わきが
                        
                            稲葉法                                                    
    
                         稲葉法という…
 わきがの手術法があります。
 形成外科医にも、
 美容外科医にも、
 稲葉法に批判的な人がいます。
 私は…
 日本が生んだ、
 優れたわきが手術法だと思います。
      ■         ■
 1977年のPRSという…
 米国形成外科学会誌に論文があります。
 当時、
 一般開業医で、
 PRSに論文が載るというのは…
 実に素晴らしいことでした。
 今の私にはできません。
      ■         ■
 稲葉法は、
 東京の稲葉益巳(いなばますみ)先生が開発した、
 皮下組織削除器(ひかそしきさくじょき)による方法です。
 昭和54年11月1日に、 
 当時の武見太郎_日本医師会長から
 日本医師会最高優功賞を授与されています。
 昔学会でお見かけしたことがあります。
 残念なことに他界されてしまいましたが、
 稲葉益巳先生のご子息の稲葉義方先生が、
 現在も東京で開業されています。
      ■         ■
 PRSに掲載された論文は、
 NEW INSTRUMENT FOR HIRCISMUS AND HYPERHIDROSIS OPERATION:
 Subcutaneous Tissue Shaver
 INABA, MASUMI
 Plastic & Reconstructive Surgery.
 59(6):864-866, June 1977.
 です。
      ■         ■
 日本語に訳すと…
 腋臭症・多汗症の新しい手術器械
 皮下組織シェーバーです。
 私に稲葉法を教えてくださったのが、
 中央クリニック新宿院の日高士郎先生でした。
 それまでにも知ってはいましたが、
 手術のこつを教えてくださったのが、
 日高先生です。
      ■         ■
 はっきり言うと、
 稲葉法は、
 術者によって結果がまったく違います。
 腕の良い先生が、
 適応を選んで行えば…
 腋臭症手術として素晴らしい結果が出ます。
 ただとても難しいです。
      ■         ■
 稲葉法に批判的な先生は、
 失敗例や
 トラブル例だけを見て…
 批判している先生が大部分です。
 私は中央クリニック時代に、
 この稲葉法で手術をしていました。
 それまで…
 形成外科で20年も手術をしていたのと…
 まったく違う結果でした。
      ■         ■
 札幌美容形成外科を開業してからは、
 稲葉法は使っていませんが、
 今でも素晴らしい手術だと思います。
 稲葉益巳先生は、
 痩せてスマートな先生でした。
 この手術器械は、
 後世に名が残る器械だと思います。
PRSに掲載された論文です
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            わきが手術後の臭い                                                    
    
                         わきが手術を受けて、
 3年間は大丈夫だったのに…
 今年の夏に…
 同じ臭いがしました。
 …というお問い合わせをいただくことがあります。
 実際に診察にいらしていただいても… 
 臭いはしません。
      ■         ■
 わきを診察すると…
 毛も生えていないですし…
 手術をした部位は…
 手術をしていない部位と比べて…
 硬くなっています。
 皮膚の下に瘢痕(はんこん)という…
 傷があるからです。
      ■         ■
 以前にも、
 わきが手術の術後臭
 という2011年6月12日の院長日記。
 ワキガの再発2011
 という2011年1月12日の院長日記。
 客室乗務員さんの手術 
 という2007年10月15日の院長日記。
 Chapter“39” ワキガ手術と再発について
 というマンガページにも書いてあります。
      ■         ■
 昔、新札幌にあって、
 その後、札幌グランドホテル別館に移った、
 神奈川クリニック札幌院。
 脱税で摘発された、
 日美クリニック
 この2つのクリニックで稲葉法で手術を受けた方は、
 汗腺の取り残しを見たことがありません。
 再手術もありません。
      ■         ■
 稲葉法で受けた方は、
 治りが悪くて傷が残ったり…
 粉瘤(ふんりゅう)という…
 しこりができている人はいます。
 黒いぽちぽちができて…
 つぶすとくさい臭いがする、
 白いものが出ます。
      ■         ■
 粉瘤(ふんりゅう)から出る…
 この白いもの…
 これは確かにくさいです。
 角質(かくしつ)という垢(あか)です。
 どんな人でもくさいです。
 手術で取り除くことができます。
 もちろん保険適応です。
      ■         ■
 臭いはとても敏感な感覚です。
 ゼロにすることはできませんが、
 汗や臭いを減らして…
 快適にできます。
 手術後の安静が大切です。
 気になる方は…
 夏休みに手術を考えてください。
 節電で暑いと…
 汗対策も大変です。
臭いの原因となる、
アポクリン腺が残っています。
吸引法で手術を受けた方に多い症状です。
手術直後から臭いが気になります。
      ■         ■
汗腺の切除範囲が足りません。
おっぱい近くなどに、汗腺が残っています。
客室乗務員さんの手術に書いてある症状です。
手術後しばらくしてから気になります。
 
      ■         ■
アポクリン汗腺はありません。
ワキガ臭はしません。
自分だけ気にしていることもあります。
自己臭恐怖症という
病気のこともあります。
手術後数ヶ月~数年してから気になります。
 
                        
                        
                     
                                    
                                                院長の休日
                        
                            そら君が退院しました                                                    
    
                         ちょうど一週間前の日曜日に…
 鶏肉のラップを食べてしまい…
 7月26日火曜日に、
 かつら犬猫病院で緊急手術を受けた、
 愛犬のそら君が、
 7月30日夕方に退院しました。
 手術から4日目です。
      ■         ■
 体調はすこぶる元気です。
 カツラ犬猫病院の先生に感謝しています。
 開腹手術をしたのに、
 術後4日目で退院。
 5日目の今朝も元気に…
 しっぽを振ってくれました。
      ■         ■
 何の楽しみもない私ですが、
 家に帰って…
 愛犬が待っていてくれるのは…
 とても癒されます。
 朝6:30に目覚ましが鳴ると…
 わんわんと起こしてくれます。
      ■         ■
 犬も…
 家に帰って安心したのか…
 昨夜はよく眠っていました。
 傷を触らないように…
 首にアンテナのような…
 カラーをつけています。
 ご心配いただきありがとうございました。
 カツラ犬猫病院の先生と動物看護師さん、
 助けていただきありがとうございました。
退院したそら君です
                        
                        
                     
                                    
                                                医学講座
                        
                            ‘そふりえ’のみなさんへ                                                    
    
                         先日、あるテレビ局から、
 電話がありました。
 私の院長日記、
 メンパパをソフリエも応援を読まれて、
 実際にそふりえとして…
 活躍している人を知らないか?
 …という内容でした。
      ■         ■
 残念なことに…
 私の周囲にはソフリエはいません。
 そのかわりソフリエへのアドバイスはあります。
 私は形成外科医として20年以上働きました。
 その間に、
 祖父母の家で…
 けがをした子どもさんを何人も治療しました。
      ■         ■
 じいちゃん家で…
 両親がいない間に…
 子どもがけがをすると…
 大変です。
 娘や、
 義理の息子に謝り…
 じいちゃんも…
 ばあちゃんも…
 おろおろするだけです。
      ■         ■
 私は子供さんをたくさん治療したので、
 チャイルドシートは…
 28年前から使っていました。
 家庭のコンセントには、
 子どもが異物を入れないように、
 すべてカバーをつけていました。
      ■         ■
 食卓テーブルの…
 テーブルクロスは禁止でした。
 熱いものを…
 テーブルクロスを引っ張って…
 顔にかける子どもが多いからです。
 とにかく…
 子どもにけがをさせないように…
 できる限りのことをしていました。
      ■         ■
 今回、そら君が、
 ラップを食べて思いました。
 じじばばの家には…
 子どもに危険なものがあります。
 たまにしか来ない子どもは、
 一瞬でけがをします。
 夏休みで子どもさんが来る前に、
 家の中をチェックしてみてください。 
                        
                        
                     
                                    
                                                院長の休日
                        
                            そら君の傷                                                    
    
                         そら君は、
 かつら犬猫病院に入院中です。
 私たちが面会に行くと…
 暴れて安静を保てないから、
 面会には行っていません。
 手術直後に会っただけです。
      ■         ■
 まだ麻酔で眠っている…
 そら君を見て…
 家内と娘は…
 死んでるみたいと言いました。
 私は…
 呼吸状態、
 そら君の毛、
 点滴の固定、
 テープの貼り方を見て…
 腕の良い外科医を直感しました。
      ■         ■
 まず…
 そら君の毛に…
 血が付いていません。
 毛も濡れていません。
 顔の毛も乱れていません。
 血が出ていないのは…
 手術が上手な証拠です。
      ■         ■
 ベテランの外科医は…
 汚すことを嫌います。
 術野が血で汚れると…
 手術がやりにくいです。
 上手な先生は…
 血が出ません。
      ■         ■
 医師も、
 獣医師も、
 外科手術の基本は同じです。
 私が知っている…
 上手な外科医は、
 きれい好きです。
      ■         ■
 点滴の固定も難しいです。
 人間でも…
 小さな子どもの点滴は、
 入れるのも難しく、
 抜けないように固定するのも…
 至難のわざです。
 おそらくそら君は、
 まだ点滴をしていると思います。
      ■         ■
 帰って来たら…
 ラップを食べられないように
 ごみ箱の位置を変えて、
 他にも…
 ティッシュなどを食べないように…
 家の中を片づけておきます。
 早く帰って来てほしいです。
                        
                        
                     
                                    
                                                院長の休日
                        
                            そら君の経過                                                    
    
                         愛犬そら君は、
 かつら犬猫病院に入院中です。
 内視鏡で取り出しはじめたのが、
 7月26日(火)17:00過ぎ、
 開腹手術終了が、
 21:00過ぎでした。
      ■         ■
 先生と動物看護師さんは、
 一日の診療が終了してから、
 何時間も手術をしてくださいました。
 ほんとうにありがたいことです。
 手術後には…
 丁寧な説明がありました。
      ■         ■
 私が驚いたのは、
 獣医師の世界は、
 人間の医療より進んでいるかも…?
 …と思うほどハイテクでした。
 手術中の家族待合室は、
 ゆったりとしたソファーです。
      ■         ■
 今でも多くの公立病院には…
 こんなゆったりしたソファーは無いのでは…?
 …と考えてしまいました。
 私が勤務していた病院は、
 多くが廊下の長椅子です。
 せいぜい…
 事務用の椅子がある部屋があればいいほう。
 病院内でゆっくりできる畳の部屋は…
 霊安室だけでした。
      ■         ■
 手術の説明は診察室でありました。
 壁についた大型のPCモニターで…
 最初からのレントゲン写真を…
 デジタル表示で何枚も鮮明に写し出されます。
 ここが胃で、
 ラップに付着したバリウムの影がこれです。
 先生の説明は丁寧です。
      ■         ■
 私たちが手術の説明を受けたのが、
 22:00頃でした。
 朝から夜10時まで手術をして、
 さぞお疲れでしょうに…
 立派な先生でした。
 取り出されたラップも見せてくださいました。
      ■         ■
 ラップは腸の形に変形しており…
 これは引っ張っても出ないわけだと思いました。
 それから…
 まだ麻酔がかかっているそら君と対面し、
 家内と娘は、
 死んでるみたいと言い、
 私は上手に点滴が入っていて、
 呼吸状態も落ち着いていることを確認しました。
      ■         ■
 ペットといえども…
 家族の一員。
 人間の新生児より体重が少ない、
 小さなわんこの手術は大変です。
 担当の先生からは、
 昨日もご説明がありました。
 私たちも、
 カツラ犬猫病院の先生を見習わなくては!
 …と思いました。
                        
                        
                     
                                    
                                                院長の休日
                        
                            そら君入院                                                    
    
                         わが家で飼っている…
 娘の犬…
 そら君が入院しました。
 昨日、夕方から…
 緊急手術でした。
 仕事が終わってから…
 西区八軒のカツラ犬猫病院へ行きました。
      ■         ■
 かつら犬猫病院は、
 愛犬のチェリーがお世話になった病院です。
 院長日記をはじめた頃、
 今から5年前に書いています。
 親切で、
 しっかりとした病院です。
 建物が新しくなっていました。
      ■         ■
 そら君が入院した原因は、
 とり肉を包んでいたラップを食べてしまい…
 それが胃から十二指腸に詰まったからです。
 ラップを食べたのが…
 7月24日(日)夕方。
 家内が気づいて取り出そうとしたのですが…
 『うぅ~』とうなって…
 家内の手をかじりそうになり、
 そのまま飲み込んでしまいました。
      ■         ■
 25日は元気で餌も食べていましたが…
 26日早朝から嘔吐していました。
 絶飲食で…
 かつら犬猫病院を受診して、
 バリウムによる造影検査。
 日中は混んでいたので…
 夕方から内視鏡で取り出していただきました。
      ■         ■
 残念なことに、
 胃にあったラップは取れたのですが、
 十二指腸に入ってしまった部分は取れず…
 そのまま開腹手術になりました。
 体重わずか2.5キロの犬に、
 点滴をして、
 気管内挿管をして、
 全身麻酔で手術です。
      ■         ■
 獣医さんは素晴らしいです。
 摘出されたラップを見せていただきました。
 とてもきれいに摘出されており、
 手術が上手なことがわかりました。
 そら君は、
 手術後にICU(あい・しー・ゆー)に入室。
 今も入院中です。
      ■         ■
 私たち夫婦は、
 預かった孫をけがさせてしまった…
 じじばばのように…
 そら君ごめんね。
 娘にも…
 そら君を痛い目に遭わせてしまって…
 ごめんねでした。
 家で飼っている犬は、
 注意してあげてください。
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            医療と警察                                                    
    
                         昨日の院長日記、
 品川美容外科の事件の続きです。
 平成23年7月24日、朝日新聞の記事です。
 逮捕の警部、再就職要求か「年収1千万円で」
 資料流出
 品川美容外科(東京都港区)の業務上過失致死事件をめぐる捜査資料流出事件で、地方公務員法の守秘義務違反容疑で逮捕された警視庁捜査1課警部の白鳥(しろとり)陽一容疑者(58)が、流出先の同外科の関係者に「警視庁を辞めたら年収1千万円で雇ってくれ」と求めていたことが、捜査関係者らへの取材でわかった。この意向は、品川美容外科関係者を通じ同外科の総院長に伝わっていたという。
 白鳥警部自らも総院長に、再就職したい意向をにおわせていたという。警視庁は、捜査資料流出の背景になった可能性があるとみて調べている。
 捜査関係者らによると、白鳥警部は、自分が同外科に再就職させた、元同僚で同庁元警部の中道宜昭(のりあき)容疑者(53)=同法違反(そそのかし)の疑いで逮捕=を通じて、総院長に宴席を設けるよう要求。これを受け業務上過失致死事件の捜査が進行中の今年2月11日、総院長らは都心の高級料亭で白鳥警部と会食したという。
      ■         ■
 美容外科チェーン店が、
 警察OBを、
 年収1千万円で雇用すると…
 どんな御利益(ごりやく)があるのでしょうか?
 そんなに…
 医療事故は多いのでしょうか?
      ■         ■
 私がチェーン店の総院長なら、
 年収1千万円も出して…
 警察OBは雇用しません。
 総院長は、
 どこかで…
 信じてはいけない人から…
 悪い方へ誘導されたと思います。
      ■         ■
 何度も書いていますが…
 医療事故のない大病院はありません。
 どこの病院にも…
 事故はあります。
 私だって…
 いつ事故を起こすかわかりません。
 毎日、事故を起こさないように気をつけています。
      ■         ■
 医療事故を起こした時
 一番大切なこと
 原因を究明し、
 二度と同じ事故を起こさないことです。
 事故の被害者も、
 それを一番望みます。
 中国のように…
 事故を起こした列車を埋めてはだめです。
      ■         ■
 ところが… 
 日本の医療業界では、
 中国の列車埋立事件と…
 同じようなことをやっています。
 美容外科で死亡事故が起きても、
 示談で済ませていて、
 事件が表に出てないことがあります。
      ■         ■
 そのような事件は、
 口伝てに伝わることはあっても、
 公表されて、
 その後の事故防止に役立っていません。
 ここが大きな問題です。
 航空機事故調査委員会のような、
 医療事故調査委員会があって、
 同じ事故は二度と起こさないようにしなければ、
 日本も中国の高速鉄道と同レベルです。
      ■         ■
 私は、 
 医療と警察はなじまないと思います。
 医療事故を起こしたら、
 反則切符を切って、
 免停3ヵ月なんて…
 どう考えても変です。
 そもそも警察に医療の専門家は、
 きわめて少数です。
 国の医療事故に対する政策もお粗末です。
 真面目に働いている警察官にはお気の毒な事件です。
                        
                        
                     
                                    
                                                医療問題
                        
                            品川美容外科の事件                                                    
    
                         脂肪吸引の死亡事故という院長日記を、
 2009年12月12日に書いています。
 その時に捜査にあたった警察が、
 今になって問題になっています。
 残念な事件です。
 私は品川美容外科総院長と面識があります。
 そんなに悪い人だとは思いません。
 もっと悪い‘先生’はたくさんいます。
      ■         ■
 私は札幌医科大学を追い出されて、
 48歳で失業しました。
 正確に言うと…
 失業しそうになりました。
 学資がかかる子どもがいて、
 一時はどうなることかと思いました。
      ■         ■
 その時に、
 たくさんの人に助けていただきました。
 ある人に紹介していただき、
 私は品川美容外科へ面接に行きました。
 事務所と呼ばれるところから、
 本院に行って総院長にお会いしました。
      ■         ■
 小柄で…
 優しい先生でした。
 手術衣を着て、
 帽子をかぶって、
 手術が終わったところでした。
 手術衣は汗だくになり、
 脂肪吸引の手術をなさった後でした。
      ■         ■
 当時、美容外科業界の大手は、
 品川美容外科と
 神奈川クリニックでした。
 神クリの山子(やまこ)先生は、
 手術はなさっていませんでしたが、
 品川の綿引先生は、
 額に汗して…
 脂肪吸引をしていました。
      ■         ■
 私が札幌勤務を希望したため、
 不採用でした。
 その当時の品川美容外科は、
 ‘品川方式’と呼ばれ
 無理な手術はしないという
 定評がありました。
 品川美容外科出身の美容外科医は、
 日本中にたくさんいます。
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 美容外科チェーン店の運営は大変です。
 もともと、
 無理な手術はしない
 経営方針
 だったものが…
 少しずつ無理をするようになったのでしょうか?
 警察OBではなく…
 もっと別の人から…
 適切な助言をもらっていれば…
 こんなことにならなかったのに…
 …と残念に思っています。
 私なら高橋智先生に相談します。
                        
                        
                     
                                    
                                                昔の記憶
                        
                            病室のボス                                                    
    
                         私が医学生だった…
 30年以上前の話しです。
 患者の大先輩
 病室のボス
 とも言える患者さんがいらっしゃいました。
 胸部外科で、
 心臓手術を受けた人でした。
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 昨日の院長日記に書いた、
 手術なんてこわくない…
 手術室さ入ったら…
 点滴から薬入って…
 眠っちまったらわからねぇ…
 おしっこの管(くだ)は…
 次の日に看護師さんが抜いてくれる…
 注射器で水抜いて…
 引っ張ったら抜けておしまいだぁ…
 抜糸は痛くねぇ…
 ちょっとちくちくするだけ
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 この文章は、
 その時の光景を思い出して書きました。
 30年前の心臓手術は大手術。
 弁置換術(べんちかん)という、
 心臓の弁(べん)を、
 人工弁にする手術や、
 もっと難しい手術もありました。
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 私たち学生にも、
 おら…
 そこの学生さん… 
 …と親しげに話してくれました。
 胸の傷を勲章のように…
 私たちに見せてくれました。
 迫力がありました。
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 大きな手術を乗り越えて…
 また入院して手術。
 病室では、
 社会的地位も、
 貧富の差もありません。
 病気の先輩が、
 病室のボスでした。
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 病室のボスは、
 さる山のボスのように、
 面倒見のよいおじさんでした。
 その後どうされたかはわかりませんが、
 内科病棟とは、
 明らかに違う雰囲気がありました。
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 下の写真の前列右から二人目が、
 当時の小松作蔵胸部外科教授。
 そのお隣が、
 安倍十三夫助教授(後の教授)です。
 7人の医学生は、
 小児科2人、
 精神神経科1人、
 外科1人、
 胸部外科1人、
 脳神経外科1人、
 形成外科1人です。
 私はその病室のボスだった患者さんのおかげで、
 外科系が好きになったのかも知れません。

札幌医大6年生の臨床実習
胸部外科
成人の日から