医学講座

鑑定申出書

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 平成28年11月21日に
 相手方から提出された、
 訴え変更の申立書
 には、
 鑑定申出書がついていました。
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 平成27年(ワ)第816号 建物明渡請求事件
 原告 大同生命保険株式会社
 被告 医療法人札幌美容形成外科
 鑑定申出書
 平成28年11月21日
 1 立証の趣旨
 原告が本件賃貸借契約の終了後に被告に更新をしない旨の通知を行うことについて借地借家法28条に基づく「正当の事由」があること
 2 鑑定事項
 本件建物の借家権評価額及び立退料相当額
 以上

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 つまり、
 平成29年3月5日で、
 建物賃貸契約を終了します。
 (新しい大家の)大同生命側には、
 借地借家法28条に基づく
 正当事由があるので、
 建物賃貸契約は終了します。
 これを更新拒絶と言います。
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 裁判所の選任により、
 鑑定人に
 借家権評価額及び立退料相当額
 …を算出してもらい、
 それを払うから、
 建物を明渡しなさいという主張です。
 前は、
 店子として不適格なので
 一銭も出さないで出て行け
 でした。
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 鑑定書は、
 医療裁判でもよく登場します。
 裁判所から、
 鑑定人に選ばれる先生がいます。
 医療裁判ですと、
 学会の偉い先生が選ばれることが多いです。
 鑑定人に選ばれた先生は大変です。
 だいたいは大学の教授職がなります。
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 医療裁判の鑑定人になった教授は、
 ただでさえ忙しいのに、
 裁判資料に目を通して、
 公平中立な立場で鑑定書を書きます。
 私の院長日記に、
 無痛分娩で妊婦及び胎児が死亡した事例があります。
 とても残念な医療事故です。
 この中に鑑定が出てきます。
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 亡くなった患者さんは司法解剖をされていました。
 司法解剖を担当するのは、
 法医学の専門家です。
 司法解剖をして、
 法医学の専門家が報告書を書いても、
 鑑定結果を誤ることがあります
 この医療裁判の事例では、
 死後CTが決め手でした。
 私は死後CTを見つけた弁護人がすごいと思います。
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 裁判に鑑定はつきものです。
 不動産鑑定をするのは、
 不動産鑑定士です。
 私の母親は、
 不動産鑑定協会で働いていました
 コピーを取るおばさんでしたが、
 たくさんの不動産鑑定士の先生と親しくなりました。
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 不動産鑑定は難しいです。
 何人かの不動産鑑定士が同じ物件を鑑定すると、
 同じ金額が出るのが理想です。
 ところが、
 ぴったり同じ金額を出すことは、
 なかなか難しいです。
 裁判所が鑑定を依頼して、
 鑑定人が
 借家権評価額及び立退料相当額を出したとしても、
 すんなり決まらないことがあります。
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 私は虎門中央法律事務所所長の、
 今井和男さんの著書にあるように
 丁寧な説明
 建替え後の物件への入居
 賃料等の条件においても優遇

 …が解決への早道だと考えます。
 大同生命のリスク
 テナントリスクです
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 P218の第4章_不動産ノンリコース・ローンの債権譲渡、その他
 ②テナントリスク
 S社による退去交渉は、建物が老朽化しているから退去せよとの一点張りで、一方的かつ強硬であったことからT社の態度は、硬直化していた。
 そこで、X社の担当者は、事前にT社の担当者に接触し、建物が老朽化していることによりT社が被害を受ける可能性を改めて丁寧に説明することに加え、そのころには〇寺との間で建替えの承諾に伴う承諾料の金額がおおむね合意されつつあったことから、建替え後の物件への入居を認め、その際の賃料等の条件においても優遇し、また、開発期間中の休業補償をすることなどの提案をすることができた。
最判平成8年10月14日民集50巻9号2431頁
(以上、不動産ファイナンスの再生・回収実務より引用)

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 このテナントリスクの次に書いてあるのが、
 耐震性及び遵法性リスク
 遵法性にも欠ける老朽化した建物を、間接的であるとはいえ取得することについては、X社の内部でも意見が分かれていた。
 万一の事故があったとき、刑事責任に発展する可能性もあり、X社やD社、それらの役職員自体は法的責任までは問われなかったとしても、社会的責任を問われる可能性は否めない。また、耐震性についても強く懸念されていた。
(以上、不動産ファイナンスの再生・回収実務より引用)

 …です。
 耐震性について強く懸念される建物を取得し、
 万一の事故があったとき、
 刑事責任に発展する可能性もあり、
 それらの役職員自体は法的責任までは問われなかったとしても、
 社会的責任を問われる可能性は否めない。
 …という記載があります。
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 裁判所は、
 悲しい紛争を早く解決してあげたいと、
 一生懸命がんばってくださっています。
 裁判官は、
 とても紳士的で素敵な方です。
 大同生命が、
 予定通り建物を竣工させたいなら、
 もう少し丁寧に説明して、
 こちらの言い分を聞く耳を持つといいと
 (私は)考えています。

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