医学講座
皮膚のできもの①
身体の表面を被ってくれている皮膚。
身体の中で一番大きな組織です。
ホクロの癌の他に、
汗を出す汗腺、
毛の‘根っこ’にある、
毛根。
爪の下の組織。
これらすべてから‘できもの’ができ、
その中には、悪性の癌(ガン)もあります。
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頭皮の中に、
毛が原因の癌ができることもあります。
かなり厄介な皮膚癌です。
私は形成外科医時代に、
頭から足まで、
身体中の皮膚ガンの手術をしました。
形成外科医の中には、
皮膚ガンの治療をしない先生もいます。
北大形成外科出身の先生には、
日本皮膚悪性腫瘍学会の会員で、
皮膚ガンの診断と手術に
詳しい先生がたくさんいます。
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皮膚ガンの診断は難しいことがあります。
ちょっと、脚にイボがあるから診てください。
診察すると…
悪性腫瘍のような気がしました。
『いつからできましたか?』
『2年くらい前からです。』
『大きさは変わっていますか?』
『いいえ、2年前からあまり変化していません。』
『切除して病理検査をしましょう。』
『もし悪性だったら、大きな病院をご紹介します。』
『はい、お願いします。』
こうして、手術したできものが
皮膚の汗腺由来の癌でした。
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市立札幌病院形成外科をご紹介して、
大きく切除していただき、
皮膚移植をしていただきました。
私が診察しても、
悪性か良性か区別できないこともあります。
病理検査(びょうりけんさ)とは、
細胞を顕微鏡で観察して、
何のガンか?
悪性度はどの程度か?
などを検査していただくものです。
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札幌美容形成外科で切除した、
皮膚の検体は、
BMLという検査会社を通じて
札幌皮膚病理研究所というところで、
専門の先生に検査していただいています。
所長の木村鉄宣先生は、
北大でご一緒だった先輩です。
皮膚の病理検査では超一流の先生です。
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以前にも書きましたが、
皮膚科で切除しても、
形成外科で切除しても、
保険診療でしたら料金は同じです。
さくらんぼさんのお母さんの
首にできたのは、
軟繊維腫(なんせんいしゅ)という
良性のできものです。
皮膚科でも形成外科でもとっていただけます。
おおまかに言うと…
切り取って縫う‘手術’は
形成外科が良いと思います。