医学講座
日本美容外科学会(広島)③
今年の日本美容外科学会は、
広島の宮本義洋先生が会長でした。
宮本先生は、
広島で医療法人宮本形成外科を、
ご開業なさっていらっしゃいます。
奥様も形成外科専門医です。
私より10歳も上の大先輩です。
■ ■
広島大学医学部助教授(皮膚科)を歴任され、
現在は、
岡山大学医学部医学科形成再建外科の
臨床教授をなさっていらっしゃいます。
毎年、
学会にご夫妻で参加なさいます。
学会発表も活発にされている先生です。
■ ■
毎年の学会には、学会長のカラーが出ます。
今年の学会のテーマは、
『安全で効果がある』でした。
5つのシンポジウムのうち、
4つのシンポジウムのテーマに
『安全で効果ある美容外科治療を求めて』
という題名がついていました。
シンポジュウム1
安全で効果ある美容外科治療を求めて:
眼瞼形成術の長期結果と合併症
シンポジュウム3
安全で効果ある美容外科治療を求めて:
フラクショナルレーザーの適応と効果
シンポジュウム4
安全で効果ある美容外科治療を求めて:
レーザー治療の効果と合併症
シンポジュウム5
安全で効果ある美容外科治療を求めて:
ノンサージカル治療(フィラー、Botox、自家脂肪注入など)
の効果と合併症
■ ■
確かに、どこの美容外科のHPを見ても、
この手術でこんなにキレイになりますょ!
とは、書いてありますが、
こんな副作用がありますょ!
とか、
失敗したらこんなになっちゃいますょ!
とは書いてありません。
学会発表も、
私はこの手術をしてこんな失敗をしました…
なんてのはありません。
■ ■
今回の学会で印象に残った発表は、
大阪大学美容外科の
矢野先生と高田先生のご発表でした。
阪大は白い巨塔のモデルといわれる大学病院です。
ここに美容外科講座があります。
残念なことに、
阪大に美容外科があることは‘宣伝’できず、
患者さんの数は一年間で28人だったそうです。
大手美容外科でしたら、
半日で28人くらいになりそうです。
■ ■
また、せっかく阪大病院に美容外科がありながら…
保険診療しかできないために、
自由診療で手術が必要な患者さんは、
阪大以外のクリニックで手術をしているそうです。
阪大で手術をしたのは、
美容外科で受けた‘治療’によって、
重篤な後遺症や合併症が残ってしまった方でした。
阪大では、
この後遺障害の‘手術’を保険診療で行っています。
■ ■
阪大の矢野教授は、
『患者の利益よりも、
自分の利益を優先する、
医師の根本的行動原理に問題がある。』
と指摘なさっていらっしゃいました。
また、
何かが起こっても、
それに対処ができる、
基礎的な知識や技術の欠如した医師
が問題であると話されました。
■ ■
ヒアルロン酸の注入を、
‘安全だと思って’受けた結果として、
大学病院で手術をしなければならなかった、
お気の毒な方が学会で発表されていました。
私が手術や治療をしても、
副作用や後遺障害が
ゼロということはありません。
問題なのは、
何かが起こった時に対処できる
知識と技術力です。
医師は何歳になっても勉強が必要だと感じました。
宮本先生ありがとうございました。