医学講座
キズをぬらす
キズをぬらすと…
ばい菌が入ってしまうのでは…
…という心配をなさる方が、
いらっしゃいます。
手術後は…
抜糸するまでは…
キズをぬらしてはいけない?
…と信じている方もいらっしゃいます。
■ ■
キズをぬらしても、
大丈夫です。
野外の汚い水なら別ですが、
日本の水道水は、
安心です。
水でぬらして…
化膿するようなことはありません。
■ ■
擦り傷や…
やけどのようなキズは…
真水がしみることがあります。
このようなキズには、
生理的食塩水が有効です。
以前はドラッグストアで購入できたのですが、
最近は
コンタクト用品として販売されているようです。
■ ■
家庭でもつくることができます。
1リットルの水に9gの塩を入れます。
2リットルのペットボトルですと18gです。
家庭用の料理はかりでも大丈夫です。
塩を入れると…
水がしみなくなります。
浅いキズは…
こうして洗ってください。
■ ■
やけどに効く温泉などは、
おそらく生理的食塩水に近い濃度なのでは?
と想像します。
流水でキズをきれいに洗って…
そこに軟膏をつけると、
キズはきれいに治ります。
キズは濡らしても大丈夫です。
医学講座
キズの赤味をかくす
よく次のようなご質問があります。
メイクは…
いつからできるようになりますか?
キズの赤みをコンシーラーでかくして…
お気持ちはわかりますが、
キズの赤味をかくすメイクは、
キズによくありません。
■ ■
抜糸をする前から…
キズの上に…
こてこてに…
ファンデーションや…
アイシャドウを塗る人がいます。
■ ■
キズに塗っていいのは…
軟膏だけです。
こてこてに塗ったお化粧を…
落とす時が大変です。
どんなに気をつけても…
キズに力がかかります。
■ ■
せっかく…
くっついてきたキズが、
お化粧をして…
落とす時に、
力が加わってしまいます。
どんなにきれいに縫っても…
キズが台無しになります。
■ ■
最低限…
抜糸までは…
キズに塗っていいのは軟膏だけです。
頬とか、
眉とか、
口紅などはOKですが、
キズの部分はNGです。
■ ■
抜糸しても、
キズは完全にくっついていません。
完全にくっつくには…
3~6ヵ月もかかります。
その間に無理な力を加えると…
キズが目立ちます。
■ ■
ちょっとしたキズを気にする人に限って…
手術直後から安静を守っていなかったり、
お化粧でこてこてにしています。
キズの赤味をかくすのは、
医師や看護師の指示にしたがってください。
札幌美容形成外科では、
抜糸後に、
カバーマークオリジナルという…
化粧品をおすすめすることがあります。
■ ■
これは…
キズの赤味をかくすというより、
赤いキズに紫外線があたって…
色素沈着になることを防ぐためです。
カバーマークオリジナルは…
SPF50の遮光効果があります。
キズの管理は、
医師や看護師の指示に従ってください。
医学講座
キズの赤味
私の手術(2010年12月1日)から…
早いもので8週間です。
一見すると…
キズは目立ちません。
大竹先生のおかげです。
感謝しています。
ただ、赤味が目立つ時があります。
■ ■
風呂上りの時。
お酒を飲んだ時です。
お風呂に入ると、
全身の血流がよくなります。
血のめぐりがよくなると、
キズにも血が入ります。
赤味は血の色です。
■ ■
お酒を飲んでも…
血のめぐりがよくなります。
そうすると…
キズの中の血が増えます。
赤味が目立つのは…
キズがまだ治っていく経過なのです。
■ ■
動物の身体は、
自分でキズを治す力があります。
キズを治すには、
たくさんのエネルギーが必要です。
エネルギーを届けるのが、
血液です。
■ ■
キズが治ったように見えても、
手術から3~6ヵ月は、
まだ治っていないのです。
生体が、
キズを治そうとして、
たくさん血を使うので、
毛細血管が発達してキズが赤くなります。
■ ■
私のように…
一見すると治っているように見えるキズでも、
実は…
まだ治っていません。
ですから…
血管がたくさんできて、
キズをより強力にくっつけようとしています。
キズの赤味は自然の力です。
6ヵ月もすると目立たなくなります。
2011年1月24日
院長の休日
定年後は女房対策こそ重要
平成23年1月23日、朝日新聞朝刊、声の欄への投稿です。
定年後は女房対策こそ重要
無職_松永健_(岐阜県池田町 68)
定年後、何か一番変わるか。答えは女房とほとんど四六時中向き合っていることではないだろうか。女房との仲がうまくいかなければ毎日が悲惨である。定年後8年経った今、切実に感じるのは女房対策は見逃せない重要なことだということだ。
対策の第一は台所、掃除、洗濯、買い物など日常生活はとうていかなわず、「家来」にならざるをえない。だから、この分野では決して逆らわない方がいい。もし「どうしてもこれが食べたい」と思った時は、自分で台所に立つことだ。できれば、食材の仕入れから皿洗いまで全部、自分でやった方がいい。
第二に、小遣いは家計費からもらわない方がいい。もらえばますます監視され、従属的になるだけだ。その日のために、現役時代からちびちびとためておくことだ。もちろん、「へそくり」の額は知られてはならない。
第三の対策は、けんかにならないようにすることだ。その秘訣は会話で「NO」という否定語を少なくすることだ。つまり相手を受容するのだ。生活でどちらが正しく、どちらが間違っているということはないのだから。
(以上、朝日新聞より引用)
■ ■
人生の先輩、松永様の…
貴重なお言葉を…
しっかりと受けとめました。
しいて言わせていただくなら…
定年前も…
女房対策は重要です。
■ ■
開業してからというもの…
毎日、奥さんといっしょです。
出張も当直もなくなりました。
家庭でも…
職場でも…
いっしょは大変です。
■ ■
ご夫婦とも医師で、
いっしょのクリニックで、
仲良く開業している先生がいます。
正直なところ…
すごいと思います。
さくらんぼさんのお宅も…
すごいです。
■ ■
投稿者の松永様のお言葉…
相手を受容する
生活でどちらが正しく
どちらが間違っているということはない
とても貴重なアドバイスです。
■ ■
本間家は…
今年、結婚して30年です。
何度も危機がありました。
30年前は最高だと思っていたのですが…
これからは…
お互いにぼけないで…
他の人に迷惑をかけないようにして…
生きていきたいと考えています。
昔の記憶
雪で遊ぶ
私は生まれも育ちも北海道です。
雪国の子どもは、
大雪(おおゆき)でも…
晴れた日には外で遊びます。
犬も…
子供も…
雪が大好きです。
■ ■
ふわふわの新雪(しんせつ)はやわらかで…
転んでも痛くありません。
吹雪(ふぶき)の日は家の中ですが、
晴れると外遊びをします。
私は山で育ったので、
よく裏山へ行きました。
■ ■
私が育った昭和30年代は、
日本の高度成長期です。
テレビもまだ普及していません。
一日の放送時間も限られていて、
放送していない時間帯には、
テストパターンという、
丸い画像だけが流れていました。
■ ■
今から思うと、
丘のようなところに、
小さなスキー場がありました。
小学校~大学まで、
冬にはスキー授業がありました。
徒歩のスキー遠足もありました。
■ ■
私と弟は、
よく雪穴を掘って、
雪の洞窟を作っていました。
小さな基地でした。
そこへ…
つららを集めてきたり…
雪玉(ゆきだま)を作ったりしました。
■ ■
お金がかかることはできませんでしたが、
雪を利用して、
子供ながら遊んでいました。
雪は大変ですが、
北国には、
雪で遊ぶ知恵がありました。
でも…
この年齢になると…
春が早く来てほしいです。
山形のさくらんぼさんへ
豪雪のお見舞いを申し上げます。
昔はこんなソリで遊んでいました
2007年11月12日院長日記
昔の記憶
雪との闘い
今年の札幌は1月に入ってから、
例年にない大雪(おおゆき)です。
山形のさくらんぼさんのお宅も…
果樹園も大雪(おおゆき)で大変です。
果樹園は…
雪で枝や幹が痛むので、
死活問題になります。
■ ■
私は…
生まれてから…
ず~っと北海道です。
雪には慣れているつもりでも、
毎日の大雪にはうんざりです。
一番困るのが…
交通機関です。
■ ■
雪で道幅が狭くなるので…
交通渋滞になります。
道路の雪を道端へ寄せる除雪(じょせつ)。
道端の雪を…
他の場所へ捨てるのが排雪(はいせつ)です。
■ ■
各自治体の仕事ですが…
どこの市町村も予算不足。
なかなか排雪ができません。
夏の半分程度しか、
道幅がないところもあります。
トラックなどは大変です。
■ ■
今朝の北海道新聞に出ていました。
道端の雪で…
雪まつりの雪像を作ったら…
誰でも考えそうな…
簡単なことです。
ところが…
道端の雪には…
融雪剤が入っていて…
雪像作りには使えないそうです。
■ ■
北海道の厳しい寒さも…
今がピークです。
あと一ヵ月もすれば、
日差しも暖かくなります。
今はじっとがまんして…
雪と闘う毎日です。
受験生のみなさんも頑張ってください。
医学講座
第110回日本美容外科学会報告⑤
学会報告の最後です。
眼瞼下垂症手術をしていますと…
どうしても瞼が上がらない…
矯正困難な方がいらっしゃいます。
無理矢理…
目を開くと閉じなくなるリスクもあります。
瞼の中は…
人によって実にさまざまです。
■ ■
眼瞼挙筋という筋肉がない…?
…と思うほど…
まぶたを切開すると…
黒目が透けて見えることもあります。
もともと左右差がある方も、
たくさんいらっしゃいます。
■ ■
難しい症例を治すのが…
プロだろう!
とお叱りを受けそうですが、
プロでも、
難しくて難渋することもあります。
やればやるほど難しさを感じます。
■ ■
保険診療でも、
自由診療でも、
難しいのが眼瞼下垂症です。
自由診療ですと…
前額部リフトなどもできますので、
治療の選択肢が増えます。
■ ■
としをとって…
まぶたが下がってきたのに…
保険診療ではきれいに治せませんでは…
高齢者の方に失礼だと…
私は考えています。
何とか…
保険診療できれいに治したい…
と思っています。
100%満足はなかなか難しいですが、
これからも勉強を重ねたいと思います。

手術前です

切除する皮膚です

手術一ヵ月後です

手術3年後です
医学講座
第110回日本美容外科学会報告④
2011年1月16日の院長日記、
第110回日本美容外科学会報告①に…
らずべりーさんからご質問をいただきました。
ご高齢の患者様の場合、皮膚を多めに切り取るだけでは完全な解決策には至らない場合があるのだと思いました。
筋肉の衰えだけでなく、脂肪が極端に少なく、コラーゲンが減少し、張りが無くなったというのが原因だと推察します。
解決策としてはコラーゲン注入なのか自家組織移動&移植なのでしょうか。
■ ■
この問題を取り上げられたのは、
会長の宇津木龍一先生と、
北里研究所病院美容医学センター、
佐藤英明先生でした。
眼瞼下垂症手術をすると、
眉が下がり、
睫毛と眉毛の間が狭くなります。
■ ■
若い女性には、
憧れの大きな黒目でも…
高齢者には…
目が乾くようになった…
まぶたが腫れた…
鼻根部に横じわができた…
まぶたが重くうっとうしい…
…という術後不満要因となります。
■ ■
せっかく苦労して、
3時間もかけて手術をしても、
術後不満要因ではがっかりです。
患者さんも術者も不幸です。
宇津木先生も佐藤先生も、
解決策として使っていらっしゃるのは、
眉の位置を調節する方法でした。
コラーゲンではありません。
■ ■
前額部リフトといわれる方法などで、
眉の位置を上げることで、
この術後不満要因を解決していらっしゃいました。
宇津木先生は、
前頭筋拮抗筋群(ぜんとうきんきっこうきんぐん)
特に眼輪筋の手術について、
発表していらっしゃいました。
■ ■
保険診療の手術では難しいですが、
宇津木先生が推奨される手術は、
高齢者の眼瞼下垂症手術では、
とても大切なポイントだと思いました。
帝国ホテルのクリニック宇津木流は、
腕も技術も考えも…
超一流です。
東京都千代田区内幸町1-1-1
帝国ホテルタワー8F
03-3509-6210
医学講座
第110回日本美容外科学会報告③
眼瞼下垂症手術の手術法もさまざまです。
有名な上手な先生でも…
手術法を変えて…
少しでも再発を少なく…
自然な目を作るのに…
日夜苦労しているのがわかります。
■ ■
手術法の一つに…
眉下切開法という術式があります。
眉毛の下を切って…
余分な皮膚を切り取る手術です。
この術式は…
西日本で好まれる…?
…という印象を持ちました。
■ ■
京都の冨士森先生が…
この手術法を広められた記憶があります。
冨士森先生の影響力は大きいので…
関西の先生は、
この眉下切開法を多用していらっしゃる…?
とも考えられます。
■ ■
もう一つは、
伝統的な京美人の眉です。
日本形成外科学会2009-②
2009年4月23日の院長日記にも書いています。
『京美人』の眉は、
外側へ向かって細くなっています。
全体に細い眉です。
この眉を作るには、
眉下切開は優れた方法です。
■ ■
眉下を切るので…
二重にしたい人には、
二重を作る手術を…
別にしなければなりません。
東日本と西日本で、
好まれる目が違うのかも?です。
快適で美しい目を作るのは、
実に難しいものです。
医学講座
第110回日本美容外科学会報告②
眼瞼下垂症学会と言ってもいいような、
実に、内容の濃い学会でした。
眼瞼下垂症は、
奥の深い、難しい手術です。
自由診療の美容外科も、
保険診療の形成外科も、
満足度UPのため、
苦労しています。
■ ■
西條先生のミューラータッキング法と
松尾先生の腱膜固定法は、
とても興味深い内容でした。
眼科の先生の参加も…
内容を深くしてくださいました。
今までの学会にない内容でした。
■ ■
眼瞼下垂症の診断一つにしても、
日本形成外科学会や、
日本眼科学会の、
統一した診断基準はありません。
もちろん、
厚生労働省が決めた基準もありません。
■ ■
MRD:Margin Reflex Distanceという測定があります。
瞳孔(黒目の中のひとみ)の中心から…
上眼瞼縁までの距離が…
3.5mm未満となったら、
眼瞼下垂という人もいます。
ところが…
MRD(えむあーるでぃー)の測定法すら、
しっかりとした定義がありません。
■ ■
MRDを1㎜の誤差もなく、
自動的に測定する機器もありません。
(少なくとも私の知る限り…)
まだまだわからないことが、
実にたくさんあるのが…
眼瞼下垂症です。
眼科医も形成外科医も手術をしています。
でも…
誰が一番上手か?わかりません。
■ ■
今回の学会で、
すべてが解決できたわけではありません。
これから、
議論を重ねなくてはならないことも…
実にたくさんあります。
一人でも多くの方に、
快適で美しい目になっていただくために、
学会での論議が必要だと感じています。