医学講座
裁判の傍聴
昨日、診療の合間に、
高橋智先生が担当されている、
医療裁判を札幌地裁で傍聴してきました。
先生の日記に書かれていたので、
勉強のために行きました。
私も知らなかったのですが、
裁判は公開が原則。
裁判所一階に大学の学生掲示板のようなボードがあり、
その日に行われる裁判のプリントが貼ってあります。
何階の○法廷で何時から○○の裁判があると記載してあり、
それを見て傍聴に行けます。
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はっきり言って衝撃的でした。
被告席は訴えられた側の弁護士さんと、
手術を担当した先生でした。
カルテより分厚い、
膨大な資料ファイルを弁護士さんが準備されて、
それを先生が説明していました。
手術記録の大切さと、
カルテ(診療録)の大切さがわかりました。
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医療に関する裁判だったので、
医学生が解剖学を勉強する、
解剖の教科書のカラーコピーがありました。
そのコピーと手術記録から、
どこにどうやって麻酔をして、
手術を進めたかを説明していました。
私が傍聴できたのは、
被告側の証人尋問だったので、
被告側の先生が説明をしていました。
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あってはならないことですが、
私が今までに勤務した総合病院で、
医療訴訟を抱えていない病院はありませんでした。
明らかに医療側のミスと言えるものから、
誰が手術をしても、
今の医学レベルでは避けようがない、
不可抗力のような事故までありました。
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厚生労働省は、最近になってようやく、
医療安全などに力を入れるようになってきました。
ところが、国がやることと言えば、
マニュアル作りなどの政策ばかり。
これで本当に事故が減るのだろうか?
と疑ってしまいます。
事故は、
ほんの一瞬の判断ミスから起こります。
事故を防ぐためには、
経験や教育が大切です。
同じようなミスは誰でも起こす可能性があります。
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過去に起きた事故は、
これからも起こる可能性があるのです。
経験を積んだ医師や看護師は知っています。
残念なことですが、
そのような事故を公表する施設や先生は少ないのです。
裁判記録とか判例を
大学の授業や学会で教えることもありません。
昨日、裁判を傍聴させていただいて…
医学生や医療関係者は、
一度は医療裁判を傍聴すべきだと思いました。
また過去の裁判記録を勉強して、
同じような過ちを繰り返さないようにすることが、
医療側に必要だと感じました。