医学講座
治せないキズ
昨日は偉そうなことを書きましたが、
キズを治すプロでも、
治せないキズがあります。
私たちが一番苦労するのが、
血流がない部位のキズです。
2009年6月20日に書いた、
市立札幌病院形成外科の
堀内勝己先生がご専門とする、
糖尿病性足病変がその代表です。
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糖尿病で足の血管が詰まって、
その結果、できたキズは苦労します。
足趾(あしゆび)の先にできた、
ちょっとしたキズが治りません。
しかも痛みがあります。
形成外科医になって2年目の秋に、
釧路労災病院に勤務しました。
上の先生が…
何度、手術をしても、
足のキズが治りません。
■ ■
今は神の手と呼ばれる、
名医が手術をしました。
何度手術をしても…
小さな足のキズが治らないのです。
血流をよくする薬を注射したり、
キズがよく治る薬を塗りましたが、
いくらがんばっても治りませんでした。
血管が詰まっていて、
血流がない状態だと、
どんなに丁寧に縫っても治りません。
■ ■
こういう場合は、
血流がある部位で、
下肢を切断することになります。
小さなキズのために…
膝のところから切断と言われても…
簡単に受け入れられる筈がありません。
なんとか治してください。
と懇願されることもあります。
■ ■
中には、
すでに反対側の足は切断されており、
残っているのは、
一本だけという場合もあります。
どうにかして、
残った足のキズを治したいと思っても、
血管が詰まっているのが原因だと、
治せないこともあります。
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市立札幌病院形成外科の
堀内先生は、
この糖尿病性足病変の権威です。
以前のご講演では…
下腿の切断まで、
形成外科でしてしまうと伺いました。
他にも治療に難渋するキズはあります。
簡単に治せそうな…
小さなキズでも難しいことがあります。