半を民進党の移籍組が占めた。小池氏の求心力低下は避けられまい。
 ◆憲法改正論議を活発に
 政策面で民進党に先祖返りしたり、離党して民進党の再結集を図ったりすることは、有権者を愚弄ぐろうする行為であり、許されない。
 共産党は、立憲民主党に左派系の票を奪われ、伸び悩んだ。
 今回の衆院選では、憲法改正が本格的な争点となった。
 自民、公明、希望、維新の各党は改正に前向きである。各党の合計議席が衆院の3分の2を大きく上回ったが、改正項目に関する足並みはそろっていない。
 自民党は今後、自衛隊の明記、緊急事態条項など4項目に関する党内論議を再開し、党の考え方をまとめる。各党も、無為に議論を先送りせず、自らの見解を策定すべきだ。超党派の合意形成に向けた重要な一歩となるだろう。
 (以上、読売新聞WEB版より引用)

      ■         ■
 安倍首相の読売新聞ですら、
 首相全面支持ではない
 おごり排して丁寧な政権運営を

 …というお言葉が出ています。
 医療にも通じるところがあります。
 自分だけは医療事故を起こさない
 …なんて思わないことです。
 おごりが出ると事故につながります
 安倍首相には、
 丁寧な政治をお願いしたいです。
 戦争だけはごめんです。

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昔の記憶

衆議院議員選挙投票日2017

 今日は衆議院議員選挙の投票日です。
 私は仕事が終わってから投票に行きます。
 2012年の選挙は12月、
 衆議院議員選挙投票日2012
 2014年の選挙も12月でした。
 師走選挙、嘆きの道内歓楽街
 今年の選挙はまだ雪が降っていないので、
 12月よりは暖かいです。
      ■         ■
 日本はどうなるのだろう?と、
 安倍首相と同い年の私は心配しています。
 本間家では、
 安倍首相が嫌いな朝日新聞を購読しています
 安倍首相が好きなのは読売新聞のようです。
 ネットで2紙の社説をくらべてみました。
 ちょっと興味深いです。
      ■         ■
 平成29年12月22日、朝日新聞朝刊の社説です。
 朝日新聞社説
 衆院選 きょう投票 棄権なんてしてられない
さて、誰に、どんな思いを託そうか。思案の雨の朝である。
 訳のわからぬ理屈で首相が衆院を解散したと思ったら、あれよあれよという間に野党第1党も自ら散り散りになった。打算と駆け引きの果て、置き去りにされたのは、理念と丁寧な説明、そして国民である。
 一連の騒ぎにはほとほと愛想が尽きた。投票に行く気になれない。そんな声もしきりだ。
 だが今回の一票は、時代を画する重みを持つ。
 ■ヒラリー氏の嘆き
 3年前の衆院選の投票率は52.66%と戦後最低を記録した。
 多くの人が投票し、さまざまな意思が反映された代表者を通じて、国を運営してゆく。それが近代民主主義の姿だ。ところが大勢の人がそこに集うほど、一人ひとりの声は相対的に小さくなり、政治に参加している実感や責任感は薄まる。
 制度が抱えるジレンマ、と言っていい。しかし「しょせん選挙なんて」というニヒリズムが広がれば、堅固に見えた社会の土台も崩れる。
 昨年の米大統領選。世界中がまさかと思っていたトランプ氏が当選し、ヒラリー・クリントン氏は一敗地にまみれた。
 投票率は50%台だった。過去に比べ特に低かったわけではないが、選挙が終わった後に、多くの市民から「実は投票に行かなかった」と謝られたと、ヒラリー氏が近著で明かしている。「市民としての責任を最悪の時に放棄したのね」という言葉が口をつきそうになったという。
 街の灯が一つ消えても、目に映る風景はほとんど変わらない。やがて「なんだか暗いね」と皆が気づいた時には、もう元に戻れない地点に来ているのかもしれない。
 棄権という選択は、将来を白紙委任することに他ならない。
 ■お客様か主権者か
 いつの世も、候補者は耳に聞こえの良いことしか語ろうとしない。ならば有権者の側が、その甘い言葉の先を考えたい。
 朝日新聞の社説は、選挙の最大の争点は安倍1強政治の評価だと主張してきた。ためしに、首相の政権運営が評価されて、あと4年、2021年までこの政治が続く姿を想像してみよう。
 このころから、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になっていく。社会保障の経費をまかない、あわせて財政の健全化を進めるという困難な課題に、「アベノミクスの加速」は有効な答えを出せているだろうか。
 政権は原発を基幹電源と位置づけ、再稼働を進める。たまり続ける「核のごみ」を処理し、未来に負担をかけない道筋が、4年後には描けているか。
 そして憲法。例によって街頭演説などでほとんど触れない首相だが、今回、自民党は「自衛隊の明記」をはじめ、具体的な改憲項目を公約に盛りこんだ。選挙が終われば、国民との約束を果たすとして改憲への動きを加速させるだろう。有権者にその覚悟と準備はあるか。
 自分が思い描く望ましい未来像と照らし合わせてほしい。
 留意したいのは、消費者の気分で政治を見るわけにはいかないということだ。
 政党は、自動販売機に並ぶお茶やジュースではない。「お客様」なら好みのものがなければ買わなければいい。だが「主権者」はそれでは済まない。選挙の先にたち現れる政治は、日々の生活を規定し、支配する。無関係や没交渉はあり得ない。
 ならば、品ぞろえに不満があっても、その中からましな一つを選ぶ。その選んだ先と対話を重ね、次はこういう政策が欲しいと働きかけ、国を動かす。そうやってはじめて、「主権者」たり得るのではないか。
 自販機と違って、すぐには渇きを癒やせないかもしれない。期待していたとおりの味でないこともあるはずだ。それでも選ぶことをしなければ、民主主義は始まらない。
 ■物差しを決める
 こう言うと、選ぶことの重さにたじろぐ人がいるだろう。「そんな必要はない。肩の力を抜いて」と、著書「世論」などで知られる米国の評論家リップマンなら助言するに違いない。
 仕事や家事で忙しいのに、複雑な政治課題への見聞を深め、合理的な判断を下すなんて教科書だけの世界だ。有権者にできるのは、政治家が世の中のルールと己の欲望のどちらに従っているかを判断することだ――。そんな趣旨の文章を、90年以上前に書き残している。
 彼に励まされて、もう一度、候補者の考えを比べてみよう。
 自分が最も大切だと考える政策や、政治家に求める姿勢を一つ決め、その物差しで投票先を決めてもいい。それでも考えあぐねるなら、今晩どの党首が笑顔でいると「いいね」と感じるか。それも選び方だ。小選挙区と比例区で投票先を使い分けても、一向に構わない。
 関心が高いから投票へ行く。投票へ行くから関心が高まる。どちらも真理だ。さあ一歩を。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 平成29年12月22日、読売新聞朝刊の社説です。 
 読売新聞社説
 きょう投票 日本の針路を正しく定めたい
 ◆政策の質と説得力を見極めよう
第48回衆院選は、きょう投票日を迎えた。
 様々な課題に直面する日本の新たな針路を選択する機会である。政党や候補の主張を冷静に見極め、貴重な1票を投じたい。
 今回の特徴は、野党第1党の民進党が公示前に分裂し、候補が希望の党、立憲民主党、無所属に分かれたことである。
 与党の自民、公明両党に対し、希望の党、日本維新の会の保守・中道系野党と、共産、立憲民主、社民の左派・リベラル系野党が挑戦する3極の構図となった。
 ◆アベノミクスの功罪は
 「寄り合い所帯」が分裂し、基本理念や政策を軸に再編成されたことで、各党の違いが有権者に分かりやすくなったのは確かだ。
 北朝鮮情勢が緊迫し、安倍首相が「国難」と位置づけた中での選挙となったのも異例だった。
 衆院選は本来、政権選択選挙である。だが、政権獲得を目指したはずの希望の党は、過半数ぎりぎりの候補しか擁立できなかった。安倍政権を信任するのか。どの党に伸びてほしいのか。有権者は選択する必要がある。
 与党は、目標とする過半数の233議席からどこまで上積みできるか。希望の党と立憲民主党の野党第1党争いも注目される。
 アベノミクスの功罪、急速に進む少子高齢化への対応、厳しさを増す安全保障環境に対する備えなどが投票の判断材料となろう。
 アベノミクスに関して、安倍首相は演説で、日経平均株価の21年ぶりの高値などを挙げ、「一つ一つ実現してきた」と強調する。
 雇用改善や企業業績回復で成果を上げる一方、賃金が伸び悩むなど、停滞感も漂っている。
 希望の党の小池代表は「経済成長が進まない」と批判し、徹底した規制改革を求める。立憲民主党の枝野代表も「強い者をより強くし、偏った経済政策を進めた」として賃金の底上げを訴える。ただ、具体案を示せたとは言い難い。
 ◆安保法の意義が高まる
 2019年10月の消費税率10%への引き上げを巡っては、与党と野党の主張が衝突した。
 与党は、消費増税を実施し、赤字国債縮減に充てる増収分の使途の一部を教育無償化などに変更すると公約に掲げた。新たな財政再建目標は示していない。
 希望、立憲民主両党と日本維新の会は「凍結」を求めた。共産、社民両党は引き上げに反対する。しかし、新たな財源確保については、「身を切る改革」などと掛け声ばかりで、実効性に乏しい。
 各党とも、将来世代へのつけ回しを抑制する「痛み」の伴う施策を避けたのは残念である。
 安全保障を巡っては、希望の党が安保関連法を容認したことで、与党と野党が厳しく対立した従来の構図が変化した。日本維新の会も一定の理解を示す。
 自衛隊が、より幅広い支持を得て、関連法に基づく米艦防護などを遂行できる意義は大きい。
 共産、立憲民主、社民の各党は関連法廃止を主張している。
 北朝鮮の脅威が高まる中で、安保関連法を土台にして日米同盟の信頼性を一層高める必要があることを忘れてはなるまい。
 衆院選の結果、自公両党と、憲法改正に前向きな希望、維新の両党の合計の議席数が、発議に必要な3分の2に当たる310を上回る可能性が高まっている。
 自民党は自衛隊の明記などを掲げる。公明党は環境権などの「加憲」を主張する。希望の党は「知る権利」など、日本維新の会は教育無償化などを優先する。
 各党がどのような憲法改正を目指しているのかも、投票する際の参考にしたい。
 ◆「資質」の吟味が重要だ
 森友・加計学園問題について、首相は遊説で言及しなかった。党首討論会でも、「反省」を口にしつつ、「私が関与したと言った人は一人もいない」と繰り返すにとどめた。首相の説明責任に関する評価が問われよう。
 疑問なのは、民進党の参院議員らが、立憲民主党や無所属の候補などによる民進党の「再結集」に言及していることだ。
 希望の党には、自党の公約を公然と批判したり、当選後の離党まで口にしたりする候補がいる。
 にわか作りの新党であっても、政党としてきちんと結束できるかどうかを見定める必要がある。
 自民党にも、失言や不祥事が問題視された前議員がいる。自分の選挙区の候補が、選良にふさわしい資質を有するのか、厳しく吟味するのは有権者の責任だ。
 (以上、読売新聞より引用)

      ■         ■
 私は朝日新聞も読売新聞も好きです。
 どちらの記者さんにも取材を受けたことがあります。
 私の加湿器のやけど
 最初に取材してくださったのは、
 読売新聞の記者さんでした。
 政権に対する意見は、
 どちらも参考になります。
 両紙とも自民党が勝つだろうという予測です。
 少しでもいい世の中になってほしいです。

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医学講座

弁護士から学ぶ医療事故

 昨夜(2017年10月20日金曜日)19:00~20:30まで、
 札幌市保健所の主催で、
 平成29年度医療安全講習会が、
 札幌市保健所がある建物、
 WEST195階講堂で開催されました。
 講演は、
 ①弁護士から学ぶ医療事故
 講師:札幌市弁護士会 田端綾子 弁護士
 ②札幌市医療安全相談窓口に寄せられる相談事例について
 講師:札幌市保健所医療政策課 西澤美幸さん
 でした。
      ■         ■
 弁護士の田端綾子先生は、
 札幌のラベンダー法律事務所の先生です。
 先生は、
 札幌医療事故問題研究会、事務局次長、
 医療事故情報センター(名古屋)、理事
 市立札幌病院医療安全対策会議のメンバーです。
 医療事故に、
 患者側弁護士としてご活躍中です。
      ■         ■
 田端先生から、
 裁判所における医療事故の年次推移や、
 和解率、認容率、
 通常訴訟と医療訴訟の違いなど、
 興味深い内容を教えていただきました。
 医療事故は、
 通常訴訟と違った難しさがあります。
 弁護士さんの中でも、
 医療訴訟に詳しい先生でなければ、
 患者側が医療機関を相手に裁判をするのが、
 大変なことがわかりました。
      ■         ■
 田端先生の講演で、
 日本の裁判所における医療事故の提訴件数が、
 年間800件~1000件で推移していること、
 和解率が50%程度、
 認容率が20%程度と教えていただきました。
 和解率や認容率などは、
 素人には難しい言葉です。
 患者側が訴訟を提起しても、
 勝訴するのが難しいことがわかりました。
      ■         ■
 裁判には至らない、
 患者さん側の不満が、
 とても多いことを教えていただきました。
 医療事故被害者には5つの願いがあるそうです。
 原状回復
 真相究明
 反省謝罪
 再発防止
 損害賠償

 もっともなことです。
      ■         ■
 裁判所における医療事故を診療科目ごとにみると、
 平成28年度では、
 内科
 外科
 歯科
 整形外科
 産婦人科
 精神科
 形成外科
 その他の順番です。
      ■         ■
 絶対数が少ない形成外科が、
 診療科目ごとランキングに入るのは、
 あまり名誉なことではありません。
 患者さんから訴えられないように、
 毎日の診療を
 安全
 正確
 親切
 丁寧

 …にする必要があると感じました。
      ■         ■
 札幌医療事故問題研究会の弁護士さんや、
 ラベンダー法律事務所では、
 患者側からの相談は、
 原則無料だそうです。
 医療事故の被害者になった方は、
 弁護士の田端綾子先生にご相談なさってください。
 とても優しくて親切な先生です。
 頼りになる弁護士さんです。

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医学講座

病気腎の移植、先進医療に

 平成29年10月20日、朝日新聞朝刊の記事です。
 病気腎の移植、先進医療に
 徳洲会の申請認める 厚労省部会
 がんの治療で取り出した腎臓を、別の腎臓病患者に移植する「病気腎移植」について、厚生労働省の審査部会は10月19日、条件付きで先進医療として認めることを決めた。実施施設は治療の経過などを厚労省に報告せねばならず、国の仕組みのもとで実施される。安全や倫理面で批判されてきたが、実績をつめば技術自体が公的保険の対象になりうる。
 病気腎移植は、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などで万波誠医師(77)らが実施していたことが2006年にわかり、厚労省が監査に入った。患者の同意書がないケースもあった。関連学会が「安全性に問題あり」などと否定し、厚労省は臨床研究以外の実施を禁じた。
 徳洲会(本部・東京)側は「移植する腎臓が不足し、患者のために必要」と、2009年12月から2016年5月の間に17例の臨床研究を実施し、2016年6月に先進医療に申請した。腎臓に直径7センチ以下のがんがあり、がんの部分切除が難しく、全摘出に患者が同意した場合が対象。がんを取った腎臓を腎不全患者に移植する。4年で42例の計画で、移植後5年間の生存率やがんの発生がないかなどを調べる。
 10月19日の部会では、説明文書や治療経過のチェック体制の整備が進み、安全性や妥当性に大きな問題はないとされた。摘出が適切かどうかを検討する委員会に、泌尿器科や移植の関係学会の委員を入れることなどを条件とした。また移植した腎臓が機能しない例が4例出れば中止する。
 移植手術をしてきた万波氏は、「(腎臓を提供する)ドナーが足りていない。ドナーが1人でも2人でも増えてくれるとうれしい」と話した。
 (以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 ドナーカード
 2006年11月7日の院長日記です。
 腎移植には、
 私の強い思いがあります。
 恥ずかしながら、
 私自身が臓器提供に抵抗がありました。
      ■         ■
 実は医師になって働きはじめた頃は
 自分の組織を提供することには抵抗がありました。
 1989年4月から市立札幌病院に勤務し、
 毎日救命救急センターへ行って、
 外傷や熱傷の患者さんを救急の先生と一緒に治療していました。
 私はそこではじめて脳死の患者さんを診察しました。
 いままで漠然としか脳死を知りませんでしたが、
 救命救急の現場で、
 脳死とはどのような状態であるかを知りました
      ■         ■
 市立札幌病院には救命救急センターのほかに
 腎センターと腎移植科がありました。
 腎移植科の平野哲夫先生は献身的に腎移植に取り組んでいらっしゃいました。
 市立札幌病院ではたくさんの患者さんが人工透析を受け、
 腎移植を希望する方もたくさん待っていらっしゃいました。
 ある日、腎バンクの登録希望者を募集していたので、
 私はすぐに腎バンクに登録しました。
      ■         ■
 その後、臓器移植法が整備され、
 臓器提供意思表示カードを医師会でもらったので、
 腎臓提供カードから、
 腎臓以外の組織もすべて提供できる、
 臓器提供意思表示カードに切り替えたのが1998年でした。
 私は自分の死後に、
 もし自分の臓器が役に立つなら喜んで提供します

      ■         ■
 ちょうどこの院長日記を書いた、
 2006年に宇和島徳洲会病院の万波誠先生のことが報道されました。
 ドナーカード
 2006年11月7日の院長日記に書いた言葉です。
 最近、病気の腎臓を移植した先生のことが問題になっています。
 家内は『取らなくてもよい腎臓をとって移植したんじゃないの!』と怒っています。
 私はもし自分の腎臓が病気でそれを摘出して
 他人の役に立つなら喜んで提供します。
 腎臓は部分的に切除するより
 全摘出のほうがリスクが少ない場合もあると思います。
 一部で報道されているように
 医師が自分の功名心のために腎臓移植をするとは到底考えられないからです。

      ■         ■
 毎日、透析を受けて腎移植を待っている人を見れば
 誰でも助けてあげたいと思います。
 今の日本に必要なのは、
 もう少し臓器移植を円滑に進めることができるシステムです。
 お金持ちだけが中国へ行って
 死刑囚の腎臓を移植してもらう方がよほど問題だと思います。

      ■         ■
 腎移植は進歩しました。
 死体腎移植を待っていても順番が来ないので、
 生体腎移植を受ける人が増えました
 自分の奥さんから、
 腎臓をもらって元気で働いている人を知っています。
 私は自分が患者だったら、
 病気の腎臓を移植してもらいます
 病気の腎臓が役に立つのだったら差し上げます
 もっと移植医療の研究が進むことを祈っています。
 私は宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)は、
 いい病院だと思います。

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院長の休日

心に残るひととき「宝物の1円玉」 

 平成29年10月18日、朝日新聞朝刊の記事です。
 渡辺えりの心に残るひととき
 「宝物の1円玉
 相手思いやる心、私も磨きたい
 俳優の渡辺えりさんに、本紙生活面の「ひととき」に掲載された中から印象に残った投稿を紹介してもらう「渡辺えりの心に残るひととき」。3回目となる今回は、今年7月から9月までの投稿が対象です。渡辺さんが選んだ「宝物の1円玉」を書いた鎌田啓子さんに、記者がお話をうかがいました。
 ■相手思いやる心、私も磨きたい
 宮城県大崎市の鎌田啓子さんの「宝物の1円玉」(8月28日、東京本社版)。レジ係の方の生真面目で温かく、年配の方を尊重する心に私も思わず泣いてしまいました。
 年を重ねてきたからこそ感じる感情があります。若い頃はついつい仕事に追われ、出会う方たちに冷たい態度を取ってしまったことも度々あったように思います。後悔しても取り返しのつかない苦い思い出も、多々あります。
 老齢に差し掛かり、客観的に周りを見渡すことが出来てくると、思いやりのある心の濃い人を乞う気持ちが強くなってきます。あいさつを交わしたり、笑顔で接したり。若い頃はあまり気にならなかった人のしぐさに心が癒やされ、生きる勇気を得られたりしてくるのです。

 相手の身になって考える思いやりの心というのは、どうやると育っていくのでしょうか? この「リサ」さんという元気の良い店員さんが残したメモに泣かされました。
 「1円くらいどうということはない」と思うのが普通かもしれません。しかし、この店員さんは、高齢になった男性が小銭入れからパラパラとお金を落としてしまい、「慌てて拾って会計を済ませて」いく様子を見ていたのでしょう。その姿に、「気の毒な事をした。自分も手伝ってあげれば良かった」と後悔したのではないでしょうか。落ちていた1円玉を見つけたとき、なんとしてでもお返ししなければと考えたこの店員さんの自立した精神の素晴らしさ、正しさに感動します。
 真正直ではつらつとした店員さんのいるスーパーは信用できます。私の近所にも、いつもトイレがピカピカに磨かれているスーパーがあります。隠れた見えない部分を磨き上げる精神を育てていきたいと、強く思います。
 劇場に入ったときも出ていくときも、必ずトイレ掃除をしてトイレットペーパーを補充するようにと、劇団員には最初に教えています。しかし、今は劇場には係の方がいらっしゃるようになり、若手も昔からの思いやりの精神を学ぶ機会が少なくなってしまいました。みんな悪気はなく、何も気づかなくなってしまったのです。1円玉が落ちていることさえ気が付かないくらいの、ぼんやりした感覚でも生き延びられるようになってしまった現代の日本という国があります。
 *
 ぼんやりと薄暗い社会の中で光を生み出していくのは、血のつながりのない者たちが互いに思いやり支えあう心なのではないでしょうか?
 私も諦めず人を信じて愛して、観客の笑顔のために頑張ります。
 ◇
 わたなべ・えり1955年、山形県生まれ。デビュー40周年を記念したファーストアルバム「夢で逢(あ)いましょう」が発売中。来年2月には、主演舞台「喜劇 有頂天一座」を上演。
 ■宝物の1円玉(2017年8月28日付、東京本社版)
 いつも行っているスーパーでのこと。会計の時、夫が小銭入れからパラパラとお金を落としてしまい、慌てて拾って会計を済ませて帰ってきました。
 それから数日経ったある日。元気のいいレジ係の女性が寄ってきて、「先日落としたお金です。レジの下に落ちていました!」と、紙に包んだ1円玉を差し出しました。紙を破って1円玉を取りだそうとしたので、私はとっさに止めました。「汚い字なので」とためらう彼女に頼んで、包んだままをいただきました。こんなに大事に包まれた1円玉を見て、彼女の気持ちを破るのはもったいないと感じたのです。
 広告の裏紙で作ったその小さな袋には、こうメモしてありました。
 「5月24日(水) いつも来るお客様の1円です!次に来た時に渡すのでおいてて(保管)下さい(落としていった)!(リサ)」
 彼女はいつも笑顔で声をかけてくれます。私たち夫婦はこの方に元気をいただくので買い物を楽しみにしています。1円玉は袋に入ったままで封を切っていません。大事な大事な私の宝物だからです。あなたの元気で明るく誠実なお客様への対応に感謝しています。
 (宮城県大崎市 鎌田啓子 無職 72歳)
 ■<投稿者から彼女の素晴らしさ伝えたくて
 ひとときに投稿しようと思ったきっかけは、このリサさんが、レジ係からほかの業務に移ってしまうと聞いたことでした。
 「こんなにもお客のことを考えてくれる素晴らしい人は、なかなかいない」ということを多くの人に知ってほしかったのと、リサさんへのこれまでの感謝を、何か形にできないかと考えたのです。
 いま、彼女は常に店頭に出るお仕事ではなく、商品管理のお仕事をされているそうです。レジでお会いできないのはさみしいですが、たまにお店で姿を見かけます。そのとき、彼女が必ず笑顔で声を掛けてくれるのが、またうれしくて。「今日は旦那さまは?」「体調どうですか」など、こちらのことをよく覚えていてくれます。「今日は会えるかしら」と、スーパーに行く別の楽しみができました。
 あの1円玉は、財布の中に入れてあります。これからも、大事にとっておくつもりです。
 ■ひとときとは1951年10月2日に東京本社夕刊家庭欄に誕生。以来、女性のための投稿欄として歴史を重ねています。
 ◆「渡辺えりの心に残るひととき」は3カ月に1回掲載します。次回は1月の予定です。

 

(以上、朝日新聞より引用)

      ■         ■
 私が2017年8月28日の院長日記でご紹介したひとときです。
 たくさんの人の心に残ったのだと思いました。
 新聞やTVでニュースを聞いても、
 あまり楽しいニュースがありません。
 札幌は寒くなってきました。
 今日は旭岳で遭難した4人が救助されたという、
 うれしいニュースがありました。
 救助隊の方に感謝です。
 ありがとうございました。

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医学講座

皮膚移植2017

 昨日の院長日記、
 極薄分層植皮に、
 さくらんぼさんから、
 コメントをいただきました
 植物を植えるより難しそうな植皮ですね
 そうなんです。
 皮膚を植える植皮はとても難しいのです
      ■         ■
 私たちの世代の形成外科医は、
 まず、
 植皮を100%生着させること!
 …これが形成外科医への第一関門でした。
 植皮がうまく生着しないことを、
 植皮が落ちた
 植皮が着かなかった
 植皮グラフト落ちた
 植皮グラフト着かなかった
 …こんな言い方をしました。
      ■         ■
 今の私ですら、
 皮膚移植を100%成功させることは、
 とても難しいです。
 手術が下手な先生が植皮をしても、
 また植皮が落ちた
 ○○先生のグラフトがまた落ちた
 私も新人形成外科医の頃に、
 何度か植皮が落ちて
 自分も患者さんと同じくらい落ち込んだことがあります
      ■         ■
 瘢痕拘縮
 植皮術
 2007年6月、
 今から10年前に書いた院長日記です。
 植物の苗を買ってきて移植しても、
 水やりが悪かったり移植後の管理が悪いと枯れます。
 皮膚も上手に移植することはもちろんですが、
 移植後に動かないように固定しないと生着しません。
 ベテランの形成外科医はこの固定が上手です。
 皮膚の移植は植物の移植と同じ『移植』を用います。
 英語でもtransplantationと言います。
 plant(植物)をtrans(動かす)のです。

      ■         ■
 植物の移植は、
 根がついた苗を移植します。
 皮膚移植は、
 根のない、
 葉を
 挿し木で植えるようなものです。
 挿し木で根付かせるのは
 根がついた苗より難しいです。
      ■         ■
 皮膚を上手に移植するには、
 移植後に動かないように上手に固定する必要があります。
 ベテランの形成外科医はこの固定が上手です。
 植物と違って、
 生きた人間に移植するので、
 移植後に動かないように固定するのが大変です。
 固定が下手だと生えた根が切れてしまいます。
      ■         ■
 植物を移植して
 根が伸びて生着します。
 移植した皮膚に必要なのが血管です。
 植物に根が生えるように、
 移植した皮膚にも血管ができます。
 これを血管新生と呼びます。
 目に見えないような微小血管が生えて、
 移植した皮膚が生着します。
      ■         ■
 意外に思うかもしれません。
 皮膚移植を生着させるために、
 ギプス固定をします。
 私も形成外科医になるまで、
 形成外科でギプス固定をすることを知りませんでした。
 植物の移植に添え木が必要なように、
 皮膚移植には固定が必要です。
 固定が下手だと皮膚は落ちます。

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