医学講座
ホクロ除去手術
昨日の日記に眼瞼下垂症手術は、
保険適応になり、
生命保険の手術給付金も出ると書きました。
微妙なのがホクロ除去です。
これは法律に記載されています。
所得税法施行令第207条、所得税基本通達73-4
ホクロの除去費用
【照会要旨】
ホクロを除去するための手術の費用は、医療費控除の対象になりますか。
【回答要旨】
容姿を美化し又は容ぼうを変えるための費用は、
疾病の治療のための費用には当たらないので、
ホクロの除去費用は、医療費控除の対象とはなりません。
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確かに、この条文通りです。
美容外科や美容皮膚科に行くと、
ホクロ除去は‘簡単’で、
小さなホクロでしたら、
一個5,000円程度で除去してくれます。
大部分は炭酸ガスレーザーで焼いたり、
電気メスで焼いたりする治療です。
これは、明らかに美容目的なので、
医療費控除の対象となりません。
■ ■
大学病院や総合病院の皮膚科を受診して、
ホクロ除去をお願いしたとします。
おそらく、大部分の皮膚科では、
保険診療で病理検査をします。
これはホクロの癌の見分けが難しいためです。
正確に診断するためには、
顕微鏡で細胞を診る‘病理検査’が必要です。
私は日本皮膚悪性腫瘍学会の会員です。
ホクロの癌をたくさん経験しました。
■ ■
経験を重ねた専門医は、
安易にホクロ除去をしません。
ホクロの癌と良性のホクロを見分けるのは、
実は皮膚科専門医にも難しい場合があります。
ホクロの癌を見落として、
訴訟になる場合もあります。
私は、北大形成外科や関連病院で、
たくさんのホクロの癌を手術してきました。
北大形成外科病棟チーフの時は、
何人かの方を見送りました。
その中にはホクロの癌の方もいらっしゃいました。
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私が研修医の時に、
尊敬する先輩の皮膚科医から、
次のように言われたことがありました。
ホクロは悪性化したら大変です。
ホクロを焼いて刺激して、
その上、取り残して…
もし…
万一悪性化したら…取り返しがつきません
ホクロは切除して、病理検査をすべきです。
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私はあまり積極的に
ホクロ除去手術をしていません。
自分の顔にもホクロがたくさんありますが、
放置しています。
大きくなってきた。
盛り上がってきた。
色が黒くなってきた。
など…
‘医学的に必要’な場合は、
切除して病理検査をしています。
この場合は保険適応になります。
保険適応になれば、
もちろん医療費控除の対象となります。