医学講座
イボの想い出
イボはウイルス性疾患です。
手にできたイボは、
自分の指でもくっついていると
隣の指に移って増えます。
可哀想な人は、
指がイボだらけになってしまいます。
今でしたら、
皮膚科で液体窒素で凍らせるのが一般的です。
■ ■
イボ治療のスペシャリストは皮膚科医です。
日本皮膚科学会HPには、
イボについての詳しい説明があります。
‘イボ治療法’と入力してネットで検索をすると、
民間療法から美容皮膚科まで、
たくさんのサイトが出てきます。
昔、読んだ、米国の権威ある教科書に、
イボはおまじないで治ることがある…
と書かれていたのを覚えています。
『トム・ソーヤーの冒険』という
子どもの頃に読んだ本に、
おまじないでイボを取る話しが出ています。
さくらんぼさんの
いぼとり地蔵も
まんざら嘘ではないのです。
■ ■
私はイボでは苦い想い出があります。
今から20年以上前です。
1986年(昭和61年)から
1988年(昭和63年)まで、
私は釧路労災病院形成外科に勤務していました。
専門医を取得したばかりで、
今から比べると経験も浅く、
北大形成外科の先輩に教えていただきながら
手術をしていました。
■ ■
昔の釧路労災病院には、
皮膚科医が常勤していない時期がありました。
皮膚科は近くに開業医の先生がいらして、
そこからたくさんの患者さんを
ご紹介していただきました。
釧路労災病院には附属看護学校がありました。
高校を卒業した、
若い学生さんが3年間勉強しています。
■ ■
看護学校の学生さんは、
釧路労災病院で診療をしていました。
手にたくさんのイボができた、
とても可哀想な学生さんがいました。
電気メスで焼いて治療していました。
麻酔をして、焼く治療です。
何回治療をしても、
他の指などに再発を繰り返していました。
■ ■
若い女性の手に、
イボがたくさんあると…
本人も辛いですし、
実習で手を使うのも気が引けます。
私も学生さんも必死でイボと戦っていました。
しばらく、外来に来ないので、
どうしているかなぁ~???
と思っていた時に、
廊下でバッタリその学生さんに会いました。
■ ■
先生、私、はと麦を飲んだんです
友だちから、『はと麦がイボに効くょ』って聞いたので…
そうしたら、こんなにキレイに治ったんです!
先生、どうしてはと麦のこと!
教えてくれなかったんですか?
私が北大の先輩から教わった、
イボの治療法には、はと麦はありませんでした。
確かに、ヨクイニンという漢方薬が効くことは知っていました。
ただ、100%効くという保証はありません。
■ ■
それ以来、私はイボの患者さんには、
必ずはと麦の説明をするようになりました。
ヨクイニンという薬で、
健康保険も適応になります。
錠剤で、一日量が9~18錠です。
一日3回、食前または食間に飲みます。
一回3~6錠です。
札幌美容形成外科には用意していないので、
処方する時は院外処方箋になります。
イボを保険外でレーザー治療している、
美容クリニックもあるようです。
確かに効くレーザーもありますが、
まずは皮膚科専門医を
受診なさることをおすすめします。