医学講座
死後CT
鑑定申出書
2016年12月5日の院長日記です。
こちらは、
札幌美容形成外科と大同生命の紛争に関する、
不動産鑑定の話しです。
今日は医療訴訟の鑑定についてです。
私は鑑定書を書いたことはありません。
鑑定を書く教授は知っています。
はっきり言って難しいです。
■ ■
今日の院長日記は、
医療事故で患者さんが亡くなってしまった時に、
役に立つ内容を書きます。
無痛分娩で妊婦及び胎児が死亡した事例
待望の赤ちゃんが産まれるはずだったのに、
お母さんも赤ちゃんも亡くなってしまった事故です。
とても残念なことです。
■ ■
看護婦時代の思い出
2016年11月29日の院長日記です。
1941年頃に、
北海道北見市で、
農家の奥さんが亡くなったことを、
92歳になる、
涌島タケさんが忘れられないと投稿された記事です。
■ ■
そこに、
前日本産婦人科医会 会長
故寺尾俊彦先生のメッセージを引用しました。
日本では、
いつの間にか分娩が
安全神話の仲間になっているようです。
しかし、
分娩は母児双方にとって
「デンジャラス・ジャーニー(危険な旅路)」
といわれてきたように、
決して安全なものではありません。
■ ■
産科医療や、
救命救急に従事している医療関係者でしたら、
分娩が100%安全ではないことをよく知っています。
産科は、
一度に2つの命を落とすことがあります。
幸せの絶頂から、
奈落の底です。
■ ■
救命救急センターでは、
何とか助けようと必死で治療をします。
特に若い母子だと、
何とかどちらかだけでも助けようとします。
残念なことに、
無痛分娩で妊婦及び胎児が死亡した事例では、
救命できませんでした。
■ ■
大学病院の担当医は、
患者さんが亡くなった後に、
死後CTを撮っていました。
この死後CTを見つけたのが、
担当された弁護士さんです。
おそらく、
協力医がいらして、
適切な助言をしたと(私は)想像します。
■ ■
亡くなった患者さんは司法解剖を受けています。
司法解剖は、
警察が
裁判所の許可を得てから、
大学の法医学教室に依頼します。
亡くなった日ではなく、
亡くなった翌日以降に解剖になることもあります。
死後の変化が進んでしまうこともあります。
■ ■
私が法医学を学んだ、
札幌医大の八十島信之助教授は、
日本の法医学の大家でした。
講義はとても興味深く、
毎回熱心に聴いていました。
司法解剖をしても、
死因を特定できないこともあります。
鑑定は万能ではありません。
■ ■
私が言いたいことです。
愛する肉親を亡くした時に、
担当医から解剖の承諾を求められることがあります。
病院でする解剖を、
病理解剖と言います。
私が遺族でしたら100%承諾します。
ただ、
解剖は亡くなった身体にメスを入れます。
承諾しにくいこともあります。
■ ■
そんな時は、
先生、
解剖はつらいので、
死後CTをお願いします。
…と担当医に言ってみることです。
死後CTは、
病院で撮れます。
病室で死後の処置が終わってから、
霊安室に行くまでにもできます。
時間も解剖ほどかかりません。
■ ■
死後CTでもわからないことがありますが、
たくさんの情報が得られます。
残念な死が減ることが一番ですが、
予期せぬ死に方をすることがあります。
担当医が熱心だったら、
解剖をお願いしますと言われます。
解剖は無理でも、
亡くなってからのCTでしたら、
受け入れやすいです。
62歳の医師からの助言です。